2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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西勝清氏(以下、西):よろしくお願いします。
佐々木真氏(以下、佐々木):よろしくお願いします。
木村俊也氏(以下、木村):はーい。
小笠原智氏(以下、小笠原):お願いします。
西:今日はPM Clubさんとのセッションということで、ここからは約30分、40分ぐらいのパネルディスカッションをして、みなさんの質問に答える時間にしていければと思います。聞いていただいているみなさんもぜひ質問があれば、随時上げていただければと思います。後ほど回答できればと思っています。
このセッションは、最初の30分の中をさらに前半と後半に分けて行いたいと思っています。前半は、プロダクトへのAIの実装について。後半はプロダクト開発においてAIをどう利用できるのかを取り上げ、作っていく観点と利用する観点の2つでお話をうかがえればと思っています。
では始める前に、AIの定義をおさらいしておきたいと思います。昨今はAI、「ChatGPT」、大規模言語モデルなど、いろいろ話があるのですが、今日はどの話になるんでしょうかというのを(笑)。まずは木村さん、今日はどの話ですかね?
木村:ありがとうございます。やはりAIという言葉は定義が曖昧なところがけっこうあって、いろいろな種類のAIがあるんですね。一般的にAIというと「汎用AI」と呼ばれているものがあります。これは「ドラえもん」みたいに質問をしたり、お願いをしたらロボットのように何でも答えてくれるものです。
ただ、その汎用AIはまだ出来上がっておらず、私たちは基本的になにかの目的のために作られたAIを今社会で一般的に使っているんですね。AIは、画像の認識や文章の要約、文章の自動的な分類など本当にいろいろできると思っていて、すでに活用された方もいると思います。「Google 翻訳」もAIですよね。
今回はその一般的なAIをディスカッションするよりも、やはり「Notion AI」の話題も入っているので、そのAIの中の1つであるChatGPTを取り上げます。いわゆる生成AIと呼ばれているものですが、文章を生成できるAIにディスカッションを絞ったほうが、けっこうトレンドにも乗っているので聞いているみなさんもおもしろいかなと思っています。
なので、一般的なAI全般というよりも、今回はChatGPTをAIと捉えてディスカッションを進められると、聞いているほうもわかりやすいしおもしろいんじゃないかなと思います。
西:ありがとうございます。よくわかりました(笑)。
(一同笑)
西:ということで今日は、「チャットAI」という言葉も使うかもしれませんが、基本的にChatGPT、もしくはそういったものを前提とした話をしていければと思っています。
では最初のトピックですね。「プロダクトにAIを実装するためには」というトピックで話していきます。今まさにTwitterとかを見ていても、いろいろな人がいろいろな試みをされていると思います。
今日の話のスタートとして、Jonas(Jonas Lavoie氏)から「真の違いはラストマイルに現れる」、「既存のサービスにおいて、何がユニークで、自身が何を提供できるかが重要です」という話がありましたが、このあたりから話を始めていきたいと思います。
まず私が個人的に気になったのが、Jonasが「AIのChatGPT的なものの基盤モデルはどんどん一般化していっていますよ」と言っていたことです。まず木村さんに聞きたいのですが、そうなんですか?
木村:もうこれは本当に衝撃的なぐらいコモディティ化していると思います。僕自身は、どちらかというとAIや、前は機械学習と呼ばれていたものの開発者だったんですけど、今までは仕組みを作ったり環境を用意したりするだけでもものすごく時間やお金がかかったし、プロダクトマネージャーの観点から言うと理解するのもすごく大変で、プロダクトマネジメントをするのもすごく難しい領域だったんですね。
だけど、いわゆるGPTもそうですし、あるいは他のクラウドサービスでもAIの開発は今はものすごく簡単で便利になってきているんですね。プロダクトマネージャーやAIのエンジニアをやることは、5年前とか10年前に比べると本当に限定的になってきています。
モデルというのは、AIの実際に考える脳みそみたいなところですが、今まではそこを作るだけでもすごく手いっぱいでした。今回ChatGPTが登場したことによって、今後はモデルを作るというより、AIにどの問い合わせたらいいのかとか、そこらへんにフォーカスできるようになるので、この1年間でもものすごくコモディティ化したのですが、これは今後さらに加速化されるというのが、僕が今感じているところですね。
西:なるほど。ありがとうございます。
西:というと、逆に5年前はそういう感じではなく、もっといろいろあったというイメージなんですか? 各社がやっていたんですか?
木村:そうですね。先ほど言ったところでいうと、「なにか目的があってそのAIの機能を作る」というのが5年前の傾向でした。何かしらの課題を解決する。例えば「メルカリ」のサービスでいうと「AI出品」というのがあって、画像をかざすだけで商品のタイトルやカテゴリを推定できるんですね。
その1個のモデルを作るにしても、プロダクトマネージャーとどういったサービスを作りたいかという要件定義をした上で、まずはデータを集めなきゃいけません。大量の画像にカテゴリ、タイトルが付与されていて、そういうデータを何万、下手したら何億集めた上で学習させてモデルを作って、それをお客さんに提供・デリバリーします。開発工数が非常にかかるものというのが、AIのこれまでの認識ですね。
西:なるほど。そう聞いていると、よりコモディティ化してきて、PMやプロダクト開発にとってはさらにワクワクする時代が来るように素人的には感じちゃったのですが。
木村:そのとおりで、ワクワクが止まらないですよ。
西:あ、そうなんですね(笑)。
木村:プロダクトマネージャーの人たちもすぐにデモが作れるし、なにか課題があるなと思ったらChatGPTに聞いてみて「あ、これは答えられるじゃん。じゃあサービスにしちゃおう」みたいな。もうわざわざモデルを作ったりデータを集めたりしなくてもすぐに社会実装ができてしまう時代になったので、これは衝撃でもあります。
もういろいろな課題を解決できるじゃんというのが、本当にChatGPTができた後の世界観だと思っているので、もうこれはプロダクトマネージャーの人たちにとっても、今けっこう熱狂的にコミットできる内容なんじゃないかなと、個人的には思っていますね。
西:なるほど。ありがとうございます。
西:ではそれを受けて、お待たせしました。PMを本職とされている小笠原さんと真さんに、ワクワクが止まらない状況を今どんな感じで考えているのかを聞いていいですか?
小笠原:どちらから?
西:じゃあ小笠原さんから。
小笠原:そうですね。ChatGPTが出てから、ふだん使いでいろいろなことを聞いてしまっていることが多いですね。新しいプロダクトのことでも、引き継ぎ業務のことでも何でもいいんですけど、そういったことで「どういった段取りをしたらいいですかね?」とバーッと投げて、それについて答えてもらって、そこを自分でまとめる作業がだんだん当たり前になって、簡単な壁打ち相手としても使っている状況です。
西:ありがとうございます。
佐々木:そうですよね。このあたりの議論はすごく興味深いと思います。実は昔から僕はAIというジャンルがけっこう好きだったんですよ。僕は昔リクルートで「スタディサプリ」というサービスの立ち上げをやっていたのですが、その時から東大の松尾研究所という、今はAIでさらに有名になっているところと一緒に仕事をしていました。その当時は「ビッグデータ」という言葉だったんですよね。
僕は昔から、ビッグデータという言葉やマシンラーニングという言葉が好きで、AIにはそれが全部あったんですよね。ただ、今まではそのデータを活かすプロダクトがなかった。そのデータを活かす方法があまりなかったんです。マーケティングオートメーションの世界にはあったんですが、一般的なコモディティとしてプロダクトに出てきたのが結局AIだったんですよね。
ずっと何十年も前からあって、裏側の技術としては特に真新しいものはない。これが個人的にはけっこう胸アツだなと思っていたりしています。僕個人はエンジニアではないので、技術そのものにあまり魅力を感じない、惹かれない人間ですが、それこそブロックチェーンが暗号通貨で出てきたように、プロダクトがAIとなった時にすごく可能性を感じました。
先ほど木村さんがおっしゃったように、課題解決の選択肢が広がると思っていますし、それこそNotionはそうですが、僕は向こう3年、5年でAIが入っていないプロダクト、ソフトウェアは全部ローテク扱いになると思っているんですよね。これがPMにとっては喜ばしくも恐ろしいことなんですよね。
適用しないと相対的に一気にローテクになっていくので、Notion AIもそうですが、はっきり言って普通のエディタに戻れる気がしないんですね。もうなんか「無理だな」って(笑)。「編集してくれないエディタって使う意味ある?」とかに絶対になっちゃうんですよ。これは不可逆なので、適用する一択だし、どう使うか一択だなというところが本当に恐ろしくも楽しくもあります。個人としては両方ありますね。「がんばらなきゃな」って思っています。
西:ありがとうございます。
西:これに関連するところでAIの活用、AIのプロダクトへの実装が競争優位につながるのか・つながらないのか。また、実装しないことが競争優位的にどうなのかというポイントがあると思うんですけど、この点は木村さんはどう感じられていますか?
木村:先ほど真さんがおっしゃったことに僕はけっこう同意で、もうデフォルトでいろいろなサービスに使われる状態に、これから先、もう近年でそうなっていくと思います。(AIを)活用するのはある程度当たり前になってくるので、どちらかというと今後サービス特有のモデルをやはり作っていかなくちゃいけないと思います。
例えば先ほどJonasさんの話でもありましたが、たぶんこれからの時代は医療やエネルギーなど、あらゆるドメインの専門分野に答えられるモデルを作っていかなきゃいけないんですね。まだできないけれど、例えば画像にも対応できるモデルや、音声に対応できるモデルなど、夢は今後かなり広がって、技術ももっともっと発展していくと思っています。
なので前提として、何かしらの課題解決をしようといった時に、選択肢の1つにAIを考えなくちゃいけないと僕は思っています。ただこれはAIをずっと作ってきた側からすると、Jonasさんと同じ意見で、AIを使うことを目的にしてはいけなくて、その中の選択肢の1つでAIを使うかどうかというのがポイントになってくると思います。
「AIを使おう!」と3年ぐらい騒がれている中で、まだまだAIを使うことが目的になっていたのですが、やはりChatGPTの完成度がものすごく高いので、今まで以上に選択肢の1つとして、すごく重要なポジションとして認識しなければいけない。もうこれを当たり前にしなくちゃいけないというのが、近年の動向になってくるだろうなと僕は予想しています。
西:なるほど。ありがとうございます。メチャクチャ勉強になるな。今のテーマだけで30分ぐらいかかっちゃいそうなんですけど(笑)。
(一同笑)
(次回へつづく)
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