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総工費4億円のラボから生中継!CTOが語る、これからのエンジニアに求められる技術(全3記事)

「エンジニアとしての魅力は、どれだけ言語を知っているかにあらず」 CTOが語る、これからのエンジニアに求められること

ウイングアーク1st株式会社の島澤甲氏が、これからのエンジニアに求められる技術について話しました。前回はこちらから。

秋葉原のラボを紹介

島澤甲氏:「そんなこと言ってもどうやったらこれを伸ばせるのよ」というところをちょっと紹介したいと思います。私は3次元的に技術を伸ばすためには環境も大事だと思っていて、ちょっとウイングアークの例を紹介しようかなと思います。

冒頭に、4億円うんたらと書いてありましたが、実はこういう世界観を実現するために秋葉原にラボを作りました。今日は、時間がないし自慢する場でもないのでサラッとだけ紹介します。ちょっと画面を変えますね。

(スライドを示して)今私はこんなところにいて、何インチだったかな? 四百何十インチだったかな? LEDパネルのモニターみたいなものがあります。少しカメラを回転させて周りを見せられますかね?

スコーピオンというゲーミングチェアのお化けみたいなものや、ちょっとわかりにくいですけどその奥には私たちのクラウドサービスの情報が可視化されているパネルがあります。今日は細かい部分は紹介しきれませんが、実はこんな感じのラボを作ってみました。

ここのラボでは、サーバーをエンジニアが自分で作ってセットアップしています。それを使って、先日はここで『STREET FIGHTER 6』の対抗戦みたいなイベントをやっていましたね。なかなか迫力がありました。

あとは、「入口からデータに囲まれる空間にしよう」みたいなコンセプトもあって、半透明有機ELのモニターを8枚並べて自動ドアに埋め込んでいます。2,000万円ぐらいかかりましたが、こんなものを作ってみました。

さらにここからが大事なんですけど、この自動ドアには笑顔認証というふざけた認証が実装されていて、自動ドアの前でニッコリ笑うとドアが開くんですね。これはエンジニアが認識するカメラを設置していて、2,000万円した自動ドアにドリルを突き立てて穴を開けていたので、正直見ている側からするとめちゃくちゃヒヤヒヤしましたが、無事に実装できました。こんな感じでエンジニアが自分たちの手でいろいろ作れる感じの空間にしています。

(スライドを示して)あとは、こんな感じのマシニングセンタや、金属やステンレスを出力できる3Dプリンターなども自由に使える環境です。普通だとこんなのは作れないよね、みたいなものがけっこう作れるようになっていて、実際の作例としては、私たちのIT子ども塾のイベントの景品としてこういうものを作っています。

ついでに紹介させてもらうと、ウイングアークでは子どもに対してエンジニアが講師になって、授業みたいなものを無料で行っています。こういったものを通じて、社会貢献とエンジニアを育てるということをやっています。その最後にこんなメダルをプレゼントする感じです。

作例としてもう1個、立体音響システムを作ってみました。こんな感じで音響環境を変えられる仕組みもマシニングセンタで削り出しで作ってみました。

ちなみに会社の株価に連動して音響効果が変わるというAPIも実装しました。私は一応取締役で、「株価を意識しろ」と言われたので、こんなものを作って「株価を意識してやるか」みたいな、冗談みたいな話なのですが、こんなのもやっていたりします。

技術的な好奇心を育てるために場所や制度を作っている

こんな感じで、私たちはオフィスを作ってやっているわけですが、私たちはリモートワークの会社なんですね。じゃあ、なんでこの場所を作るの? という話を少しさせてもらうと、先ほど、魅力的なエンジニアが持つべきスキルというところでX、Y、Zの話をしましたが、例えばこの青枠で囲まれているようなところは、こういう拠点を使って、技術的な好奇心を育てたいなと思っています。

そして、緑枠。私たちは先ほどのように、IT子ども塾や他部門の経験制度を持っているんですね。ほかにも、挙手して、例えばマーケティングをやってみるという制度があって、これは20パーセントやるのか、100パーセントやるのかも自分で選べます。こういうのでエンジニアを育てる環境を作りたいなと思っています。

環境があれば機会が発生します。機会があれば成果が出せるんですね。成果が出ると人は成長するんですよ。なので、ウイングアークに限らずIT系の会社がすべてそうだと思いますが、人の成長なくして本当に会社は発展しないので、こういう仕掛けを私たちなりにがんばっている感じですね。

家族ネタで実現した記憶に残る製品紹介

ここまで、この絵を使って説明してきましたが、1つだけ例をみなさんに紹介しようかなと思います。今私たちはこの真ん中のアプリケーション、製品を売り物としてやっていて、プロモーションをやるマーケティングチーム、セールスをやる営業チームも当然あります。私はマーケティングや営業をかじる機会があったので、実はこの横軸は少し経験があります。

実際に、製品+魅せる・伝える技術+ハード技術があると、記憶に残る製品紹介みたいなのができるので、少し事例を紹介したいと思います。社内イベントで私たちの製品をお客さまに覚えてもらった時に私はこのプレゼンテーションを作りました。

(スライドを示して)今日は細かい話はしませんが、私たちはDXを実現するというところで、いろいろな製品をやっています。

その時は「人財DX」というところで「dejiren」という製品をお客さんに覚えて帰ってほしいなと思っていました。dejirenはいろいろなことができるんですね。

このバーチャルアシスタントを軸にいろいろな機能が使えます。ワークフローの承認など、ふだんのさまざまな業務を肩代わりできるプロダクトなんですが、この流れで説明すると刺さるお客さんもいれば寝るお客さんもいる感じなんです。

私はせっかくなので「私の家をこのdejirenでDXしてみた」というのをプレゼンで作ってみました。

私のところは、嫁さんと長男と次男がいるのですが、長男はあまり勉強をしないし次男はやったふりをするというところで、悪意がなかなかある息子たちをいかにして受験させて合格させるかというのがテーマだったんです。

私たちの家では、嫁さんが長男と次男に「あれやったか? これやったか?」みたいなのを聞いてまわっているわけですよ。

dejirenを使って、こんな感じでQRコードをドリルに貼ると、学習の状況がすべて簡単に入力できて、私たちの製品でリアルタイムに把握できる。こんなものを作って、実は受験に挑んだんですね。

普通、製品紹介で家族ネタはやらないと思うのですが、業務みたいな話をしちゃうと伝わるお客さんとそうじゃないお客さんがいるので、私は今回はいったん誰でも想像がつきそうなものをテーマにしてみようと思って、こんなデモを作ってみました。

技術の引き出しが広いとお客さんに刺さるプレゼンができる

さらに、今回おまけも用意しました。プレゼンというのは実は起承転結がすごく大事で、技術の引き出しが多い、例えば「転」で意外性を出すと、お客さんに覚えてもらうのが実はすごくしやすくなります。

(スライドを示して)というわけで、その当時、2022年かな? ついでに作ってみたのがIoT文房具です。これはマシニングセンタで作れるので、この秋葉原のラボで同じものを簡単に作れるんです。

これはいったい何かというと、ディープラーニングのマイコンを積んでいて、カメラや距離センサーや照準用のLEDがあって、銃口も付いている仕組みになっていて、上から玉としてミンティアを詰められて、上下左右に首を振って、スプリングの力でミンティアが発射できるようになっています。

ディープラーニングというか顔認識ライブラリによって、口の位置などを認識して、子どもが欠伸をしたらミンティアを打ち込んで眠気を撃退するというデモなんですね。これはdejirenでフルで制御できるようになっています。今日はデモはやりませんが、こんな感じでちょっと意外なものをプレゼンの中に持ち込んで、実際に効果があるのかというので使ってみた動画を持ってきたのでご紹介します。

(動画を示して)これはうちの次男です。一応勉強しているフリをしていますが、欠伸をしたらそこに向かってこんな感じで、ミンティアを的確に打ち込むことによって眠気を撃退して、勉強に身が入るようにするという感じです。

結果はどうだったかというと、長男も次男も第一志望に合格しました。次男に関しては受けた学校が全部合格みたいな感じで、「どうですか、お客さん。人財DX、やばくないですか?」みたいな感じでプレゼンをやりました。

ここで言いたいことは何かというと、私たちはあまり知名度が高い会社ではないんですね。なので、このプレゼンテーションにおいては、会社名、製品名をユーザーに覚えてもらうことをゴールにしました。このプレゼンのゴールは、私たちをおもしろそうな会社だな、おもしろそうな製品があるんだなと思ってもらうということを、この時は設定してやっていました。

ただ単に先ほどのアプリケーションみたいなところしかやっていないと、お客さんに刺さる伝え方をするのはけっこう難しいと思います。でも技術の引き出しが広いと、お客さんへの刺さり方はすごくいろいろなパターンが出てくるんですね。もちろんこれはすべてのエンジニアに必須のスキルだとは思っていません。

でも会社は商売なので、やはりエンジニアとしての魅力というのは、実はどれだけ言語を知っているか、フレームワークを知っているかではないところにもたくさん存在しているということを、ぜひみなさんには覚えておいてほしいなと思います。

何よりも重要な根幹となる技術は「楽しむ技術」

ということで、ちょっと偉そうに、「エンジニアにはこんな技術がいるんじゃないか」みたいな話をしてきたわけですが、最後に、元も子もない話をして締めようかなと思います(笑)。(スライドを示して)先ほど、こういうX、Y、Zみたいな考え方をみなさんにお伝えしましたが、私は何よりも重要な、根幹となる技術がさらにあると思っています。

それはいったい何でしょうね。これはそんなに引っ張るほどのものでもないと思うのですが、私は実はこれがあれば何とかなるというのが1個あって、それは「楽しむ技術」だと思います。自分も楽しむし周りも楽しませる技術です。正直エンジニアに限らず仕事は、この世の中は楽しんだ人が強いんですよ。「この人はめちゃくちゃ楽しそうに仕事をしているな」という人で、「あ、でもパフォーマンスはぜんぜんなんだよね」という人には本当に出会ったことがありません。

やはり伸びている人、楽しそうにやっている人は成果が出ているなと感じます。みなさんはまだ学生ですが、社会人生活は思ったより長いんですよ。私は20年以上やっていて、もう正直人生もそろそろ終わりかな? と思うくらい働いたと思っているのですが、まだ折り返しに来ていないという恐ろしい事態なわけです。やはりこの長い社会人生活が、つまらなくていいわけがないんですよね。

絶対に楽しく過ごすことが求められます。「40年間イヤイヤ仕事しています」というのは、考えるだけでもゾッとするじゃないですか。なので私は、この自分を楽しませる、それによって周りも楽しませることは、ぜひ意識してほしいなと思います。

それはどんな状態なのかな? どんな環境だったら自分は楽しいと思うかな? というのが言語化できると、言葉に落とすことができると、それが見つかると、自ずとエンジニアとしての道も見えてくるのかなと思います。

ということで、別に今日は会社を売り込むつもりはないのですが、本当にエンジニアリングは超楽しいですというところで、私たちはIoTやさまざまなことに取り組んでいます。ウイングアークについて調べてもらうとけっこういろいろなことをやっていたり、発信していたりするので、みなさんも、自分が楽しめる会社かどうかをぜひ考えながら、就職活動や、こういう機会を過ごしていただくといいかなと思います。

そんな中でも、ウイングアークはおもしろそうだなと感じられた方がいたら、秋葉原のラボなどでも比較的よくイベントをやっているので、ぜひ、みなさんとオフィスとかでお会いできたら、私もうれしいなと思っています。

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