2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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Brandon K. Hill氏(以下、Brandon):次に仕事やビジネスにおける影響。(スライドを示し)僕が参加したカンファレンスで説明していた、Generative AIが影響を与える業界のリストです。緑が一番直近で影響を与えています。頭の片隅に覚えておいていただければ、こういう業界に影響があります。
まず時間短縮がすごいですね。AIを活用してプログラミングやコーディングした場合に、マイナス55パーセント。時間が半分以下で終わるという例です。
あとはグラフィックデザインですね。画像を作るので言うと、人間が300時間ぐらいかけてやるさっきのアニメの絵みたいなのを、1分以下で生成するぐらい時間の短縮になる。
紙がない時代はみんなが脳で全部記憶しなきゃいけなかったんですよ。それが紙ができたらメモれるようになったから、記憶力がそんなに重要じゃなくなったらしいんですね。あとは電卓ができる前は、暗算や計算力、そろばんの使い方などがものすごく重要だったんですけど、電卓ができたことによってその能力はそこまで重要じゃなくなったじゃないですか。
一番わかりやすい例は洗濯機なのかなと思っています。洗濯機ができる前、人間は板で洗ってたらしいんですけど、先進国だったら今「うちは洗濯機使わず、こだわって板で洗ってます」という人ってほとんどいないと思うんですよ。
小川りかこ氏(以下、小川):大変すぎます(笑)。
Brandon:まだまだ世の中、「AIなんてまだ使わないよ」「今後も使う予定ないよ」って言われてる方いたとしたら、「あなたは洗濯機できても、洗濯機を使わないで手で洗いますか」に近いと思うんですよね。
なので「AIを使わない」が今後、本当にちょっと非効率的なだけになる可能性があるなと思ってるんですよね。電卓使わないで全部手で計算してたら、たぶん上司に怒られると思うんですよ、お前何やってんだって。「電卓使えよ」って(笑)。
(一同笑)
たぶん「AI使えよ」みたいになる。
Brandon:「まだ手でメール書いてるのか、ChatGPTに書かせろよ」みたいになると思う。例えばWBCで勝つ方法を教えてと言ったら教えてくれたりしますよね。
あとは、MicrosoftのMicrosoft 365 Copilotですけど、PowerPointでプレゼン資料を作るのに文字を入れたら資料を生成してくれるようになってきています。イチから全部自分で、手でプレゼンを作る時代はもう終わると思います。
これはGoogleの事例ですけど、英語で「こういう求人を書きたい」って言うと、ポジション名を入れると求人の内容もバーって書いてくれたり。Adobeは画像をすぐ生成してくれて、ちょこちょこいじるだけでグラフィックデザインが完成します。
スケッチ描いてロゴのデザインとかする時も、AIと一緒にやることで強烈に時間が短縮できる。僕たちデザイナーが今まで血のにじむ思いでやってたことを、一瞬でやってくれちゃう。
傍島健友氏(以下、傍島):うわぁ……(笑)。
Brandon:あとはエンジニアだったら、アプリのコーディングをAIが生成してくれたり、プロダクトマネジメントにおいてもChatGPTがいろいろアドバイスしてくれたりします。
いろんなツールをまとめたんですけど、いろんな業界におけるAIツールがすでにどんどん出てきて、もうすでに存在してる状態です。なので完全人力とwith AIって、こういう感じに近いと思ってるんですよね。
(一同笑)
人力でやるのか、機械を一緒に使うのかみたいな。『ラスト サムライ』という映画を見たことある方はわかるんですけど、刀で戦ってて相手がマシンガンだったらやっぱり勝てないじゃないですか。刀にこだわることはいいんですけど、現実問題厳しくなるので、機械を使わないとね。
なので「最強のアシスタント」を、それも複数人ゲットしてる状態なのかなと思っています。
Brandon:アシスタントとしてブランディングに生成系AIを使った例をお見せしますね。
例えば「British Airwaysという航空会社とBURBERRYがコラボしたらどんな感じになる?」とアシスタントに言うと、(スライドを示し)こういうものを生成してくれたり。
小川:おしゃれすぎます(笑)。
傍島:実際はないんですよね。
Brandon:ないない。コンセプト作りの時に役立つね。
あとは「JeepとTHE NORTH FACEが一緒にやったらどうなる?」って言ったら、こういうものができあがります。
小川:かっこいい!(笑)。
Brandon:NIKE×Tiffanyは実例があるんですけど、AIがNIKE×Tiffanyやったほうがかっこいいのが出てきました。
小川:欲しいです、スニーカー(笑)。
Brandon:あとはadidasとクレヨンのメーカーでやると、こういうものができあがります。ポスターみたいなのも作ってくれたりします。
傍島:これはすごいなぁ。
Brandon:そうでしょう。とある方は「どういう仕事がなくなるか」とChatGPTに聞いてくれたんですけど。
傍島:ドキドキするな(笑)。
小川:探したくないですよね(笑)。
Brandon:これはちょっと心が痛くなるので(笑)、僕が整えました。なくなるんじゃなくて、変化すると思ってください。仕事がなくなるんじゃなくて、AIを使ってやる仕事に変わる。それにも、「直近」「中期」「長期」的な変化があるかなと思ってて。
フォトグラファーやイラストレーターや文章を書くライター、モデルは、AI使うとだいぶ変わりますよね。写真をリアルで撮らないシーンも出てくると思います。
中期だとコーディングやリサーチ、グラフィックデザイン、あとユーザーインターフェースのデザインや秘書などが、AIをだいぶ活用できます。長期的に言うと、こういう専門職もAIを使うべきだし、使ってないと単体ではかなりしんどい状態というか、勝てなくなるので考えてみた状態でございます。
Brandon:ここまででやっと最後の事例になります。あと3分ぐらいなのでちょっと説明させていただくと……うちはヤンマーさんという産業機械のブランドの海外向けのブランディング、国内も海外もやっています。今ロボットを使ったアニメを作っているんですが、その第1弾のコンセプトワークをする時のお話をします。
短い納期でデザインコンセプトアイデアを出さなきゃいけない時期が、デザイン会社にはよくあるんですけど。これがどの案件も、だいたい無茶ぶりになるわけですよ。
どうするかというと、従来的にはデザイナーが徹夜して血を吐きながらやるみたいなことがよくある中で、我々は「AIがあったじゃないか」って思って、AIを活用しました。生成系AIを活用して、大量にデザインアイデアを出すことになりました。
既存のデザインプロセスで3週間でやろうと思っても、結局ゴール設定してディレクション決めてスケッチして、クライアントさんにレビューしてもらって、修正してレビューしてもらう工程が絶対必要なんですよ。そうなってくると、こういうプロセスになって40日・8週間かかります。絶対に間に合わないんですよ。
AIを活用してどうやったかというと、最初の2つは人力なんですけど、ここからAIです。「1day」って書いてますけど、数時間がいいところですよね。レビューも短いんですよ、オプションがどんどん多くなるので。
AIでそれを元に修正して、レビューして修正して、レビューしてもらって最終アウトプットみたいなものを、かなり圧縮したスケジュールとスピードで行いました。15日・3週間ですね。それで間に合ったという。
Brandon:実際に、こういう画像をバーっと出してくれました。スライドのものは一部で本当は何百とあったんですけど、こういうふうにどんどん出させました。実際にデザイナーが手を加えたりしながら、レビューしてもらってを繰り返しやったところ、速いスピードで大量のビジュアルを作っていって、人力で絵を描いているのは1つもなくなりました。
コンセプトワークなので、世の中に出すものではありません。ディレクションを決めるためのコンセプトワークとしては、すごく使えた例ですね。
結局、スピード向上とメンバー構成の効率化、逆にエンジニアを入れたりはしたんですけどね。バリエーション増やしたりスタイルも選べますし、リアルタイムでAIで修正させられますし、24 for 7で動いてくれる(笑)。病気もしないですし残業に文句も言わないですし、ブラック企業だって訴えられることもありません。
(一同笑)
うちとしてもこのプロセスを正式に、4月1日からすべてのプロジェクトに活用することにしてやっていくということで、AIデザインを入れてくというお知らせですね。まだ世の中には発表してなかったんですけど、ここで初めてお知らせになります。
なのでパパッといっちゃいましたけど、おさらいとしては……生成系AIは文字・画像を入れてなにか生成して、いろんなアウトプットできます。プロンプト、呪文が重要で、エンジンはLLMという言語モデルを使ってます。
今後、紙や電卓、洗濯機のような存在になるし、いろんな仕事がそれによって変化します。実際デザインの現場では効率性が格段にすでに向上していて、我々もその恩恵にあずかっている次第でございます。
一言で言うと「複数のアシスタントを獲得した状態」になります。かなり効率が上がって、より豊かな生活が人間はできるようになるのではないかと僕は思っています。
ダーウィンの言葉ですね。「Adapt or die」という、「変化に順応していけなければ滅びる」って、これシリコンバレーのテーマにもなってるキーワードですけれども。今まさに、これが世の中が直面している状態なのかなということです。以上になります。
傍島:ありがとうございます。今の、いい言葉ですよね。Generative AIとかAIにやられるんじゃなくて、順応するか滅びるかと。すごくいい言葉ですよね、私は好きですね。
Brandon:ありがとうございます。
小川:がんばってAdaptしていかなければ、という感じですよね。ありがとうございます。それではここで傍島さんより、Tomorrow Accessから『シリコンバレー駐在ガイドブック』についてのご案内がございます。傍島さん、お願いいたします。
傍島:ありがとうございます。Brandonさん、すいません。少しだけ告知をさせていただいて。前回もお話ししたんですけれども『シリコンバレー駐在ガイドブック』をリリースしました。ここでは生活編、ビジネス編、シリコンバレー奮闘記、ブログの情報を並べていまして。
まさに来週から、4月から新年度が始まりますので、新しくシリコンバレーに来る方はたくさんいらっしゃると思いますので。その生活の立ち上げや銀行口座の開設、ソーシャルセキュリティナンバーの取得の方法などのマニュアル的なものをまとめました。ビジネス編でも、どういったかたちで仕事をしていったらいいのかのアイデアもまとめています。
本日リリースしたんですけれども、イベントカレンダーを作りました。シリコンバレー・アメリカが中心で、世界中のイベントの情報の1月はCESから始まります。リテール系のイベントなどのイベントの情報を網羅しています。どこでやってるのか、どういったテーマでやっていて、だいたい何万人ぐらいが集まって、チケットがいくらするかみたいな情報をまとめさせていただきました。
これは日本にいる方に向けてのメッセージでもあるんですけれども、シリコンバレーによくたくさん出張でいらっしゃる方が多いんですが、いわゆる表敬訪問はご法度になっているということもあって、なかなかシリコンバレーの情報を得るのは難しい実情はあるんですね。
ただ、こういったイベントに出て情報を得るのは、スタートアップ側にとってもすごくウェルカムな状況なんですね。ぜひ情報収集に行く上ではイベントをきちんと活用して、情報を知っていただきたいと思います。そういったことを込めて、こういった別枠を作りました。ぜひ興味のある方はご覧いただければと思います。
小川:これから駐在される方はこういったものがあると、とても心強いのではないでしょうか。ぜひご参考にされてみてください。傍島さん、本日はご質問をすごく頂戴しております。
傍島:まだ2~3分あるので、いけるところまでいきましょう。
小川:よろしいですか、ありがとうございます。「正直これからのデザインスキルやエンジニアスキルに関して、何をすればいいのか不安です。これからのデザイナーやエンジニアの生き方をアドバイスください」ということなんですが……(笑)。
Brandon:今まで以上にものすごくコミュニケーション能力が重要になってくると思いますね。表現したいものを言葉で説明して、それをAIにも伝えて、それを作ってもらう。アシスタントなんでね。アシスタントに「こういうの1回デザインしてよ」って伝えるという、1人作業じゃなくなる感じ。
職人みたいに黙って手を動かせばいいという時代はほぼ終わります。デザイナーでもエンジニアでも、どういったものを作りたいかを言葉で表現して、それで自分の理想に近いアウトプットを生成してもらうスキルが必要になると思いますね。
デザインは特にそうなんですけど、幅広い知識とアイデアが必要になってきています。いろんな映画や歴史を知ってると、AIに説明する時に「『マトリックス』調で、こういうデザインして」とか言えるじゃないですか。「『ターミネーター』っぽいロボットにして」とか。
そういう雑学というかリベラルアーツというか、いろんな趣味嗜好を持ってる人が活躍しやすくなると思いますね。好奇心が強い人が重要だと思います。
小川:ありがとうございます。もう少しお時間ありますかね。「生成されたものの著作権についてもどうなっていくのか、このあたりも気になります」ということなんですが、いかがでしょうか。
Brandon:まだまだ判例とかが出てきてない、法規が整ってないんですけど、現在のところアメリカの著作権オフィスでは「AIが生成したものそのものは、著作権は誰にもない」というかですね。「生成させた人には帰属しない」と書いてありました。
そこに人間の手を加えて自分のクリエイティブに活用した場合は、その人の作品にはなるけれども。生成されたそのままを「自分のものだ」って言う権利はない、と書いてありましたね。そりゃそうですよね(笑)。
傍島:確かに(笑)。言われてみればって感じですけどね。でも、著作権問題は論点になりますよね。
Brandon:今後はどんどん変わってくるとは思いますけどね。
小川:ありがとうございました。ではそろそろお時間ですかね、傍島さん。
傍島:そうですね。たくさんいただきまして、ありがとうございます。質問は後ほどメールかなにかで回答するように、ブランドさんと相談しますので、お待ちいただければと思います。
Brandon:わかりました。
小川:本日は最後までご視聴いただきましてありがとうございました。それではお時間になりましたので、本日の01 Expert Pitchは終了とさせていただきます。Brandonさん、傍島さん、本日はどうもありがとうございました。
Brandon:ありがとうございました。
傍島:ありがとうございました。
小川:そしてご視聴いただいたみなさまも、ありがとうございました。
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