2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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樽石将人氏:イオンネクストのCTOの樽石と申します。今日は「エンジニアが事業を創る、事業会社イオンネクストの開発組織」という話をしたいなと思っています。
今回の資料は、先ほどの山﨑(山﨑賢氏)が作った資料をコピーして直した感じで、かなり体裁が似ています。一度見ているので見やすいかもしれません。もしくは、そこからインスパイアされたいろいろな小ネタも入っていたりするので、そこも楽しみながら見てもらえるとうれしいなと思っています。
(スライドを示して)最初に自己紹介をします。今はイオンネクストのCTOをやっていて、2022年3月に入ったので2年ぐらいになります。その前はGoogleやRettyで働いていました。エンジニア上がりですが、最近は特に社会により影響を与えるようなことをやろうと思うとエンジニアだけでは不足なところが多いので、最近はエンジニアに限らず、いわゆる社会課題を見つけてそれを解決するアントレプレナーみたいなことをやっていたりもしています。
今日はイオンネクストがエンジニアが事業を創っているという話をしたいので、まずは「イオンネクストがどんな会社ですか?」という話と「何を作っているんですか?」という話を少し厚めに話したいと思っています。
(スライドを示して)まず会社のほうです。イオンネクストはイオンのデジタルシフト戦略を担う会社の位置付けで、4年ぐらい前の2019年12月に設立されています。
先ほどの羽生副社長(羽生有希氏)の話にもありましたが、デジタルシフトを推進する会社は複数あります。先ほどのデジタルメディアセンターや山﨑CTOが推進しているイオンスマートテクノロジーは機能会社と呼ばれる会社で、主に事業をする会社に対していろいろなソリューションなどを一括で提供しています。
事業会社は、基本的に価値を提供する相手がお客さま自身のような会社のことで、それに対してイオンネクストは、デジタルファーストな新規事業を作ろうとしています。具体的には「買い物を変える。毎日を変える。」というビジョンで食品ECのサイトをやっています。ここは後ほど詳細に触れたいと思います。
事業会社というところをもう少し突き詰めたいと思います。先ほど山﨑から「ボトムアップDXがDXの本丸だよね」という話、要は、現場でいろいろな業務改革などをやっていく、サービスの開発などをやっていくことがDXの本丸だという話をしていたと思います。
そもそも事業会社というものが、まさにデジタルトランスフォーメーションをやる、お客さまに対してサービスを変革する現場ですよね。実際にサービスを作って提供するので、ここがしっかりとオーナーシップを持ってサービス開発をしていかなければいけません。そういった立場にある会社になっています。
機能会社であるデジタルメディアセンターやイオンスマートテクノロジーはいろいろなソリューションを提供して、それの活用ももちろんするのですが、結局は自分たちでサービスを作って提供していくということをやらないと、我々が目指している、「買い物を変える。毎日を変える。」ということを実現できないということになります。
なので、当社が一番大事にしている企業カルチャーはオーナーシップです。ボトムアップDXの本丸のようなところを最も大事にしています。
それを踏まえてどんなサービスを作っているかを少し紹介します。「Green Beans」というものを作っています。ネットで「Green Beans」と検索してもらうと、緑色の食品ECのサイトが出てくると思うので、詳しくはそこを見てもらえばいいのかなと思います。
概要でいうと、イオンの新しいネットスーパーです。特徴は、まずネット専用だというところですね。実はイオンはGreen Beans以外にもネットスーパーをやっているのですが、それは店舗に置いてある商品をネットで買えて、店舗からお客さまの元に商品を届けるというものです。
一方、Green Beansは店舗を持っていなくて、大型の自動倉庫が郊外にあって。大型自動倉庫内にロボットが1,000台ぐらいいるのですが、ネットから注文があったら、そのロボットが自動的に商品をピックアップして、そこからお客さまの元まで自社のトラックを使って配送しています。
ネット専用なので、実は今までできなかったいろいろなことができています。例えばコールドチェーンの仕組みがあります。コールドチェーンとは何かというと、特に葉物野菜みたいなものを収穫して、収穫してから実際にお客さまの元に商品が届くまでの一連の流れを、すべて温度管理をきちんとして冷蔵でお届けするということをすると、鮮度が極めて高精度に維持されていくので、非常においしい野菜が届きます。
我々の主力の商品の中に「鮮度+」という野菜の商品がありますが、これは賞味期限が1週間ある野菜になっています。通常の野菜は賞味期限があまりなくて、「お早めに召し上がってください」というスタンスなのですが、「弊者のキャベツは1週間もちます」というようなかたちで販売できます。これはコールドチェーンという仕組みがちゃんとしているから実現ができるのですが、こういったものをやっています。
あとはネットなので、ネット専用の商品をたくさん作れます。大きいところでいくと、店舗だとみなさんが持ち帰るのであまり大きい物は買いづらいのですが、ネットで注文してトラックで持ってきてくれるとなると、大きい物も気兼ねなく注文できるので、大容量パックの商品みたいなものの品揃えがたくさんあります。
他にも、たくさん買っても持って帰る必要がないので、たくさんの商品を買って、配送が始まるまでの間はカートの中を自由にいじることができるという特徴があります。
(スライドを示して)これは右側のスクショを見てほしいのですが、右側のカートに入っている値段ですね。これは食品だけで税込みで1万4,050円、点数でいうと45の商品が入っています。
スーパーに行くとここまで買うことは普通あまりないのかなと思うのですが、Green Beansにはたくさんの商品があるので、サクサクとカートに入れていくと、1万円以上の買い物が極めて簡単にできます。
右側も見てもらうと、1万9,000円です。僕もよくGreen Beansのサービスを使うのですが、前回の買い物金額が2万8,000円ぐらいだったので、そういったことも簡単にできるような仕掛けになっています。
それをやるのに、このスマートカートという機能があります。これはお客さまの購買履歴を学習して、今回買いそうな商品を自動でカートに入れてくれるというようなこともできたりします。
(スライドを示して)他にこの右下ですが、これは多彩なプロモーションのスクリーンショットになっています。多彩なプロモーションとはどういうことかというと、Green Beansは注文する時と配送する時が異なるんですよね。
例えば、今日買って、受け取りは週末にするみたいなことです。店舗では普通そういうのはなくて、店舗に行って買います。その時にセール品があったりというパターンだけですが、Green Beansは「注文します」というタイミングと、「配送します」というタイミングがズレています。
加えて、カートの中身は出発の直前まで入れ替えることができるので、商品を買うタイミング、商品をかごに入れる(受け取る)タイミングが非常にズレているんですよね。
長い時間をかけて少しずつ商品を入れる感じなのですが、そういったものに合わせてクーポンをうまく作っていきます。例えば注文日指定のクーポン。「今日買えば10パーセントOFFです」とか。あとは「週末に配送受け取りにしたら10パーセントOFFです」とか「月曜日にしたら何パーセントOFFです」とか、そういったようなことができるような仕組みをうまく作ったりします。
あとは海外ではよくあるような、まとめ買いセールみたいなもので、5点買うと10パーセントOFF、2個買うともう1個(ついてくる)とか。あとはWAONポイント還元だったりがかなり充実したかたちで実現していて、買い物に来るとセールがいろいろなパターンがあるので、見ていておもしろいという特徴もあったりします。こういうものを作っています。
サービスのほうはこれぐらいにして、その裏側がどうなっているのかというところを少し解説します。今回作ったものを、我々は「イオンネクスト・プラットフォーム1.0」と呼んでいます。これは何かというと、先ほどのスマートカートみたいなAIや、大型自動倉庫にいる商品をピックアップするロボットや、ピックアップされた商品を実際にお客さまの元に届ける自社のトラックや、配送システム、加えて商品が全部IoTで管理されています。商品はだいたい今は最大で5万品目ぐらいを登録できるようになっていて、品目あたり在庫が何十とか何百とかあるので、それぶんの商品がすべて管理されています。
このすべてをソフトウェアで統合して整備することによって、洗練されたデマンドチェーンを実現しています。
デマンドチェーンとはどういうことかを一言で言うと、簡単で、いわゆるサプライチェーンと呼ばれている、発注したら商品が入荷される仕組みに需要予測を掛け合わせたようなものです。お客さまのニーズ・需要を予測して、それに応えられるような商品発注をうまくやります。そうすると、品揃えが良くなって欠品がなくなったり、廃棄のロスが減って環境にも良くなるといったことが実現できます。
全体をすべてソフトウェアで統合しているので、極めてやりやすいです。注文のところから、最終的にお客さまの元にトラックを使ってお客さまの元に届けるところまで全部つながっているので、こういったことが非常にやりやすくできています。こういったものを今回イオンネクストは作りました。
これはデジタルのサービスを作るのに慣れている人は当たり前なのかなと思うのですが、例えばイオンの店舗で考えた時に、基本的に全部オフラインで商品を買うので、来店者はまず店舗に来ています。店舗に来ている人がどういう方なのかとか、今何人来ているのかを計測するのはなかなかハードルが高くて実現が大変なのですが、オンラインだとそこはすごくやりやすいんですよね。イオンネクストのGreen Beansというサービスは全部オンラインでサービスを提供しているので、「来店されている方は今何人いますか?」「どこからいらっしゃっていますか?」みたいなことが全部わかります。
(スライドを示して)これは実際に弊者で使っているGoogleアナリティクスの昨日(登壇時点)のスクリーンショットを撮ってきたのですが、こんな感じで、リアルタイムで今何人いるということがわかるようなシステムです。要はGreen Beansのサービスはデジタルが前提の業態で、デジタルがないとそもそも成り立たないところが極めて特徴的なところではないかなと思っているところです。
(次回につづく)
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