
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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Ken Wakamatsu氏(以下、Wakamatsu):みなさん、こんにちは。Panel Discussion #1、「立ち上げ期の HARD THINGS」をこれから始めたいと思います。
私は、日本CPO協会代表理事、そしてDCM VenturesのVenture PartnerのKen Wakamatsuと申します。
次に、黒澤さん、自己紹介をお願いいたします。
黒澤隆由氏(以下、黒澤):黒澤です。GO株式会社で執行役員およびプロダクトマネジメント本部の本部長をしています。また、タクシーアプリ「GO」のプロダクト責任者も務めています。よろしくお願いします。
Wakamatsu:では、次は松栄さん、自己紹介をお願いいたします。
松栄友希氏(以下、松栄):株式会社SmartHRでタレントマネジメント領域のプロダクトマネージャーをしている松栄友希と申します。よろしくお願いいたします。
Wakamatsu:LLM、Product Vision、そして、組織。この3つのトピックについていろいろと話していきたいと思います。
Wakamatsu:まずは、LLMについて。おそらく、みなさん一番話しにくいトピックなんじゃないかなと思います。自社で今、LLMの活用、もしくは活用の壁など、難しさについてどういうふうに考えているかをお聞きしたいと思います。最初に松栄さん、お願いいたします。
松栄:SmartHRでも一部のプロダクトでLLMを扱ってはいるのですが、まだ模索段階というのが正直なところです。やはり会社としては、LLMだけに固執せず、旧来からの方法も含めて、お客さまに価値を届けられる方法、届けられるものを作れることが大事なので、AIという全体的なものの中で何を選択するか、から含めて今手探りで進めている状態ですね。
Wakamatsu:黒澤さん、GOではいかがですか?
黒澤:GOではAI技術を広く活用しているんですね。配車ロジックだったり、需給バランスのシミュレーションだったり、ほかにもさまざまなプロダクトごとに活用はしているのですが、ことLLMに関していうと、今はまだ積極活用という段階には至っていないです。
ただ、セッションでもあった、まさに確率モデルみたいなものは、今後さまざまな分野で一般化していくと思いますし、そういった意味では、ユーザーのさまざまなタスクをアシストしていくという観点で、活用のしどころが増えていくんだろうなと思います。
あと、プロダクトマネージャーも、いかにそれをミーニングフルに活用していくかに知恵を絞る必要性が今後増えていくと感じていますね。
Wakamatsu:そうですね、なのでやはり、最初はコアテクノロジーというより、例えばサポートとか社内とか、いろいろな活用方法があるんじゃないかなと思いますね。
黒澤:そうですね。セッションでもおっしゃっていたように、一方で、やはりすべてを信用できるわけではない。最終的には人間が介在してレビューしていく必要性があるということもおっしゃっていましたし、それはもっともな結論だと思うんですよね。なので、アシスタントとしていかに活用していくかということだと思います。
難しさという観点でいうと、人間にとっての創作活動やクリエイションという意味でもそうだし、創意工夫の機会を奪ってしまったり、その可能性を制限してしまったりするような使い方をしないようにという注意はすごく必要だと思うんですよね。
そういったところが今後の難しさというか、いかにバランスを取って、まさに先ほど言ったようにミーニングフルに活用していくかというところが、プロダクトマネージャーにとっても難しくて、意義があるチャレンジになってくるんじゃないかなと思います。
Wakamatsu:Noahさん(Noah Levin氏)のセッションでは、事業を成長させるProduct Visionの描き方についてお話ししていただきましたが、プロダクトビジョンは、誰が、いつ、どの粒度で描いていますか? 今度は、黒澤さんからお願いします。
黒澤:プロダクトによってさまざまという部分はありますが、タクシーアプリのGOを一例に取ってみると、プロダクト責任者である私がビジョン設定しています。
「いつ」という点に関していうと、Noahさんからも、結局ビジョンの設定まで2、3年かかったという話があったと思いますが、僕の感覚では、やはりプロダクトがマーケットフィットしたタイミングみたいなところが1つのタイミングだったかなと思います。
そもそもプロダクトがタックルしようとしている課題や顧客が正しいかもわかっていない段階でプロダクトビジョンを設定しても、絵に描いた餅になってしまいますし、逆にそれがプロダクトの可能性を制限してしまうリスクもあると思います。
一方、シード期からPMF期(プロダクトマーケットフィット期)に移行すると当然ユーザーが右肩上がりで増えるのと比例して、システムとか開発の規模も大きくなりますし、それに関わる開発メンバーやプロダクトマネージャーも急激に増えていくタイミングだとも思うので、みんなが同じ方向を向いて走っていく観点で、プロダクトビジョンみたいなものが明確に必要になるタイミングだとも思うんですよね。なので、そんなタイミングで設定していますね。
Wakamatsu:ちなみに、粒度というか、どのくらいの期間を置いて見直したり改良していたりするんですか?
黒澤:正直、これは会社やプロダクトによってさまざまだと思いますし、何が正しいということはないと思います。でも、Noahさんからも、実践的でありながらも野心的かつ長期的にというお話があったとおり、僕も基本的には同じような感覚があって、だいたい10年先の未来を見越して設定するということを、個人的にはすごく意識してやっています。
なので、GOに関していうと、5年目を迎えるぐらいなのかな。ビジョンを設定してから5年ぐらいを迎えるんですが、まさに今、道半ばという感覚があるので、まさにこれから5年という感覚でのゴール設定にしていますね。
プロダクトビジョンって、プロダクトが目指す、現実的でありながらも目指すゴールの設定だと思っていて、まさに現実的でありながらも野心的かつ長期的に設定することは重要だと思っていますね。
とはいえ、置かれた状況によってアップデートが必要になることは往々にしてあると思うので、アップデートが必要になれば、そのタイミングでアップデートするというかたちでいいんじゃないかなと思います。
Wakamatsu:ありがとうございます。松栄さん、SmartHRで今プロダクトビジョンをいつ、どのように設定しているのか、その粒度などをおうかがいできますか?
松栄:SmartHRは、ボトムアップが強い組織で、それぞれのPMが自分の担当プロダクトを持っています。1人が1つのプロダクトを持っている場合も、複数人で1つのプロダクトを持っている場合もありますが、それぞれが自分の担当プロダクトを持っている状態なんですね。
自分の担当プロダクトのプロダクトビジョンは、その担当しているPMが作りますし、1回決めたものをいつ作り直すかというのも、その一人ひとりのPMが決めて、行っているという状態です。
その粒度に関しても、基本的には、そのPMに任されているという状態です。なので例えば、まだリリースして間もないプロダクトと、もう何年も経っているプロダクトでは、その粒度も抽象度も少し違いますし、変える頻度もやはり違います。
それを、会社として「こうしなさい」というルールを引いているわけではなくて、その担当プロダクトに関して一番解像度が高い状態、一番よく知っていて、何を変えるべきか、いつ変えるべきかを判断できるのは、担当PMであるという考え方があるので、基本的にはもう任されています。
それをどう設定するか、いつ変えるべきかを考えてもらうこと自体が、一人ひとりのPMの育成になっているという考え方で取り組んでいます。
一方で、SmartHRがマルチプロダクト戦略を取っているので、マルチプロダクトとして全体がアラインされていることの重要性はあります。例えば労務をやっているチームとタレントマネジメントをやっているチーム、それぞれで「全体としてSmartHRのプロダクトは、こういうことを目指すべきだよね」みたいな、話し合いがされる中で、「こういうアラインのさせ方をしていこうね」と決めているイメージです。
Wakamatsu:ちなみに、例えば労務やタレントマネジメントをやりましょうというのは、上からのビジョンですか? 下から「こういうことをやってみたい」というビジョンで来るパターンはあるのでしょうか?
松栄:「タレントマネジメントをやりましょう」というところでいうと、基本的に最終決定は、経営層の意思決定みたいなところはあるんですが。
SmartHRの新規事業の始まり方は実に多様で、経営層が「こういうところにいい種があるんじゃないか」と言う場合もありますし、イチPMが、「こういう領域に攻めていったらいいんじゃないか?」と経営層に提案して、そこでディスカッションして、採用されることもあります。
なにか1つ決まったルートで出来上がるというイメージではないですね。
Wakamatsu:ありがとうございます。
(次回へつづく)
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