CLOSE

BtoB の顧客理解が捗るミニリサーチ(全1記事)

膨大な業務知識・業界知識・ドメイン知識は“小さく調べる” BtoB・BtoC経験者のPMが語る、ミニリサーチの良さ

株式会社エス・エム・エスのプロダクトマネージャー、キムダソム氏が、顧客が抱える問題の解像度を上げて事実を明らかにするプロセスである「プロダクトディスカバリー」において、ミニリサーチを実施して得られることを紹介します。

本セッションのテーマは「プロダクトディスカバリー」

キムダソム氏:本日、私から話をするのは「BtoBの顧客理解が捗るミニリサーチ」についてです。

プロダクトマネジメントのカバー範囲は、プロダクトの戦略だったり、ビジネス戦略から実際動くものを作るまでのステークホルダーとのコミュニケーションだったり、データの分析だったりと、多岐にわたって広がっています。(スライドを示して)その中でも本日のテーマに特に関わっているのが、右上のプロダクトディスカバリー領域です。

プロダクトディスカバリーとは、顧客が抱える問題の解像度を上げて事実を明らかにするプロセスで、優れたプロダクトディスカバリーは、そのプロセスの全体を通して顧客を巻き込むことが大事だそうです。

今まで私がプロダクトマネージャーとしてBtoB・BtoCの両方に携わっていたり、BtoBの中でもホリゾンタル・バーティカルサーチ両方を経験する中で、ちょっとずつ見えてきた顧客理解の学びを、本日この場を通してみなさんにおすそ分けできればなと思っています。

BtoB、BtoCのプロダクトマネージャーの違い

本日参加している方の中ではすでに知っている方もたくさんいるかもしれないですが、「BtoB、BtoCのプロダクトマネージャーの違いは何?」と聞かれることがよくあります。

(スライドを示して)2つのビジネスの違いはいろいろな切り口で説明することができると思いますが、今回のテーマの「顧客理解」で比較すると、顧客ターゲット、ユーザー、要求要件、制約を軸にこんな感じに分けることができると思っています。

もちろんターゲットセグメントによって中身の要素が変わることはあると思うので「絶対これだ」というものではないですが、だいたいこんな感じというところで受け止めてもらえるとうれしいです。

BtoBのユーザーが限定的なのに要求要件が多く、制約が硬いことに対して疑問を持つ方もいるかもしれませんが、まさにここがBtoBの顧客理解のキーになる部分です。

(スライドを示して)こちらは縦軸を顧客の業務、横軸を業界にして、BtoBサーチの位置づけを簡単に図解したものです。BtoBのサーチは、業界を横断するホリゾンタルサーチと業界に特化するバーティカルサーチに分けられますが、どちらも顧客の業務が関わってきます。

顧客の日々の業務は、関連する法律や制度に基づいて、正しく行われることが常に求められます。しかも、業務の先にある制度は、社会や環境の状態に合わせてある程度の期間をもって変化対応していくので、顧客の理解のためには、常に数々の要求・要件と硬い制約に向き合う必要があります。

膨大な業務知識・業界知識・ドメイン知識は“小さく調べていく”

私は株式会社エス・エム・エスの介護事業者向け経営支援「カイポケ」というプロダクトを担当しています。

入社して約半年くらい経つのですが、今もまだわからないことばっかりで、最初はこれだけ多いサービスを目の前にして、「どうやって業務知識と業界知識とドメイン知識をキャッチアップしていけばいいんだろう」と日々悩んでいました。

そこで、小さく調べていく、つまりミニリサーチをしていきましょうという話を今日させていただきたいなと思います。

ユーザーリサーチは、かなり準備して設計してリサーチして分析するイメージを持っているかもしれませんが、顧客を取り巻く事実を知るために、粒度を小さくして素早く頻度を高めて調査していくことが大事だと思っています。

(スライドを示して)このミニリサーチを通して左上の疑問を事実に変換していくこと、その変換を活性化することで、事実の点が増えていきます。事実の点が増えると、その点と点の間から疑問が生まれます。

こうした変換をずっと繰り返すことで、事実の点が線と面に広がって、疑問だけじゃなくて直感や発見、疑問、どちらからも気づきの感度が上がっていくように私は感じています。

「全体」と「部分」に的を変えて「事実」を知る

「ミニリサーチってどうやって行うの?」という話もよく聞くのですが、全体と部分に的を変えながら確認したり、「よくわからないな」と思っている部分に注力して確認したりしながら、事実を知っていきます。

(スライドを示して)今表示されている図はたぶん細かくて見えないと思いますが、介護事業者の業務をまとめたステージゴール図です。

エス・エム・エスの場合、組織内に現場の経験を持つドメインエキスパートがいるので、私は常にドメインエキスパートにリサーチをしています。顧客が各業務で何をするのか、あと関わっている人が誰で、どんな法律を気にしていて、ふだんどういった書類を作成しているのかを確認しながら、実際存在している事実をまとめていきます。

ドメインエキスパートと話をした事実をもとに手がかりをつかむことによって、1人でのデスクリサーチだったり、お客さまに向けたユーザーリサーチの設計や準備もすごく捗るなと日々感じています。

また、直接現場に足を運んで、事実には現れていない環境起因などによる現場の実際の困りごとだったり、話す時の表情だったりを直接確認したり観察したりもしています。

こうやってミニリサーチを繰り返しながら、疑問を事実に変換させて問題の視点をどんどん深める。あと、事実に戻してサイクルを早めることによって、顧客理解の解像度を高めていけるんじゃないかなと思っています。

ミニリサーチを繰り返すことで常に顧客価値に向き合える

これによって、事実に基づくチーム内のアウトプットの頻度が早まることで、そのアウトプットからの疑問・直感・発見、そこからの事実への変換がチーム全体で起こります。

そうすると、チーム内に形成されている“なんとなく当たり前”ということに対して、問いを投げるシーンがいろいろなところから出てくるようになります。こうした問いは顧客の理解を中心に据えているので、莫大な情報に惑わされず、顧客価値に常に向き合える状態が自然と作られているのかなと感じています。

顧客理解の解像度の変化は今話をしていた内容ですが、これはあくまでも頭の中の変化の話です。大事なのは事実から得られたアイデアだったり、ソリューションをリファインしていくことです。顧客への提供価値を常に磨き上げていくことにつないでいくことがすごく大事だなと思うので、ぜひミニリサーチを試してみてください。

あと、ドメインエキスパートが組織の中にないところもたくさんあるのかなと思っていて。その場合は顧客に聞きにいけると良いんじゃないかなと思います。

私からの話は以上です。ありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 孫正義氏が「知のゴールドラッシュ」到来と予測する背景 “24時間自分専用AIエージェント”も2〜3年以内に登場する?

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!