
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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佐藤歩氏(以下、佐藤):今村さん、ありがとうございました。全般に渡ってすごく解像度の高いお話をいただきました。私自身はどちらかというと、組織のマネジメントや人事よりの人間ではありますが、特に後半の組織パートではものすごい頷いていました(笑)。ありがとうございます。勉強になりました。
ではここからは質疑応答のお時間ということで、ZoomのQ&Aから。投票数の多い順から拾っていければなと存じます。それではさっそく1個目にあるやつですね。「エンジニア採用において、採用専門の体制を構築するパワーが組織にない場合、最低限これだけはやったほうがよいことはあるでしょうか?」というご質問ですが、いかがでしょう?
今村雅幸氏(以下、今村):特にスタートアップの場合「そもそも人事がいません」みたいなフェーズがあるかなと思います。これだけはやったほうがいいというのは、きちんと求人を出すこと。
そして求人を出す前に、いわゆる採用デックと呼ばれているものですね。要はこの会社を説明するものと、その会社になぜエンジニアが必要なのか。エンジニアが入ったとしたらどういうことを期待するのかをまとめた採用デックと言われている、いわゆるスライドを作るのは、最低限やったほうがいいと思っています。要はそれがなかったら説明することもできないですし、興味がある人に興味を持ってもらうこともできないので、まずはそれをきちんと作るというところから推奨している感じですね。
当然CTOが1人しかいないというケースもあるので、そのデックを片手に「こういう人いませんか?」と紹介してもらったり、エンジニアにそのデックを持って話をしていくみたいな。スカウトするにしても、そのデックを送って理解してもらうとか。結局人がいないので、説明する手間を極力効率化しないといけません。やはり現状の会社のがわかる内容と、なぜエンジニアが必要なのか。エンジニアが入ったとしたら何を期待するのかを書いた採用デックというものは最低限準備したほうがいいと思います。
佐藤:ありがとうございます。私も現職に入った当初、採用体制があまりなかったのですが、やはり採用のそういうデッキや情報など社内にたくさんあった材料をかき集めたりしたのを今思い出しました(笑)。ありがとうございます。
佐藤:次は「新卒採用は組織規模がどれくらいの大きさになったらやるべき」というところで、例えば長い会社だと組織規模が変数になるかもしれませんが、お願いします。
今村:一例ですが、僕がいたベンチャーだとエンジニアの数が15人ぐらい超えた頃から普通にやっていました。BuySellでもエンジニアの数が30人を超えた頃からやっています。シンプルに育てられるかどうかは、1つの大きな要素になってくるのかなと思っているので、育てられるケーパビリティがあるのであれば始めていいんじゃないかなという感じですかね。
実際に僕がやったスタートアップも15人しかエンジニアがいないのに5人の新卒を採ったりしていましたし(笑)。でも振り返ってみれば、その5人はメチャクチャ優秀で、今となっては全員ZOZOに吸収合併されてZOZOでテックリードをやっていたりとかします。育てられる規模感と人がいれば採っていいんじゃないかなと思っています。
佐藤:ありがとうございます。仮に組織のケーパビリティとして新卒エンジニアの育成が可能であろうと考えた場合でも、別の選択肢として例えば限られた社内の採用リソースを考えた時に中途採用や即戦力をほかのみんなが期待することもあると思います。そこであえて新卒採用にもしっかりとリソースを投資したというのは、先ほど「新卒がすごく優秀」とおっしゃってましたが、そういう確信があったんですか?
今村:個人の経験として、VASILYという自分がやっていたスタートアップで採った新卒5人が、ZOZOに吸収合併されてZOZOのエンジニアになったのですが、その時にメチャクチャワークして、本当にみんなテックリードになる感じだったんですよ。それを見ているとやはり新卒の育て方だったり、ポテンシャルを信じていいんじゃないかと。
しかも新卒なのでカルチャーにかなり強く影響を受けて育つじゃないですか。なのでしっかりと育てていけば本当に会社をめちゃくちゃリードしていける存在になるなと、それを見て思ったから続けている感じですかね。
佐藤:ありがとうございます。新卒も世代を重ねると会社のカルチャーの担い手みたいな感じになりますもんね。
今村:そうですね。あとはソフトウェアを作っている会社だと、やはりなんとなく手間がかかるけど運用されているものだったり、メチャクチャ非効率だけどなと思っているけど、仕方なくそれを使っているというケースがメチャクチャあると思うんですよ。こういうものに対しては、中途で入ってきた人より新卒や若手の勢いがある人がバンと入ってきて、「なんでこうなっているんですか?」と言って良い方向に変えてくれるみたいな。
佐藤:ありますね。
今村:こういう動きがすごく組織を成長させるという意味では必要だなと思っているので、やはり組織の今あるものを変化させていく能力は新卒たちがけっこう持っているなと思っています。
佐藤:ありがとうございます。「新卒だからこその良さとは何でしょうか?」というご質問もいただいていましたが、今のがお答えですかね。
今村:そうですね。
佐藤:「新卒を入れるということは、育成、ビジョンの浸透というところで……」。具体的な施策ですね。EMの育成、ビジョンの浸透に対する具体的な施策など、どういうことをされているかをお答えいただければ。
今村:EMの育成みたいなところでいくと、エンジニアリングマネージャー向けの勉強会をやったりとか、マネージャー同士で話しあったりとか。そもそも新卒を育成するカリキュラムみたいなものを作って、それをマネージャー同士でブラッシュアップして共通で使うとか。
これは今年僕らもトライするのですが、新卒研修みたいなものに関して今までは個別の各チームでやっていたところを1ヶ所でやる。CTO室で全部受け持って、最低限必要なカルチャーやビジョンみたいなところの浸透を短期間で集中してやって、そこから各チームに送り込むみたいなことにトライをしようとしていますね。
佐藤:ありがとうございます。
佐藤:今一番上に出ている事前質問になりますが、「テックカンパニ―とはどう定義されていますか? テックカンパニーになったなという出来事や実績があれば」。
今村:メチャクチャわかりやすく言うと、先ほどのDXアワードみたいなところに名前が載るところではないですかね(笑)。エンジニアが行きたいと思う会社として名前が挙がるというのは1つのわかりやすい指標かなと思っています。技術を活用できているかどうか、技術を活用して業績を伸ばしたかどうか、みたいなことを測るのはなかなか難しいと思います。
少なくとも僕らが今リソースとして採用している人たちが「行きたい」と言われる会社として名前が挙がるということは、少なくともエンジニアにとって良い環境を提供できていたり、エンジニアが技術を活用してビジネスを推進しているということが、ある意味客観的にわかるということだと思うので、そういうところに名前が挙がるというのは非常にわかりやすいのかなと思いますね。
佐藤:ありがとうございます。そうですよね。確かにああいうランキングに上がるということは、そこにいる組織の中のエンジニアがそのエンジニアリングを通して何かしら自己実現なり事業的な推進なりを実現できそうってことですよね。
今村:そうですね。
佐藤:間接的な証明になるんですかね。
今村:そうですね。
佐藤:ありがとうございます。
佐藤:では次に行ってしまいますね。これも事前質問となりますが「負債解消と新機能開発は両立せず、どちらかにするしかないと思います。意思決定とビジネスサイドの説得について」という質問です。
今村:本当にめちゃくちゃケースバイケースだと思います。この場合はたぶん「両立せず」と書いてあるので、おそらく両立させられない何かしらの事情があるなとは思うんですけど(笑)。僕がふだん意識しているのは、基本的に技術的負債の解消を3割、新規だったり新しい機能開発を7割みたいな感じのリソース配分を常に意識しています。
やはり技術的負債は放っておいたらどんどん溜まっていくので、3割ぐらいは常に捌き続けないといけないし、これはもう割かないといけないようなものとして、ビジネスサイド側を説得していきます。『エンジニアリング組織論への招待』にも書いてありますが、ジェンガの喩えなど、やはりここばかりは理解してもらうしかないと思います。
「どちらか」というよりは、基本的には常に両軸を走らせておくリソース配分にきちんと自分たちができているかをチェックしておくというのが重要かなと思います。
佐藤:ありがとうございます。
佐藤:最後にもう1件だけ。ちょっと欲張りに「EMの採用、育成について工夫されていること」というご質問をお願いしてもよろしいでしょうか? 先ほど育成的な話は少しあったかと思いますけど、採用だとまたちょっと違う話題かもしれないですね。
今村:大前提として、EMの採用はメチャクチャ難しいです。なので僕らが取っている作戦は、やはり今いてくれているEMたちのリファラル経由でEMができそうな人。もしくはEMをやっていた人を紹介してもらうのがやはり一番確実だなと思っています。というのもエンジニアリングマネージャーの仕事の幅ってメチャクチャ広いじゃないですか。
例えば採用するにしても、プロダクト開発をするにしても、データ分析をするにしても、目指しているゴールやその高さの目線を合わせるという点で、カルチャーがぜんぜん違うとずれるんですよね。
例えばうちの場合だと、ソーシャルゲームを作っていた会社の出身の人たちがメチャクチャ多いのですが、そういう人たちであれば、「EMだったらこのレベルまでやらないといけないよね」とか「採用だったらこのレベルまでやらないといけないよね」とか「プロダクトを出してリリースするということはこのへんも確認しないといけないよね」という、ゴール設定に対して必要なものが阿吽の呼吸みたいな感じで刷り込まれているんですよね。
これがない状態だと、たぶん全部説明していかないといけないところがあって、全部1から10までやっていくとなかなか組織がスケールしないというところがあるので、現状の今の人数でいくと、ある程度そういう阿吽の呼吸というか、エンジニアリングマネージャーとして求められているレベル感がわかる。同じようなレベル感や、ある程度わかる人たちも採っているという感じで、工夫はしているのかもしれないですね。
佐藤:ありがとうございます。ある程度の採用経路というか、探し方が形式化されていた上で、すごくたくさん採れるという手段ではないのかもしれないですけど。ちなみに今お話しいただいた職位の方、もしくは役割の方は何名ぐらい今いるんですか?
今村:今は10名ぐらいいます。
佐藤:70名ぐらいの組織に対して10名ぐらいのエンジニアリングマネージャーの方がいる?
今村:嘘ついたかもしれない。15人ぐらいいるかもしれないですね。
(一同笑)
佐藤:だいぶ豪華な(笑)。
今村:部長も入れると15人ぐらいですね。
佐藤:なるほど。ありがとうございます。
佐藤:すみません、時間がもう来てしまっているので、本日はこれにて終了とさせていただきたく存じます。
ということで、最後に今村さまからみなさまに向けてコメントを頂戴できればなと思います。
今村:答えられなかった質問に関しても、またどこかで答えられればなと思っています。今日はエンジニアリング組織を見ている方々の参加が多いかなと思いますが、エンジニアリングの組織を見ている人ってけっこう孤独だと思うんですよね。
相談する相手がなかなかいなかったり、そういう環境になって悩んでいたり、うまくいかないなと思っている人がけっこう多いかなと思うので、今後コロナも明けてきてオフラインのイベント等々もたくさん開催されていくかなと思うので、まずはそういう場に気軽に来ていただいて今日話したところを一緒にディスカッションしていければなと思います。
個別で相談を送っていただいても何かしら力になれることはあるかなと思っているので、ぜひみんなで一緒に力を合わせて協力して、いろいろな課題解決をしていければいいなと思っています。
佐藤:ありがとうございました。それでは本日のコンテンツは以上となります。みなさん本日はご清聴いただき、ありがとうございました。
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