2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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篭橋裕紀氏(以下、篭橋):ちなみに記事についての質問でけっこうあるのは、「今まで他の人が書いていた記事を、同じ題材で書くことはあるんでしょうか?」というのと、「書く場合はどう書くんだろう?」というところですね。
伊藤淳一氏(以下、伊藤):良い質問ですね。それは今日しゃべろうかなと思って省いたところです。諸説あるというか、「別に同じ記事を書いてもいいじゃん」という派閥の人はけっこう見かけます。同じ記事を書くことで、役に立つ情報が上書きされて、情報の正確さが増すからという話があります。けれども僕は同じ記事があったら書かない人です。
なんでかというと、僕は常にユーザーの体験を想像しながら記事を書くからです。エラーが出て、そのエラーメッセージをコピーして検索したら僕の記事がトップに出てきて、それを読んだ人が感謝してくれるというシナリオを想像するんですね。
だから、最初に僕はそのエラーメッセージを1回ググるんですよ。すでにそのエラーメッセージの記事が上にあって、なおかつ説明している内容が僕と同じであれば、「もう1位の人がいるし、内容も一緒だから僕が書かなくていいや」となって書きません。ただ、例外的に書く時もあって、その内容がちょっと違うとか、僕だったらもっとうまく説明できると思った時は、自分で書き直して「1位を超えてやるぞ」という感じで書きます。
篭橋:なるほど。最初に投稿するとか、アウトプットをするとか、すごくハードルが上がっちゃうと思うんですけど、そこはどうなんですかね? あまり考えないほうがいいんですかね。
伊藤:そうですよね。上級者テクかなと思うので、基本は(やらなくても)いいかなと思う。ただ、すでに同じ記事があるでしょ? 問題は、他の記事を見てそのとおりにやりました、動きましたという記事を書くだけで新しい情報が加わらないと、結局コピーになっちゃうんですよね。
篭橋:なるほど。確かに。
伊藤:すごく嫌な言い方をすると、結局劣化コピーになっちゃうんですよね。オリジナルのほうが絶対に情報量が多くて、あとから書いた人の記事は情報が薄くなっていくんですよね。どんどんコピーのコピーのコピーのコピーみたいになってどんどん情報が薄くなっていきます。
そういう意味で、僕は書かないです。だけどこれをアドバイスとして言うと上級者向けになるかもしれないので、そこはみなさんにお任せします。
篭橋:確かに、難しい話ですね。良い質問ありがとうございます。そんな中で、読者目線というところがあると思うのですが、「読者やPVを増やすために施策や活動をしていますか?」という質問が来ています。
伊藤:アウトプットする1つの理由として、助けたいとか、世界を良くしたいという思いは確実にあるんですけど、もう1個のモチベーションとして「自分のことを知ってもらいたい」というのもあるんですね。知ってもらいたいというのは、言い方を変えると「自分からPRをしていかないと他の人は気づいてくれないだろう」という思いがあります。
なのでけっこうブログとかでプッシュしますね。例えば今回の講演も僕は「講演しますよ」というPRをします。そうすると2,000人ぐらいいるブログの購読者さんたちに知ってもらえるし、Twitterでも発信をすればTwitterのフォロワーさんが気づきます。
時間帯であったり曜日であったりで見ている人・見ていない人が絶対にいるはずなので、1回発信して終わりにせずに、「また伊藤さんは講演の話をしている」というぐらい、何回も僕はツイートをして、なるべくフォロワーさん全体に行き渡るようにやっています。
あとは記事のメリットや講演のメリットを伝えています。「この講演を聞きに来るとこんな良いことがありますよ。どうですか?」もしくは「この記事を読むとあなたはこうなりますよ。おもしろそうでしょ? どうですか?」みたいな感じで、良いことがあるからいらっしゃいみたいな観点でPRをしています。
だからけっこう積極的に宣伝はします。日本人はシャイなので「こんなにいっぱい自分から発信するのは恥ずかしい」とか「すごい図々しく思われそう」とか思うかもしれませんが、そういう日本人的思考に染まらずにガンガン行ったほうが、結果的に良いことになるかなと思います。
質問者1:ありがとうございます。
篭橋:併せて岡部さんの質問をもう1つ。ネタの集め方みたいなところ。読者目線でどう考えて、記事を作成していますか?
伊藤:たぶん人よりアンテナが敏感なのかな。仕事をしていても、生活をしていても「あ、これは役に立ちそう。ピーン!」みたいな、「他の人も知りたがってそう。ピーン!」みたいなものがあるんですよね。それをメモしておいて、手が空いたら記事にしよう、ブログを書こう、Qiitaに書こうと思っています。ネタ帳ですね。
ネタ帳はあるんですが、時間がなくて書けないのは多いですね。だから「どのように」というのは、仕事をしていて「あ!」と思ったらネタ帳に書き留めるという感じですかね。
篭橋:ありがとうございます。
質問者1:なにかを意識してやっているというよりは、日々の生活の中で溜まっていくという感じなんですかね。
伊藤:そうですね。
質問者1:ありがとうございます。
篭橋:伊藤さん、質問があと2つほどあります。「自分の記事が良質なのか? そうではないのか? 自信がありません。自己満足の記事なのではないか? と不安になってしまいます。自己検閲的な部分で指針はありますか?」という質問です。
伊藤:当然そう思いますよね。自分の記事が良質なのかどうか。これも繰り返しになるんですけど、第三者目線で自分の記事を読むことが大事だと思っています。
もう1つは、記事を書いたらちょっと時間を空けたほうがいいかな。前の晩に書いて、次の朝にもう1回読み直す。その時の視点は、あくまで他の人が初めてこの記事を読みに来る人。その人がどう思うかという感じで記事を読み直します。
そうすると、「あれ? ここにいきなりこの情報が出てきたけど、この情報がなんでここで出てきたかは、1つ手前で『このコードを書いたからこうなったんですよ』という説明をしておかないとわからないんじゃない?」というのが出てくるんですよね。
自分目線だと気づかないんですよ。もう自分は知っている情報だから、「これがこうなったらその情報が出てくる」というのがわかるのですが、第三者はそんな情報がどこから出てきたのかが想像つかないから、「ここで作ったデータがここで出てきているんですよ」という説明をしないといけない。そういうふうに第三者の目線で自分の記事をチェックしています。
プログラマー的にいうとテストですよね。プログラムをテストするみたいなかたちでテストしていって、これならスムーズに読めるはずと思えばGoになります。でも結局は、出したからといって反応が付かなかったら良かったのか悪かったのかもよくわからないと思うので、最終的には自己満足でも良いとは思います。
矛盾したことを言いますが、僕は「バズらなくてもいい」と思いながら記事を書いていますが、Qiitaにしろブログにしろ「このネタはめちゃくちゃおもしろいから絶対にバズるだろう」と思いながら毎回アウトプットをしています。これ、わかるかな? 「これは絶対におもしろい」と思いながら出すけど、バズらなければ「ふーん、まぁそうだよね。別にいいよ」ぐらいで思っています。わかるかな? そんな感覚ですね。
質問者6:ありがとうございます。自分は公開ボタンを押す時にめちゃくちゃドキドキします。よくやるのが「これはあとでもう1回確認したほうが良い気がする」「あとで確認してから公開しよう」という気持ちになって、下書き状態にします。
また違ったネタでそれをやって、「これもちょっとあと確認したいな」と。あそこの部分が間違っているんじゃないかとか、心配になって下書きにすることを繰り返して、下書きがどんどん溜まっていくことがあります。それで結局外から見ると、「ぜんぜん公開できていないじゃん」みたいなことが実際に起こっていたので、今回こういう質問をさせてもらいました。
伊藤:なるほど。「下書きが溜まる」か。僕はそこまで下書きが溜まらないんですよね。下書きまで書けたなら、あと一息なので公開しちゃえばいいと思いますし、僕は公開したあとも何度も自分の記事を見直しています。公開したあとも「あ、ここなんか間違ってる」とか「ここわかりにくい」と思ったら、けっこうバシバシ変更したり、追記したりします。
公開ボタンを押して終わりということはないので、公開ボタンを押してしばらく時間を空けて読み直して「ここは追記したい、ここを変更したい」とかもぜんぜん良いと思います。そういうのもありです。
質問者6:ありがとうございます。
篭橋:今までと毛並みの違う質問が来ました。「企業テックブログの編集担当をしています。編集メンバー以外の人の記事を書くペースを上げたいと思っているのですが、モチベーションの上げ方に困っています。仲間を増やすいい方法があったら教えてください」と。
個人だけではなく会社というところで難しい悩みではあると思います。なにか良い方法があれば教えてほしいということです。
伊藤:身も蓋もない言い方をすると「そういった経験は僕にはないのでわかりません」という話になっちゃうのですが、これはなんでしょうね。想像でしか答えられないんですけど、なんでモチベーションが上がらないのかな?
質問者7:よく言われるのが、結局、評価に関わる目標に積んでもらって初めて書くようになったり、本業で他に目標が積んであるからそっちのほうの優先度が高くなっちゃったり……どうしても、記事を書くメリットはわりと長期的なものが多い気がしていて。
伊藤:確かに。
質問者7:半期や1年の目標に比べると、やはり弱くなってしまうのかなとけっこう感じています。
伊藤:そうですよね。ニンジンをぶら下げて「おい、記事を書け」というのはなかなか続かないんですよね。
この間、Qiitaのイベントをやっていたのですが、そこにはけっこう各社いろいろな企業のブログの担当者さんが「こんな施策をやりました」とお話ししていました。
記事に対して社内の人がリアクションをすることでモチベーションを上げるとか、そういった施策を説明していました。その資料を見たらけっこう参考になるかもしれません。すみません、他力本願なんですけど、そう思いました。
質問者7:ありがとうございます。
篭橋:ありがとうございます。他の質問もどしどしあるのですが、こちらで本日は終了させていただけたらなと思っています。本日は伊藤さんの登壇で、非常に多くのみなさんに集まっていただきました。これからもみなさんがんばってアウトプットをしていきましょうというところで、今日は終わりたいと思います。伊藤さん、本日はありがとうございました。
伊藤:はい、どうもありがとうございました。
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