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PM初心者が「MyPM像」を確立するまでのストーリー(全2記事)

転機は「比較」と「甘え」に対する気づきの言葉 自信喪失期を経験したPM初心者が“MyPM像”を確立するまで

「プロダクトマネージャーカンファレンス 2022」は、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨することを目的に開催されるイベントです。ここで、コネヒト株式会社の吉岡氏が登壇。まずは、吉岡氏がプロダクトマネージャーの難しさにどう向き合ってきたか話します。

セッションの概要と目指すところ

吉岡詩織氏(以下、吉岡):よろしくお願いいたします。ではさっそくですが、私のほうから「PM初心者が『MyPM像』を確立するまでのストーリー」ということで進めていきたいと思います。

本セッションですが、主な対象としてはPM初心者の方や育成者の方、またPMに興味がある方にご覧いただきたい内容になっています。

テーマは「PMとして成長する」という内容で、前半は私の具体の体験談をお話しした後、後半はそれをちょっと抽象化したお話をしたいと思っています。

セッションを通じて、PM初心者の方は、「自身のPMとしての成長戦略を考えてみよう」と思えていて、ワクワクしている状態。育成者の方は、PM初心者の苦悩が理解できて、成長を後押しするヒントが得られている状態。これからPMになりたい方は、自分自身がPMになった時にぶつかる悩みが想像できていて、その上でPMへのワクワクを感じられている状態。ぜひ、そうなってほしいなと思っています。

吉岡氏とコネヒト株式会社の紹介

まずは自己紹介をしたいと思います。

コネヒト株式会社の吉岡詩織と申します。今「ママリ」アプリのプロダクトマネージャーを担当していて、コネヒトもPMもまだ2年目です。

好きなことはいくつかありますが、最近はパンを作るのにハマっていて。コネヒトでも実際に会社でパン屋をやるような企画をやったこともあるので、ぜひ(スライドの)下に書いてあるnoteを見てもらえるとうれしいなと思っています。

続いて、コネヒトについての紹介も簡単にさせてください。コネヒトは「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」というビジョンを掲げていて、家族像というテーマに向き合っている会社です。

そこに対してさまざまな課題があると捉えていて、家計の悩みだったり、不妊の悩み、育児の悩み、社会の意識。そういった課題に対してアプローチをしています。

育児の悩み(にアプローチした)ママリというサービスを知っている方もいるかなと思いますが、プレママやママの悩みの解消だったり、共感というところを軸にコミュニティを運営するサービスになっています。

続いて、コネヒトの開発体制も少しだけ紹介させてください。コネヒトはまずCPOが存在していて、ママリアプリ、ママリのWebメディア、アフィリエイト事業、「家族ノート」という新規事業それぞれのプロダクトだったり事業に対してPMが1人ずつ存在しており、開発、デザイナー(がいる)といったようなチーム体制になっています。

私はママリアプリのプロダクトマネージャーを担当しています。

PMとして成長することの難しさ

ではちょっと紹介が長くなってしまいましたが、ここから本題に入っていきたいと思います。

みなさん、このセッションを今聞いてくれているということは、PMとして成長したいとか、そういった領域に興味がある方が多いんじゃないかなと思っていますが、「どうやって?」というのが、私はすごく難しい問いだなと捉えています。

PM初心者を取り巻く要素として、いろいろあると思いますが、「メチャクチャ幅広く求められそうなスキルマップがあるな」とか、最近プロダクトマネジメントに関する本とかも出ていると思いますが、学びがすごく多い分、どこからどう手をつければいいのかわからない。即実行に落とし込みづらいとか。

あとは、こういったカンファレンスでもすごくできる世の中のPMの先輩たち、いっぱいいますが、一方でそことの理想と現実のギャップであったり。

あとは、そもそもまだプロダクトマネージャーって母数が少ないところがあるので、例えば「身近にはまだまだ少ないよね」「ロールモデルが設定しづらいよね」とか、そういった要素があって、初心者PMは理想と現実のギャップに「難しい!」となるところがけっこう多いのかなと私は感じています。

あとは、そもそもPMという仕事が、私は正解のない問いに向き合う職種だと感じていて、例えば二律背反とか、トレードオフの中で意思決定をしていかないといけないとか、不確実性が高い中で意思決定していかないといけないシーンが多くあるので、そこもまた難しい点だなと思っています。

つまり、「PMとして成長するって、なんだか難易度が高そうだぞ」ということが言えると思っています。

「ふわふわがんばるぞ期」からの「自信喪失期」

ここから私の話になるんですが、私がこの難しさと1年間どう向き合ってきたのかみたいなお話を少しだけさせてください。

私は2021年9月にコネヒトにPMとして入社をして、チームに2人目のPMみたいなかたちで入りました。3ヶ月後にチームで1人のPMになって、「あぁ、ひとり立ちだ。なんかワクワク、がんばるぞ!」みたいな気持ちでいた時期。これを「ふわふわがんばるぞ期」と呼んでいるんですが、そういった時期を最初に迎えました。

その後すぐに、自信喪失期みたいなものが来てしまって。要は、前任のPMと比べて「なんか自分って頼りがいないな」とか、あとは私のチームの開発者の人は本当にすばらしい方たちばかりで、PM目線で意見とかをどんどんくれて、動いてくれる。そういったところに対して「なんか甘えちゃっているな、申し訳ないな」みたいな気持ちとか。

そういったところから、「私なんかの意思決定で本当にいいのかな?」とちょっと悶々とするような時がありました。

(スライドを示して)ということで「学ばなきゃ!」とか「成長しなきゃ!」みたいに思うんですが、やはりこうなっちゃうよという状態でした。

みなさんもこんなふうに悩んだことは、ないでしょうか? 

転機となった言葉

私の場合で「じゃあ、その後どうしたの?」というところです。ちょっと転機となる言葉をもらいました。1つ目が「前任者と比べる必要はないんじゃないの?」という言葉。2つ目が「甘えることを、なんでだめだなと思っちゃうんですか?」という言葉をもらいました。

これらをもらった時に、私は「なるほどな」と。前任者と比べるばかりではなくて、あくまで自分らしく。あと「甘えてしまう、申し訳ない」ではなくて、甘えられるというすばらしい環境に合ったかたちで行動していければいいのかなと、自分の思考をチェンジできたと感じています。

つまり、自分の得意・不得意、好き・嫌いとかの特性と、組織の特性とか事業の特性があると思っていて、それに合ったかたちでまずは行動してみることを指針のヒントにして、いろいろ行動を起こしてみました。

行動指針に伴って実践した3つのこと

今回は3つ、私が実際にやってみたことを紹介したいと思っています。

(スライドを示して)某テレビ番組調に記載していますが、ユーザーインタビュー芸人になったり、ワークショップ芸人になったり、可視化芸人になったりという活動をしていたので、ここを紹介したいと思います。

まずユーザーインタビューですが、当時、ユーザー体験の側面から、課題と解決策の確度を高める必要性があったという事業的な背景と、あとは自分自身が前職の経験から比較的得意かなと(思っていた)いうのと、なによりも好きだったので、ちょっとアクションしてみようかなというところで取り組んだものになります。

実際になにをやったかでいうと、これまで接点がなかったユーザー層のインタビュー開拓であったり、インタビューの頻度を高めたり、そういったことを実施していました。

そうすることで、どんどん資産も蓄積されていきましたし、あとこれは業務外にはなりますが、主なターゲットであるママさんへの理解を深めるために、個人的に社内のママさんと積極的に接点を持つようにするような活動を行っていました。

このあたりは最初に紹介したnoteにも書いていたりするので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

(スライドを示して)2つ目にワークショップ芸人と書いています。これはなぜやったかというと、先ほどお話したとおり、組織がHowだけではなくて、WhyとかWhatにもすごくコミットしてくれて、意見やアイデアをどんどん上げてくれるような開発組織でした。

そこに対して「申し訳ないな」ではなくて、自分のコミュニケーションの力を活かして最大限にしていくような考え方で、「じゃあ、自分はワークショップをいっぱいやってみよう」というかたちで取り組んだものになっています。

できるだけワークの内容は変化を加えて、常にメンバーが楽しく新鮮な気持ちで取り組めるように工夫しました。そうした結果、「メンバーの意見とかアイデアをどんなふうに拾い上げるといいか」というところにフォーカスできて、私自身の観点もぐっと広がったと感じています。

最後、3つ目ですが、可視化芸人と書いていますね。これは完全に自分の強み・弱みの部分ですが、私はどちらかというと、絵にしたり構造化して見せることが、わりと得意かなと思っていました。

一方で、開発理解が弱いので、会話の中で認識齟齬が起きる可能性が高かったというところで。開発の先輩から「可視化してみるといいんじゃない?」というアドバイスをいただいたところから、とにかくホワイトボードツールの「Miro」をメチャクチャ活用するようになって。

周りからは、「可視化芸人というか、Miro芸人だ」みたいなことを言われていますが、どんどん可視化して動くようになりました。

なので、施策を頭出しする時はもちろんですが、進行中の施策についても、できるだけ可視化して話し合うことを今でも心掛けるようにはしています。

徐々に確立されていった“自分らしいPM”のスタイル

今のは一例ですが、こんなふうにいろいろな行動を重ねているうちに、私は自分の中に自分らしいPMのスタイル、これを今回“MyPM像”と呼びますが、それが確立されていることに気づきました。

(スライドを示して)それを言葉にしたのがこの、“愛され型PM”と書かれているものになります。とにかく行動したり発信してみることで、周りからすごく応援されるようになったと感じているし、チームの声を積極的に吸い上げて議論しやすい状況を作ることで、もっともっと声が上がる。そんなチームになったかなと感じています。

この「愛され」というものを言語化するのって、本当はメチャクチャ恥ずかしいんですが、ただ、言語化することで良いこともあると感じているので、あえて私は公言しています。

(MyPM像を確立すると)良いことを今回は3つ挙げています。まず1つ目が、変に誰かと比較してへこんだり、その人を真似するばかりではなくて、「私の場合は、こう進めると良さそう」という視点で、自分スタイルで物事が進めやすくなるということ。

2つ目が、反対に弱みも見えてくるので、自分の成長戦略が見えてくること。私の場合は、一緒に働くメンバーにフォーカスが当たりすぎるところが先ほどの要素からあったりします。「即座に決め切らないといけない」みたいな、そういった局面にはちょっと弱いと思っているので、意思決定力みたいなところをもっともっと磨いていく必要があると思っています。

3つ目に関しては、とはいえ完璧な人はいないと思っているので、不足している部分を誰かと補い合える。今後はそういったチームを作っていったり、採用の観点で活かしていけるといいなと思っています。

(次回に続く)

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