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ぶっちゃけAI活用推進する際に、現場で一番困ることってなによ(全3記事)

AIファースト時代で必要になるのは“AIマネジメントスキル” これからのエンジニアに伝えたいこと

GMO AI & Web3株式会社の顧問である、木内翔大氏と茶圓将裕氏がAI活用推進における課題とその解決策について話しました。全3回。前回はこちらから。

AIの活用によって開発期間がめちゃくちゃ短くなった

李奨培氏(以下、李):では次にいっちゃいましょう。「この先エンジニアやクリエイターはAIとどう付き合っていくべきか?」というところです。

木内翔大氏(以下、木内):今日はエンジニア、クリエイター向けのセッションでもあるんですもんね。

:そうです。僕らはちょっと忘れていました(笑)。

木内:そうですね。

(一同笑)

茶圓将裕氏(以下、茶圓):めちゃくちゃ一般的な話をしていましたね。

:そうですね。では、茶圓さんお願いします。

茶圓:GPT-4VのAPI登場で、例えば本絵のスケッチからとか、PowerPointを作る感じのドラッグアンドドロップから、そこそこクオリティの高いUIを作れるので、フロントエンドの開発はGPT-4Vの登場でめちゃくちゃ変わったなと思っています。

開発も今は「Cursor」がけっこう……。具体的な名称を言うのはちょっとあれですが、Xを見ていると、自然言語でけっこう開発ができたりするツールは流行っているなという印象ですね。なので必須で使うべきだと思います。もちろん全部をAIに任せるクオリティまではいっていませんが、各作業が効率化できるのと、あとは周りの人間と話をしていると、今は開発期間がめちゃくちゃ短くなっているんですよ。

木内:あー、確かに。

茶圓:その分、チームでやる時に少数精鋭でめちゃくちゃコミュニケーションを取るように変わっているなと(思います)。1ヶ月かけてやるんじゃなくて、「2日でできました。じゃあ次にどうする?」みたいな、アジャイル開発がデフォルトみたいな印象を今は持っていますね。

木内:確かに1人何役だとリードタイムがなくなるから。

茶圓:そうですね。1人でガンガン作れますね。

木内:もうまるっと1人で1週間、2週間単位で作っちゃうみたいなことができますもんね。

茶圓:できるので、ガラッと変わっているなという印象があります。必須で使うべきだとは個人的には思っています。

AIマネジメントスキルが大事になってくる

木内:おすすめのツールでいうとなにかありますか?

茶圓:今Xでも話題ですが、「tldraw」は有名ですよね。簡単にフロントエンドを作ってくれるところもそうですし。

木内:あれは指示書みたいなのを書いたらアプリケーションにしてくれるのですか?

茶圓:そうなんです。例えばChatGPTのUIを作りたかったら、適当に四角や長方形を貼り付けて、ここはチャット履歴とか、これはチャットを送るsendとか、文字を打つとその文字を理解してくれて、きちんと裏側のHTMLとCSSとJSまで作ってくれるので、これはすごいなと思います。

木内:へー。企画書も仕様書みたいに読み込ませれば、もうアプリもすぐにできちゃうんですか?

茶圓:まだプロトタイプ版的な感じですが、もうそんな感じでめちゃくちゃ爆速になっているなという印象があります。

木内さん目線では他にいかがですか?

木内:tldrawやGPT-4Vでかなりコード生成もできるし、デザインもできるようになってきています。僕も「SHIFT AI」というコミュニティの中で、文章生成だけではなくて画像生成、デザイン系も研究していますが、クリエイティブ業界、広告業界の人たちが現場ですでに使い始めていて、業務効率がやはり数倍になっています。

画像生成、デザイン生成系で3倍から5倍ぐらい、動画系だと2倍以上、最先端のクリエイターは使っているので、SHIFT AIの中で講義をしてもらって、僕らも学んでいます。

デザイン、クリエイティブ領域、そしてエンジニア領域はやはり専用のAIツール。これはけっこう重要で、ChatGPTはこれから進化していく中で汎用性と専用性のどちらも出てくると思います。

まだ汎用的なツールなので企画を考えたりなど、全体のことに使うことが多いと思いますが、やはり汎用性ツールのChatGPTと自分の業務領域の専用ツールを組み合わせていくことが生産性向上の鍵だなと思っています。

エンジニアだったらGitHub Copilotや、先ほどのtldrawやCursorといった専用ツールを組み合わせられる人は、生産性を5倍とか10倍にすることも実現できるでしょう。リードタイムも縮まってくるので、革命が起きるという意味では、やはりAIを使えないといけないし、専門職の人ほどAIが必須なんじゃないかなと思います。

僕らは最初ビジネス系だったので、企業から生成AI導入の相談を受けることが多くて、ジェネラリストや全社にいかにChatGPTを使うかという話が多かったのですが、やはりスペシャリストが現場でどこまで専用ツールを導入して現場の生産性を爆上げするのかというフェーズにかなり移ってきているのではないかと思います。

その中で重要になってくるのは、やはりAIスキルというか、先ほどのツールを使いこなすツール活用のスキルです。例えばChatGPTだったらプロンプトを打っていく必要があるので、このプロンプトエンジニアリングのスキルとか。それらを組み合わせることで全体のシステムを作っていくことができる。

そしてこれからは、たぶん当たり前のようにAIと一緒に働いていくのでAIをマネジメントしていくAIマネジメントスキルみたいなスキルですね。これが重要になってくるんじゃないのかなと感じています。

:なるほど。確かに、これからどんな製品もたぶんAIが当たり前のようにくっついてくるのかなという気がしています。インターネットが出る以前は、調査をするとなったら図書館に行って本を並べて必要な情報を取ってきていたのが、インターネットが出たことによって狙い打ちで検索できるようになったと考えると、生産性はもう10倍、100倍に(なっている)。

茶圓:そうですよね。

:当時と比べたら余裕でなっていると思うんですよね。今まさにそのタイミングに我々は立っているんじゃないかなと思っていて、もうすべてにおいてAIファーストの考え方を持たなきゃいけないのかなと思った次第です。

茶圓:そうですね。

大リスキリング時代の到来

:では次にいきましょう。「2024年AIで社会はどう変わる」というところなんですけど。

茶圓:けっこう最近一緒に仕事をしているメンバーが国策を読むのが好きなので、国策目線で話すと、「大リスキリング時代到来」です。今は5年で1兆円ぐらい、学び直しやリスキリングへの補助金を出していて、2024年度は2,000億円ぐらいなんですよ。なので国が「リスキリングしろ」と言っているんですよ。

うちも企業向けの研修をしていますが、75パーセントを国が補助してくれるので、75パーセントOFFでできるんですよ。そういうのをうまく使う企業がもっと増えてくるので、企業でAI活用が普及していくのは確定事項としてあると思います。ツールに関してもAI導入補助金があれば、半額以下で導入できるんです。

意外と国はきちんと支援をしているので、そこをうまく使いながらやっていけば進むかな。まだ2、3年はかかりそうですけどね。国目線での話で、企業がOffice製品やGoogle製品くらい当たり前に生成AIを使うかでいうと、2、3年はかかりそうかなと思っています。

あと期待しているのはGPT-5ですかね。サム・アルトマンもゴタゴタがありましたが、ようやく(OpenAIに)戻ってきました。あとはAIチップの会社が70億円ぐらいのチップを購入したみたいなニュースが出ていました。2024年の10月ぐらいに納品されるらしいので、2024年中には……。

木内:そんなにかかるんですね(笑)。

茶圓:既存ではあると思うのですが、けっこうチップの納品はかかるらしいです。チップ次第でGPT-5ができたら、もうちょっと自律的に動くサービスでさらに生産性が向上するでしょうが、あくまで個人単位かなと思います。企業単位までの普及は、すぐにはしない印象があります。いったんまとめると、企業がどんどんAIを活用していって学び直しが起きるかなという印象です。

オワコンになるビジネス、組織、個人が出てくる

木内:サムさんの解任劇は実は裏でAGIが誕生したという説があるから……。

茶圓:そんな説がありましたね。Q*(キュースター)とかね。

木内:そうですよね。サムさんが早くマネタイズをして、ナンバーワンの座を維持し続ける中でAGIをいち早く出そうとしたところを、急進派を止めたい役員たちがボイコットをしてしまったと。

茶圓:そういう噂がありますよね。

木内:それをまたイーロン(イーロン・マスク氏)が「そうだよ」みたいなことを言っていましたよね。

1ヶ月ぐらい前にサムさんが「僕たちは生まれるのが遅すぎた」みたいな意味深なツイートをしていましたよね。AGIが誕生していることを匂わせる発言をしていたり。

茶圓:そうですね。動画でも「私たちが作ったのは生き物なのか機械なのか」みたいな意味深発言もありました。そうですね。そのあたりでAGI大好き芸人……。芸人じゃないか(笑)。

(一同笑)

木内:そうですね(笑)。個人的な話ですが、一応AGIやシンギュラリティみたいなものは、2008年、15年前から信仰していました。いわゆるシンギュラリティ教みたいな人間で、「シンギュラリティが来る!」みたいなことを18歳の時思っていました。

茶圓:すごいですね。

木内:すごく人類が変わる、進化できると思っていました。そこを速く進めるのがIT革命なので、IT革命を加速させるために人材不足を解消しようとエンジニアスクールを2013年に創業して、約4.5万人の方に受講いただいてエンジニアを増やしてきました。

まさにその延長線上で、大リスキリング時代の追い風もありながら、僕は今AI人材を育成しているので、AGIは本当に待ち遠しいです。

2023年11月のOpenAIのDevDayの発表で、「エージェント」という言葉をサムさんもけっこう使っていました。機能的にもAssistants APIや、GPTsなど、今までのチャット型ではなく、粗めの指示を出したらタスクを遂行してくれるようなエージェント化は部分的には実装されるし、Assistants APIはけっこうすごくて、いろいろなシステムにGPTを埋め込むことができます。

茶圓:そうですね。

木内:今回はGPT-4Vもあるので、「目」がどのシステムにも付けられます。要は言語での対話と目が、すべてのアプリケーションやシステムに付いてきます。そうなると、このアプリケーション同士が、まるで人間のように会話し合って、会社のように連携してスムーズにシステムがつなぎ込めるようになります。「もはやこれは分散型のAGIじゃないか」と言っている人たちも出てきていて、AGIというものがちょっとリアルになってきた。だいぶ解像度が上がってきました。

加えて、GPT-5の噂もあります。結局パラメーター数が生成AIの性能の指標になるわけですが、これが今ちょうど100兆と言われていて、人間と同じかそれ以下のギリギリな賢さなわけですが、これが毎年数十倍伸びているんですよね。

茶圓:そうですね。一応GPT-4は隠されていて、GPT-3.5は20Bみたいな。200億で意外と少ないみたいなのはありますが、GPT-4は多いかもしれないですね。

木内:そうですね。かなりここは増えてきているので、おそらく人間より賢いものが2024年以降は確実に出てくるだろうなと(思います)。数字でも予想されるので、2024年は非常に楽しみです。ただ、その代わりやはり生産性の差がかなり深刻になってくるので、オワコンになるビジネス、組織、個人がやはり出てくると思います。

茶圓:出ますよね。

木内:逆に活用して一気に成長してくる企業、個人も出てくるという中で、やはり先ほどのマインドの話やリテラシー、リスキリングの話は非常に重要なのかなと思いますね。

茶圓:そうですね。

:なんかそろそろ締めなきゃいけなきゃいけない感じになっているんですけど。まぁ、詰まるところ、まだいろいろと課題はありますが、使わなきゃいけないという意識をみんな持っているのかなと思っているんですね。

そう考えると、すべてが「変化」というキーワードに集約されていくのかなと思っています。テクノロジーやAIが指数関数的に進歩していく中で、変化の波を恐れず楽しんでいくことが大事になってくるのかなと思っています。

ダーウィンの進化論の話をちょっとすると、変化を受け入れて柔軟に対応することによって、その可能性は無限に広がると思っています。クリエイター、エンジニアのみなさん、変化を楽しみましょう。というので、締めてしまいましたけど、時間がまだ2分あります(笑)。

(一同笑)

エンジニア、クリエイターに伝えたいこと

:2023年はお二方の事業がすごく広がったと思います。エンジニア、クリエイターになにか言いたいことがあれば。茶圓さんからよろしいですか?

茶圓:僕のメインは企業向けのAI研修と、企業向けのChatGPTなどなので、「社内でAIを使いたい」みたいな相談があったら、Xで「茶圓」と検索して、問い合わせしてください。それから、Xで最新情報を発信しているので、見てもらったら、ためになるかなと思っています。

あとはデザイナーも開発者も、開発もしているのでお仕事に困ったらいつでも言ってください。案件豊富ですという、バリバリの宣伝で大丈夫ですか(笑)?

:大丈夫です。では、木内さんお願いします。

木内:そうですね。僕もやはりIT人材を増やしていきたくて、IT人材を増やすコミュニティであり活用のスクールでもあるSHIFT AIをやっています。エンジニアの方もけっこう多くて、全体の中の1割、2割ぐらいいるので、100人近くはいます。あとはデザイナーの方も、もちろん生成AIとめちゃくちゃ相性がいいので、お互い学び合う中でAI活用スキルを伸ばしていただけたらなというところです。

あとは、これから行政も含めて国が変わってくるので、一緒に国全体を盛り上げていくというか。「日本をAI先進国に」というビジョンを掲げて僕らはやっているので、GMOさんとも仕事をしつつ、みなさんとも仕事をしながら日本をAI先進国にしていきたいなと思っています。

:ありがとうございます。本セッションは、AI業界のど真ん中で活躍されている木内さん、茶圓さんと一緒にお送りしました。みなさんご清聴ありがとうございました。

茶圓:ありがとうございました。

木内:ありがとうございました。

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