2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
個人開発はユーザーリサーチが9割(全1記事)
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むろ氏(以下、むろ):「個人開発はユーザーリサーチが9割」という話をします。
(スライドを示して)「残りの1割は何なの~」と言ってくれている小さな子(のイラスト)がいます。伏線みたいに見えるかもしれませんが、別に1割の話はしません。よろしくお願いいたします。
(一同笑)
(説明を)しそうに見えるがしない(笑)。
自己紹介です。インターネットでは「murokaco」というIDで活動しています。仕事はUXデザイナーです。10月に転職したばかりで、今の所属はfreee株式会社で、SaaSのサービスのデザインの基盤のあたりにいます。
その関係もあってこの個人開発の話を今回するんですが、今は転職したばかりなので、実は副業をやっていない……。副業禁止なので、実質はなにもしていません。
過去の話になるんですが別に今でもぜんぜん使える話だと思うので、話そうと思います。
趣味は「地下アイドルを推す」ことでBiS、虹のコンキスタドール、寺嶋由芙という名前を言ってもみなさんに伝わるかどうかわからないんですが、知っている方……。Obataさん(genta-obata氏)は知っていますか?
genta-obata(以下、genta-obata):知らなかったです(笑)。
むろ:そうですよね(笑)。ありがとうございます。売れないアイドルが売れるまでを推していくことを趣味にしています。
むろ:今日話すことと話さないことです。今日話すことは大きく2つです。なぜ個人開発でユーザーリサーチをしたらいいのかという話と、リサーチの事例。「私はこれまでリサーチでこんなことをやってきましたよ」という話で、大きく2つ、機会探索と自己エスノグラフィをしましたという話になります。ちなみにObataさんは、リサーチの機会探索と自己エスノグラフィあたりは知っていますか?
genta-obata:初めて聞きました。
むろ:じゃあ良かったです。エンジニアのみなさんはそうなんじゃないかなと思っていたので。「こんなことをやったらいいよ!」みたいな感じで話ができたらなと思っていたので良かったです。ありがとうございます。
話さないことは……。ユーザーリサーチはデザインリサーチ、UXリサーチというところになるんですが、そうなると「UXとは」という話をしなければならないんです。だけど基本的な部分は割愛します。最後におすすめの本は紹介するという感じでやっていきます!
むろ:なぜ個人開発でユーザーリサーチをしたらいいのかという話です。正しいリサーチを行うことで、顧客が求めていたのはドリルではなく穴だったことがわかるから。この「顧客が求めていたのはドリルではなく穴だった」というのは、けっこうエンジニアさんには刺さるというか、知っている文言なんじゃないかなと思っているんですが、Obataさんは知っていますか?
genta-obata:有名かなと思うし、「顧客が本当に求めていたものがタイヤのやつ」と同じぐらい有名かなという感じがしています。
むろ:ありがとうございます。お客さまはインタビューとかで最初は「こういうものが欲しいんだよ」と言っているけど、よくよく聞いてみると、というか調査を深めていくと、「ドリルが欲しいと言っているんだけど、本当は穴が欲しいという話をしている」ということが判明するという話をするつもりなんですよね。
(スライドを示して)下に書いているんですが、ユーザーインタビューはただのご意見うかがい会ではないというのと、ユーザビリティテストはデバッグ会ではないという話をするつもりでした(笑)。
genta-obata:違うんですか?
むろ:そうなんですよ(笑)。だからメチャクチャ内容が薄くなっちゃってというか、始まる1時間前にこのあたりの資料を作ろうと思っていたんですけが、時間がなくて。急に割愛されて次の話になります(笑)。
genta-obata:気になっていたんですけど(笑)。
むろ:そうなりますよね(笑)。私もここを一番話したかったんですが。とにかく、ユーザビリティテストはデバッグ会ではないということだけでも伝わればいいかなと思っているんですが、Obataさん、なんか想像がつきますか?
genta-obata:そうですね。「このボタンがうまく動かないんだけどさ」みたいな細かいことを言われ続けて、それを聞き続けてメモをしてやった気になっちゃうみたいなことは起きがちかなとは思います。
むろ:そうなんですよ。やっている時は「あ、そっか。そのボタンが見えづらいのか」みたいな感じになったりとかして。それは確かにそういう場合もあるんですが、そういうことじゃなくて、情報構造が基本的に間違っているみたいな話になったりすることで、ユーザーリサーチが一応正しく行うことができていると判明する。「正しいユーザーリサーチというのは、こういう感じでやっていくよ」という話をするつもりだったんですよね(笑)。本当にすみません(笑)。
むろ:ということで、先ほども言った「ドリルじゃなくて穴だった」みたいな話になります。リサーチをすることによって仮説が切り崩されることはよくあるというか、ちゃんとしたリサーチをしているとこういうことになる場合もあります。
ピボットを余儀なくされる実例ということで、私が個人開発でやろうとしているものは、初期に自分が考えた「欲しいな」「みんなも欲しいと思っているんじゃないかな」と思っていたものと実は違うかたちになりましたという話をしようかなと思っています。機会探索編です。
「俺の考える最強のマッチングアプリを作るぞ!」となったんですが、リサーチを重ねた結果、オタク向けのSNSを作ることになりました。「マッチングアプリを作るはずだったのにオタク向けのSNSを作ることになった」と、これだけを聞いたら本当に意味がわからないと思いますが、実はブログに書いているので、よければそちらを見てください(笑)。
genta-obata:あとで読もうと思います。
むろ:言わせてしまって本当にすみません(笑)。ありがとうございます。
手法は省いちゃって申し訳ないんですが、やってみて私的にわかったのが、みんなマッチングアプリが欲しいんじゃなくて、気の合う人。私はオタクなので、私でいうとオタクと出会いたかったんだということがわかりました。
実は恋愛心理学の本も8冊ぐらい読んだんですが、気の合う人や共通項が多い恋愛対象と出会うというか交際に至る、結婚に至るみたいになった人のほうが、関係の永続性が高いという実験結果が出ているということです。
だから、マッチングアプリみたいに、「急にパッと出会いました」「それから数ヶ月後に結婚しました」だとすぐに別れやすい、みたいな話です。
ということで、気の合う人と出会う、友だちになるところから始めるみたいなほうが、恋愛関係に至らなかったとしても、友だち関係は継続できたらいいねという感じです。友だちができるから、結果、人類みんな幸せになるかなと思って、今はオタク向けのSNSを作ろうとしています。
むろ:次はリサーチ事例の自己エスノグラフィ編です。Obataさんもたぶん知らないですよね。
genta-obata:はい。
むろ:サクラのように答えていただきありがとうございます(笑)。言わせています。「知らんよな」と思ったというか、私もリサーチの勉強を始めて初めて知ったんですが、エスノグラフィというものがあります。
エスノグラフィとは、民族学や文化人類学で行われるフィールドワークのことです。研究対象の人がそこの文化に詳しい人かって、100パーセントそんなことはありません。
だいたい、人が現地に赴いて、現地の人たちの行動を観察して記録を残して、その記録を基に文化や人類、民族とかを解析して分類していったりするという手法です。今の説明でObataさん、理解できましたかね?
genta-obata:やっていることのイメージはつきました。
むろ:良かったです。ありがとうございます。
エスノグラフィに自己エスノグラフィというものがあります。自己エスノグラフィは、調査者が、自分自身を研究対象として、自分の主観的な経験を表現しながら、それを自己再帰的に考察する手法ということらしいです。今自分で言いながら「何これ?」となったんですけど(笑)。
genta-obata:難しい(笑)。
むろ:ですよね(笑)。簡単にいうと、私が今オタク向けのSNSを作ろうとしているので、私が自己エスノグラフィをやろうとするということは、私自身がオタクになるという話なんです。「主観的な経験を表現しながら」は、例えばそこの土地に行くだけじゃなくて、その本人になりきるところまでやるというのが自己エスノグラフィという話です。今の話でわかりますかね?
genta-obata:自己暗示をかける的な?
むろ:そこもありますし、そこだけじゃないですね。一緒に行動したりして、ということですかね。サッカーのコーチをするにはもともとサッカーもしていなければならないみたいな話という感じです。
genta-obata:大変なことですね。
むろ:そうなんです。
けっこう時間がかかるんですが、私の場合は「別にオタクになるだけだからいいじゃん」と思って。かつ、アイドルのオタクはもうすでにやり切っているので、これ以上はいらない。
オタクというジャンルで三大巨頭だと私の中で思っているのが、ゲームのオタク、アニメのオタク、アイドルのオタクです。
私はゲームのオタクで、1回MMORPGをやりすぎて「2ちゃんねる」に晒されたことがあるので、そこはええやろうと。(だから)アニメのオタクをやろうかなと思って、コミケにサークル参加するところまできましたが、友だちはできないし、彼氏もぜんぜんできないという状態です。
ということが今の段階でわかったことなので、とりあえず活動してオタクになることはできる。だけど、オタクとマッチングするというか、大人になってから突然始めた趣味で友だちを作るのはけっこう難しいということがわかったので、それを解消できるサービスを作れればいいなと思っているところです。
(スライドを示して)ということで、右下の子が言ってくれているんですが、「開発、とは」みたいな感じになってきていますが、がんばります。
むろ:ということで若干まとめになります。なぜ個人開発でユーザーリサーチをしたらいいのかというと、自己エスノグラフィのように時間がかかるようなリサーチをやっても他人に影響がないので、ピボットし放題という感じです。
と言いつつ、小さく書いているんですが、私の場合、私がデザイナーでエンジニアさんと一緒に組んでやっている同人開発なので、他人にモロに影響するということで、「ふくだくん、すみません」と。一緒にやってくれているのが、ふくだくんです(笑)。「待たせてすまんのう」という感じです。
むろ:まとめのあとに、先ほど説明しようと思っていたけど省いてしまった、リサーチについての手法みたいなところ。ユーザーのインタビューで話を聞くだけで終わらないみたいなところの技術に関して、この3冊を読めば私はいけるんじゃないかなと思っています。
(スライドを示して)左は『デザインリサーチの教科書』で、名前のとおりデザインリサーチの教科書です(笑)。リサーチに限らず、デザインに関連する開発の手法だけじゃなくて、デザインを体系的に説明してくれたりとかもしているので、非デザイナーの方はけっこう読むと楽しいと思ってもらえるんじゃないかなと思います。
真ん中は『ユーザーの「心の声」を聞く技術』で、これは「『こうしてほしい』を鵜呑みにするから失敗する」と帯に書いてありますが、鵜呑みにしないために、失敗しないための技術が書かれています。
この本を読んだあとに『基礎から学ぶ認知心理学』を読むと、心の声が本心を言っているわけじゃないし、認知が正しいわけでもないということが理解できます。ユーザーインタビューに対して良い意味で懐疑的になれる感じなので、私はこの3冊を一気に読むことをおすすめしています。
ということで、こちらからは以上です。ご清聴ありがとうございました。
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