2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
株式会社ログラス(全1記事)
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坂本龍太氏(以下、坂本):ログラスの坂本です。今日は、ローンチ3週間、日本最速で1社3,000万円の売上を実現した、お客さまに徹底的に向き合うプロダクト戦略について、お話しします。
私のプロフィールです。公認会計士受験生を4年間やっていました。そこからSaaSの立ち上げを複数回経験しています。つまり、私は会計知識のあるエンジニアです。
そんな私が作ったログラスはこんな会社です。データドリブンな経営の意思決定を加速する経営データ基盤「Loglass」を提供しています。
今日、私がお伝えしたいのは、たった1つです。それは「お客さまに徹底的に向き合ったからこそ、大きな成果が出た」ということです。
創業当時のログラスには、非常に大きな課題がありました。それはこんな課題です。20年以上先行している外資系のサービスがシェアトップで、非常に多機能でした。私たちは彼らよりも深い課題を見つけ、数ヶ月で解決しなければ勝っていけないという状況でした。
私たちは深い課題を見つけるために、こういったアクションをしました。100社に徹底的にヒアリングをしました。その中で運命的な出会いがありました。ある担当者の方が、数日後に控えた経営会議のために、数千枚のExcelと格闘している。徹夜もしていました。2,000部署から予算を集め、統合するという作業を行っていました。私は会計知識のあるエンジニアとして、「彼を救うのは私しかいない」と強く思いました。しかし、どう解決していいのか、まったくわかりませんでした。
そこで私が行ったのは、徹底的に向き合うということです。お客さまとライブでデータモデリングを行い、お客さまの業務フロー、課題を整理していきました。その中で浮かび上がってきたのが、(スライドを示して)こういったデータモデルでした。中期経営計画を作り、短期の予算を作り、各部署から予算を集め、統合する。こういったデータフローです。このフローの中でたくさんのExcelが生まれていました。
この形、エンジニアの方々だと、何かわかりませんか? 私にはもう、あれにしか見えなかったんです。それはまさにGitHubです。変更差分だけを管理、レビューでき、そして、数千人でもスケールできる。そういったデータモデルです。私はこれしかないと考え、CEOと深夜まで話しました。
そして、大きな決断をしました。「経営管理版GitHub、これでいこう」。他の開発計画はすべて捨て、私1人で数ヶ月間をかけて機能を作り上げました。私が作った機能はこちらです。2,000人でもスケールできる、非常に大規模で柔軟なワークフローです。プルリクエストのような機能も作っています。変更差分だけをレビューでき、変更差分によって起きる利益への影響度も一瞬でわかります。
この技術を実現した技術的独自性についてお話しします。「Loglass」の技術を抽象化すると、このような自由度の高いデータを数千人から集め、バージョン管理し、統合してくるというモデルです。この独自性が認められ、特許も取っています。
これの何がすごいか、お伝えします。非常にシンプルな仕組みがゆえに、応用の幅が非常に広いです。「Loglass」がマーケットを次々と広げてきた、コアの技術がこちらです。そして、実現した成果がこちらです。胸を張って言えるほどの、非常に大きな導入事例が並んでいます。
事業拡大も非常に大事ですが、組織拡大も非常に大事です。組織拡大は、全社員61人のうち、25%、エンジニアにおいては40%の採用を私が実現しました。このような賞もいただいています。
また、組織カルチャーをスケールすることにも着目しています。お客さまに徹底的に向き合うために、お客さまの業務フローを徹底的に再現したワークショップを行っています。あまりにも解像度が高く、めちゃくちゃにきついと社内では不評です。しかし、このカルチャーをスケールしています。
最後に私の夢について、お話しします。自動運転が実現している現在、経営の意思決定は人間が行っていていいのか、人間を超える意思決定があるのではないか。そう思っています。テクノロジーで経営をアップデートするログラスです。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございました。それでは質疑応答に移らせていただきます。審査員のみなさま、いかがでしょうか。お願いいたします。
塚田朗弘氏(以下、塚田):坂本さんがお客さまとのデータモデリングなど、すごく深くまで入り込んでいるし、採用も坂本さんの功績がものすごく大きいというのが、すばらしいなと思いました。
坂本さんだけでなく、他のエンジニアの方が同様に能力を上げていったり、採用をがんばってもらえるようになったりするなど、開発力や、お客さまと徹底的に向き合う力を高めるための組織の工夫があったら知りたいなと思いました。
坂本:ありがとうございます。いわゆるチームトポロジーでいうと、現在はストリームアラインドチームというかたちで、エンジニアの3チーム+もう1チームというかたちで、チームを作っています。彼らはフラットに機能開発を行っており、エンジニアが直接お客さまとお話しするという体制を取っています。
ですが、いきなり知識がない人が出て行っても話にならない、という面もあるので、社内にいるドメインの詳しい人や、経営企画、経営管理の人たちから知識をインプットしてもらうという機会を、非常にたくさん設けています。
今回のこのワークショップも、実は何回目かで、他のかたちでも何回もやってます。なので、彼らに知識を得てもらって、まずはお客さまと話せるようにしていく。そうしていくことで、お客さまの課題に対して主体性が生まれてくると思っています。
採用においても候補者の方に、この課題はこれだけおもしろいんだよ、これ解決するとこんなことが起きるんだよというアトラクト力が、生まれてくると思っているので、お客さまに向き合うことによって、さらに採用力がつく、というフローができているなと思っています。
塚田:わかりました。ありがとうございます。
岩田真一氏(以下、岩田):よろしいでしょうか。
司会者:はい。
岩田:すばらしいなと思いました。スタートアップの根本的なところは、課題解決ですし、それを技術を使っていくということですからね。それを1人だけではなく、チーム全体に浸透してるというのは、すごいなと思います。今日は聞ききれないと思いますが、どういう秘訣があるのかを聞きたいなと思います。
「人間が決めてよいのか」というコメントがけっこうあったと思うんですね。僕もエンジニアなので、そういうものを全部自動化したり、きちんとデータに基づいてやりたいなと思っているのですが、だいたい最後の最後って、人間がちょっとやらなきゃダメだったりするじゃないですか。
そういうところは、やはり出てきちゃうものなんですかね。お客さんに売る時に、ここはやはり人がやってくださいねという部分が、最後の最後に出てきちゃうのかなと思いました。
坂本:ありがとうございます。そうですね。いわゆる完全自動運転のレベル5まで行くのは、さすがに長いなとは思っているのですが、まずは人間の意思決定におけるノイズに、僕は着目したいなと思ってます。
例えば、お腹が減っている時とお腹がいっぱいの時で経営判断が違うというのは、研究でもわかっています。そういう中で、ほとんど自明な判断とか、ほぼルーチンと化してるもの。または、こういったルールを設ければ、自動で行えるものというのがあると思っているので、人間の体調や、認知がゆがんでいる場合でも、正しいものをきちんと経営判断していく、というところをシステムに落とすというところを、まず私はやりたいと考えています。
その上でどう実行していくのか、というところですが、人間の手を入れて、モチベーションを高めるというようなところは、人間に依頼したいと思っていますが、その人間の不具合、人間が持ってるバグのようなところをシステムで補っていくところがいったんの目標だと考えてます。
岩田:すごくおもしろいです。ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。残り1分程度、お願いします。
竹内真氏(以下、竹内):こんにちは。
坂本:(笑)。
竹内:質問します。このデータ構造を持っていくと、一般的に考えるとけっこう小さなデータが散らばって、リンクもけっこう増えるだろうなと、かなり複雑な構造になり得るということをはらんでると思います。
これがもたらす弊害として、SaaSであるがゆえに、全体でのデータ量に伴って速度が落ちるなどが考えられると思いますが、そこに対するモデリング側での対策、もしくはなにかのメトリクスをモニタリングすることでの、早期の改善など、やっていることがあれば教えてください。
坂本:ありがとうございます。弊社は、いわゆるエンタープライズ向けのサービスをやっています。その中で言うと、お客さまによっては、1社で他の会社さんの100倍ぐらいのデータを持っている会社がいる状況です。
なので、受注をしていただく時に、どれぐらいのデータを持っているのかを徹底的にお客さまにヒアリングしています。その上で、まず検証環境において、その会社さんとほぼ同じデータ量のテナントを作ります。
それに対して、SQLなどでスロークエリのモニタリングをきちんと行っています。お客さまの環境を自分たちで体現しながら、モニタリングと監修を行うというフローで、お客さまよりも先に私たちが築く環境を作り、さらにDatadogなどを使いながらモニタリングをする仕組みを取っています。
竹内:ありがとうございます。
司会者:ありがとうございました。時間になりました。ここまで、坂本さんでした。ありがとうございました。拍手でお送りください。
(会場拍手)
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