2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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ーーまずは、佐々木さんの経歴を教えてください。
佐々木真氏(以下、佐々木):私は国際基督教大学(ICU)を卒業して、ドリコムという会社に入社しました。そこには1年だけいて、そのあとにリクルートマーケティングパートナーズに転職しました。その中では「スタディサプリ」というサービスの事業立ち上げをやっていました。当時は「受験サプリ」という名前でしたね。
まだすごく小さな部署で、スタディサプリに関わっているリクルート社員も1桁しかいませんでした。そこには4年間ぐらいいて、事業立ち上げから全国展開までを見届けたあとに、退職しました。そのあとに1回転職を挟んで、SaaSの会社を起業しました。
リクルート時代に初めて1つ自分の会社を持ち、その事業を2021年に売却しました。そしてSaaSの会社も2021年3月にCEOを退任をし、そこからはいろいろな企業で顧問をしたり、コンサルティングをしたりして11月まではけっこうゆっくり仕事をしていましたね。
2021年12月ぐらいから、ちょっとまたいろいろチャレンジをしようと思って、今は会社を2つ経営しているので合計4回目の起業をしています。1つがWeb3の事業をやっているシンガポールの会社です。Web3の領域でまったく違う領域の事業をやっています。もう1つが日本の法人で、そこでは「PM Club」というコミュニティ、プロダクト開発を学ぶ「PM School」の事業を作っています。
ーー先ほど、サービスの事業立ち上げを行ったと言っていましたが、その経緯はどういったものだったのでしょうか?
佐々木:私が一番プロダクトマネージャーっぽいことをやったのは、リクルート時代でしたね。いわゆるインターネットサービスの新規事業だったので、やれる人がいなかったんです。当時、私はWebディレクターと呼ばれる仕事をやっていて、その時が一番プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントに近いことをやっていました。
そこからキャリアがスタートして、いろいろな勉強をさせてもらって、4年間でスタディサプリを全国展開しました。だから僕は、スタディサプリの事業開発とWebディレクションの両方をやっていたんですよ。
そのあとに起業をしたのですが、結局起業すると、事業開発もプロダクト作りも全部自分でやるじゃないですか。退任したあとに、「僕はやはりプロダクト作りが好きだったな」と思ったんですよね。僕は起業家でもあり、特に事業開発が専門なんですが、その中でも特にプロダクトマネージャーという仕事が好きでした。先ほどお話ししたとおり、最初はWebディレクターとしての仕事を任されたのですが、それをやっていって起業などをするうちに、やはりこの仕事がすごく好きだなと思うことが多くなりました。
ーーPMとして特に印象に残っているプロダクトとなると、やはりスタディサプリが一番でしょうか?
佐々木:そうですね。やはり僕のプロダクトマネジメントの原点は、スタディサプリですね。あとは、自分で起業したことも大きかったですね。自分で事業開発とプロダクトマネジメントをやるというのは、あまり経験ができないので。そこの2つは自分のキャリアとしては大きいですね。
ーースタディサプリの開発をプロダクトマネージャーとして進めていく中で、「失敗しちゃったな」みたいなことはありましたか?
佐々木:ものすごくあって、僕はリクルート時代に「伝説の問題児」と言われていたんですよ(笑)。
(一同笑)
これは当時の関係者に聞けば、事実だとすぐにわかるんですけど。当時は、関わるプロジェクトを全部燃やす、関わる関係者を全員怒らせる感じで「お前何やっているんだ!」と上司に激責めされることが、かなりあったんですよね。
そういう期間が半年ぐらいあったんですが、半年間燃やし続けると、さすがにこういうことをすると燃えるんだなという“火種”がわかるようになって、そこからは燃やすこともなく楽しくできたのですが。一番の原点は、半年間プロジェクトをとにかく燃やしまくったことかもしれないですね。
ーープロジェクトを半年間燃やし続けるというのはメンタル的にもけっこう大変かなと思うんですけど。
佐々木:そうですね(笑)。
ーーその当時はどうしてプロダクトマネージャーの仕事を続けられたのですか?
佐々木:僕は、インターネット業界で仕事をしていきたいと思っていたのですが、当時は24歳で選べるキャリアがなかったんですよね。その時にそんなに選択肢がなかったので、しがみつかなきゃという自分なりの覚悟はありました。あと、当時はEdTechという言葉がはやり始めていたんですよね。
今はもう当たり前になりましたけど、当時は斬新だったんですよ。僕もテクノロジーで教育を変えたいなとという思いで受験サプリを選んだので、やりたいことがあったというのが、当時がんばれた理由ですね。あとは会社が大らかで寛大でしたね。普通はあれだけ使えなかったらクビにすると思いますが、救われましたね。
(一同笑)
ーー半年間、関わるプロジェクトを燃やし続ける中で、これはすごく大きな学びだったなと思うものは何かありますか?
佐々木:炎上は9割、認識の違いから起きることを学びました。
どういうことかというと、開発者同士でBiz側の人間について話す時、「あの文系営業○ね」みたいな会話って、よくあるじゃないですか。これがなぜ起きるのかというと、Biz側の人間は何ができるかまったくわからないから、無茶振りをするんですよね。
開発者は「技術的には可能です」と答えるんだけど、それには「本当にそんなことをやりますか?」という意味も込められていて。要は歩み寄れないんですよね。お互いにとって異言語なんですよ。セールスがお客さんに何を話しているかもわからないし、逆もしかりで、プロダクト開発で何が起きているかがわからない。あまりにも理解がないんですよね。だから認識のズレが起きるんです。
すると、プロダクトが完成した時に営業は「あれ? これできると思っていたのにできていないじゃん」となるんですよね。エンジニア側が「いやいや、最初から言っていましたよ!」みたいな感じで、これがお客さんと起きると、もれなく炎上案件になるんですよ。
お客さんが「この機能は要るって言った!」「言ってませんよ」みたいになって、今度は水掛け論になるんですよね。ひどい場合、言った・言わないで「要件定義書にはなんて書いてある?」とか「期待値調整どうする?」とかになって、発注の金額が大きかったりすると訴訟になることも多いんですよね。
社内に限定して「この機能を作ろう」と言っても、連想するものや作り方は人によって違うんですよね。それをいかに具体的にできるかが大事で、そのスキルが低いと燃えやすいんです。要するに、平たくいうと言葉にする力なんですよね。言語化する力なんですよ。
プログラムだろうが、ビジネスだろうが、セールスの現場だろうが、相手にわかる言葉で言葉にしないといけないんですよね。そのスキルはけっこう高度なものが求められます。例えばエンジニアにはこう言ったら伝わるとか、セールスにはこう言ったら伝わるというのは、相手の見ているものが理解できないとわからないんですよ。
これはかなり経験が求められるので、完璧にやれなくてもいいんですが、少なくとも「相手には基本的にわかってもらえないんだ」というつもりで、言葉にしないといけません。文系営業の人から「いい感じに」とか言われると「いい感じにって何だよ!?」みたいになるじゃないですか。
ーー「いい感じ」と言われてしまったら、そうなりますね。
佐々木:作る側は「いい感じって何? どういう感じが“いい感じ”なのかせめてサンプルを教えて」と思うんですが、そういうのはよくあるんですよね。そうすると結局認識のズレ、期待値のズレが起きるので、そこをいかに調整できるかが、やはり優れたプロダクトマネージャーだなと思います。
(次回へつづく)
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