
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
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ーーまずは浪川さんのご経歴を教えてください。
浪川舞氏(以下、浪川):驚かれることも多いのですが、私は武蔵野音楽大学を卒業していて、もともとは「ピアノで食べていこう」という気持ちでピアノをしていました。そのため新卒でも音楽教室を運営する楽器店に入社して、3年ほどマーケティングや教室運営のキャリアを積んでいます。イベントの運営ノウハウもその時に学びました。
そういったマーケティング業務をする中で、時代的にWebマーケティングなどの言葉がどんどん出てきて、そこからWeb業界に興味を持ち、SIerでエンジニアに転職したのが2014年になります。そこからはバックエンドエンジニアを4年ぐらいして、その会社の中でマーケティングマネージャーも兼務しました。
その後、機会があって友人のスタートアップ企業に執行役員エンジニアとして入社したのをきっかけに、独立方向にだんだん進んでいきました。スタートアップに入社した時に、開発責任者として事業部を作ったので、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメント業務がメインになって、そこからPMのコミュニティを作ったりして、独立したという経緯になります。
現在はPMの採用や育成支援や、スクラムのアジャイルコーチなどを通して、企業の開発内製化支援をしています。
ーー「エンジニアからマーケティングマネージャーになる」のは、どちらかというと珍しいパターンな気がします。これは、楽器店に勤められていた時の経験を踏まえてのステップアップだったのでしょうか。
浪川:おそらく、そういうところに視点が向いてしまう性格だったところもあると思っています。エンジニアの時に関わっていたのがSIer事業ということで、クライアントのシステムを開発する立場にいましたが、クライアントのシステムが納品後にどう使われるのか、誰に届くのかみたいなところが気になっていました。
そこに「口を出すようになってしまった」といったら言い方がアレですが、その範囲に手が伸びてきてしまったので、「じゃあマーケティングもやってみる?」と上司に打診され、マーケティングの部署を立ち上げました。マーケティング部署の立ち上げ後は、SIer事業を中心に、自社全体のマーケティングを統括していました。
その時の会社はオフショア開発の部隊を子会社で持っていたので、そのオフショアを使ってスタートアップ支援するような施策を立ち上げたりして、今までの顧客とは違う顧客の集客やリード獲得したりしていました。
ーーもともとクライアント側まで視点が向いてしまう性格だったとのことですが、とはいえプレイヤーからマネージャーになると、見るべき視点はいろいろと変化させなければいけないかと思います。マネージャーになったことで苦労したことは何かありましたか?
浪川:いろいろな文脈で苦労はあったと思っています。特に“PM”というよりは“マネージャーだからこそ”が強いかもしれませんが、役割として、どうしても1対多になりやすいのが1つの難しさとしてあると思っています。
特に、ある程度の規模の開発のチームだと、エンジニアが複数人いてその中に1人だけPMがいるような状態がよくあると思います。そうなると、エンジニアはエンジニア同士でお互いの知見を共有して課題解決ができるけれども、PMは同じロールの人がチーム内にいないので、意見を聞ける場がない。
スキル的な難しさでいうと、どちらでも常に新しいことを吸収し続けないといけないという意味でいえば、難しさはあまり変わらなかったと思います。
ーーマネージャーの経験を経て独立に進まれたかと思いますが、PeerQuestを立ち上げることになったきっかけを教えていただけますでしょうか。
浪川:先ほどSIerにいたと言いましたが、SIerでは契約上、どうしても甲と乙の関係みたいになってしまうんです。「発注している側が偉くて、受注している側はなんか言うことを聞かなきゃいけない」じゃないですが、「要件どおりに開発しなければ」みたいなことになっていて、コミュニケーションに上下関係ができることにすごく違和感があったんですよね。
上下関係ができていく中で、例えば「上から降ってきた要件だから反対しづらい」とか、そういった理由で不要な機能を作ってしまったり。これは受託開発では今も起こっていることかなと思います。でも、それが本当にユーザーのためになっているのかが、すごく疑問で。
これは会社名である“PeerQuest”の“Peer”に込められているところですが、契約上は甲と乙の関係になってしまうけれど、上下関係なくフラットな、同じ立場でコミュニケーションをしつつ開発をしたいという思いで会社を設立しました。
ーーその“フラットさ”を重視するようになったきっかけは、なにかあったのでしょうか。
浪川:きっかけみたいなところでいうと、SIerにいた時代だったかな。アジャイル開発や心理的安全性みたいなキーワードがだんだん世に広まってきたようなタイミングで、「じゃあ自社でも取り入れてみよう」ということをやったんです。
それで感じたのが、フラットに仕事できるってすごく楽しいんですよ。「この機能どう思う?」「ユーザーはどう思っているんだろう?」というようなことを、ユーザーのほうを向きながらちゃんと議論するようなことって、遊びと近いような感覚で仕事ができるという意味で、社員のモチベーションもすごくアップした体験がありました。
アジャイル(スクラム開発)では、スクラムマスターとかデベロッパーメンバーとかを役割の1つ、ロールの1つとして捉えていて、別に上下があるわけではない。そういう意味で、フラットな関係性のほうが議論が捗るんじゃないかと、その時に思いました。
ーーフラットな関係のほうが、生産性も上がると。
浪川:個人的には特に(笑)。あとは「あの人に怒られるかも」と思ってペコペコしながら肩身狭く仕事をしているのも、あまり気持ち良くないじゃないですか。なので「オープンに話せるといいな」というのは、今も意識していますね。
ーー浪川さんはdevPMというPMのコミュニティの運営もされていますが、devPMとPeerQuestはどのような関係にあるのでしょうか。
浪川:どちらかというと会社のミッションの中にdevPMも包括しているものと考えています。というのも、「コミュニケーションをフラットにした状態で開発を進めましょう」というPeerQuestのミッションを叶えるためには、深掘りしていくとPMのスキルが必要だと判明したんですよね。
今ではスクラム開発などを取り入れることで、フラットな開発環境を作るようなところは解決できていますが、スクラムをするにしてもスクラムマスターの技術が必要だったり、プロダクトオーナー的なスキルが必要です。
そのどちらもプロダクトマネジメントという文脈の中で学ばなきゃいけないことだと思っているので、そういった意味で、プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーが開発に関わるすべてのことを学べるような場を目指して作りました。
(次回につづく)
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