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60分で総復習!2023年の生成AIとこれからの活用方法最前線(全5記事)

ChatGPTの精度は「50点」でも、資料をゼロから作るよりマシ 『ChatGPT最強の仕事術』著者が教える、生成AI実践のコツ

株式会社FIXERが主催した本イベントでは、2023年の生成AIトピックスを振り返りながら2024年のトレンド予想や活用方法について語られました。本記事では、「ChatGPT最強の仕事術」著者の池田朋弘氏と、株式会社FIXERプロンプトエンジニアの高桑宗一郎氏が、文章作成におけるChatGPTの活用についてお伝えします。

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これからは用途に特化したAIが広まっていく

池田朋弘氏(以下、池田)こういった中で、2024年のトレンドとしては用途特化のAIが広がってくるかなと(思います)。

先ほど高桑さんからもお話があった「GPT Store」というアプリストアのように、特定の用途に関しては、プロンプトを知らなくても選ぶだけで使えます。これまではやりたいことに対して、自分でやり方から考えなくちゃいけなかったのですが、(今は)「こんなことができるAIがあるよ」というお品書きがあるんですね。

そこからスタートできるので、直接ユースケースに結びつくケースもあります。もうちょっと抽象的なものも多いと思いますが、個人的にはこれまでよりだいぶ用途が明確になり、使うイメージが湧いて、使いやすくなるのかなと思っています。

「GPTStore」は(2024年)1月10日に出ましたが、ちょっと重かったり(笑)。たぶん人が増えすぎてページが開かなかったのですが、内容を見てみると抽象的すぎて、業務には使えない感じもあったんです。

でも使うイメージは湧きやすいので、(これから)もう少し具体的なものが広がり、さらに用途を絞る場合には詳しい人に相談する、となっていくのかなと思っています。高桑さんはどうでしょう?

高桑宗一郎氏(以下、高桑):そうですね。もともと僕が用途特化として想定していたのはファインチューニング(既に学習済みのモデルに新たな層を追加し、モデル全体を再学習する手法)で、すごく重要だと思っていたんです。でもプロンプトだけの範囲でも、意外とビジネスインパクトを持ったものが作れることが示されたと思っています。

おそらくこれからいろいろな人がユースケースを思いつくたびに実装していけば、どんどん民主化されていきます。ファインチューニングは意外とコストがかかるし、いろいろなリスクがあると思われていた。そこが(ファインチューニングまでいかなくても)誰でもメリットを両取りできるようになる。これはけっこう驚きでしたね。

池田:確かにそうですね。プロンプトだけでも、かなりファインチューニングに近いかたちで調整できますよね。

高桑:そうですね。柔軟性が保たれた上で出力形式をコントロールできてしまうので、わりと理想形なのではないかなとも思いますね。

ルーティンワークやアイデア出しで生かされる、生成AIの強み

池田:ありがとうございます。私の会社でもChatGPTでFunction calling(ファンクションコーリング:プロンプトに応じた関数を簡単に呼び出せるようになる機能)を使っています。裏側ではああいった機能で外部のものを読み込む設計ができます。出力の形式をかなり限定することもできるみたいです。

例えば「名前と住所と電話番号の形式で出してくれ」といったことは、エンジニアなどがやっていて。やりようによっては、プロンプトと出力を言葉で示す以上に安定性のある方法も出てきて、けっこうやりやすいのかなと感じました。

高桑:かなり民主化されているんですね。

池田:そうですね。今「時間をかけてプロンプトを考える価値があるかどうかが大事だと思います」というコメントをいただきました。確かにそうですね。1回しか使わない場面だったら人間がやったほうがいいし、何度も繰り返すルーティンワークだったら時間をかける価値があるかなと。まさにそのとおりだと思います。高桑さんはどうでしょう?

高桑:おっしゃるとおりです。例えばよくある使い方で、ブレインストーミングをさせるとか。部下にやったらパワハラチックな「企画を100個考える」ことって、たぶん何回も繰り返すものだと思います。

それをババっと高速でバリエーション多くやってくれるところは、生成AIの強みですし、ファインチューニングをしないおかげで柔軟性が出てきます。「特化した用途で、多様性を保って」というのが、今はプロンプトで完結しちゃっているので、まさにおっしゃるとおりだと思います。

池田:ありがとうございます。これまでは何回もやろうと思ったら、エンジニアに外注したり、ちゃんとプログラムしたりしなくちゃいけませんでした。

何十回程度だったら自分でやっちゃおうかなと思っていた部分が、「何回かやるんだったら、1回プロンプトを作って専用のGPTs(ChatGPTをカスタマイズできる機能)にしてしまう」という選択肢が出てきた。これがけっこうおもしろいと感じますね。

ChatGPTの精度は「50点」でも、資料をゼロから作るよりマシ

池田:具体例を言いますと、最近、メンバーの推薦文を書く仕事があったんですよ。ほかの会社に売るために4人くらいの推薦文をそれぞれ書いて、スキルや強みを紹介する。これって形式やフォーマットは似ているじゃないですか。

一人ひとりに言うことは違うんですけど、出すアウトプットは似ているので、1個目を作った段階で、それをアウトプット例にして推薦文を作るGPTsを作ります。あとは箇条書きを入れて、素案を作ってもらいます。

精度は50点なので、そのままではぜんぜん使えないんですけど、ゼロから作るよりはマシ。2人目からはGPTsにすると、2人目、3人目が楽です。最近の傾向としてそういうのが増えてきていますね。

高桑:そうですね。生成AIは点と点を文脈的に適切につなぐのがすごく上手です。1人目のスキル1・スキル2のつなぎの部分をケースとして学習してしまえば、2人目、3人目は同じようにトンマナも満たしてうまくつないでくれます。こういうユースケースはこれからどんどん開発されていくと思いますね。

池田:まさに。ありがとうございます。「自分だけで使うのはなんとかなるが、生成AIをあまり活用していない人や、業務難易度の関連から生成AIを導入できないところに、どう入れていくかが大事かなと思いました。『自動化できるところとできないところ』というのと似ているのかなと思いました」というコメントです。

これは確かにそうですね。相性がいい業務もありますし、慣れていない人に使ってもらうのは難しいと思うので、これから広げなくちゃいけないと思います。すぐにはなかなか難しいと思うので、いろいろな支援が求められる部分でもありそうですよね。

高桑:そうですね。ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)が起きてしまうと、入力したのに離脱しちゃう。そうすると、正直ほとんどの人の感想が「やっぱりAIってそんなもんなんだ」となってしまいます。

だからちょっとでもプロンプトに興味がある人が、GPTsのInstructions(指示)やプロンプトのバック側での処理をサポートする。そうすれば何を入れてもいい感じのものが出てきます。そこの需要もめちゃくちゃ広がっているので、僕も専門職としてサポートできるかなと思いますね。

文章のプロも、本の執筆にChatGPTを活用

池田:ありがとうございます。私が支援している会社はチームで導入しています。(チームは)10人くらいだったんですけど、議論した結果、全員がちゃんと覚えたり作ったりするのは難しい。だから1人にある程度覚えてもらって、その人が作ったGPTsを展開するのがいいんじゃないかという話になっていきました。

もしチームの中で役割分担してもできなかったら、高桑さんのようなもっと詳しい人に相談する。いくつかの階層で、使えるレベルが分かれてくると思いますね。

高桑:いいですね。相対的な未来の組織体制をうかがっている感じで、個人的にはワクワクしました(笑)。

池田:(笑)。実際に、そろそろそうなりそうな気がしています。

高桑:いや、もうなると思います。

池田:ありがとうございます。続いて、2023年にあった3つ目のトピックです。いろいろなインプット・アウトプットを含めて文章以外の生成AIに関しても、かなりさまざまな成長があったんじゃないかと思っています。

次に行こうと思ったのですが、今ご質問をいただきました。「生成AIを使うことに慣れている人は、一定以上の長さの文章作成をする際に、GPTsを使うことが当たり前になってくると考えていますが、実際にどうでしょうか?」というご質問です。GPTs関連だったので、次に行く前に回答できればと思います。

確かに慣れている人が文章を書こうと思ったら、ある程度使うんじゃないかなと感じますね。僕の周りで本を出している人は、実際に本(を書く時)にも使っていますからね。

ただし丸ごと作ってもらうことはほとんどなくて。箇条書きで内容は考えるんですけど、それを1回文章に成形してもらって、もう1回自分で直すみたいな(かたちです)。全部任せることはないですね。一部の箇条書きを、それっぽい日本語に直してもらっている感じで、個人的には過程が楽になる印象がありますね。

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