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プロダクトマネジメント組織立ち上げの課題と落とし穴と楽しみ(全2記事)

組織立ち上げに失敗するのは、開始時点で“呪われている”から 「失敗する運命」にならないために確認したい3つの要素

「プロダクトマネージャーカンファレンス 2022」は、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨することを目的に開催されるイベントです。ここでキャディ株式会社の飯沼氏が登壇。まずは、組織の立ち上げに必要な3つの要素について話します。

セッション概要と自己紹介

飯沼亜紀氏:よろしくお願いします。みなさんこんにちは。今日はセッションにお越しいただき、ありがとうございます。本日は「プロダクトマネジメント組織立ち上げの課題と落とし穴と楽しみ」というタイトルでお話しします。

このセッションではプロダクトマネジメント組織、つまりプロダクトマネージャーが集まり、プロダクトマネジメントを専門とする部署についてお話しします。今日は、主に失敗談や落とし穴の紹介をしていきます。

このセッションは、主に組織の立ち上げに興味のある方が聞きに来てくれているのではないかなと思いますが、私の失敗談を反面教師のように使ってもらい、成功に導いてもらえればと思っています。

ここで自己紹介をします。私は現在、キャディ株式会社でプロダクトマネージャーとして、主に社内向けのプロダクトを担当しています。プロダクトマネージャーカンファレンスの登壇は3度目で、前の2回は別の会社の人として出ていました。今日、組織の話をする背景情報として、これまで副業を含めて5社でプロダクトマネジメント組織の立ち上げに関わってきました。

ちなみに、キャディでは現在プロダクトマネジメント組織というものは存在しておらず、今のところ私自身は特に立ち上げようと思ってはいない状況です。

本テーマの背景

今日なぜこの話をするのかという話ですが、最近、プロダクトマネジメント組織の立ち上げについて相談されることが増えてきています。背景としては、やはりプロダクトマネージャーという職種への注目度が高まっていることと、それに伴い、ある程度まとまった人数のプロダクトマネージャーを要する会社が増えているということがあると思います。

そしてそれと比例するように、うまくいっていない話もよく聞くようになってきたなとも感じます。ここにお越しのみなさんならわかると思いますが、組織はプロダクトと似たような部分があります。つまり、立ち上げて終わりではないということです。しかし、立ち上げ時点で失敗する運命が決まっているケースも存在しています。

失敗するからにはその理由があって、それをここでは“呪い”と書いているんですが、呪われた状態では成功できないので、まずは呪いを解いてからにしましょうというお話です。

ということで、今日は組織をプロダクト的に見た時に、特に立ち上げのフェーズに絞ってどんなことに注意すれば良いのかをお話しできればと思っています。

組織の立ち上げに必要な3つの要素

「まずは組織の立ち上げ前にこれらを確認しましょう」ということが、私が言いたいことです。組織を作ることの正当性、組織の外部環境、組織の内部環境です。これらが1つでも欠けていると呪われた状態になります。ちょっとざっくりしていてイメージが湧きにくいかもしれないので、もう少し詳しく見ていきましょう。

もう少し噛み砕いたものがこちらです。(スライドを示して)組織の立ち上げには、これらの3要素が必要です。まず組織としてのミッション・ビジョンです。さらに掘り下げて言うと、この組織で成し遂げたいことは明確になっているのか、それが紐付くビジネス指標が明らかになっているのかというようなことです。「そもそも今必要とされているのはプロダクトマネジメント組織なのか」というような話も含みます。

外部環境については組織が成功できる環境ということで、会社の文化とか体制として、プロダクトマネジメント組織が機能できるのかが重要になります。あとは、トップが組織の成長のためにコミットしてくれているのかも重要です。これがないと、組織を立ち上げて満足してしまうリスクが高まります。

最後に内部環境ですが、これは主に組織の構成メンバーについてです。メンバーはプロダクトマネージャーとして自立できるのか。そして、その組織の中でプロダクトマネージャーは成長できるのかというようなことです。

これらの3要素が1つでも欠けると、組織の立ち上げは非常に困難な道になります。

ここに挙げたのはほんの一例ですが、本当にさまざまな落とし穴が存在するので、このあと詳しく見ていきます。今この時点で疑問に思うことはないでしょうか。「こんなに大変な思いをしてまで、本当に組織を作らなければならないのか」ということですね。

そもそも組織は必要なのか、なぜ組織を作るのか

「そもそも組織は必要なんでしょうか?」。そう聞かれたら私は自信満々にこう答えます。「場合による」と。言われたほうはすごく困ると思いますが、でも本当に「場合による」としか言えないかなと思っています。プロダクトマネジメント組織の必要性を正当化するのは、他の組織と比べてもとても難しいなと感じます。

そもそもプロダクト組織がなくてもプロダクトは存在できるし、もっと言えばプロダクトマネージャーがいなくてもプロダクトは開発できますよね。「プロダクトマネージャーが何人だからそろそろ組織を作らなきゃな」とか、そのような決まりもありません。

じゃあなぜ組織を作るのかというと、「組織があったほうが効率的だから」に尽きるのではないかなと思っています。だからこそ「場合による」としか言えないんですね。プロダクトマネージャーが固まっていた方が効率的な場合もあれば、各所に散らばっていた方が効率的な場合もあるからです。

(スライドを示して)ということで、プロダクトマネジメント組織の立ち上げというのは、突き詰めればプロダクト開発の効率という課題を解決するものであって、効率の課題は大きくこの2つに分かれるんじゃないかなと思っています。

あとは、これらを一段大きい視点から見た時に、組織を作ることで「プロダクトマネジメントという文化を根付かせたいんだ」みたいなことを言う偉い人とかが出てくると思います。これも、ブレイクダウンをしていくと結局この2つに落ち着くのかなと思います。

ただ結局、物事は組織じゃなくてプロダクトを中心として動くことも非常に多くて、これら2つの観点にはその組織におけるプロダクトのあり方も大きく影響するものだと思っています。

例えば、複数のプロダクトがある場合はけっこうイメージしやすいかなと思いますが、それが密接に関わる場合とそうでない場合で組織の中での情報流通の仕方も変わってきます。あとは、プロダクトマネージャー同士の関わり方も変わってくるので、それが評価とか育成にも影響してくるという感じですね。

(次回に続く)

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