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佐々木真氏に聞く「PMスクール」「PM Club」に込めた想い(全3記事)

「エンジニアもデザイナーもPMと呼ぶ時代がやがて来る」 PM Club主催者・佐々木真氏が見る、プロダクトマネージャーの未来

ITを活用したプロダクト開発の重要性があらゆる業界で増していく中、活躍の場がどんどん広がっていくと予想されているプロダクトマネージャー。一方で、海外と比較するとプロダクト開発を体系的に学べる場は少ないのも現状です。 そこで今回は、「PM Club」「PMスクール」の主催者である佐々木真様にインタビュー。コミュニティを立ち上げた理由、そこで実現したいことをおうかがいしました。全3記事。3回目は、PM Club、PM Schoolが目指す未来について。前回はこちら。

「PM Club」メンバーの8割を占めているのは“未経験メンバー”

ーーコードを書くスキルと人が欲しいものを考えるスキルは違うらしいと気づきながらも、学びを実践できる場が少ないというところで「PM Club」を立ち上げられたと思うのですが、実際に運営をしてみてどうでしたか?

佐々木真氏(以下、佐々木):PM Clubを作った時に、ミドル層の経験5年ぐらいのプロダクトマネージャーが来ると予測していたんですが、これがまったく違って未経験が6、7割を占めたんです。要はプロダクトマネージャーになりたい人が8割で、残りの2割は何かというと10年以上の超シニアが中心だったんですね。

ーー当初想定していたミドル層がいなかったんですね。

佐々木:間がメチャクチャ少ないんですよ。これはおもしろい特徴だなと思っています。経験5年ぐらいの人は仕事が楽しいんですよ。キャリアも積んで順調なのでそんなに迷わないんですよね。だからコミュニティに参加するメリットがないのではないかと推測しています。

一方、ジュニアの人は超困っているんですね。「プロダクトマネージャーに転職したいけど方法がない。だからコミュニティに入って勉強がしたいです」という人が多いんです。

経験が10年以上になると、逆にキャリアがある程度完成されたから、今度はもっとネットワークを広げたいとか、もっと知見を磨きたいとかになったりするので。そういった特徴があっておもしろいなと思っています。キャリア層的にいうと、バリバリの30代層とジュニア層である20代前半、もしくはエンジニアやセールスから転職してプロダクトマネージャーになりたいという人がいて、中堅PMで現場でバリバリ仕事をしている層がすっぽり抜けているところがあります。

なので、PM Schoolで救いたいなと思っているのは、未経験の8割なんですよ。そこの人たちが最初の一歩を踏み出すためのサービスにしたいと思っています。

必要なスキル・年収目安・ドメイン知識などをレベル分けしている

ーー先ほど「プロダクトマネージャーのスキルを定義したいけれども、そこがすごく難しい」というお話をうかがったんですが、どうしていけば定義は定まっていくのでしょうか?

佐々木:今はPM Club、PM Schoolのほかにも、人材事業の「PM Agent」というサービスやプロダクトマネージャーのスキルを可視化する検定テストを作っています。それら全部に共通しているのが、プロダクトマネージャーのキャリアの定義とランクをはっきり付けないとできないということです。

それをやるために、PM Club内では6つぐらいのプロジェクトが立ち上がっているんですよ。そこでけっこういろいろみなさんと議論しています。

PM Clubの中にはいろいろな会社でCTOをやっている人、いろいろな会社でプロダクトの顧問をやっている人、コンサルをやっている人などベテラン勢がけっこういて、カリキュラムをみんなで言語化しているんですよ。難しいけれど、できると僕は思っています。

言語化できる人が1人しかいないのであれば難しいですが、それをできるのは僕だけじゃないんですよ。みんな頭の中でロジックを持っていて再現できるということは、言葉にしていないだけで、なにか手法ががあるはずなんですよね。それをみんなで知見を持ち寄っています。「こういう時ってどう考えている?」とか「こういう時ってこうしたら防げますかね?」とか「こういうことをうまくやれますかね?」と侃々諤々と議論をして、みんなが経験値やOJTでやってきたものを言葉にするというプロセスをやっていて、それが今けっこうまとまりつつあると思っています。

例えば、今はこんな感じでジュニアからアソシエイトPM、シニアPM……今はこういうのを全部定義しているんですよ。レベルごとに上から下までずっとあって、経験年次によってどんなスキルがどれくらい必要かを全部書いているんですよね。デザイン、事業開発、ノーコードとかいろいろですね。

あとは年収目安、時間単価目安、ドメイン知識、Biz、データ分析、マネジメント、ヒューマンスキルなどをそれぞれの項目に分けて、これくらいは欲しいよねという感覚値を持ち寄っています。どの企業でも適用できる万能解ではないかもしれませんが、市場をかなり反映している汎用性の高い定義表になっているんじゃないかなと思っています。

ーーこれはグローバルで見た時に標準的な階級なんでしょうか? アメリカのものを参考にされたのでしょうか?

佐々木:そうですね。アメリカの有名テック企業の募集要項を100社ぐらい見ました。けっこう特殊な分け方をしているところもあるんですよ。1、2など数字でレベルを分ける場合もあれば、シニア、アソシエイトとか、会社ごとにいろいろ分け方があるんですが、内容はだいたい網羅しました。

それを「これのほうが広まりやすいよね」と僕が呼び方を付けてきた感じですね。これをやれているサービスは、たぶんまだ日本には1個もないと思います。これにはかなり自信を持っています。

キャリア表がないゆえに給料表の定義もないプロダクトマネージャーの現状

ーー今度はプロダクトマネージャーを採用する側のお話を聞いてみたいと思います。プロダクトマネージャーを採用したいんだけどなかなかできないと悩んでいる経営者が少なくないと思っています。プロダクトマネージャーが誤解されているのが原因だと、お話をされていたと思います。

佐々木:誤解として僕がよく聞くのが、プロダクトマネージャーの単価、報酬がかなり低いんですよね。適切な価格でもらっているとは言い難い状況です。この業務だったらもっと貰わないとダメだよというところが、言いにくいんですよ。

日本人の心理的に、値上げ交渉はしにくい文化があるじゃないですか。それが「相場はこうです」と言えたらやりやすいじゃないですか。「相場はこれです。だからこの値段でお願いします」と言えると思うんですが、そういう給料表は定義がないんですよね。給料表の定義がないのは、先ほどお話ししたように、キャリア表がないことが大きいと考えています。

要するに、このくらいのキャリアを持っている人がこのランクで、このランクの人はこのぐらいの報酬をもらうべきだという相場表がないんです。腕を定義するということは、報酬も定義することになるんですよね。

僕のところにも採用の相談が来るんですが、メチャクチャ安い年収でメチャクチャ優秀な人を採ろうとしているんですよ。「それでは無理です」と。「そのランクの人は年収2,000万円で来てくれるかどうかなので、そこからですね。スタートラインに立っていません」みたいな感じ。無駄な努力をしているんですよね。そもそもの話で、見向きもされませんみたいな話になっています。その背景には市場の未成熟さがあって、それを言語化できる人が誰もいなかったし、言語化してこなかったというのが大きいと考えています。

一方で、アメリカだとPMのスキル定義はやはりあるんですよ。そしてプロダクトマネージャー向けのツールも情報もあります。そこはVCである投資家の人たちがブログでもかなり発信したり、Podcastもやっています。そういうコンテンツが英語だとかなりあるんですよね。日本語だとほぼないです。

僕は、スタンフォード大学MBAでプロダクトマネージャーの授業を受けたことがあるんですが、その時の内容も、過去に個人で経験してきたことと大きく変わらなかったんです。だからそれがすごく自信になった反面、これを受けられる人は相当少ないなと思いました。英語ネイティブ同士が勉強をするので、相当に高い英語力が求められるからです。

学歴のある人たちが世界中から集まるし、かなり高度なので、英語がちょっとわかるぐらいでは、ディスカッションにも参加できないと思います。けっこうそこらへんのハードルもあります。先ほど質問にもありましたが、なぜ日本が遅れているのかというのは、言語の問題が大きいですね。情報が入ってくるまでのラグが大きい。

その間にアメリカがどんどん先に行ってしまうというのがあります。そういった意味もあって、僕は日本語に翻訳しつつ、かつ日本の事情に合わせてそれを再定義しているところがあります。

プロダクトマネージャーの重要性は上がってきているものの、まだまだ認知が足りない

ーー佐々木さんがプロダクトマネージャーとして働き始めた時と、プロダクトマネジメントを取り巻く今の環境はちょっとずつ変化していると感じますか?

佐々木:変化していると思いますね。僕がWebディレクターというかたちでやり始めた時は、言っちゃあアレなんですが、認知がぜんぜん低かったんですよ。低かったし重要性もなかったんですが、今やっと、コードが書けることと人が欲しがるものを作ることがイコールじゃないらしいと気づかれ始めたので、そこからやっと重要性が出てきたと思います。とはいえ、まだ認知そのものが低いですね。

例えば、アメリカだとプロダクトマネージャーは花形なんですよ。エンジニアと並んで花形なんですが、日本だとまだそんなに数も多くないこともあってそんなにです。それこそプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの差がわからない人も多いので、そういったところも含めて、やはり認知がまだまだないと思います。上がってはきているけれどまだかなという印象ですね。

ーー今後、プロダクトマネージャーの需要はどんどん上がってくると予想されているのでしょうか?

佐々木:間違いなく上がってきますね。現在も上がっていますし、上がっていかないとヤバイなと思っています。極端な話をしてしまうと、日本でGoogleみたいな会社が生まれない理由は、日本のソフトウェアのリテラシーが低いからです。

プロダクトの顧問をやっている時に、違うクライアントの3社からまったく同じ質問を1日にされることがあるんですよ。「あれ? これタイムリープしていない? 答えたよね?(笑)」「朝に戻ったのかな? もう1回この話をするのはけっこうつらいよ?」みたいになって、そこからみんな抱えている悩みは同じだなと思ったのも、PM Schoolを作ろうと思った理由なんですね。

プロダクトマネージャーになりたい人にPM Schoolを受けてもらいたいというのはもちろんそうなんですが、同時にプロダクトマネージャーを採用する側だったり、プロダクトマネージャーと仕事をする側にも受けてほしいんですよ。それこそ、エンジニアリングをやったことがないと、エンジニアの気持ちがわからないというのと同じで、プロダクトマネージャーの気持ちをわかるためには、プロダクトマネージャーが何をしているのかがわからないといけないんですよね。

採用する側もそうなんですよ。プロダクトマネージャーはこういうことをやっているから、こういう募集をしないとダメだというのがわからないとなるので、そういうことをしっかりやれることが、市場の成熟には大事かなと思っています。

課題解決の仕方に個性が出るプロダクトマネージャーの仕事がすごく好き

ーー佐々木さんにとってプロダクトマネージャーとは何でしょうか?

佐々木:難しいですね。僕はすべての仕事の中で、プロダクトマネージャーという仕事がすごく好きなんですよね。なぜ好きなのかというと、僕にとってのプロダクトはブロック、要するに組み合わせ自由なおもちゃなんですよ。

オモチャなんですよね。プロダクトは課題を解決するために存在するわけです。その課題の解決の仕方にかなり個性が出るんですよ。プロダクトマネージャーが変わると、手段が変わる。これがすごくおもしろいなと思っているんですよね。

例えばLINEは、メッセージにグッドとかのリアクションを押せるじゃないですか。推測するに、そもそも返信するのが面倒くさいからスタンプで返すじゃないですか。でもスタンプを返すと通知がいきますよね。それってちょっとダルくないですか? 通知はいかないけれど、無視しているわけじゃないよという時にSlackみたいに押せる機能でリアクションができるようになったのかなと思うんです。

相手にメッセージを返すのが面倒くさいと思うユーザーがいるんですよね。これの解決の仕方はけっこういろいろあると思いますが、そこで何を作るかにプロダクトマネージャーの個性が出るんですよね。なので、どんなプロダクトでもプロダクトマネージャーが変わると機能が変わるはずなんですよ。そしてそれが良いか悪いかはお客さんが判断することなので、最終的には出してみないとわからない。そこがすごくおもしろいなと思うんです。例えば僕が過去に作ってきたスタディサプリも、僕たちじゃなかったらまた違うものになっていたはずです。

同じ業界で同じ課題を解くにしても、どういう機能にするのか、どういうプロダクトにするのかは必ず変わります。そこがおもしろいなと思うんですよね。もちろんこれはセールスも同じだと思います。売れるという結果があっても、売り方は人によって違うじゃないですか。取材もそうですよね。取材スタイルもいろいろあると思うんですが、1つ同じことをやるにしてもやはりそれは変わる。

プロダクトの場合はそこにすごく幅があっておもしろいなと思っていて、だからこそ難しいとも言えますね。そのお客さんの課題がきちんと解決できるかどうかは、自分がどれぐらい考えられるか? ということにかかっているので、そこが難しくおもしろいなと思います。

Notion社がワークスペースの定義をどう考えているのかが気になる

ーー佐々木さんから見て、このプロダクトは気になるなとか、このプロダクト開発はどうなっているのかなみたいなところはありますか?

佐々木:ありますね。「Notion」というサービスをすごく使うんですが、あれはワークスペースを作るサービスなんですよ。そうなった時にどこまでを「ワークスペース」と定義するのかは、けっこう難しいんですよね。

わかりやすい例でいうと、「Excelみたいな表計算は入れるんだっけ?入れないんだっけ?」とか。Wordみたいなドキュメント機能があるんですが、「Excelみたいなやつは作るんだっけ? PowerPointみたいなスライドはいるんだっけ?」とか、「ワークスペースとは」の定義でかなり違うんですよ。

表計算は要るのか、それとも要らないのか、このあたりで変わるんですよね。ワークスペースを目指すというところで、ワークスペースの定義をNotionがどう考えているのかがけっこう気になるんですよ。それによって、必要な機能がかなり変わってくるはずなんですよね。

そこをNotionのCEOであるIvanさん(Ivan Zhao氏)がどう考えているのかが気になります。やはり優れたプロダクトは、やる・やらないの判断として何かしらの判断基準があるはずなんですよね。そこをどこに持っているのかと自分なりに想像したりはします。そこを考えるのは楽しいです。

「自分がこの会社のプロダクトマネージャーだったらこうするな」「俺だったらこうするけど、実際の中の人はどうするんだろう」とかをすり合わせたりします。

「俺だったらこう解決するな」と考えることを楽しむのが大事

ーー今プロダクトマネージャーの立場でがんばっている人や、これからプロダクトマネージャーに挑戦したいなと思っている人にメッセージをお願いします。

佐々木:プロダクトマネージャーというものが定義されたのは最近なんですよ。ただ、プロダクトマネージャーっぽい仕事をしていた人は実は昔からいたんです。なので、「PM」という名でプロダクトマネージャーが定義されたこと自体は良いことなんですが、ただプロダクトマネージャーっぽいことが、プロダクトマネージャーじゃないとできないのかというと、そんなことはないと思っているんですよ。

例えば僕なんかもそうなんですが、LINEのプロダクトマネージャーだったらこういうことをするなとか、こういうことを考えたりするなとか、このプロダクトはきっとこういう課題を解決しているんだろうなとか、そういうことを考えることは別にできるわけですよね。優れたプロダクトマネージャーとそうでない人の違いって、こういう思考習慣だと思うんです。そもそもそういうことを考えるのが好きかどうか。

先ほど僕は「プロダクトはブロックのようだ」と言いました。組み立て方でかなりかたちが変わるのがおもしろいと思っているんですが、そうなった時に「俺はこう解決したい」と自分なりのプロダクト像を持つことですかね。

先ほど言ったようにプロダクトは課題を解決するものなので、「私だったら・俺だったらこう解決するぞ」というのを間違えてもいい。間違いとか正解とかはないんですよ。個性が出るから。まずは自分なりの考えを持つことです。「プロダクトマネージャーになるには何をしたらいいのかがわからない」という人がすごい多いんですが、プロダクトマネジメントは本来は許可をもらうものじゃないんですよ。なにかをしなきゃいけないものでも資格が必要なものでもないんですよ。

誰でも課題を解決するプロダクトを考えることはできると思うんです。そしてそれが好きなのであれば、きっとプロダクトマネージャーに向いていると思います。

プロダクトマネジメントというものは、別に職業に就かなくてもできるんですよ。そういう思考習慣は、プロダクトマネージャーになったあとでもずっと続きます。まずはメルカリでもLINEでもNotionでも、日常で身近なものに対して「俺だったらこう解決するな」と考えてみて、それが好きであれば向いていると思います。

とはいえ知識がゼロだと実務では厳しいので、僕はPM SchoolやPM Clubを用意しています。ただ、そういう場を別に用意しているとしても、やはりそういう思考習慣であったり、そういうことを楽しむということはすごく大事なんじゃないかなと思います。やってみたら、日常の中で学べることはいっぱいあるはずです。

エンジニアもデザイナーもプロダクト開発をする人のことをPMと呼ぶ未来が来る

ーーでは最後に。PM ClubやPM Schoolが思い描くPMの未来像とは何でしょうか?

佐々木:おもしろいな……未来像か。僕はこう思っています。今はプロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナーと分かれているじゃないですか。

僕はこれがなくなると思っているんです。もちろん厳密に職業としては存在しますが、例えばプログラムを書く人の代わりにノーコードというツールがあったり、最近だと「Canva」や「Figma」を使えば、デザインもそれっぽく良い感じのものをすぐに作れるんですよね。

LINEでもAIが画像や写真、イラストを作ってくれるサービスが話題になっているじゃないですか。労働人口が減っていくし、減っていないアメリカですらIT人材は足りていないんですよね。そうなった時にどうするかというと、そういうものを自動化するしかありません。ちなみにPM Schoolも、ノーコードで作っているんですよ。

僕は、プロダクトマネージャー1人でプロダクトが作れる時代になるはずだと思っています。エンジニアだろうがデザイナーだろうが、プロダクトを作る人はプロダクトマネージャーになれると思っているんですよね。今までプロダクトを作れなかったのは、コードが書けない、デザインができないからだったと思いますが、それがオートメーションやAIでどんどんできるようになったら別に「作りたいものがあったらできるじゃん」になるんですよね。そういう未来がもう来つつあるんですよ。

来つつあると思うし、今後これが常識になってくると思います。コードを書く、デザインをするというのは、ノーコードからさらに磨き込みたいとか、もっと複雑なことをしたいからデザインをゼロから作りたいとか、より高度な専門スキルとして残ると思います。

デザインはよりアートに近いもの、再現ができないものに価値が出てきたり、プログラムに関してもノーコードのほうがクオリティが高いと自分でプログラムを書く意味はまったくないんですよね。一方で、高度なスキルを持った人のニーズは消えません。例えばAbemaTVみたいに何十万人、何百万人が同時接続する時のサーバー処理ノウハウだったり、インフラ設計だったり、新機能を当てる仮説構築だったり、そういう高度なノウハウが残っていきます。

一方で、誰でも作れるようなものはノーコードで作ったほうが早くなって、PMが1人で作れるようになるんですよ。僕もPM Schoolのノーコードは、自分でいじっています。もちろん多少はデザイナーにも見てもらっていますが、基本的に1人で作れるようになるんですよね。だから、プロダクトマネージャーの未来というところでいうと、プロダクト作りをする人は、全員プロダクトマネージャーとして1人でできるようになるはずです。

その時に大事になるのは「自分ならこの課題をどう解決するか?」を考えることです。そしてそのためには「課題を見つけること」と「それをどう解決するかを考えること」この2つが大事で、これを考える人はまさにプロダクトマネージャーなんですよね。

今までは作るというHowのところが問題だったんですが、そのハードルがどんどん下がっているので、なぜやるのか、何をやるのか、いわゆる要求・要件を決めるというところでプロダクトマネージャーの重要性が高まってくると思います。プロダクトマネージャーの市場価値が上がってくると思っている理由もそこにあって、プロダクトマネージャーというものにすべて収束されると思うんですよね。

エンジニアもデザイナーも、プロダクト開発をする人のことをプロダクトマネージャーと呼ぶようになると思うんですよ。プロダクトマネージャーも、デザインに強いプロダクトマネージャーだったり、エンジニアリングに強いプロダクトマネージャーに分かれるんですよね。自分の強みを活かしたプロダクトマネジメントができると思います。その未来はおそらく来ると思いますし、そういった人がより働きやすくなるためにPM ClubやPM schoolをがんばって作っています。

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