2024.10.01
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【中規模チーム事例】すばやくユーザーに価値を届ける!中規模組織での合意形成と体制今昔話(全1記事)
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浅子拓耶氏:では始めていこうと思います。僕からは、note株式会社で素早くユーザーに価値を届けるためにどういうふうに合意形成をしているかというところと、合意形成とか意思決定の体制とか組織の意思決定のフローとかも関わってくると思うので、「そのへん、どういうふうな変遷をしてきたの?」というところのお話をしていければと思います。
10分しかないのでサクサクっといければと思います。(スライドを示して)僕の自己紹介はこんな感じです。noteには2年と10ヶ月ぐらいいて、もともとは受託開発のプロジェクトマネージャー、Webディレクター、スクラムマスターみたいな仕事をしていました。
note株式会社ですが、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ということをミッションに掲げています。
利用してくださったり見たことがある方も多いかなと思いますが、「note」というtoCサービスをやっているのと、noteの一部機能をグレードアップさせるような感じで「note pro」という法人向けのサービスを提供しています。そのほかにも、(法人向けに投稿)コンテストやイベントなどのサービスも提供しています。今回は細かい内容は割愛します。
(スライドを示して)本日のお品書きはこんな感じです。10分しかないのでサクサクいこうと思いますが、とはいっても、前提で「なんのための意思決定をしてるの?」とか「どんな意思決定をしてるの?」というところがわかっていかないとなかなか話が頭に入ってこないかなと思うので、具体的にどんなことをしているかというところから説明できればと思います。
「なんのために意思決定をしてるの?」ということですが……。僕らはミッションを実現するためにプロダクトを作っていたり、プロダクト以外のいろいろな施策をやっている会社になっています。
具体的にどんなことをしているかをバーッと文字いっぱい書いてあるんですが、ミッションを達成するためには、やはり使ってくれるクリエイターだったり、読者のみなさんが使っていてうれしいとか、なにかしら成功体験が得られることがすごく大事だよねという話を社内でもよくしています。
例えば「スキ」を押してもらえるとか、仕事につながるとか、具体的に書いた記事が売れて対価が得られるとか、出版につながるとか、クリエイターの成功のかたちはさまざまあるんですが、そういった体験をできるだけ多くの人にたくさん経験してもらいたいと考えて意思決定しています。
あとは、「noteってなんかイケてるよね」「使いやすいよね」「かゆいところに手が届くサービスだよね」みたいなところも、長く愛してもらう、使ってもらうためには大事だと思っているので、そういったところも考えながら意思決定をしています。
これは言うまでもないですが……。とはいっても、noteって、クリエイターに向き合って、クリエイターのための機能“カイゼン”をガンガン出しているイメージを持っている方もいるかなと思いますが、事業を継続させるための意思決定みたいなところもしているので、クリエイターのベネフィットと事業継続のバランスを取りながら意思決定をしているかたちになっています。
次です。「どんな意思決定しているの?」というところは、バーッと思いつくものを書いてみましたが、基本的にプロダクト開発におけるいろいろな意思決定、ユーザーに価値を提供するためのいろいろな意思決定。みなさんがふだんやっていたりとか、一緒に仕事をしている方がやっているようなことと大きく変わりはないです。
プロダクトを通じて、サービスを通じてユーザーにどういう価値を提供するか。それをいかに素早く提供するかみたいなことを考えながら意思決定をしていますが、当然(スライドに)書いてあることを僕1人でできるわけではないので、周りのメンバーにも頼りながら日々の意思決定を進めています。
では次。「意思決定・合意形成のかたちは、組織によって変わってきますよね」みたいな話を冒頭にしたと思いますが、大きく分けると、創業期、拡大期、現在という感じで、僕らの会社では3つフェーズが分かれています。
創業期。これは、スタートアップとかだとあるあるだと思いますが、経営陣がなにをどう作るかまでリードして、ガンガン、スピードある意思決定を行っていったほうがサービスが伸びるとか効率がいいとかがあるので、そういった時期がnoteにも当然ありました。
1週間サイクルでどんどんサービスの“カイゼン”をしていったり、ユーザーからもらったフィードバックを実装したりして、「なんか、noteっていいよね、イケてるよね」みたいな感じを出していったというところが、この創業期から拡大期の間に(やったことに)当たります。
次に拡大期ですね。僕がジョインしたのがこのあたりの時期なんですが、事業が拡大してきてやりたいことの規模がデカくなるとか、会社に求められること、やるべきことの規模もどんどん大きくなっていきました。そうすると、経営がすべてを意思決定するとか、すべてを把握することが難しくなりますよね。
なので、当時だとプロジェクトマネージャーですが、専任のプロジェクトマネージャーを設置して、プロジェクト型で開発を進めていた時期がありました。
ただ、プロジェクト型だと、リソースの配分とか、「このプロジェクトが終わった後、次、何しよう?」みたいなことを考えていくのがなかなか難しかったり、あとは、プロジェクトを進めることに意識が行きがちだったりもするので、「プロダクトマネージャーを置きましょう、そして経営じゃなくて現場に意思決定を委ねていきましょう」というところをやったのが、ちょうど2年前ぐらいからですかね。僕がプロダクトマネージャーになったぐらいのタイミングから、そういったかたちの体制になっています。
組織のかたちもいろいろ変えたりとかはしていますが、うまくいっていることもうまくいかないこともいろいろあるというところで、今日はお話しできないんですが、また機会があればなんらかのかたちでお伝えできればと思っているところです。
「じゃあ、具体的にどんな感じの意思決定プロセスを経てプロダクト開発しているの?」というところの、今の状況を伝えられればと思います。
(スライドを示して)線で引いてあるところの上は、経営が主にやるところ。下の青いところが現場が主導してやるところというかたちで分けています。これもよくある会社と変わらないかなとは思います。
数年単位とか1年単位というところでのビジョンとか事業計画、あとは1年、半期、四半期でどういう課題を解いていくべきかみたいなところは、(四半期ごとに)経営とマネージャーで思考しています。
例えばですが、真ん中らへんに書いてあるように、「クリエイターが売上をもっと伸ばせるようにしたいです。」「具体的にこれぐらいのパーセンテージで伸ばせるようにしましょう」だったり、note、クリエイターが作ったものがきちんと読者に届かないと読んでもらえないし、「スキ」もしてもらえないし、別の仕事にもつながらないしということで、どうしても続けていくモチベーションが下がってきちゃうと思っているんですよね。
先ほど説明していたミッションのスライドにもあったとおり、創作を始めて続けられるようにすることをすごく重視しているので、それを達成するために記事と読者のマッチングを、機械学習とかを使ってやっていきましょうという粒度で課題が下りてきます。
このぐらいの粒度の課題を「じゃあ四半期でどうしていくか?」「半期でどうしていくか?」みたいなところは、PM主導で、具体的にどういうようなロードマップを引いて機能を作っていくか、あるいはどういう課題をどういう順番で仮説検証していくか決めていきます。
決めたものは、基本的に経営の戦略にアラインするかたちで今はやってはいるんですが、始めてみて「ちょっと違ったね」とか、「仮説検証してみたけど数字は思った以上伸びなかったですね」みたいなことも当然あるので、そういった場合はボトムアップで方向転換をすることも当然あります。
今の説明だとトップダウンが多そうに見えるかなと思うんですが、ボトムアップで作っている機能もけっこうあったりはします。
ちょっと前に、GPTシリーズを搭載した創作支援ツール「note AIアシスタント(β)」を作ったりとかしていたんですが、そういったものは現場から提案があって作っていたりとか。
あとは記事のエクスポートができる機能もわりと最近ついたんですが、そういったものも現場からボトムアップで作られたものになっています。
「ここまでで意思決定の話はしているけれど、タイトルにあった合意形成の話はぜんぜんしてなくない?」と思っている方もいるのではないかと思います。
合意形成に関しては、ミッション・ビジョン・バリューがめちゃくちゃ効いているという話をして締めたいと思っています。
(スライドを示して)ミッションの「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というところと、それを通じて「noteがあることで、人々は本当に伝えたいことに専念できるようになる」というビジョンを掲げています。
これらを実現するためにnoteでは6つのバリューを掲げていて、特にこの中でプロダクト開発でよく話されるのは、「クリエイター視点で考えられていますか?」というところだったりとか、「素早く試せていますか?」ということ。あとは「今考えている施策、すごい視野が狭くなっちゃっているけど、もっとクリエイティブにいけないっすかね?」みたいな話だったり、「今やっている施策、もうちょっと大きな視点で考えたら別の視点が見つかるんじゃないの?」みたいな感じで、「大きな視点で考えよう」みたいな感じで話をすることも多かったりします。
(スライドを示して)これらを浸透させるために、プロダクト開発とかプロダクトマネージャーとか関係なく、会社全体として取り組んでいることはこれだけあります。ちょっと抜け漏れもあるかもしれませんが、採用からオンボーディング、その後の日々の全体会の運用まで、ミッション・ビジョン・バリューを浸透させるための取り組みをしています。
このミッション・ビジョン・バリューがあることで、「ミッション達成のためにこういうバリューを発揮していこうぜ」とか、先ほどお話ししたように、「その施策は、売上が伸びるかもしれないけどクリエイターのためになるかっていったら、なんかもっといい方法あるんじゃないの?」みたいな会話ができたりします。
noteの社内では、そういった会話が本当に意識するとかではなく、日々当たり前のように「Slack」だったりとかミーティングで飛び交っていて、ミッション・ビジョン・バリューがあることによって建設的に議論を前に進めることができるかたちになっています。
「うちのチームの目標はこれで、あなたのチームの目標はこれなので、ちょっとそこが相反しますね、どうしていきましょうか?」みたいなよくある感じのバトルはなかなか起きにくいような構造になっているので、よくできているなと。
あとは、「利益だけを上げます」みたいな感じの収益追求型でいけるかというと、そういうかたちのビジネスモデルにはなっていないというところ。
あと、具体的な話ができなくてアレですが、目標がコンフリクトしないように、組織とか目標の持たせ方とかもけっこう工夫しているというところで、意思決定・合意形成にミッション・ビジョン・バリューがめちゃめちゃ寄与している感じになっています。
今の話を一言でまとめると、合意形成・意思決定、フェーズ次第でいろいろ変わるし、変わってきているけど、強いMVVがあると何事も建設的に進められるというところで、僕の場合は会社の話をしました。
別セッションの岡崎さんの話では、チームごとにミッション・ビジョン・バリューを決めたという話をしていたと思いますが、そういったものが意思決定・合意形成の大きな支えになるんじゃないかなという話で締めさせてもらえればと思います。
ちょっと長引いちゃったかな。以上です。
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