2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山元亮典氏(以下、山元):CTO百景、始まりました。モデレーターはVoicyエンジニアリングマネージャーとして技術組織全体を統括している山元です。“やまげん”と呼ばれています。
赤澤剛氏(以下、赤澤):わーーーい!(拍手)
山元:(笑)。番組の最後ではお便りによる質問も受け付ける予定になっています。質問だけではなく、コメントももらえるとうれしいので、ぜひコメントしてください。
ということで、本日のゲスト、アルファドライブ執行役員CTOの赤澤さんに来ていただきました。よろしくお願いします。
赤澤:よろしくお願いします。ありがとうございます。呼んでいただけて本当に光栄です(笑)。
山元:実は僕もリアルで(CTO百景を)収録するのは初めてで。
赤澤:えっ!?
山元:お顔を見ながら収録をしたことはないんですよ。
赤澤:そうなんですね。じゃあずっとリモートで。
山元:はい。リモートでクラブハウス形式で登壇してもらっていました。なので、今日はすごく楽しみです。
赤澤:今日はVoicyさんのオフィスにいるんですが、素敵すぎてニヤニヤが止まらなくて。ミーハーな感じで写真撮っちゃいました。
山元:ありがとうございます。
赤澤:今日は和室で録らせてもらっています。
山元:そうですね。和室、黒い畳でけっこうシックな感じなんですよね。
赤澤:居心地も良いよね。さっき「鍋したい」と言って「匂いがつく」と怒られました(笑)。
山元:鍋は確かにちょっと厳しいです(笑)。
赤澤:でも本当に、仕事でも収録でも素敵ですね。
山元:そうですね。最近オフィスを移転して。2022年8月ぐらいですかね。今はピカピカのオフィスです。
赤澤:いやもう本当にピカピカで素敵ですね。
山元:この収録室はわざわざ工事をして入れているので。
赤澤:じゃあ、専門の(場所なんですね)。
山元:はい。
赤澤:どおりで居心地が(良い)(笑)! 本当にありがとうございます。
山元:(笑)。というようなかたちで、今日は楽しくやっていけたらと思います。
赤澤:よろしくお願いします。
山元:最初は自己紹介だったり、今やっている事業の紹介だったりから入れたらと思うんですが、お願いしていいですか?
赤澤:まずはちょっとゆるっとしたお話なんですが、あらためまして、株式会社アルファドライブCTO、そして株式会社ニューズピックスで技術フェローをしています、赤澤と申します。よろしくお願いします。
山元:よろしくお願いします。
赤澤:私がいるアルファドライブとニューズピックスは、両方(株式会社)ユーザベースという企業のグループで、その2つの事業体、事業会社に所属しています。
ユーザベース自体は経済情報を使って「誰もがビジネスを楽しめる(世界をつくる)」、楽しくするということをパーパスにしている企業なんですが、実は1つ特徴があって。BtoB向けのSaaSとBtoC向けのメディアの両方をやっている、ちょっと珍しい会社です。
BtoBとBtoCを両方やっている会社はないわけじゃなくて、当然世の中にはあるんですが、その中でも、例えば企業で働く人がやりたくないことをやらずに済んだり、やりたいことをもっと早く簡単にできるようになったりというSaaS事業を中核としつつ、Cの部分がメディア(になっています)。
手前味噌ですが、自分たちは(このメディアのことを)“ソーシャル経済メディア”と呼称していて、日本最大規模の経済メディアを持っている。このメディアのルートと、(それとは別に)BtoBのSaaSを両方やっているところが1つの特徴になります。
その中で僕は、アルファドライブという会社で、BtoB向けのSaaSを開発しています。企業さま、特にエンタープライズクラスの大企業のお客さまと一緒に組んで新規事業を開発する、技術で支援するというところで、自分たちでもSaaSを2つ作っています。
(そんな)新規事業開発のプロセスを一気通貫して効率化を目指せるようなSaaSが1つ。そして今はまだオープンにしていないんですが、トライアル状態のインターナルな新SaaSが1つ。もう1つは「NewsPicks」と一緒に……。NewsPicksは知っていますか?
山元:もちろん知っています。会員ですから。
赤澤:本当ですか? ありがとうございます。ユーザベースの中でみなさんに一番知ってもらえているのは当然NewsPicksです。(このメディアは)経済メディアですが、キュレーションと自社メディアの両方の側面を持っていて、プラスアルファ、そこにコメントをしてもらえる。かつ、有識者の方から補足の解説をしてもらえたりして、ニュースの理解を深めるというサービスです。
このエンタープライズエディションを実は我々が作っています。わかりやすく言うと、企業のみなさんに一括導入するというところがあるんですが、単にNewsPicksを企業にまとめて入れて、みなさんの会社で使ってもらえるというだけじゃなくて、プラスアルファ自分が読んでいて仕事に役立つニュースを手に入れるのがNewsPicksだとしたら、それを自分だけじゃなくてチームで……。
例えば「自分たちの営業チームが担当しているお客さまのニュースって見てる?」「自分たちの業界とか競合他社のニュースっていち早く読んでる?」というふうに、自分だけじゃなくて自分のチームで読んでほしい、読んでいきたいニュースがあると思うんですが、それをいち早く取り入れたり、メンバーにシェアしたり、もしくは「他社がこういうサービスを始めたけど、なんでこんな価格でできるんだろう?」というかたちで、ニュースをベースにディスカッションするような機能がついたり。
企業の中でニュースを活用する、自分たちの仕事に一番役立てるというプラスアルファの機能を付加して「NewsPicks Enterprise」の提供をしています。
自分たちの新規事業向けのSaaSと、NewsPicksのエンタープライズエディションを開発しているのが僕のチームになります。
山元:おお、いいですね(笑)。
赤澤:ありがとうございます。
山元:ちなみに“剛さん”とお呼びしていいですか?
赤澤:もちろんです。では私も“やまげん”さんで。
山元:よろしくお願いします。
赤澤:よろしくお願いします。
山元:じゃあ剛さんはBtoBのところ(の業務)が主になっているようなイメージなんですか?
赤澤:ありがとうございます。実はその質問、うれしくて。僕は今グループでいうと3社目なんですが、BtoB(歴)が長くて、すべての企業でBtoBをやっています。大学を卒業して新卒でワークスアプリケーションズという会社に入ったんですが、これは意図せずBtoBだった。
山元:意図せず?
赤澤:嫌だったという意味じゃなくて、(ただ)強く想いがあったわけではなくて。いろいろな側面で惹かれて(入りました)。それこそ新卒の給料が良かったというのもあるし、社長の言葉に「あぁ、(この会社)いいんじゃないかな」と思ったのもあったんですよ。
10年ぐらいERPや会計のソフトを作っているうちに、みんなが作っているサービスもすごく楽しいし素敵なんだけれど、仕事って、自分でソフトウェアを選べなかったりするじゃないですか。「それが使いにくいってつらいな」「(自分が作ったもので)働く人が楽になったりするのも悪くないな」というようなところでBtoBに惹かれたというのもあります。ただ、BtoCにも興味がすごくあって。
山元:そうですよね。
赤澤:みんなが使っている側面のおもしろさと、もう1つはやはり技術的なおもしろさ。新しい技術や先行した技術ってBtoCの領域から来て(いる)。やはりトランザクション数が圧倒的に多くて、分散的に大量の処理をしなきゃいけないとか(がBtoCにはあります)。それこそゲームなんかもそうですし、音声メディア、ニュースメディアもそうです。
なので、BtoBは好きなんだけど、BtoCもやりたい。わがままだけど両方できる企業はないかなと探していって、たどり着いたのがLINEの金融部門だったり、今回のユーザベース、アルファドライブだったりするんです。
やはりtoBとtoCのどちらも魅力的で。裏返しのところもあるんですが、BtoBのドメインのおもしろさと、BtoCのドメインのおもしろさプラス技術のおもしろさ。わがままだけど両方やりたいという(思いからユーザベース、アルファドライブを選んだというのが)私の経緯ですね。
山元:めちゃめちゃ軸が通っていて……。すごい選択をしていますね(笑)。
赤澤:打ち合わせはぜんぜんしていないのに、めちゃくちゃすごい。ありがとうございます。
山元:ちなみにVoicyもBtoBもBtoCもやっているので(笑)。
赤澤:素敵(笑)!ここでフッキングされるっていう(笑)。もちろん知っています!
山元:(剛さんが)お話しされたことはすごくわかります。やはりtoBはtoBでけっこうドメインが深くて、きちんと実装しないといけない。技術はもちろん、品質の高いものを作るとか、あとはそのドメインモデルをどう作るかみたいなのって、めちゃめちゃやりがいがある仕事ですよね。
赤澤:そうなんですよね。今だとマルチテナント型のSaaSだったりするので、それこそデータのセキュリティをどうするかとか。僕らだとAWSを使っているんですが、マネージドサービスの「Aurora」のデータベースで「PostgreSQL」エンジンだからRow Level Securityを実装しなきゃいけないとか。
山元:あぁ、わかる!
赤澤:細かいんですが、そういったセキュリティのところもやはり難しさとおもしろさの両方があるので。どっちがいいとかじゃなくて、BtoBのおもしろさもあれば、その裏返しでぜんぜん違う領域のBtoCのおもしろさもある。なので、toB、toCの両方をしている企業は素敵ですよね。
山元:素敵ですね(笑)。
赤澤:すごくわかります(笑)。
山元:これを聞いたエンジニアさんは、今後の検討をする時にちょっとそういう軸を入れてみても(いいかもしれません)。
赤澤:そうですね。「どっちもおもしろい」という結論になっちゃっていますが。
山元:はい(笑)。
赤澤:だから、どっちもやっている企業は最高。
山元:あとtoCはトラフィックとか、あのあたり(の難しさがあるん)ですよね。
赤澤:そうですね。そこはもう絶対的な難しさです。最初入った時のイメージと違ったのは、BtoCのほうがそのあたりのお客さまのシビアさというか、そこのおもしろさもやはりあって。前提として、BtoBも大好きだということもありつつ、BtoCに目が向いていくというのはありますね。
やはり(toCは)使う人と買う人が同じじゃないですか。ユーザーと購買決定者が同じなので、意思決定が早い。要は、ダウンロードして、何かあって「ちょっとダメだな」と思われたら、すぐに削除されたり。
例えば5秒待って遅かったら、SNSで「このアプリはダメだ」って書かれたり。そういったシビアさがある領域で作っているエンジニアリングやアーキテクチャは、僕にとってはすごく魅力的だったので、そのおもしろさはありました。
逆にtoBのほうがいろいろ調整が利くというのは、エンジニアになってから気づいたことですね。BtoBのほうが堅いイメージがあるじゃないですか。でもBtoCはユーザーがシビアだというのはおもしろい。新鮮だったし、怖いなとも思いました。
山元:めちゃくちゃそのとおりで、確かにその発想はあるなと思いましたね。やはり購入して(その後の)体験が優れていないと、「せっかく買ったのに」というクレームというとアレですがお問い合わせをいただいたり、厳しい意見をたくさんいただいたりとかあるじゃないですか。
赤澤:そうです。出した瞬間に星を押されちゃうみたいな(笑)。「もうちょっと待って! もうちょっと待って!」みたいな。
山元:(toCは)プロダクトそのものの性質というか、クオリティに寄ってくるというのは、聞きながら「確かにそうだな」と思いましたね。
逆に、toBはどちらかというとビジネスを一緒に作っていけるようなところがおもしろいのかなと思っていて。カスタマーサクセスの方などががんばりながら(取り組む)というところも案外あったりするので、確かにその違いはありそうですね。
赤澤:そうなんですよね。そのユーザーの違いもおもしろかったし、同じような驚きでいうと、BtoCのユーザーが遠いというわけじゃないんですが、BtoBのユーザーって、逆にめちゃくちゃ近くなるんだなとも思いました。
要は本業の延長でしっかり話をしてくれたり、自分たちのプロセスなどをすべて開示してくれて。協創というか、一緒に作る関係性にもなるので、BtoCの難しさ・おもしろさと、BtoBの難しさ・おもしろさ(がある)。
だから、逆に大事なセキュリティとして高い部分(でありつつ)、でもトランザクションとしてシステム的に重要視される部分というか。ユーザーからの近さで意外にBtoBのほうがお客さんの情報はしっかり出て、マスじゃなくて特定のユースケースに沿って作れる部分があったので。勝手なイメージと実際やってみてのギャップはいくつかあったし、それは自分にとってどれもおもしろくて新鮮でしたね。
山元:めっちゃ楽しんでますね(笑)。
赤澤:楽しいですよ。結局(toCもとtoBも)どっちも楽しいんですよね。
山元:どっちも楽しいんですね。
赤澤:どっちも楽しい。
(次回に続く)
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