2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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やまげん氏(以下、やまげん):「CTO百景」はじまりました。モデレーターは、Voicyのエンジニアリングマネージャーとして技術組織を統括している山元です。“やまげん”と呼ばれています。番組の最後ではお便りによる質問も受け付ける予定になっています。質問だけでなく、コメントももらえるとうれしいので、ぜひしてください!
それではさっそくやっていきましょう。今回のCTO百景のゲストは、株式会社カオナビでCTOとして活躍している松下さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。
松下雅和氏(以下、松下):株式会社カオナビでCTOをしています、松下と申します。よろしくお願いします!
やまげん:よろしくお願いします。緊張していますか? 大丈夫ですか?
松下:ちょっと緊張しています(笑)。
やまげん:急にしゃべるように言われるとちょっと怖いですよね(笑)。
松下:そうですね。
やまげん:僕はけっこう慣れたものですが、スマホに話しかけるのは不思議な気持ちになります。
松下:そうですね。
やまげん:でも、そんな緊張もどんどん解けていくんじゃないかなと思います。最初はせっかくなので、カオナビさんの事業内容も説明してもらいつつ、自己紹介を簡単にお願いしてよろしいですか?
松下:はい。カオナビは、社名と同じ「カオナビ」というSaaS型のタレントマネジメントシステムを提供しています。BtoBで対企業さま向けのSaaSで、人材情報を登録してもらって情報の一元化を行うことで、人事や経営層の方のさまざまな課題を解決できるサービスです。
具体的には、社員の方の評価や人材配置や要員シミュレーション、アンケートによるモチベーションの分析といった諸々の機能が含まれているサービスです。私は2020年2月に(カオナビに)入社したのですが、2020年の9月にCTOに就任して、現在はCTO室の室長とCTOをやっています。
やまげん:ありがとうございます。よろしくお願いします。
松下:お願いします。
やまげん:2020年というのは、最近といえば最近(のこと)になるんですかね。
松下:そうですね。2年半前(のこと)で、もともとCTOになるつもりで入ったわけではなかったのでちょっと急というか、びっくりしたけど就任したかたちになります。
やまげん:ありがとうございます。そのあたりの話もどんどんヒアリングできたらと思います。
今日聞きたいところのざっくりとしたトピックでいうと、最初にどんな経歴の方なのかを聞かせてもらい、そのあとカオナビさんの今の挑戦の話をできたらと思っています。最後のほうで、エンジニアとしてのマインドみたいなところの話もできたらなと思っていて。ざっくりこのように話をしていけたらと思います。
やまげん:ということで、最初は経歴からぜひ聞きたいのですが、エンジニアはどんなかたちでスタートしたんですか?
松下:もともと新卒で2001年に都築電気という会社に入社しました。ネットワークに強い会社で、ネットワークエンジニアを目指して入社をしたのですが、研修の中でネットワークよりソフトウェアエンジニアのほうが楽しいなと思ってしまいました。
そこからはプログラミングをやっていこうと決めて、キャリアをスタートしました。当時はクライアントサーバー構成の時代からちょうどオープン系、Webのブラウザで動くサービスが当たり前になりつつあって、社内でも「Javaの開発をスタートするぞ!」というタイミングでした。
まだ始まったばかりで、先輩がStrutsをもうちょっと使いやすくしようと社内フレームワークを作っていたので、私もそこにジョインして一部の機能を作らせてもらったり。あとは、作った社内フレームワークを社内展開や導入支援をしたり、社内の教育をしたりで、けっこう幅広くいろいろなところを支援するような動きもやっていました。
やまげん:なるほど。黎明期という感じなんですかね。
松下:そうですね(笑)。Strutsをいじりつつ、Javaもまだこれからという感じの時ですね。
やまげん:(視聴者の方からの)「Struts1」というコメントがあったりするんですけれど。
松下:そうです。その時代です。
やまげん:Strutsができたて(の頃のこと)というのが、すごく歴史を感じますね。
松下:本当に「IT業界のスタート」みたいな気持ちで入ったような印象です。
やまげん:「おぉ」というコメントがきていますが、社内フレームワークを作るのは、その当時ではけっこうあるあるだったんですか。
松下:そうですね。けっこう他社でもそういう話を聞きましたし、社内フレームワークを安定的に運用するとか、広めるようなところも各社がやっていました。このあとの2社目(に入った会社)や業務委託で入った会社でもそういう社内フレームワークがいろいろなところにあって、最初はそこに慣れていくようなこともあったりはしましたね。
やまげん:なかなか……。今考えると「おぉ」となりますよね。
松下:そうですよね(笑)。
やまげん:当時はそこで技術力を試すというか、それを販売もしている企業もあったと思うので、おもしろい時代の構図だなと思います。
やまげん:ちょうど2社目のお話も出たので。2社目はどういったステップを踏まれたんですか?
松下:1社目はSI会社だったので、技術力を身に付けることに先が見えてしまうなと感じていたので、もう少し技術力を高めていきたくて、Javaの開発をしているオープンストリームという会社に転職しました。
“アーキテクト集団”という、社内にアーキテクトだけがいる部署があって、そちらに配属になりました。当時は私より優秀な人ばかりだったのでそこでいろいろ揉まれつつ、私自身は業務委託でいろいろな会社に常駐する動きをしていました。そんな中で各社の社内フレームワークに触れたり。あと、当時はSOA(Service-oriented architecture)をやり始めていた時期でした。
やまげん:なるほど。
松下:今でいうマイクロサービスの前身みたいなイメージだと思うんですが、そのSOAを社内で1人、唯一関わっているメンバーだったので、現場でそういうものを試しつつ、社内で「こういうものだよ」と展開をしたり共有したり。SOAの第一人者みたいな感じの立ち位置で当時は動いていました。
やまげん:なるほど。「SOAの第一人者」と聞くとかっこいいですね。
松下:(笑)。まだ製品化されていないオラクルのSOA製品を、ちょうどお客さまが使っていたので、そのパイロット版を1年ぐらい触って、アメリカまで行ってオラクルにフィードバックしたりもしていたので、SOAに関して当時はけっこういろいろやっていましたね。
やまげん:本当に今でいうエバンジェリスト的な立ち位置というか。本当に最先端でやっていたんですね。
松下:そうですね。オラクルの「SOA Suite」を日本で触っていた人はほとんどいなかったので、お客さまと私というぐらい(の感じ)でやっていましたね。
やまげん:おもしろいですよね。SOAがはやって、そのあとRailsとかのモノリスがはやって、そのあとはマイクロサービスの分散みたいなものがはやって。
松下:そうですね。その流れを一巡して、今また(マイクロサービスで)経験しているような感覚でいます。
やまげん:当時の経験も、厳選したらけっこう共通的なところは多いと思っているので、わりと活きている感じですよね。
松下:そうですね。SOAだとトゥーマッチな部分がすごく多く、そこを削ぎ落してより組織体制も含めて考えようとするのがマイクロサービスの方向性だったので。同意する面と、当時すごく苦労したグローバルトランザクションみたいなものがないところなどの苦労は、マイクロサービスでも一緒だなと感じています。
やまげん:そうですよね。トランザクションは難しいですよね(笑)。
松下:そうですね(笑)。
やまげん:そのあたり、トランザクション以外に「ここは辛かったな」というようなところあったりするんですか?
松下:そうですね。当時はBPEL(Business Process Execution Language)というビジネスプロセスを定義する言語でいろいろなサービスをつなぎ合わせて1つのシステムを作り上げることをやっていたんですけれど、使い回せるつもりで作ったサービスがなかなかうまくいかずに、結局作り直すはめになったり。
あとは、ログを一貫して見る時に、当時はまだそのあたりまでプロダクトとして用意されていなかったので、「このシステムはどういう状態で落ちたんだろう」とか、「データがどうなってしまったかを追いかけるのがしんどい」とか、そういうことは普通にありましたね。
やまげん:なるほど(笑)。確かに辛そうですね。
松下:あとSOAとしては、他の会社とのサービスをつなぎ合わせることで本質的な楽さや流用性を高めることが実現できるはずだったのですが、なかなかSOAに乗ったかたちでサービスを提供している会社がいない状態だったので、結局自分たちで作ったものをつなぎ合わせるだけになってしまって、「これは本当にやる意味があるのだろうか」となってしまう場面もありましたね。
やまげん:なるほど。マイクロサービスをがんばろうとしたら、そのつらみは今もありますよね。
松下:そうですね。分割すべきか1つで間に合わせるべきなのかは、やはり今も昔も一緒だなという感じはします。
やまげん:今のドメイン分割みたいな、一定のテクノロジーだけでは解決できない領域だったりするので、変わらないのかなと思っていたりもするんですけれど。
この話だけでたくさん盛り上がっちゃうので(次にいきましょう)。
松下:そうですね(笑)。
(次回につづく)
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