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【Voicy×B/43】急成長スタートアップのプロダクトマネジメントの裏側(全5記事)

ユーザーが欲するものを見つけるために“N1を考える” UXリサーチャーやパーソナリティサクセスと協力した、インプット頻度の高め方

Voicyとスマートバンクのプロダクトマネージャー2人に、それぞれのプロダクトにおけるプロダクトマネジメントのおもしろさや組織編成について話を聞く「【Voicy×B/43】急成長スタートアップのプロダクトマネジメントの裏側」。ここで株式会社Voicyの大枝氏、株式会社スマートバンクの森口氏が登壇。ここからは、ユーザーが欲するものの見つけ方について語ります。前回はこちらから。

ユーザーの状況を深く知ることが、“欲するもの”を見つけることにつながる

小城久美子氏(以下、小城):次のテーマは、「ユーザーが本当に欲するものをどうやって見つけるか」についてお話をしていきたいなと思っています。先ほど、プロダクトの紹介で「すごくユーザーの声を聞いています」とお話されていた森口さんから、お話を聞ければと思っています。

森口貴之(以下、森口):メチャクチャ難しい問いだなと思って。ユーザーの声をよく聞いていると言いながら、自分の中で正解は何なのかを日々模索しながら(やっている)ということなんですけれど。

本当に欲しているものは、ユーザーが本当に解決したいと思っていることであるというのが条件としてあって。それに対してスペシャルな解決方法というか、いいプロダクトとして提案できる条件が組み合わさった時に、本当に欲しいものができるのかなとふだんから考えています。

解決したいことというのは、やはりユーザーさんの目的みたいなもの。なにかしらのゴールみたいなものがあると思っていて。それとユーザーさんの実際の状況とか、どういうデバイスを使っていてとか、ふだんのどういう生活の環境があって、状況があってというところと、その目標との距離とかギャップみたいなものが問題というか、課題解決したいことになると思うので。

やはり目的やユーザーさんの状況を深く知るというところが、ユーザーインタビューもそうですが、すごく大事なのかな、意識しないといけないのかなって思っています。

大枝史典氏(以下、大枝):メチャクチャ大事ですよね。

UXリサーチャーが専任でいるのは恵まれた環境

大枝:ユーザーインタビューはどれぐらいの頻度でやっているんですか?

森口:弊社は今社員が20名ちょっといるのですが、すでに専任のUXリサーチャーが1人います。専任でいるので、本当にもう毎日と言うと言い過ぎかもしれないですが、毎週何人かのユーザーさんのユーザーインタビューは常に回している状況です。

大枝:いや、それはすごいっすね。先ほど言ったように、ある意味、僕たちも初期から体験をこちらから提供するようなかたちでやってきたんですけれど、それだとユーザーの課題をしっかり解決していくことができないので。2022年からは、ユーザーインタビューにけっこう注力し出してやっているんですが、毎日は難しいですね。UXリサーチャーがいるのは、羨ましいなと思います(笑)。

森口:でも本当に難しいと思いますね。それこそプロダクトマネージャーがユーザーとユーザーインタビューをしたり、デザイナーがインタビューをすることもあると思いますが、やはりそれだけの仕事じゃないので。

UXリサーチャーに専任で隣にいてもらえるのは、本当に恵まれた環境で仕事ができているなって思いますし、都度「今日はこういう人にお話を聞いてきて、こういうおもしろいことが聞けましたよ」というインタビューした情報を共有してもらえるので。ユーザーの解像度が上がるような場所で働けているなとは思っていますね。

大枝:すばらしいですね。ちょっとまたいろいろお話ししたいです(笑)。

小城:UXリサーチャーがいる環境って、みなさんけっこう欲していると思うんですけれど、これから(そういう環境が)どんどん増えていくために、プロダクトマネージャーとUXリサーチャーがどう協業すればいいかみたいなヒントがもらえると、みなさんうれしいのではと思ったりして。

森口:そうですね。弊社もそこをすごく模索しながらではありますが、プロダクトマネージャーが自分の関わるプロジェクトとか、今考えている機能みたいなところで、「ユーザーについてこういうことを知りたいな」みたいなことはけっこう頻繁に思ったりするんですけれど。

そういうことをUXリサーチャーに「ちょっと今日こういうことを思いついて、こういうことをもし次のユーザーインタビューでついでに聞けたら助かります」みたいな話をしておくと、「あっ、聞いておきましたよ」っていう感じで、けっこう情報を入れてくれる。

ユーザーインタビューって、聞きたいことがあって、それを聞くためにユーザーインタビューの質問の設計とか被験者のリクルーティングみたいなものを準備して(とやると)、やはりけっこう時間がかかっちゃうので。

常にユーザーインタビューがどこかで回っている、UXリサーチがあるところに、「ついでにこれを聞いてください」というかたちで乗せらせると、インプットの頻度はメチャクチャ高まるので、それがすごく自分の中ではいいかなと思っています。

小城:なるほど。ありがとうございます。

N1の考えを取り入れ、Whyを考えて設計する

小城:B/43は、ユーザーさんがすごく大きな課題を持っているところを解決するタイプのプロダクトだと思うのですが、Voicyさんは、たぶんVoicyさんがなくてメチャメチャ困っているという人がたぶんいるわけではなくて、新しい価値をこれから提案していくタイプなのではと思っているんですが。Voicyさんは、ユーザーさんが欲するものをどういうふうに見つけているんですか?

大枝:本当に、メッチャ難しい質問ですね。教えてほしいぐらいで(笑)。

でも「課題解決じゃなくて価値創造だよね」みたいなところの話は、社内でもしたりします。先ほどからお話ししているように、パーソナリティさんが起点になるとは思っていて。

ただその中でも、やはり定量から見られるデータは本当に難しくって。難しいというのも、属性とか行動とかが本当にバラバラなんですよね。いわゆる芸能人の方もいれば、経営者の方もいれば、普通に会社員の方もいれば、企業の担当者さんみたいなところもユーザーになってくるわけなので。定量はもちろん見るには見ますが、やはりN1の使い方はすごく大事にしています。

「この人だったらこういう使い方をしそうだよね」みたいなところの想像というか、そういったところがけっこう重要かなと思っていて。そこを得るにあたって、もちろんインタビューみたいなのもやったりもしているんですけれど。

弊社でけっこう大きいなと思っているのは、パーソナリティサクセスというチームがいて。パーソナリティさんにもっと活躍してもらえるようにサポートしていく、サクセスを手伝っていくチームがあって、その人間たちとけっこう社内で議論したり。

パーソナリティさんも、自分で思ったことや、プロダクトに(対して)思っていることをコンテンツの中で発信したりしているので。それこそ音声に感情が乗って、どれぐらいの温度感で、どういう課題みたいなものを抱えていて、みたいなことがわかるので。

その他にも、社内のSlackで「こういうことを言っていたよ」みたいなものがけっこう飛び交うので、そういうN1の考えを取り入れてWhyを考えて設計したりしています。

小城:なるほどです。N1を考えるのは本当に基本だけれど、一番難しいことですよね。

大枝:そうなんですよ。

ツーサイドプラットフォームだからこそ開発チームを分ける

森口:ツーサイドプラットフォームと最初にお話しされていたと思うのですが、本当に欲しいものがツーサイドにあると、パーソナリティさんとリスナーさんの欲しいも、両方考えないといけないのが難しそうに感じます。

大枝:難しいですね。だから、それこそ先ほどもありましたが、そういう意味で開発のチームをしっかり分けて、それぞれのアウトカムに向くようにしています。

やはり音声の聴取体験みたいなものはすごく難しいんですけれど、僕個人でいうと、ユーザーの欲するものはどうなんだろうみたいな。定量と定性の掛け合わせで交わる部分とかがあるじゃないですか。「この数字が出ていて、(だから)こういう(ものが)出たな」みたいなところ。

あとやはり、音声というプロダクトがあまりほかにないところ。音声もそうですが、例えば自分の感覚的に「YouTubeにこの機能があったらどうだろう」とか。自分がVoicyにどっぷり浸かっているから、もう新しい目で見られないので。

「YouTubeとかほかの音声のプラットフォームに、こういう機能とか、こういう仕組みがあったらどうだろう」みたいなのを想像して、その3点が結びついたら「これはいけそうだね」みたいな感じで(笑)。自分の中の確度を上げていくことをやっているような気がします。

森口:ちょっと似ているプロダクトから参考にしたり、その逆側も考えてみるのは、確かに考え方としておもしろいな、参考になるなと思いました。

大枝:それでいうと、B/43さんはベンチマークというか、どういうプロダクトを見たりするんですか?

森口:そうですね。国内だと「バンドルカード」さんと「Kyash」さんという先行したプレーヤーもいますし、海外にも「Monzo」というサービスとか「Revolut」とか。海外ではすでにキャッシュレス社会が進んだ国とかがけっこうあるので、そういった国でどういうふうに使われているかはベンチマークとしていますね。

大枝:なるほどね。確かに。

小城:ありがとうございます。

(次回につづく)

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