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OpenAI 社のChatGPT APIを使ってみて考えたこと(全4記事)

「集中力が高く、優秀だけど指示を間違えると暴走する新人」 ChatGPTの捉え方と、秘められた“無限の可能性”

ALGYANが主催する「ChatGPT研究会」。注目のChatGPTを中心に、ChatGPTをはじめとするLLM(Large Language Model=大規模言語モデル)とGenerative AI(生成AI)の関連技術に関する知見をエンジニアの視点で整理し、シリーズ化して再発信します。第3弾の今回登壇したのは、フリーランスエンジニアの田中正吾氏。OpenAI社のChatGPT APIを使った取り組みとその中で得た知見を発表しました。全4回。4回目は、ChatGPT APIの料金体系とその他の取り組みについて。前回はこちら。

ChatGPT APIの料金は?

田中正吾氏(以下、田中):5分ぐらいで少し料金の話や裏話をしたいなと思っています。料金の話は、いろいろな情報あるので計算が難しかったり、有料・無料もピンとこないので、実際に使う時に自分で調べていただけるとありがたいという振りのもと、私もChatGPT APIの3ヶ月トライアルを大事に使ったのですが、最近超えたので課金しました。

(スライドを示して)今の料金はこんな感じですね。ちょっとわかりにくいですが、このようなかたちで1キロのトークンで0.0002円ぐらいかかります。今日使った程度ではバンバンお金がかかる感じではないですね。

あとは使いすぎると怖いので、Usage Limitsというのがあります。ソフトリミット、ハードリミットというかたちで、実際にこのように設定することができたので、私はだいたい1,500円〜3,000円ぐらいで設定しました。まだぜんぜんそこまで届いていないので大丈夫なんですが、こういうことができます。料金はこのように使っています。

その他、取り組んだこと

ではエクストラ、話す時間があってうれしいです。4分ぐらい、軽く話していこうかなと思っています。OpenAIは他のAPIもありますね。こちらで見てみると、画像のジェネレータ部分でネコ先生みたいなのとか、こういうものもあって非常におもしろいです。

先ほど音声入力の話をしました。その点では、text to speech、whisperモデルというものを使えます。音声データを食べさせて、言葉に変換して、さらにチャットに送ってという、私がやったようなことを実はOpenAI社も目をつけてやっているというところで、非常にシンパシーを感じました。

はい、次。JSONにセンサー値タイムスタンプで、温度の揺れみたいなことをやったものを食べさせてみたら、異常検知でも使えるかもしれないという話をします。

地点に応じた日の出・日の入りデータを返すように作ったらうまくいかなかった話もこの後に軽く(します)。

あとは、やはり質問を定義すると言葉が多くなる、つまりトークンが多くなるので、そこに悩みがちょっとあります。その点ChatGPTはより賢くなったので、質問も短く済むのかな? とか思っているのですが、ちょっとまだわからないです。

異常検知ネタと日の出・日の入りネタを紹介

異常検知ネタ。こんなかたちで仮で作ったデータを食べさせたんですね。これで「怪しいところを教えて」と聞いたら、メッチャメチャしゃべるんです。

この中で推測もしてくれます。エアコンの不調もあるのではないか。これぐらいの時間から快適ではない状態に陥ったのではないかと書いてくれます。異常検知のAIがありますが、それよりはもうちょっとライトなかたちで安定できる世界もあるのかなと感じました。

次、日の出・日の入りネタ。これもうまくいくと思ったのですが、「あるAの明日の日の入り・日の出の時間を日本時間ISO8601の値で返してください、JSONでお願いします」と言ったんですね。うまいのが作れたかなって「返答に説明は要らないよ、JSONだけでお願いね」と言って頼んだんですよ。今回はこういうふうに返してくれました。

次に、「滋賀県のを返してください」とお願いしたんです。ですが、微妙に日の出・日の入りが違うんですね。もうちょっとあなたは手前じゃない? とかいろいろあって、難しいと感じました。

たぶんねー、もともと持っているデータがありすぎて混乱しているのかなとも感じました。これは発注という目線で考えると、こちらの質問の精度がまだまだ甘いのかなと、もっと発注スキルを上げたいなと思いました。

柴犬APIに自分でデータを取りに行ってもらう

もう1つ実験しました。柴犬APIに「自分でデータを取って来て」と言うのはうまくいくんじゃないかと思ったのですが、うまくいきませんでした。それっぽくデータを返して来てくれるし、これは恐らく柴犬の画像を返してくれるAPIのサンプルサイトの乱数を推測して適当に作ってくれている感じで、わかりやすい例ですけどね。なので、これをやるとぜんぜんアクセスできませんでした。だから正しくはないんです。

以上のことから、HTTPでわざわざ新しいデータを取って来てどうこうするという機能はまだなさそう。ちょっと作れば開いちゃいそうですけどね。というところもあって、非常に学びがありました。

まとめ

ということで、ちょうど45分ぐらいになりました。まとめです。まずChatGPT APIを使うと、Node-REDのようなサーバーの仕組みと連携しやすくなるので、従来の仕組みとうまく結びつきやすくなったぞというところが学びでした。

ChatGPTの特性について。万能というところをあえて絞るかたちでうまく質問を誘導すると、IoTなど他の仕組みに組み込みやすいJSONデータの回答も来るようになりました。

あとは自然言語の理解がとても強いので、音声認識を加えるとより強力になることがわかりました。今までスマートスピーカーと形態素解析みたいなもので、きちんと「ピザを3つください」みたいな受け止める解析モデルを作らなきゃいけなかったところが、より曖昧な言葉でも理解できるので非常に可能性を感じます。

あと今回の案はあくまで1例なのですが、やはり質問次第で自分の仕組みに組み込める可能性はとても感じました。これからもがんばっていきたいなと思っています。そして最後になりますが、みなさんもこのような事例も参考に、ぜひChatGPT APIを使ってみてください。ということで、私の話は以上となります。ご清聴いただきましてありがとうございました。

ChatGPTを“集中力がムチャクチャ高くて優秀な新人”として捉える

小暮敦彦氏(以下、小暮):田中さん、ありがとうございましたー。

田中:ありがとうございましたー。

小暮:すんごくわかりやすくて、いやぁもう。

田中:よかったです。

小暮:いやぁ、田中さんすごい。ワンフットシーバスさんってコンサルなんですか。

田中:ややコンサルもやっていますが、プレイングコンサルって感じでやっています。

小暮:なるほど。

田中:結局コードを書いちゃうんですよね(笑)。

小暮:Twitterにツイートがいっぱいあります。ちょっとだけ拾いますと、「文系の新人君に指示しているみたいですね」。

田中:そうですね。

小暮:もう本当にそうですよね。上司が部下をどううまく使うか、(ChatGPTを)人として捉えるということですよね。

田中:そうですね。あと、ある意味新人の属性で言うと、集中力がムチャクチャ高くて優秀な方だと思います。それだけ詰められている火薬が強いので、間違った方向にすごい勢いで飛んでいったりする可能性があるんですよね。「いや待って待って、ここでこっちの2キロ先に飛んでください」みたいな感じでお願いをしないと、すぐ暴走します。

小暮:なるほど。そこはでも、上司の腕次第ですよね。

田中:そうですね、そうですね。本当におもしろいですよ。最後に「JSONでお願いしますね、もう1度言ったよ」みたいに言ってあげるときっちりやってくれるので、「あ、わかってる」と思って。

プロンプトに「いつもありがとうございます」という文言を入れる理由

小暮:ちょっと気になるんですけど、先ほど田中さんは「いつもありがとうございます」と(質問文に)入れていましたね。

田中:入れている。

小暮:あれは効果があるんですか。

田中:あれね、実はルンバで片付けるみたいな効果……ちょっとTwitterでその話で盛り上がったんですけど。先ほどの上司像も一緒ですが、あれは自分が鍛えられる話です。機械に丁寧にしゃべるということは、実は構造的に話を組み立てるじゃないですか。

これは英語でも日本語でも変わりませんが、要は箇条書きにしたり、この人にこの順番で言うと間違えちゃうから順番を正そうという意味での帰着として「ありがとうございます」の文言になっているんです。その心理が全部に働いて構造的文書になっているのが重要みたいなところ。

小暮:なるほどー。

田中:やはりね、雑にやるとアレなんですよね。理論が破綻したりとか、情報が抜け落ちたりするじゃないですか。

小暮:なるほどー。

田中:そうなんです。

小暮:いやぁ、深いですね。それでもしかしたら機械に将来感情が生じるとしたら。

田中:そう、そうです。優先度が生まれたりとかは、絶対にそんな感じはします。

小暮:そうですよね。

田中:なんでかというと、向こうもリソースを消費したくないので。

小暮:そうですよね。

田中:自分のマシンリソースを消費したくないので。体力を使わないほうを答えますよね。

小暮:そうですよね。いやぁ、いい話ですね。

相対の仕方は『シーマン』に似ている気がする

小暮:(質問を見て)「ちょっと違うけど、昔はやったファジー制御を思い出した」。年代が私と同じですね。ファジー。

田中:ああ、ファジー機能ですね。はいはい。

小暮:ファジー。(コメントを見て)「ぴゅー太を思い出す」(笑)。

田中:あぁー。

小暮:日本語ベーシックっていうね。

田中:相対の仕方はけっこう似ている気がしますね、『シーマン』とか。

小暮:ですね。究極同じになっていきますね。

田中:こっちが合わせているんですよね、実際は。

小暮:はい、はい。

田中:向こうが足りないというのはおかしいんですが、向こうにこっちのでっぱったピースを合わせている感じかなと思います。

小暮:そうですね。私も日本語ベーシックが出てきた時、なんじゃこら。Go toが「行け」とかね。

田中:はいはいはい。あれそうですね。

小暮:直訳じゃねえかと思いましたけど、でもきちんと考えてみると一周回って同じ方向になってきていますよね。

田中:そうですね。

小暮:田中さんもご存じなんですね。ちょっとお若い感じがしていたんですよ。

田中:いや、足突っ込んでいるところはあります。

小暮:さすが。

曖昧さを持つChatGPTには無限の可能性が秘められている

小暮:(コメントを見て)「異常検知ネタはおもしろそう」。そうですね。

田中:僕自身はAIが好きなんですけど、異常検知のAIとかをきちんと学習させるのはけっこう大変なので。

小暮:そうですよね。何をもって異常とみなすかとかね。

田中:あと厳密に言うと、IoTのAIとかって極所最適されちゃうじゃないですか。変な話、千葉県の工場のどこのデータの異常検知をさせてどうのって、メッチャ尖っていくので。これは神奈川県では使えないと思うんですよ、川崎とかでも。でも、ChatGPTってある意味曖昧さを保っているので、雑だけど、定義次第で似たような場所には行けちゃうかもしれないですよね。だからそこが素敵だなと思いました。

小暮:なるほど。あとはもうちょっと指示していないことも含めて、台風が近づいているからどうとかね。

田中:そうそう、そうなんですよ。タイムスタンプとかを考慮して、季節を考慮するとかやれそうなので、これはいいぞと思いました。

小暮:そうですね。無限の可能性がありますね。

田中:先ほどの冷房・暖房の話もちょっと僕の中で発展があって。ああいうものの自動制御を作ると、冷房期、暖房期の区切りの閾値を自分で決めるのがすごくダサいなと思っていて、できれば自動にしたいんですよね。

小暮:確かにそうですね。機械に提案してほしいです。

田中:熊本県バージョンと北海道バージョンはたぶん違うので。

小暮:そうですね。なんなら居住している人間の人数とか体調とかね、今日早く起きたからどうとかね、なんかそういう。

田中:そうですね。寒気がするので今日は暖房をつけっぱなしとか、やってくれって思いますよね。

小暮:向こうがそれを察して、先回りして提案してくれるとかね。

田中:そうですね。動きが少ないので、もしかして体調が悪いの? とかね。

小暮:そうそうそうそう、そうそう! できそうですよね。

田中:スマートスピーカーはわざわざ言っちゃうんですけど、たぶんChatGPTは察してくれると思うので(笑)。

小暮:そうですよね。でも先ほどのHoloLensの言葉の揺れを吸収するって、感動しました。

田中:あれはすごいですよね。たぶん英語もいけるとは思うので、多言語の可能性はけっこう感じます。

小暮:ですねー。これをChatGPTを間に挟んだからこそできる揺れの吸収ですもんね。

田中:ここまでいくと、恐らく3、4歳児くらいの子どもの「つけて」という突然の叫びでも、つける可能性があるなと思ったので。

小暮:そうですね、はい。いやぁ、今日の田中さんのプレゼンは段階を踏みながらも、次はこれ、次はこれ……本当に引き込まれましたね。

田中:ありがとうございます。

小暮:みなさん、ワンフットシーバスさんに発注しましょう(笑)。

田中:いやぁ、なんとか使いこなしていこうかなと思います。

Usage Limitsを超えるとどうなるのか?

小暮:今日は感動しました。ジョンさん、すみません。私ばっかりしゃべって。

ジョン・ジンゴン(以下、ジョン):いやいや、私がなんか一言しゃべる立場ではないのかなと思ったんですけれども。

田中:いやいやいやいや。

ジョン:お願いしてよかったかなと思っています。最高の登壇でした。今はボランティアというところがあるかなと思いますが、個人的な意見だと、田中さんの今のセッションを10個ぐらい有料で作ってどこかに登録しても、私はすぐ売れると思います。

田中:ボランティアの話とか気にしていただいて、ありがとうございます。でもすごく発展的な話で、実はこれはわりとオフラインでもいけるネタに仕上げてあるので、絶対オフラインでやったほうが盛り上がる気がします。

小暮:なるほど。

田中:いやぁ、ChatGPTでLチカリアルをやってみたいなと思いました。今すぐではないと思いますが、そういうところを考えながらやりたいなと思っています。

小暮:いいですね。ハンズオンやりましょうよ、ハンズオン。obnizで私も仲良くしていますので。

田中:そうですね。

小暮:いいっすねー。(コメントを見て)みなさん感動なさっているようですね。

田中:ありがとうございます。

小暮:料金の話がありましたが、上限がつけられるんですね。上限に達するとどうなるんですか? 返事を寄越さなくなるんですか?

田中:そこまでお金を使っていないのでわからないのですが、たぶんそういうことをしてくれるんだろうなと思います。僕も料金系は恐る恐る使っていて上限に達していないので、みなさんも注意して使っていただければと思っています。

小暮:なるほど。それにしても得られることに対しては安いですよね。

田中:安いですねー。特に僕なんか、フリーランス目線で考えると、やはり1人で黙々とやるケースが多いので、そういう意味でコンテキストが合うパートナーがそこにいて、正しいか正しくないかとかは置いておいて、対話できるってすごくいいなと思いました。

小暮:そうですね。

中間管理職はChatGPTやらせたほうがいい

小暮:田中さん、部下にChatGPTってありですか? 人間のプログラマーじゃなくて、部下。

田中:僕はけっこう難しいかなと思いました。なんでかというと、例えば今回のペルソナじゃないですが、新人で優秀でちょっと指示を間違えるとけっこう暴走する、違う方向に行くという火力を考えると、今回みたいに絞り込んで袋小路にハメるようなかたちだとドンッといきますが、プログラムは最強の自由じゃないですか。絵の具みたいなもの。それを強いて袋小路に絞り込ませるの、けっこう上司ががんばらないとなという感じがあって。

小暮:なるほど。逆に言うと、それだけ可能性が無限大にあるということですね。

田中:ありますね。狙ってみたいなという感じはありますね。

小暮:なるほど、ありがとうございます。

田中:ただアレですかね。10人ChatGPTみたいな揃い方をすると、マネジメントコストでちょっと禿げそうって感じがありますね(笑)。

小暮:そうですね。ちょっとそれを企んでいます。マネジメントもChatGPTにやらせられないかなと思って。

田中:ああ、そうですね。中間管理職は彼らにやらせたほうがいい気がしますね。

小暮:そうですそうです(笑)。ちょっと一緒にやってみません? 

田中:そういう世界観はいいですね。

小暮:(コメントを見て)「個人でやれることの可能性が広がりました」。「ChatGPTでLチカ、やってみたい」。そうですね、ぜひやりましょう。

田中:そうですね。

小暮:また別途、相談させてください。

日本がAI開発ヘブンになるのではないか

小暮:OpenAIのCEOが岸田さん(岸田文雄内閣総理大臣)に会って、日本の優先度を上げるという話を具体的に提案してくれたんですね。この背景として、欧米諸国や中国が規制をかけるという話があるじゃないですか。

田中:ありますね。

小暮:たぶん日本はやるとしても、そういうのが遅いと思うんです。

田中:そうですね。

小暮:あとちょっと違うかもしれませんが、ロボットの世界でヒューマノイド、人間に似たロボットは欧米で文化的に嫌がられるんですよね。

田中:ああー、確かに聞いたことがありますね。

小暮:嫌がるし、悪いものだっていう。『ターミネーター』みたいなイメージがあって。日本は『鉄腕アトム』みたいなところで明るいイメージがある。

田中:そうですね。柔らかさがありますね。

小暮:そこも寛容じゃないですか。デパートの受付で人間とそっくりの女性のアンドロイドが受付をしていることがありますが、たぶんああいうのは欧米じゃ作れないんですよね。日本だけなんですよね。なのでこのジェネレートAIにしても、もしかしたら日本が開発しやすい環境になるのかなって。

田中:確かに。

小暮:欧米は規制が先にかかる。日本は遅れて規制される。日本の政治は遅いじゃないですか。

田中:確かに確かに。ここはいいふうに寄与しそうですよね(笑)。

小暮:はい。だからAI開発ヘブンみたいになるんじゃないかってちょっと期待しているんですけど。

田中:確かに確かに。ありそうですね。

小暮:そこは、もともと日本にいる私たちがメチャクチャ有利じゃないですか。

田中:みんな共通で『ドラえもん』を想像できますからね。素敵ですよね。

小暮:そうそう。なのでね、聞いているエンジニアのみなさん、世界をリードするチャンスかもしれませんのでぜひ一緒にがんばりましょう。

田中:イェイ。

小暮:(質問を見て)「今はやりのChatGPTを使い、JSONを出力させてAPIとして使うための工夫」。そうですね、まとめてくださったんですね。

田中:ありがとうございます、ありがとうございます。

小暮:はい。ということで、もう時間になりました。いやぁ、田中さん、本当にありがとうございます。みなさん田中さんに拍手をお願いします。

田中:ありがとうございます。

小暮:すばらしいプレゼンでした。いやぁ、今日は神回です。ありがとうございます。

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