2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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後藤智氏(以下、後藤):先ほど出ましたが、ジュニアエンジニアはこれから先どういうことをやっていくのか。とにかく仕事に関していうと、ChatGPTにエンジニアだけではなく他の仕事も奪われるんじゃないかという話も最近は出てきています。
僕もOpenAIのサム・アルトマンのインタビューをいろいろ聞いて感じる限りだと、彼自身がもう明言をしているんですよね。「仕事は奪われるだろう」と言っているので、例えばこれから、AIから起こる失業時代は起こり得るのか、そのあたりについておうかがいしたいと思います。小林さん、いかがでしょう?
小林聡汰氏(以下、小林):例えば今やっているものがなくなるかといえば、私はなくなるかなとは思っています。
一方で、なくなっちゃったことによって、エンジニアが今持っている能力が無駄になるかというとそうでもないと思っていて、ChatGPTがあるからこその働き方にたぶん応用できると思うんですね。
先ほど出てきたように、現状はChatGPTがコードを生成する場合、それが読めないとできないことや、コントロールできないところが多いと思うんですよ。
知識がない人がChatGPTを使うより、圧倒的にアドバンテージがあると思うので、それを使って自分でなにかをしていく方向には行けると思います。
ただ1つ、いいのか悪いのかはわかりませんが、今自分たちがやっていることが置き換わるの時に、例えばそこにやりがいというか、働くことの意義をかなり感じている場合は、それを喪失することになると思うんですよね。
やっている内容がAIやChatGPTによって変化するかもしれませんが、働くことに対して、やっている内容より、それを通して何を成し遂げたいかという方向に目を向けている人は、その最終方向が変わっていないのであれば、その流れの変化はウェルカムだと思います。
私はどちらかというと、今やっていることで今後何年も食っていくし、それじゃないと駄目だというタイプというより、それを通してこういう世界にしていきたいとか、今やっていることで、こういうお客さんにこういう価値を与えられていると実感できるのであれば、手段はあまり問わないというスタンスです。
なので、どこに価値を置いているかで、精神的にも今後やることの内容にしても、ダメージがけっこう変わると思います。
後藤:ありがとうございます。
後藤:櫻庭さん、いかがでしょう?
櫻庭洋之氏(以下、櫻庭):やはり仕事が減っていくという面で一番インパクトがあるだろうなと思うのは、わりと定番なものをただひたすら作るだけの仕事で、それは一番奪われるだろうなと思います。
小林さんもおっしゃっていましたが、何を作るべきかとか、そこに至るまでのプロセスをきちんと設計できるかというところに関しては、より需要が高まっていくかなと思っているので、そこはぜんぜん問題ないかなと思います。
あと、ChatGPTが出てきて、プログラミング自体をする意義がなくなったとか、やる気が下がったという人が、僕の身近にもけっこういます。
僕自身はどちらかというと、よりプログラミングが楽しくなったなという逆の感想を持っているのですが、そこの捉え方は、もう少しポジティブに捉えてもいいのかなと思います。
例えば、今まで無駄にコーディングしていた時間があったとして、それがなくなって、より生産的だとかより創造的なことに自分の時間を使えるようになったチャンスと捉えられると思っているので、そこを考えながら次に何をしていくべきかというのは、逆転というか巻き返せる1つのポイントなのかなとも思いますね。
後藤:なるほど。
後藤:輝さん、いかがでしょう?
小酒井輝氏(以下、小酒井):僕はもともとゲーム開発者で、エンジニアというよりもクリエイター寄りなんですよね。ChatGPTが出てきて、コーディングが速くなって時間が減った分、別のアプリのコンテンツを作る時間が増えて、逆に忙しくなった感じです。できることが増えちゃったんですよ。なので、他の人も逆に忙しくなるんじゃないかなという気がします。
後藤:(笑)。なるほど。そうですよね。
櫻庭さんの意見と輝さんの意見がちょっと違ったのは、櫻庭さんの場合は、コードを自分で楽しめる時間が増えて、輝さんの場合は、コードを書かなくてよくなったので、クリエイトをするほうに時間をかけられる分、もう少し忙しくなったという点でした。
たぶん人によって、このありがたみが違うんですかね。
櫻庭:そうですね。僕が楽しいと感じているのは、主にCopilotで書いている時なんです。ペアプロするみたいな感じになるんですよね。
自分でソースコードのコメントを書くと、それに対応したコードを提案してくれて、「これはなんか微妙だな」という感じで一部分をCopilotが自分で書き換えて、また提案する。これはすごく高速なペアプロみたいな体験で、すごく気持ちいいですね。
後藤:なるほど、そうですね。わかりました、ありがとうございます。
後藤:もう1つ今、サム・アルトマン、OpenAIのCEOは、彼らの目指す方向はAGIだと言っています。AGIは、Artificial General Intelligenceなので、ドラえもんみたいなものを作るということでいいと思います。
考えてみたいのは、ドラえもんは確かに、あの物語で1人……1体しかいなかったので、あれは特別な物語だと思いますが、100万や1,000万分のドラえもんがあった時に、はたしてのび太は要るんだろうか? と思うところもあるわけです。
AI、GPT-4が出てきて、これから先、もしかしたら5、6といくのかもしれませんが、今後のことを考えた時にどうなっていくか、もしくはどうなっていってほしいか。
例えばドラえもんみたいなAGIになっていった時に、人間にはどういう役割が残されているかと思われますか?小林さん、お願いします。
小林:なかなか難しい問題ですね。今一瞬その話を聞いて思い出したのは、『Detroit(Detroit: Become Human)』というゲーム。ご存じですか?
後藤:はい、聞いたことがあります。
小林:いわゆる、リアルなアンドロイドを主題にしたゲームで、二千何年か忘れてしまったんですけど、アンドロイドが自分たちの……。
後藤:人権を獲得する。
小林:そうですね、人権というよりもアンドロイド権ですよね。自分たちの権利を主張して、人間と同じような営み……例えば選挙に参加するとか、そういった方向に向かっていくぞというストーリーなんですよ。
今後、例えばドラえもんレベルのものが出てきた場合、たぶん直面する問題は同じだと思うんですよね。
今までは人のためのプロダクト、サービスだったものが、優位性がどんどん変わっていく。例えば、ある意味今はトレンドもAIが操作しているようなものだと個人的に思っているんですよ。
彼らが検索で上位に出しているものに(人間が)一喜一憂しているので、人間が今までコントロールしていたと思っていたものの距離が縮まっていって、いつの間にか変わるかもしれない。
そうなって来た時、いわゆるアンドロイドやドラえもん側が、なにかそういった主張をし始める。昔はSFだなと思っていたのですが、あり得なくはないと思うんですよね。
現状、ChatGPTにけっこうな愛着を持って、人間と同じようなコミュニケーションを取っている人はいます。なので、たぶんこれは倫理的な問題も絡んでくるとは思いますが、もう一度、私たちはなぜ存在しているのかなとか、今までは人間中心の世界観だったものが、もうちょっと広がった高い視点に立ってまた考え直さなきゃいけなくなってくるんだとは思いますね。
後藤:なるほど、なるほど。ありがとうございます。
後藤:櫻庭さん、いかがでしょう?
櫻庭:基本的にはコンテンツを作っていくクリエイターのほうに、より価値観がスライドしていくのかなと感じています。
たとえAIやアンドロイドがすべてを自動化してくれて、例えば、作曲自体が自動化されても、たぶん人は曲を作ったり、演奏したり、料理作ったりすることを止められないなと思っているんですよね。
先ほどもお話ししたのですが、より創造性豊かな部分で視点が変わっていくんじゃないかなという気はしています。
後藤:なるほど、ありがとうございます。
後藤:輝さんはいかがでしょう?
小酒井:今のOpenAIのTransformerからはAGIはできないとは思いますが、仮にできたとして、たぶん人間はAGIと戦争をして楽しむんじゃないですかね。
後藤:なるほど(笑)。
小酒井:たぶんそれが人に残された最後の楽しみだと思います。
後藤:なるほど、ありがとうございます。
よく言われているのは、イーロン・マスクはもともとOpenAIを作っていて、GPT1と2は全部オープンソースにしているはずなのですが、途中で袂を分かって、今、OpenAIのChatGPT-3、4は全部クローズドのソースコードになっています。
実際のところOpenAIがやっていることは、パラメーター数なども含めて公開されていないので、どういうデータを使って作っているのかなど、そのあたりについてはわかりません。
イーロン・マスクに言わせると、脳波とAI。脳波で物事をコントロールできるようにするものを企業は作っているんですよね。それをやっている理由として、例えばAGIみたいなものができた時に人間が対抗するためにやっているという話もあります。
だからもし、これから先、AGIみたいなものができたとしたらば、そういう方向での採用の仕方に、人間自体をアップグレードさせるようになっていくのかなとは、なんとなく、そういう方向に彼は持っていきたいのかなと思ったところですね。
後藤:ちょっと現実から離れたので、また話を戻しますが、対抗馬として、今例えば「Bard」や「LLaMA」や「Meta」などがオープンソースで出しているものがあります。OpenAI自体も競争を好むと言っているので、そういったところも出てきてほしいなと思っているのでしょうが、今後、例えばAIエンジニアの人たちが新しいAIのモデルをどんどん作っていく方向に行った時に、私たち開発者は、いろいろなものを試さなければいけないと思います。例えばChatGPT以外でも、他のモデルを試されたことはありますか?
小林さんは、いかがでしょう?
小林:そうですね。自分はキーワードを入れて「絵を作って」と言うと、アニメチックなものから写実的なものまで、いろいろなジャンルの絵ができる生成系AIで遊んだりしていました。
最近はちょっと忙しくて、Twitterでこんなのが出ていますよというのを追っているぐらいで、あまり触れていないです。
触れていない理由が実はもう1つあって、今アメリカで働いているのですが、ビザの問題で副業ができないんですよね。もしそういうのが許される状態だったら、喜んで自分でいろいろ開発しているでしょうね。それくらい、けっこう楽しみな時代が来ていると思います。
後藤:櫻庭さん、いかがでしょう?
櫻庭:そんなに使ってはいないですが、僕は今YouTubeで動画を作っていて、サムネの画像をそれこそ「Stable Diffusion」で生成するのをずっとトライしています。なかなか自分の理想どおりにはうまく作れていなくて、まだまだそこまで活用できていないですが、そっちはそっちですごく進化がめざましいので、そういうことも簡単にできるようになってくると、よりコンテンツ作りの距離が短くなるので、すごく楽しみだなと思っています。
後藤:なるほど、ありがとうございます。輝さんは?
小酒井:大規模言語モデルは2日に1個ぐらいが発表されているんですね。自分ではぜんぜん追えないというか、触ることすら不可能なぐらい頻繁に出ています。ですが、それを毎日試してくれている人がいるので、その配信動画を見ています(笑)。
後藤:なるほど(笑)。
小酒井:もう自分じゃ無理なので。それを見ている限りにおいては、もうすぐGPT-3ぐらいまでのは出てきそうだなという感じが見えていますね。
今日の配信でも日本語をきちんとしゃべれていましたし、未来はOpenAIだけには明るくないぞという感じがしますね。
後藤:なるほど、そうですね。今おっしゃっていたように、「Midjourney」や「Stable Diffusion」など、あのあたりもけっこう……まぁ、Stable Diffusionの場合は、最近、親会社が資金的に苦境に陥っているという話があったので、ビジネスモデルも一緒に考えなければいけないんだろうなと思いました。
(次回へつづく)
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