2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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大橋久美子氏(以下、大橋):みなさん、こんばんは。MBAオンラインキャンパスにようこそ。私は2022年に中央大のMBAを卒業しまして、現在はフリーでブランド・ストラテジストをしております、大橋と申します。今日は「AI時代の『トランスフォーメーション思考』」ということで、ゲストスピーカーにDX JAPAN代表の植野さん、(株)シナモンのフューチャリストの堀田さんにご講演いただきます。植野さん、堀田さん、よろしくお願いいたします。
植野大輔氏(以下、植野):どうもみなさん、こんばんは。堀田さんもマイクは大丈夫ですか?
堀田創氏(以下、堀田):はい。
植野:平日の遅い時間にこうやってたくさんの方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
堀田:ありがとうございます。
植野:今日は私と堀田さんの2名で1時間ぐらいお話させていただいて、30分ぐらいはみなさまとの質疑応答の機会をいただくと。私たちが何者かはあとでお話しできればと思います。
大橋:はい。
植野:ありがとうございます。じゃあそんなかたちで、もう7時半なのでひょっとしたらご飯を食べながらという方もいらっしゃるかもしれませんが、90分間お付き合いいただければうれしく思います。
大橋:ではお二人にバトンを渡したいと思います。よろしくお願いいたします。
植野:それではあらためまして、始めさせていただきます。「AI時代の『トランスフォーメーション思考』」というテーマです。『トランスフォーメーション思考 未来に没入して個人と組織を変革する』という本を出させていただきました。
とても光栄なことに、日本のみなさんもきっと知っていらっしゃるナショナルブランドの社長が(この本を)読んでくださいました。ちょうど1年前のゴールデンウィークにその社長お会いした時に、「植野さん、読んだよ」と、私の本を見せられて、何十枚の付箋を(本に)取り付け、何枚もメモに書き込んでいただいてました。
他にも、時価総額何兆円の会社の経営トップCEOの方から直筆の丁寧なお手紙をいただいたりもしました。「本当に書いてよかったな」とうれしく思っています。
経営トップの方にはこうやって響きつつあるんですが、一方もっともっと裾野が広がって、役員の方、さらにはマネージャーの方、ひょっとすると若手スタッフの方にもぜひ読んでいただきたいなと思っていますが、まだまだですね。なかなか(裾野は)広がっていない。
それなりにAmazonのレビューでも60いくつをいただいているんですが、なかなか……。もっともっと日本人全員に読んでほしいぐらいの気持ちで、私や共著の堀田さんは思っています。
今日ご参加のみなさまは、ビジネスリーダー、MBAを取られている方々、またはその候補者の方々と思っています。もうひょっとしたらお買い上げいただいているかもしれないんですが、ぜひ読んでしっかりとご理解いただいた上で、周りにも波及するようお願いできたらと。さらにAmazonのレビューなんかも書いていただければうれしく思います。
植野:今日は(本を)読まれている方でも読まれていない方でも、(本の)エッセンスをしっかりとお伝えできるようにしたいと思っています。この本が出版してから1年半ぐらい経っていて、私や堀田さんもいろいろと進化している部分がありますので、まだ本に書いていない進化したアップデートの部分もお伝えしたいと思います。
いきなり本の宣伝をしに来ているかのようでしたが、自己紹介です。あらためまして、植野と申します。経歴が(スライドには)長々と書いてあるんですが、シンプルにするとこんな感じです。
新卒で三菱商事に入りました。グループ会社にローソンというコンビニエンスストアがありまして、当時のボスが、現在サントリーホールディングスCEOの新浪剛史さんでした。ここではPontaポイントの導入などをやらせていただきました。そのあと1回、BCG(ボストンコンサルティンググループ)という戦略ファームに移って経営コンサルタントをやっておりました。
そうしていたら2017年、今度は青いコンビニ(ローソン)から緑のコンビニ、ファミリーマートに。覚えていらっしゃる方はいますかね? たぶんもう4年ぐらい前になくなっているですが、(当時)サークルKサンクスというコンビニがありました。そのサークルKサンクスとファミマが経営統合するという、コンビニ業界の中ではけっこうビッグイベントがあったんですね。
年齢が40代の方々だったら、2000年頃のユニクロフリース大ブームを覚えている方はいらっしゃると思うんですが、そのフリースブームを起こされた澤田貴司さんに呼ばれてファミマに移りました。ファミマでは全社変革・改革のヘッド、最後はデジタル、DXのヘッドとして、さまざまな変革をやらせていただきました。
そのあと、独立してDX JAPANを作り、またANDPADというスタートアップのCMOや、あと今日も授業でご一緒した方もいるかもしれませんが、名古屋商科大学のビジネススクールで客員教授として、マーケティングを教えたりもしております。
そして、この前新しく人事が出たばかりなんですが、7月1日、あと2週間ちょっとですね。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、サニーサイドアップグループというPRの老舗でありプライム上場企業でもある会社に、COOとして招聘いただきました。
自ら中に飛び込んで企業変革をやっていく、そんな挑戦をしようとしている人間です。じゃあ次は堀田さん、自己紹介をバトンタッチしていいですか?
堀田:はい。あらためまして堀田と申します。よろしくお願いします。僕は実はずっと技術側のバックグラウンドでして。もうだいぶ懐かしい話になりますけど、ニューラルネットワークという今のAIの基礎と言われている技術がありました。今はAIの中心はニューラルネットワークなんですけど、当時はニューラルネットワークはAIとは別の学問だったんですね。
2008年、それぐらいの時代の時から、AIというかニューラルネットワークの研究をずっとやっていた、そんな人間でございます。アカデミックもけっこう好きだったので、起業家としても2社イグジットして今3社目をやっています。
3社目のドメインがまさにAIというところです。AIって「AIを使ってみましょう」みたいな話で企業が変革するわけではなくて、ちゃんとAIの使い道、変革の道筋、AIを使って「じゃあチームはどうしていくか」という話で、結局のところチェンジマネジメントなんですね。
組織を動かす話とAIを導入する話が表裏一体になって、初めてDXがうまく実現できる。植野さんとは『トランスフォーメーション思考』のほかに、『ダブルハーベスト』で、AI時代の戦略のデザイン、どうやってデータを貯めて、どうやって競争優位を築き、どうデータと競争優位を紐付けながら持続させる方向に持っていくかという話をしたり。
(スライドの)真ん中の本(『チームが自然に生まれ変わる』)は、チームのエンゲージメントについてのちょっと軽い話なんですが、3冊ぐらい本を出しています。今また新たなネタを2、3個仕込み中という感じでございます。じゃあ次のページをお願いします。あれ、自己紹介はこれだけだったっけな。
植野:堀田さんのはこれぐらいですね。まさに今はもうAIブーム、ブームと言ったら怒られますね。AIの技術力は、もう社会実装されるタイミングです。そんなAIの専門家かつ連続起業家の堀田さんと、実践企業どっぷりな変革のプロフェッショナル植野と2名で組んでで、本を出したりいろいろとやっています。
(スライド)左下にリンクがあるので、どこかでみなさんにも共有できればと思うんですが、『Forbes』の紙面で対談もしています。これはオンラインで見ることができます。あとアメリカでabundance360というクローズドのコミュニティがあって。堀田さん、(このコミュニティは)なんていうんですかね?世界中から投資家だったり、アントレプレナー(起業家)だったりが集まって300人ぐらいですか。
堀田:そうですね。
植野:そのクローズのコミュニティで、毎年3月か4月にロサンゼルスに集まるんですね。ちょっとコロナ禍で何年かストップしていたみたいですけど、たぶん日本人は300人中僕と堀田さんぐらいしかいなくて。まして堀田さんはね、あれ? 今日はどこから入られているんですか?
堀田:マレーシアです。
植野:今日はマレーシアね。堀田さんは日本に住んでいないんですよ。たぶん私だけが日本から、東京から行ったんじゃないかな。日本から来た日本人は僕だけだったんじゃないかという。ここで4日ぐらいホテルに缶詰になって、最新の技術動向やイノベーションを起こすためのマインドセットなんかを学んでいます。これも1つ紹介する記事を書いていますので、また機会があればお読みいただけるとうれしいです。
植野:こんな感じでかなりバックグラウンドの違う2人が組みながら、いろいろなことをさせていただいています。そして渾身の結晶がこの『トランスフォーメーション思考』というわけなんです。長い長い前フリが終わりまして、中身にいきたいと思いますが、どう進めていきましょうか?
堀田:とりあえずスライドを用意してもらっているんで、それを1個1個いきますかね。
植野:スライドを用意しているといえば、確か去年の1月26日ちょうど出版記念の記憶があるんですけど。その出版された日の朝一で、こうやって堀田さんと対談形式の出版記念イベントをさせていただいて。
その時堀田さんが本の目次を見ながら内容をなんとなく紹介していったんですが、「このやり方があったのか」と思ったんです。(本の中身は)全部は言わないんですよ。誤魔化しながら、語っていくという。「あっ、こんな芸風ありなんだ」と思ったので、私も今日は目次を用意しました。ところで堀田さん、本の内容は覚えていますか?
堀田:そうですね、書いてからだいぶ時間は経ちましたけど、まだギリギリ覚えているところですよね。
植野:だから言い換えると、そんなふうに我々の中でもそれぞれで経験値が進んでいる。あとこの本を出した時は、AIがここまでくるとは僕はまったく思っていなかったんですけど。堀田さんからしたら「まぁ、このタイミングだよね」という感じなんですか? 今のAIといえば、ChatGPTですよね。
堀田:いやいや、あれはもう、やっぱり想像の外側だったなと思いますね。
植野:AIの専門家、ましてシナモンAIというAIの会社をやっている堀田さんでも想定外のスピードでやってきた感じなんですか?
堀田:そうですね。abundance360のイベントって、もうエリック・シュミット(Googleの元CEO)が来る世界レベルのカンファレンスじゃないですか。その中でGoogleのチーフフューチャリストが、まさに「あんなことが起きるとは思っていなかった」と言っていたんで、私なんかはわからないですよ。
植野:そうですね、この4月に行った時に言ってましたね。本当に最先端にいる人の中でも、「AIはこんなインパクトを起こす、下手すると社会的な脅威になるんじゃないかな」という議論も生まれていたり。
堀田:そうですね。そこはけっこう加速していっている感じがありますね。
植野:だからそんな時に備えて、どんな仕掛けをしていくのか。マインドセット自体を変えていこうというのがこの本の趣旨だと思うんですけど。
堀田:そうですね。序章で書いていた話は、けっこう今も通ずるところがあるなと思っています。パーパスや存在意義、存在理由を設定する上で、今どうあるべきかという話よりも30年後、50年後にどうあるべきかからのバックキャスティング、逆算で考えていこうという話はいまだに色褪せないなと感じています。
ただやっぱり、そこで変化が起きてきているなと思うのがさっきのAIの話もそうだし、コロナが起きたり、もしかしたら南海トラフ地震が起きるかもしれないとか、もう地球環境から技術からなにから……。
去年の技術進化のハイライトはいくつかあると思うんですけど、やはりがんのワクチン。「ワクチンを打てばがんが治る」という世界もけっこう近くなっている。あとアンチエイジングを超えたエイジリバーサルですよね。
植野:abundance360でハーバードの有名なデビッド・シンクレア教授が来てくれましたね。なんていう本でしたっけ? 「ライフスパン」か。要するにアンチエイジングのように老化を止めるんじゃなくて、若返り、リバースエイジングだという言い方をしましたよね。若返りができるようになる。「マウスだと若返りができた」と言っていましたよね。
堀田:そうなんですよね。エイジリバーサルという概念で、もうけっこうやれることが見えてきたり。実際にとんでもない技術進化が毎年起きているのをabundanceでもやるわけなんです。今僕らが30年後だと思うものは、もしかしたら10年後かもしれなくて、僕らが100年後と思っているぐらいのものが、ちょうど30年後ぐらいの可能性もあるなと。
そんな世界観になってきている。「30年後の未来から現在を見つめよう」は正しいんですけど、「30年後の未来はとんでもないことになっているぞ」というのが、どんどん過激化していっているなとすごく感じますね。
植野:私も覚えているのは、2011年か2012年ぐらい、ちょうど10年前に「あっ、こういうことか」と本当に印象に残ったことがあって。(当時)仕事でローソンにいたんですけど、シリコンバレーに行って、新浪剛史さんと一緒にいろいろなスタートアップを回っていたら、堀田さんみたいな連続起業家(シリアルアントレプレナー)がいて。
その方は1回ちゃんとイグジットして、自分で作ったスタートアップを売却して、日本円でいうと何十億円を持っているはずなんです。でも、もう1回スタートアップを起こす。しかも自分でお金を入れて。
僕が「そんなにお金があるんだったら遊んで暮らせばいいじゃないですか。なんでまたやっちゃったんですか」と言ったら、ポカーンとされて。「いや、未来が見えているのに、なんでやらない理由があるんだよ」と。当たり前のようにグッと言い返されて「あっ、この人は未来が見えているんだ」と。
だから未来が見えてしまうと、現状の何十億円というお金、資産はどうでもいいんでしょうね。そこ(未来)に向かって猪突猛進モードになっている。「あっ、シリコンバレーは、やっぱりこういうマインドを持った人たちが集積しているからとんでもないんだな」と。この本の序章にも書かせていただきました。
堀田:そうですね。
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