2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:最後の講演は、本カンファレンスの公式監修者であるホリエモンこと堀江貴文氏が推薦された、日本のスタートアップの未来を牽引する3社のすばらしい経営者の方をお招きしました。
日本復興の鍵はものづくりにあるとともに、今日お越しのリアルテックスタートアップがどのように世界にはばたけるかが、重要な鍵となってくるのではないでしょうか。本日は「リアルテックで世界を制す、日本からテスラが生まれるには」と題してお送りします。
株式会社Helical Fusion共同創業者代表の宮澤さん、株式会社SkyDrive 代表取締役CEOの福澤さん、インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長の稲川さんです。みなさま、どうぞ拍手でお迎えください。
(会場拍手)
司会者:「日本のリアルテックで世界を制す」というところの、重要な鍵を握っている3社といっても過言ではないかもしれません。みなさま、あらためてどうぞよろしくお願いします。
稲川貴大氏(以下、稲川):私は、ロケットを開発しているインターステラテクノロジズの稲川です。本日はモデレーターをやれと言われました。裏で話をしていても、非常におもしろくて止まらなかった感じなんですが、やはり社会を変えるのはハードウェア系の、特に新しいものだと思っています。
ロケットと空飛ぶクルマと核融合って、ぜんぜん違っておもしろい。どう合わせるかが難しいんですが、難しくてもいい。何がいいかって、とにかく各事業それぞれが達成するのが難しいところです。
逆に、困難をけっこう突破している部分もあると思う。我々が突破している部分や苦労している部分を共有できると、良い回になるかなと思っております。
稲川:最初に各社の紹介をします。まずは、我々インターステラテクノロジズを知らない方を前提として紹介させていただければと思います。
我々は「ホリエモンロケット」という言われ方をすることもありますけれども、本当に真面目にロケットの開発をしています。そして、今やロケットだけではなく人工衛星もやり始めているんですが、宇宙開発全般の事業をしっかりやっていこうとしています。
ロケットは打ち上げ場所が非常に重要です。我々は、北海道の十勝地方の海沿いにある大樹町という、人口5,000人くらいの町に本社とロケットの発射場を置いています。もちろんそこだけでは開発が難しいところもあるので、東京や福島にも開発拠点があります。
メンバーは117人で、全体の4分の3が研究開発メンバーです。ということで、本当に研究、開発、製造、それぞれしっかりやっているという会社になっております。
私自身は変わった経歴というか、大学を出てすぐにインターステラテクノロジズに入っています。このインターステラテクノロジズという会社自体は、研究会のような前身団体(なつのロケット)があり、2005年ぐらいからは研究者などで、次世代のロケットをどうすればいいかを考えた人たちのチームがありました。
2005年から、そこに堀江(貴文)さんが資金を出したり、いろいろと人をつないだりしながらやってきました。
稲川:ちょうど不幸なタイミングというか、堀江さんが遠くに“出張”に行っていたタイミングがありました。それが明けて、堀江さんが出所したタイミングで、インターステラテクノロジズが実際に立ち上がりました。
会社が立ち上がったのが2013年で、私もそのタイミングでジョインしました。最初は事業開始のタイミングで社長がいたんですが、難病にかかって体調不良になったこともあって、わりとすぐに私が代表に変わって、今は10年ぐらいやっています。
私自身はもともと技術の人間です。ロケットを実際に設計したり、制御が専門なんですけれども、開発もやりながら、今はわりと人数が増えてきたので経営側もやっています。
我々のビジョンとミッションは「誰もが宇宙に手が届く未来をつくる」で、世界に選ばれるロケットを作ろうとしています。
宇宙って、「ロマンがあるよね」「夢があるよね」という話をなんとなく思い浮かべたり、もしくは「ビジネスにならなそうだ」と思われているんですが、世界の現状はまったく違っていて、すごく投資が集まる領域になっています。
宇宙を使うと、かなりいろんなところで儲かる可能性があるよねということで、残念ながらこの前は失敗してしまったんですが、最近は日本国内でも「ispace」という月面着陸船(を開発する)上場企業が生まれています。
月面もそうだし、我々のように「ロケットで宇宙に行きます」という輸送業部分もそうだし、宇宙のデータを使いましょうとか、もっと火星に行きましょうとか、いろいろなビジネスが起こり始めています。特にイーロン・マスクのSpaceXなんかは、実はもうビッグビジネスがかなりできている状況です。
稲川:一方で、宇宙に行くってまだまだハードルがすごく高いので、我々はまずはこの宇宙ビジネスにおいて、そこを解決する手段としてロケットをやりましょうという企業です。
ここも繰り返しですが、ロケットは宇宙への輸送手段ですし、ビジネスとしては輸送業です。なので、宇宙に物を運びたい人に対して配送料をいただくという非常にシンプルなビジネスモデルですが、現状は機会がない上に高いし、時間もすごくかかります。
例えば日本でいうと、この前、新型の「H3ロケット」という国の基幹ロケットが打ち上げに失敗してしまいました。今、日本は危機的な状況で、2022年に日本国内でロケット打ち上げに成功した回数は0回です。
一方で、アメリカは年間60回から70回ぐらい打ち上げをしています。それぐらい、そもそもアメリカは宇宙に運べる機会やチャンスがたくさんあり、そのほとんどがSpaceXで、民間企業がどんどん輸送を担っている。
日本は、国のロケットの打ち上げ回数も少ないし、我々もかなり出てきていますけど、民間はまだ打ち上げできておらず、もう数年かかる状況です。
極端にすごく数の差が開いてしまっているので、機会もないし、とにかく高いし、運ぶのもいろんな規制というか難しいところがあるので、ここを解決する新しいロケットを作りましょうと。
やはりそのためには、国や大手の企業がやるのではなくて、スタートアップというビークルとしての法人がすごく大事だと思って、ロケットを作っています。
具体的には、「MOMO」という、人工衛星にはならない観測ロケットと言われるロケットです。これまでに7回打ち上げをやって、実績をしっかり作っています。
国内で、民間企業では初めて宇宙空間に到達したロケット機を作ったのが、我々インターステラテクノロジズです。実績を作った「MOMO」があって、メインのプロダクトである「ZERO」というロケットを一生懸命作っている最中です。
けっこう重要な試験がこの夏から始まるので、ここを乗り越えて、1年、2年かけて機体を全部作って打ち上げましょうということを、まさに今やっている最中です。ご紹介は以上になります。
稲川:それでは、宮澤さんお願いします。
宮澤順一氏(以下、宮澤):では次に、Helical Fusionをご紹介したいと思います。私はHelical Fusion代表の宮澤と申します。よろしくお願いします。今日は、泣く子も黙るインターステラテクノロジズさんと、SkyDriveさんと同じ壇上に立てるとは思ってもみませんでした。
我々は、まだ立ち上げて2年目のすごく小さい会社です。「核融合」というと、ちょっと聞きなれない、あるいは最近ちょっとブームになっていますので、お耳にされたこともあるかもしれません。そういった、大きなものを扱う会社ということで選んでいただいたのかなと思っています。
我々のビジョンは「人類は核融合で進化する」です。核融合とは、太陽などが燃えている原理と同じです。軽い水素が融合してヘリウムや重い原子に変化する時にエネルギーを放出します。
宇宙では、核融合によって星々が輝いています。人類がこの核融合エネルギーを手にすれば、それこそ何万年も何十万年も永続できる文化を手にできるんじゃないかという、究極のエネルギーとして考えられています。
日本だと、湯川秀樹さんや名だたる物理研究者が「核融合は簡単だ」と言って(研究を)始めたんですが、実に70年経ってもまだ実現されていません。そのような、科学の中では最後の砦と言いますか、やっている本人たちも「もうできないんじゃないのか」と、いつもすごく悩んでしまう難しい課題です。
私自身も25年間、ずっと核融合の研究をしてきたんですが、この70年の先輩たちの歴史を経て、最近の新しい知見や技術を入れますと、「これ、できるんじゃないかな?」「本当にできるかもしれんな」と、我々の仲間同士で思ったのがこの5年くらいです。
宮澤:世の中を見回すと、アメリカでは核融合ベンチャーがたくさん立ち上がって、お金をたくさん集めています。
あとで話題に出てくると思うんですが、どこの国でも「核融合は国プロ(国家プロジェクト)で、民間がやることじゃないよ」という話だったのが、アメリカでは「民間がやれ」という感じになってきているんですよね。
それに背中を押されるかたちで、「我々もやったろうじゃん」と飛び出してきました。元が田舎の研究者なので、どうすれば会社を立ち上げられるのかというところから始まりました。
幸運にも、知人の紹介で知り合えた田口(昂哉)という者が、銀行などでの豊富な経験を活かしてビジネス面を見てくれ、私が技術面を担当するという、2つの頭を持つ会社として立ち上げることができました。
背景として、これから中国やインドをはじめ、ますます新興国でエネルギーが必要になってきますし、人口も増えていきます。しかるに、まだ脱炭素や安全性、安定性を満たせるエネルギー源を実現できていません。
もちろん、原子力、火力、自然エネルギーなどをミックスしてうまく使っていかなきゃいけないんですが、それだと1,000年先とか1万年先は見えないと、私なんかは思うわけですね。我々の存在価値として、そこに核融合エネルギーというオプションを追加したいと思っています。
核融合エネルギーの特長は、CO2を排出しない、基本的に燃料が無尽蔵、安全性が高くて持続的な運転が可能ということです。あと10年以内、2034年までに世界初の定常核融合炉を実現するのが我々の開発計画になっております。
宮澤:先ほども言いましたが、水素の原子核同士の衝突・合体により莫大なエネルギーを生むのが核融合反応です。これを地上で起こすためには、燃料となる水素を約1億度の高温で10気圧程度の高密度にして、長い時間閉じ込めるという3拍子を揃えないといけません。
我々が一番有力として考えているのがヘリカル方式です。(スライドを示し)こちらは、私含め弊社の研究者が長年実験に携わってきた、大型ヘリカル装置というプラズマ実験装置の写真です。岐阜県の土岐市にあり、随時見学も受け付けておりますので、みなさんもご興味があればお訪ねください。
世界には似たような装置がいっぱいあるんですが、この装置は世界で唯一プラズマ温度1億度、プラズマ保持時間3,000秒以上を達成している装置です。我々はこの装置で得られた知見をもとに、核融合炉を作ろうとしている会社です。
ヘリカルよりも、むしろ世の中で有力なのはトカマクと言われております。実際、日本、ヨーロッパ(EU)、アメリカ、中国、インドなどの7極が協力して、フランスに大きなトカマク装置ITER(国際協力によって核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設)を建設中です。
(スライドを示し)この図の左側にあるトカマクはわりと簡単な構造で、青く透明な部分であるプラズマと、平面コイルを組み合わせただけのものです。ですから、建設はわりと簡単なんですけれども、このプラズマを持続させる連続運転がすごく難しいという特徴があります。
我々が選択したのは右側のヘリカルなんですが、コイルをひねってあるので作るのが難しいです。しかし、いったん作ってしまえば、プラズマはほとんど寝ていてもずっとつけていられるので、オペレーションがすごく簡単です。
宮澤:また、ヘリカルのほうがメンテナンスも簡単という特長があります。そのため、発電インフラとして適しているのはヘリカルだと、我々は結論づけました。
ITERという名前が出てきましたが、今、これには2兆円を超える予算が投入されています。全世界で40社くらいの核融合スタートアップが立ち上がっており、総額で5,000億円以上集めています。
ブルームバーグの試算によると、将来の市場価値は6,000兆円と、ちょっと聞いたことないような数字なんですけれども、非常に大きなエネルギーですから、市場を生むということで期待されております。我々は、ここに参入していこうとしています。
まだ時間は余っていると思うので、ちょっと追加で言わせてもらうと、私のもともとの夢は火星に行くことだったんですよね。でも、火星に行くには目も悪いし、運動神経も良くないし、1つ手に職があったほうがいいなと思いました。
それで、「核融合ロケットのエンジニアになったら、火星ロケットに乗れるんじゃね?」と思って、さっさと核融合を実現して火星ロケットの開発に行こうと思っていたら、核融合にハマること25年。もう、この歳になってしまったんですけれども。
空を飛ぶことにも非常に興味がありまして、大学では航空部に入ってグライダーで空を飛んでいました。
グライダーって大変なんですが、SkyDriveさんのような1人乗りの、あるいは数人乗りの飛行機でバーっと飛べたら非常にいいなと思っていて、今日は私もすごくワクワクしております。発表はこれでおしまいです。ありがとうございました。
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