2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田中里奈氏(以下、田中):次に進みます。またみなさんに突然考えてもらう時間です(笑)。79万人という数字はなんでしょうか? 「年間転職者」「岡本さんのファン」、いいですね。めっちゃいる(笑)。
岡本邦宏氏(以下、岡本):めっちゃいいこと言いますね。本当に(笑)。
田中:「エンジニアの数」「今後不足するIT人材」。なるほど。だいたい出たところで正解は……ありました。すごい!
岡本:すごいですね。
田中:2030年のIT人材不足。みなさん正解です。
田中:IT人材とはいったい何を指すのか。今日はいったんBtoBという、法人向けに製品やサービスを提供している会社と、BtoCという個人向けにサービスを提供している企業に分けました。
その中でも事業分野は、WebサービスやSIer、パッケージプラットフォーム、ハードなど、いろいろあると思っています。今日技育祭に参加されているたくさんの企業もこの中に書きました。この中にみなさんが目指している企業はありますか?
岡本:うちだったらうれしいですね。
田中:パーソルキャリアは赤くしていますが、実はパーソルキャリアはBtoBとBtoCを両方やっている会社なので、ぜひここで見てほしいと思っています。
また、楓さん(楓博光氏)もお話ししていましたが、求人数もかなり増えています。みなさんが今後目指すであろうデータサイエンティスト、セキュリティエンジニア、Webサービスエンジニア、インフラエンジニア。このあたりの求人もメチャクチャ増えてきている状況です。
田中:なので、みなさんからすると「行きたい会社に行けるかもしれない、ウホウホ!」という感じかもしれませんが(笑)、油断してはいけません。こんなデータを拾ってきました。
IT人材不足の理由として、もう1つ切実な問題があります。それは人材の質です。本当に必要としているスキルや経験を持った人材がいないため、人手不足とも言われています。岡本さん、これは実際にうちでも起きているのでしょうか?
岡本:正直うちのアーキテクチャは昔は古かった。20年前のインテリジェンスの時代からの古い会社ですが、ここ4、5年でアーキテクチャのリアーキもやっています。たぶん、ほかのテックカンパニーやメガベンチャーよりもモダン。職能も評価制度もそうですし、アーキテクチャも採用してやっています。そういう意味では量よりも質に転換しているので、うちではこういう感じにはなっていませんね。人はどんどん採用していますが、不足感はありません。
田中:なるほど。これまでIT人材は不足していたので、一定のスキルさえ持っていればわりと重宝されていました。ここにいらっしゃるみなさんもそうかもしれませんが、今は日本でもプログラミングができる人がけっこう増えているので、必要とされる人材のスキルがより高くなってきているというのが正直、課題としてあります。
先ほどの人手不足の話もそうですが、この質の部分を上げてもっと世の中から求められる人材になるためにはどうしたらいいのか。そこを、ここからさらに深掘りしていきます。
田中:「市場価値の高いエンジニアとは?」という話です。岡本さん、そもそも市場価値とは何を指していますか?
岡本:市場価値。言葉のとおりで相場だったり、ブランドだったりしますが、企業が採用する、いわゆる技術トレンドみたいなものってやはりあります。
例えば僕が前にいたところは、バックエンドでRailsの採用をしていましたが、フロントエンドとバックエンドで分けにくいので、今だと逆に技術負債になりやすいんですよね。そもそもRails自体が一気通貫でやりやすいフレームワークなので、逆にそうなっています。そういうところも含めて、今企業が欲しいエンジニアの層がいろいろなことにバラバラになってきている。株価と一緒ですよね。そういう意味で相対的なものだと思っています。
田中:なるほど。その中でも市場価値が高いエンジニアがいると思いますが、岡本さんはどんな特徴があると考えていますか?
岡本:先ほどフロントエンド、バックエンドという言葉を出しましたが、当然その他にはインフラエンジニアとか、セキュリティエンジニアもいます。そういう意味では、なにかしらのスペシャリストを目指す方向でいったんは勉強してみるというか、インプットしてみることが大事なのかなと(思います)。いったんは、ですけど。
面接していると、学生さんはよく「フルスタックをやりたい」と言うのですが、別にフルスタック自体が偉いわけではなくて、それぞれのスペシャリストにはやはり勝てないんですよ。まんべんなくジェネラリストになっちゃうので。
別にそれが悪いわけではありませんが、その時に、技術プラスなにかみたいな、プラスアルファを持っておくためには、アンテナを張っておく必要があると思っています。
それがフロントエンドに振り切りすぎてもアレでしょうし、結局会社では、1人ではなくチームで開発するので、クラウドのインフラのエンジニア、もしくはセールスの人とコミュニケーションを取らなければならないので、マネージャー的な動きができる、PdM(プロダクトマネージャー)的な動きができるエンジニアであれば、メチャクチャ重宝されると思います。自分がなりたいエンジニア像をなんとなくイメージしてみるといいかもしれませんね。
単に各論でフロントだとかバックだとか言うよりも、自分はこのチームでこういう役割を果たしたいという時に、会社から求められるのはそういうところなんですよ。そういうところでプラスアルファをなにか持っておくと市場価値が高いと思います。
田中:確かに「フルスタックエンジニアになりたい」という人ってけっこう多いなと、これまで私も聞いていて思いました。それより、まずなにかしら自分の強みをとがらせることもわりと大事なんですね。
岡本:そうですね。あとはさっきのプラスアルファですね。
綿貫佐和子氏(以下、綿貫):質問が来ています。「入社後の社員のITスキルの質はどうやって上げるのだろうか?」。
岡本:これは、各社さまざまなんです。うちの場合は、手前味噌で申し訳ないんですが、新卒入社のオンボーディングのカリキュラムがしっかりしているんですよ。独自で作っていて、ソフトバンクやヤフーにも提供しているくらいです。
半年くらいかけて開発の基礎から学んでもらう独自のカリキュラムみたいなものがあるんですよ。これを年々アップデートしていて、今ちょうど3年くらい経っています。今も常に更新していて、良いものにする文化継承は続いています。会社によってさまざまなんですよ。うちにはそういうものがあります。
田中:ありがとうございます。みなさん、たくさんの質問を本当にありがとうございます。
岡本:うれしいね。
(次回へつづく)
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