2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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ロシオ・ブリセーニョ・ロペス氏:それでは現場の様子を一緒に見てみましょう。チリでの様子をご覧ください。
チリでの取り組みについて、これまでのふりかえりをしている様子をお見せします。ここに映っている彼は現地で直接マプチェ族と働いていた人ですが、彼らから直接どのような壁があるかを聞くことにより、状況を整理し、必要なプロダクトを見極め、人々のエンパワーメントにつなげます。
会場は全員を招待できるように、大きくてオープンなスペースを用意しました。さまざまなグループが初めて対面で一緒に作業をしました。みんなとても楽しんでいました。取り組んでいることを楽しむのはとても重要です。楽しみながらも仕事は進めていて、ここではリリースプランを作成していました。関わっているグループ、団体、関係者全員が共通のリリースプランに合意します。
最終的には200人以上の関係者がいました。最初からすり合わせていたので、みんながプロジェクトの目的を認識していました。たとえそれぞれが違う目的を持っていたとしても、共通の目的が共有されていました。イテレーションを行い、スプリントを実行することにコミットしたのです。同時に同じ場所に集まって、依存関係の洗い出しもできました。
新型コロナウイルスの影響で状況は変わってしまい、あらゆることをリモートで済ませるようになりましたが、それでも重要なのは「同時に集まって取り組むこと」です。自分よりも大きなものに真摯に取り組み、状況を改善しようという熱意を持って臨みます。
ここでは深掘りしている様子が見られます。アジャイル・プロジェクトに取り組むにあたり、結果を出すために全メンバーの取り組みやプロジェクトの同期を毎回する必要があります。最初に理解すべきエリアがいくつかあります。どのメソドロジーを使うか? アプローチの手法は? 使っているツールは? など、これらの深掘りをグループで一緒に行います。
このように付箋を使い、シンプルかつ簡単に考えていることを共有し、その後のイテレーションやスプリントでリマインダーとして使えるようにしました。このワークショップの後、みんな一緒に働くようになり、全団体でチリに行きました。マプチェ族の現状と、どうやったらこの夢を実現できるのかを理解し、本当に必要としている人たちの手に資金が行き渡るようにすることで、マプチェ族は新しいビジネスを作る力をつけられました。
こうして、このプロジェクトは成功したのです。国際的な資金調達を使い、さまざまな団体と政府がとても良い結果を出しました。このような環境は、みなさんの企業が抱えている取り組みにも活かせるでしょう。社会問題や技術的な問題にも適用できます。関係者を全員集めて、5つのコミットメントを念頭に、深掘りから始め人々をエンパワーし、リリースプランを作成します。
依存性を解決し、状況を改善します。これはソーシャル・インパクトの特定の開発プロジェクトの一例に過ぎません。「もっと大きな環境、例えば国に対しても使えますか?」と、思われるかもしれません。
「アジャイルを使って政府を動かし、国を改善することは可能でしょうか?」私はまさに、その問いかけをされました。1年以上前のことですが、家に電話がかかってきました。私の故郷のコスタリカで「副大統領の候補にならないか」と言われたのです。私は驚き、「なぜ私のような人が欲しいのですか?」と、聞きました。
返答は「この国を良くしていくには、プロジェクトをアジャイルに進めることが必要だ」というものでした。さらに「DXも重要な課題で、STEM経験のある女性としても協力してほしい」とのことでした。その後、家族と話し合って「よし、やってみよう」となりました。
まずはコスタリカ政府の323の施設を勉強して、理解するところから始めました。(スライドを示して)コスタリカは中米のここにあります。ここに住むすべての人たちのクオリティ・オブ・ライフを改善するため、愛する国に住むすべての家族たちのためにもがんばろうと思いました。コスタリカはとても美しい楽園ですが、その一方で官僚制度において多くの問題も抱えています。特に汚職やデジタル化の欠如などの問題があります。
計画を立て、選挙に出ました。政党のさまざまな人たちと計画を立てましたが、大統領と副大統領の選挙には負けてしまいました。しかし議会の10パーセントの席は取れたので、現在コスタリカの議会でアジャイルを使って国を改善しようと活動しています。さらにDXのアプローチも取り入れることができ、成功しています。
アジャイルを使えば、世界を変え、国を改善し、コミュニティを成長させられます。友だち付き合いや日々の習慣など、なんでも、どこにいても改善することができます。孤立していると感じる時でさえ、いつでも改善できます。どんな場面でも、こういった考え方やアクションを念頭に動くと良いでしょう。社会に大きな貢献をする機会があるかもしれません。
それでは少し日本について具体的に話しましょう。(スライドを示して)左側に挙げたように、日本にはたくさんの魅力があります。日本の良い点を話す時間をもっと取りたかったぐらいです。世界的にも有名です。
ここでは、いくつかのポイントに絞って見ていきたいと思います。まず、経済大国として世界から認識されています。一方で、労働条件に問題を抱えています。ストレスを抱えすぎず、家族ともリラックスした時間を過ごし、限られた成功の価値観に縛られずに働けるといいでしょう。
イノベーションも日本の強みです。どこに行っても日本のプロダクトがあり、創造的で斬新かつ、とても良い品質です。ただし、グローバル化においては課題もあるでしょう。複雑な規則や制度もイノベーションの妨げになっています。ビジネスを始める際、融資を受けられる制度なども整っていますが、一方で、税金の制度に苦しめられています。
日本はジャストインタイム、カンバン、トヨタ生産方式の生みの親です。そのほかにも、世界で有名な効率化の技術やアジャイルの基礎を作っています。一方で、多様性や大規模アジャイルに対する課題も抱えています。アジャイルジャパンのようなイベントが、こういった課題を扱っていることはとてもすばらしいです。日本でこのような知識が広がるきっかけになるでしょう。
もう1つは、世界的にも貴重な伝統文化です。世界中の人々にかけがえのない価値を提供しています。一方で、日本政府はデジタル化やDXの課題を抱えています。コスタリカにも似ている面があります。コスタリカも政府がデジタル化の課題を抱えており、大規模アジャイルもうまく取り込めていません。さらに税金制度や規制にも問題があります。コスタリカは経済においてあまり強くありませんが、多様性にとても富んでおり、サービスの良さや観光で知られています。
それでは共通の問題の1つを取り上げ、その解決法について話します。デジタル化とアジャイルのマインドセットについてです。ソーシャル・インパクトで述べた「透明性」がカギになり、デジタル化はその透明性を達成する助けになります。コスタリカではe-ビジネスやe-政府について議論されています。これらは表裏一体です。e-ビジネスを達成するには、どこかでビジネスや企業が政府とつながる必要があります。強力で成長できる政府には、ビジネスの力が必要です。
DXやデジタルの透明性が必要になります。自動化、予約システム、透明性のある納税の制度、入国管理、税や罰金の徴収、情報管理など、すべての施設で必要です。ビジネスでは効率の良い人事採用ができる雇用システムや雇用制度が必要です。コスタリカではサイバー攻撃の問題もあり、セキュリティのシステムも必要としています。
国民の個人情報を守れるセキュリティシステムがなければデジタル化の話も進みません。追跡システム、社会保障制度、通信システム、教育制度など、すべてが透明性のあるアジャイルなネットワークでつながる必要があります。人々が安全な環境で迅速に働けるようにします。
e-政府の話は、政府⇔政府、政府⇔ビジネス、政府⇔国民、政府⇔被雇用者を含みます。e-ビジネスの話は、顧客の独立、地理的柔軟性、24時間365日の可用性、そして低いランニングコストを含みます。経済の助けになり、貧困をなくし、国民のクオリティ・オブ・ライフの改善に尽くすことがソーシャル・インパクトの取り組みなのです。誰かのクオリティ・オブ・ライフを改善することはすべて、ソーシャル・インパクトの取り組みと言えるでしょう。
以上がソーシャル・インパクト・アジャイルについての簡単な紹介になります。この場でみなさんに想いを共有できてうれしかったです。また、アジャイルジャパンで講演させていただき、とても光栄でした。(スライドを示して)ここに連絡先の情報を共有します。私の名前はロシオ・ブリセーニョです。SNSで検索してもらえれば見つかります。また、これらのトピックの情報が欲しい方はメールを送っていただいてもかまいません。
このトークの最後は、私がいつも使うフレーズで締めたいと思います。「愛を持って働きましょう、宇宙一強い力が愛なのだから」。日本のみなさん、ありがとうございました。
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