2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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松田敦義氏(以下、松田):それでは簡単に、松本さんから自己紹介をお願いします。
松本勇気氏(以下、松本):みなさん、こんばんは。あらためまして、LayerX代表取締役CTOの松本です。自己紹介としては、今日のお題目に関連するところだと、LayerX LLM Labsという、呼びにくいので最近は社内で「L3」と略したりしているラボで、大規模言語モデルや、「ChatGPT」、GPT-3、GPT-4だけじゃなく、例えば「PaLM 2」などの次世代言語モデルといった、最先端の言語モデルの利活用を目指していこうねというところで研究開発をやっています。
LLM Labsを始めたのが2023年の4月だったのですが、「もうこれを事業として本格的にやろうぜ」といきなり始まりそうなので、人を探していたりもします。みなさま、本日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
佐藤将高氏(以下、佐藤):ファインディ CTOの佐藤です。X(旧Twitter)では筋肉CTO(@ma3tk)というアカウントでやっているので、よかったらフォローしてもらえればと思います。うちはChatGPTを使いながらプロダクトを作っているので、今日はそういった話で、筋トレの話はしないかなと思いますが、ぜひ後ほど懇親会でもいろいろとお話できたらなと思っています。
地味にうちもGenerative AIチームが「(プロダクトを)作ります」と言って、募集をかけている段階です。本日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
金杉優樹氏(以下、金杉):ミチビク株式会社 取締役CTOの金杉と申します。よろしくお願いします。ミチビクという会社は、取締役会のDXツールという少しニッチな領域のプロダクトを作っています。今回は生成AIのChatGPTは、取締役会の議事録の生成などと非常に相性が良いので、そういったことを絡めてお話できたらなと思っています。
うちはそこまでの専門チームはないのですが、昨日(※登壇当時)のプレスリリースにAラウンドでの資金調達をしたという話もリリースしました。いただいた資金は、ChatGPTを含めた開発にリソース投下していこうかなと思っています。今回はよろしくお願いします。
(会場拍手)
松田:みなさま自己紹介をありがとうございます。
松田:それではさっそくパネルディスカッションにいきたいと思います。1つ目のお題は、「実際に行ったChatGPTを活用した業務効率化やプロダクト開発の事例」です。では、松本さんからいきましょうか。
松本:話す時にどれぐらい雑に話してもいいのかを知りたいのですが、今日会場にいらっしゃるみなさんの中でChatGPTやAPIを触っている方はどれぐらいいますか?
(会場挙手)
松本:すごい! 今日は興味のある方ばかりという感じですね。それであれば、わりと雑めにしゃべっても大丈夫かなという前提でお話をさせてもらいます。
タイムラインでいくと、ChatGPTのAPIが登場したのをきっかけに、2月半ばぐらいから触り始めていて、当初は、とりあえず触ってチャットボットでも作ってみようかということをいろいろと試していました。
最初は、LayerXっぽい面接をしてくれる面接官をボットとして作ってみたりしました。そんな中で、一定の手順を踏んで質問と対話をやってくれるものを開発したのですが、これは本当にオモチャみたいな感じでした。
本格的に事業で活用できそうなものを作り始めたのは、ここ2ヶ月ぐらいです。例えば営業される方が多い会社だと、「Salesforce」や「HubSpot」といったカスタマーリレーションマネジメントサービスを使うと思います。CRM(Customer Relationship Management)でセールスの人が負担を感じている業務トップ10のうちのトップ3の1つが、商談が終わった後のSFAツールへの入力だと思うんですよね。
これをどうにかしようと、ちょっと今実験しています。最近はZoomを使ってオンラインで商談することが多いので、オンラインで上がってきた商談の動画を、Whisper APIを使って文字起こしをして、pyannote.audioというライブラリを使って話者分離をします。
話者というのは、発言している人のことです。Aさんがしゃべった場合、Bさんがしゃべった場合で分離します。この2つを組み合わせて、Aさんが○○と発言をした、Bさんが○○を発言したというログを生成して、これをOpenAIのgpt-3.5-turboのAPIを使って要約します。
要は、このお客さんは今困っていることは何か。例えば、我々のサービスに関係するところだと、どういう会計ソフトを使っていて、今後どういうことをやろうとしていて、対面のお客さんはどういう方で、みたいなものをその会話ログから一気に拾っていって、メモを生成する分析ツールを作りました。
評判は良いのですが、一定の処理時間がかかるので、今まさにこれをより効率化するための仕組みづくりを片手間で検討している感じです。
あとは、我々は不動産ファンドをやっています。(スライドを示して)こちらは、すごく重たい不動産の物件概要書と呼ばれる書類です。どこの地域にどんなビルがあって、どういう建物なのかといった概要がまとまっています。これをいったんデータベースに落とし込みたい。
これまでは基本的にそのルールベースのOCRを使用してやっていたのですが、どうしても精度が低いので、その後は手作業で修正が必要です。今は、この修正する作業の比率を下げるために、OCRにかけたものを今度はChatGPT APIに食わせて、そこから必要事項を抽出するプロンプトをうまく検討して、アウトプットを取り出して、データベース連携するということを検討しています。
実際にこれはプロンプトを使って抽出するところまでをやっていて、そのアウトプットの安定性もいろいろと加味しながらやっています。他の作業に追われて止まっている部分もあったりしますが、業務効率化というところで活用しています。しゃべり過ぎてしまうので、いったんこれぐらいにしておきます。
(一同笑)
佐藤:ファインディでも活用はしているんですけど、主にそのGPTボットを社内で活用してやっているので、その話をしようかなと思います。ファインディはエンジニア向けの転職サービスや、「Findy Team+」という、開発生産性を高めていきましょうねというサービスを展開しています。
そんな中で、営業のメンバーが入社してきて一番困ることは、エンジニアに関する知識です。営業は、知識を100パーセント持ってきて入社するわけではありません。実際に、「APIって何ですか?」とずっとみんなで議論している場面もあって、「いやー、エンジニアをやらないとわからないよな」というところがどうしても出てきます。そこでChatGPTを中に組み込んだSlackのGPTボットを活用しています。
どういうシーンで使うかというと、今の「APIって何ですか?」みたいな話の場合、「APIって何ですか?」とそのまま聞いてもわからないので、「APIという言葉をカレーレストランに例えて教えてください」みたいな聞き方をするといいよと使い方を(伝えて)、その中で利用促進をします。
「カレー屋さんでいうと、キッチンの中でこういうものを作ってほしいというオーダーを受けて、最後に『カレーができましたよ、チキンカレーです』と出すところまでがAPIです」みたいな話をすると、「あー! そういうことなんですね」とすぐに理解が進んだりするので、中の知識をなにかに例えてChatGPTのボットに代弁して考えてもらうのが、メチャクチャ(有用な)活用事例です。
活用事例ではそれが一番メインだったりするんですけど……。
松本:プロダクトでChatGPTを使ったりもしますか?
佐藤:LayerXさんと同じように、2月中旬から「ChatGPTは、絶対来るから!」というのがありました(笑)。過去の例で言うと、iPhoneが来た時に「あー、これ絶対に来るわ」と思ったんですね。あとは、僕が高校生、大学生ぐらいの時にマッシュアップという概念がすごく流行ったことがあったんです。
あの時に「来そうな感じがするけど、まぁいいや」と思って放置していたら、メチャクチャ爆発的にトレンドになった瞬間があって、「うわっ、この時に乗ればよかった」という後悔をその時にしました。これ(ChatGPT)にはもう絶対に乗るぞというので、プロダクトとしてなにか小さな機能でもいいから出してみようというところで、実は機能を2つリリースしています。
1個目が、2月24日に「作るぞ」と決めて3月6日にリリースをした、「あなたのキャリアのサマリーを出します」。二つ名を付けますみたいなものです。「機械学習の魔術師」とか、「何だこれは」みたいなのがありました。その中身のAPIとしてChatGPTを活用しながら、実際にプロンプトエンジニアリングをしました。
もう1つが、職歴のサマリーみたいなところで、職歴を自動で質問に答えると、その結果として職歴が生成できますよという転職サービスらしい機能です。爆速で、2つを4月までに出したところです。うちの活用事例はそんなところです。
松本:ちなみに、その二つ名はどうやって作っているんですか?
佐藤:これもなかなか難しいプロンプトエンジニアリングだったようです。「ちょっとおもしろく」みたいな条件を加えて、「エンジニアのその職歴の中身を読んだ上で特に関連しそうなキーワードをベースにおもしろい二つ名を付けてください」みたいにオーダーして、出してもらった結果をユーザーに提示しています。
松本:特定のキーワードリストを渡して作っているというよりは、職歴の文章をいきなり渡して「サンプルの二つ名はこんな感じ」というのを教えて生成させる感じなんですか?
佐藤:ベースはそういった流れですね。
松本:どうやって中二病みたいなのが出てくるのかなと思って、すごく気になっていました。
佐藤:そこらへんはメンバーが何時間もかけて、プロンプトエンジニアリングをメチャクチャやりきった結果の成果物です。あれはメチャクチャ、メンバーのがんばりで実現できたやつですね。
(次回へつづく)
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