2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山本理恵氏(以下、山本):みなさん、こんにちは。「Product Leaders 2023」の6番目のセッションです。本日は、「日本発グローバルでニーズを掴むプロダクトの作り方」というセッションをお届けしたいと思います。
本日はゲストに、株式会社TimeTree・CPOの吉本安寿さんにお越しいただいています。吉本さん、本日はよろしくお願いいたします。
まず簡単に自己紹介から始めたいと思います。私は、本日モデレーターを務めます、株式会社EventHubのCEOと日本CPO協会の理事を務めています山本と申します。
では、さっそく、本日スピーカーとしてお越しいただいている吉本さんに簡単に自己紹介と、「TimeTree」のことを……ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、ご存じではない方もいらっしゃるかもしれないので、あらためてどういうサービスなのかをご説明いただけますでしょうか?
吉本安寿氏(以下、吉本):株式会社TimeTreeでCPOをしている吉本と申します。私自身は、2015年に株式会社TimeTreeに入社して、だいたい8年半在籍しています。アプリがリリースされたのとほぼ同時期のタイミングで入社しています。
TimeTree社では、主にプロダクトマネージャー業務と、マーケティング業務を実行してきました。PM業務では、TimeTree本体の改善であったり、広告事業や外部公開API事業の立ち上げであったり、そういうプロジェクトをやってきました。マーケティングに関しては、デジタル広告の運用やテレビCMを使ったマスマーケティングを実行してきました。
吉本:では、簡単にサービスの紹介をいたします。
TimeTreeは2015年にリリースされています。私自体はリリース直後に入社していますが、TimeTreeをご存じではない方向けに簡単に言うと、スマートフォンのカレンダーアプリです。
通常のカレンダーアプリと少し異なっていて、誰かと共有することを前提に作られているアプリです。1つのカレンダーを複数人の方が見たり、書き込んだりするアプリになっています。
このイラストを見ていただけるとわかりやすいと思います。これは、家族を例に取っていますが、子どもの参観日、飲み会など、リビングに壁掛けカレンダーがよくあると思いますが、簡単に言うとそれがデジタル化したプロダクトです。
ユースケースとしては、先ほど申し上げたように、家族、恋人など、親密なグループで利用されるパターンが多くなっています。
ユーザーの分布に関しては、全体で現在5,000万登録ユーザーがいます。日本の割合は5割弱です。次いで、ドイツ、台湾、US、UK、韓国の順にユーザー数を伸ばしています。
これも地域ごとにかなり特性があって、例えば日本だと、先ほど申し上げたように家族や恋人が多く、ドイツでも同じように家族や恋人が多くなっています。
一方で、台湾などに関しては、恋人、パートナーと使うパターンが多くなっています。なので、地域ごとに使い方が異なるというのも地域の特性かなと思っています。
山本:5,000万人のユーザーのうちの5割弱が日本ということは、本当に半分ぐらいが、国外のユーザーということですよね?
吉本:そうですね。
山本:アプリリリース当初から国外のユーザーはいらっしゃったんですか?
吉本:そうですね。アプリをリリースしてみると、いろいろな方がアプリをダウンロードしてくれました。その数に違いはあるものの、いろいろな地域でダウンロードされている傾向は見て取れました。
山本:ありがとうございます。
山本:「日本のサービスにしては」と言うのもアレですが、海外のユーザーがすごく多いサービスということで、本日、海外展開がテーマになっているので、ぜひ、CPOの吉本さんに、どのようにグローバルプロダクトを作られているのかをおうかがいできればと思っています。
(スライドを示して)私が勝手にこの6つの質問を準備させていただきました。まず1個目に、海外展開のきっかけと意思決定。その次に、今出ている国ですね、進出されている国と、どのように市場を選定されたのかという点。3つ目が、国別のお客さまのニーズや機能要望がどう異なるのかという点。
4つ目は、プロダクトと組織体制。要は、裏ではそれをどう運営しているのか。おそらく多くのプロダクトマネージャーが気になっていると思いますが、国別の機能要望が出た時に、どう優先度を判断されているのかという点。そして最後に、今回ご視聴いただいているみなさんに向けてメッセージをいただくという流れで、本日は進行したいと思っています。
では、さっそくこちらですね。海外展開のきっかけと意思決定。お話をうかがう限り、おそらくけっこう早いタイミングから国外のユーザーがいるのかなと想像しているのですが、TimeTreeさんではどのタイミングでどなたがどのように、「海外に行くぞ」と意思決定をされて進められたんでしょうか?
吉本:そもそも「日本国内だけで」というふうに初めから思っていなくて、「グローバルで利用されるプロダクトを作りたい」と考えていたので、ローンチ時からアプリストアが使える国は全部使えるようにリリースをしていました。
具体的には、日本語と英語と韓国語に対応しています。それ以外の国に関しては、英語で使える仕組みになっています。
これをなぜこういうふうにしたかというところなんですが、カレンダーはそもそもグローバルでツールとしてはあると思うんですね。
あると思うんですが、それを共有するというコンセプトが正直刺さるかどうかわからないところがあったので、まずはリリースしてみて、ユーザーのフィードバックを得ることが重要だったかなと考えています。
その後しばらくしてから、ほかの言語のローカライズを進めてきたという流れになっています。
山本:ありがとうございます。
山本:ちなみに、最初は日本語と英語、この2つでリリースするアプリやサービスが多いと思いますが、韓国語に対応したのは、なにか理由があったんですか?
吉本:これはですね、創業メンバーもそうなんですが、もともと「カカオトーク」という、会社名だとカカオジャパンですね。カカオジャパンで働いていたメンバーがいたので、そもそも韓国語ができるメンバーが社内にいたんですね。そういう意味でネイティブに韓国語も翻訳ができたので、最初から韓国語を入れていました。
山本:そういうことですね、ありがとうございます。どんどん対応言語を増やすと、翻訳作業などがけっこう大変になってくると思いますが、当時、または今、どのように多くの言語への対応、翻訳対応されているんですか?
吉本:日本語と韓国語はもちろん、台湾の人のつながりであったり、ドイツの人のつながりであったりを地道に作っていったというのはもちろんありますが、当然、ぜんぜんわからない言語もいくつかありました。13ヶ国語に対応しているのですが(つながりを作るのが難しかった)以外だと、「gengo」という、クラウドソーシングサービスに翻訳依頼を出して、返ってきたものをアプリに設定するというやり方をやっています。
山本:なるほど、ありがとうございます。
山本:言語のお話が今ありましたが、今現在、進出されている市場の数とかその内容、選び方だったり順序ですね、これはBtoCでもBtoBでも、どの国からまず行くのかを多くの方が考えていると思います。
実は、弊社も海外に進出し始めているのですが、やはり、けっこうどの国から行くのかが、最初の大きな意思決定になるかなと思っていて、TimeTreeさんはこのあたりをどのように選定されたかをおうかがいしてもよろしいですか?
吉本:先ほど申し上げたように、アプリストアが使える国は、基本的に使えるような状態にはなっているのですが、その中でも注力して攻めていきたい国は、いくつか指標があります。伸びそうな兆しというか、ちょっとウォッチして、ポテンシャルがありそうだねとなったら力を入れるというようなことをやっています。
もちろん、国ごとに人口規模があるので、そういう規模の話はあるものの、指標でいうと3つ大まかに見ています。
1つは、そもそも課題解決になっているか、ニーズを満たせているかどうかという点。あとは、機能的なコンセプトが刺さっているかっていう点ですね。あと、プロダクトが市場に浸透しているかどうかという点。まずこの3点を定量的に見てみて、それで兆しを見つけるということをやっていました。
具体的に言うと、利用の継続率や、カレンダーの共有というコンセプトや、あとは、人口に対してMAU、Monthly Active Usersですね、これの割合。これは、いわゆるバイラルがどのぐらい進むか、進んでいるか、進みやすいかを見ているのですが、このあたりをウォッチしていて。
時々、バズみたいなのもあるんですね。例えば「TikTok」に取り上げられてユーザーがすごく流入してきました、みたいなのもありますが、バズがあるから注力するという感じではなくて、すごく慎重に見極めていて、利用を長くしているか、利用が深いかなどを見極めてそこに注力するかどうかを判断しています。
山本:なるほど、ありがとうございます。ちなみに、みなさんから見て、「あっ、意外とここにニーズあるんだ」と、ニーズが意外とあった国はありましたか?
吉本:グローバルの説明をした時に、ドイツと申し上げたのですが、ドイツで正直うまくいく、使われるのがぜんぜん想像していなかったので、すごく意外だったなという記憶があって。
デュッセルドルフという地域があって。
山本:はいはい、ありますね。
吉本:そこですごく使われている。
山本:ピンポイントで?
吉本:ピンポイントで(笑)。そこだけではないですよ。相対的にそこの利用が多いなというのがわかっていって。あくまで仮説なんですが、デュッセルドルフは日本の会社の駐在の方が住むところとしてよく選ばれるらしくて、もしかしたらそういう方から普及していった可能性があるんじゃないかなと言っていました。
山本:なるほどですね。意外と海外でも日本人の人口が多いところから普及することもある。
吉本:そうですね。
山本:なるほど、おもしろい。ありがとうございます。
(次回へつづく)
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