2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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やまげん氏(以下、やまげん):コロプラさんにはどのぐらいいらっしゃったんですか?
山下貴大氏(以下、山下):コロプラは丸4年ですね。2012年11月から2016年10月で、本当に丸っと4年いました。
やまげん:なるほど。しかもこの時マネージャーになられたと聞いているのですが。
山下:そうですね。終盤はエンジニアのマネージャーとして働いた感じですが、それまではバックエンドのエンジニアや、あとはたまに任されてPMをやったりしていましたね。
やまげん:なるほど。エンジニアからいわゆるマネージャー、プレイヤーからマネジメントになるのに、きっかけはあったんですか?
山下:エンジニアとして働いていて、(その中で)マネージャーっぽい動きをしていたら、以前CTO百景に出ていた菅井さん(菅井健太氏)がそれこそ当時の上長でしたが、(菅井氏に)「マネージャーやってみるか」みたいに言われて。マネージャーになる研修みたいなのがあったんですよ。研修というか、試験。これまた試験。
やまげん:試験(笑)
山下:そうなんですよ。メンバーを評価するという(試験)。今いるチームだったり、エンジニアのメンバーだったりを評価して、どういう軸で評価したかを、役員に囲まれながら「自分はこのへんでこういうふうに評価していて、こういうランク付けをします」みたいなことをやりました。さすがにそれはカンニングできなかったので、カンニングはしていないんですけれど。
やまげん:あはははは(笑)。
山下:試験を受けてマネージャーにしてもらった感じですね。
やまげん:そんな試験があるんですね。すごい。
山下:ありました。大企業だとあるかわからないんですけれど、昇級するに当たって試験があるんだと初めて思いました。「そんなこと、他のマネージャーは言っとったっけ?」と思いながら。試験期間中は業務が手に着かなかったですね。
やまげん:そうですよね(笑)。勉強をどこまですればいいのかわからないですし、「嫌だな」という気持ちだということですよね。
山下:そうです。
やまげん:カンニングもできないし。
山下:そう、カンニングできないし(笑)。
やまげん:あははは(笑)。
山下:いやぁ、カンニングできる世界って本当に楽ですよね。
やまげん:楽です。「みなさんカンニングはしちゃいけませんよ」というコメントだけしっかり残しておきますが。
山下:バレなきゃいいんじゃないですかね(笑)。
やまげん:あははは(笑)。そうですね。バレなきゃいいってことで。
山下:倫理観と戦っていただいて。
やまげん:倫理観と戦いながら、そのあたりをみなさんに参考にしてもらえればと思います。
やまげん:この後は、4年間コロプラさんにいて。もう1つ他の会社にも勤めていらっしゃったんですよね。
山下:そうですね。2010年頭から2016年はいろいろな会社が群雄割拠の時代で、ソシャゲにやってきて、アプリを立ち上げていて。けっこうレッドオーシャンだったんですよね。レッドオーシャンの中で会社も人も倒れていくのを横で見ながらやっていたら、自分もメンタルをやられました。
「あ、ヤベ。どうしよう」となった時に、「ソシャゲの後に来るのはなんだろう」と思って。その当時はだいたいWebはWebで閉じていましたが、今度はWebがリアルの世界に入っていくだろうと思いました。
ちょうどその時にIoTというワードが出てきたりしていて、リアルのものとWebが掛け合わせるものは何かないかなと思っていたら、電動車椅子のWHILL(ウィル)という会社が、「専任のWebエンジニアの1人目を募集します」みたいな情報がありました。
昔からWHILLのことは知っていて。そこはずっとメカエンジニアしか募集していなかったんですよね。Webのエンジニアの自分が入る余地はないなと思っていたけれど、ちょうどWebエンジニア募集があったので、Webエンジニアに応募して、副業から入ってそのまま転職した感じですね。
やまげん:なるほど。じゃあWebエンジニアとしては1人目としてジョインされたのですね。
山下:そうですね。一応メカをやっている人で、片手間でWebのことを覚えてちょっとWebを触るような人はいましたが、専任では自分が初めて入った感じですね。
やまげん:んー、なるほど。IoTはおもしろいですけれど、また1つ特徴があるというか。僕もIoTの会社に学生の時インターンで行ったんですけれど、けっこう難しい部分もたくさんありますよね。
山下:そうですね。どのあたりが難しいと感じました?
やまげん:特に、IoT製品とスマホをつなげてそこでデータをやり取りしつつ、最終的にスマホはWebと接続することを制御しないといけなかったので。
山下:なるほど。デバイスとスマホはBLE(Bluetooth Low Energy)でつないで、みたいな感じですか?
やまげん:そうです。BLEでつなぐ感じでしたね。
山下:なるほど。WHILLの場合は車椅子に基板があって、その基板にsimカードを挿していたんですよ。車椅子がスマホみたいになっていて、そこから直接サーバーに走行情報やエラー情報を送っていて。それをWebの管理画面で見る、みたいなことをやっていました。
ソラコムさんともいろいろ連携しながらやっていたんですけれど、ソラコムさんも初めてのことがあったりして、ソラコムが初めてである状態に対してこっちもてんやわんやする。みたいなことがありましたが、IoT周りをいろいろやりました。
やまげん:1人目のエンジニアだと「もうなんでもやります」みたいに、いろいろなものを開発していた感じですか?
山下:そうですね。Web以外のところでも「アプリ作りたーい」と言われて。
やまげん:ははははは(笑)。
山下:自分が入社する前からあるプロダクトにもアプリがあって。それもBLEで、スマホアプリとスマホと車椅子をつないでいて。スマホがコントローラーみたいな感じで、人が乗っていなくても動かせるものがありました。
それを次のプロダクトでも作りたいとなって、「やまぴー作ってくれへん?」ってWHILLのCTOに言われました。
やまげん:へへへへ(笑)。
山下:「いやぁ、僕はバックエンドのエンジニアだしなぁ」と思いながら、「嫌です、外注してください」と言ったんですけれど。
やまげん:言ったんですか(笑)。
山下:はい。「いやぁ、でもなぁ。そこを頼むからやってくれへん?」みたいなことを2、3回やり取りして、結局作りました。
やまげん:結局作ったんですね(笑)
山下:はい。普通に「嫌だなぁ」と思いながら。新しいことを覚えるのは楽しかったのでいいんですけれど。で、技術選定のところから入っていかないといけなかったりしました。当時のクロスプラットフォームはPhoneGapやReact Nativeなどいろいろあったのですが、これはいつ終わるかもわからないし、React NativeはBLE通信できるかわからないしとなって。
それで、Objective-Cではなくて次はSwiftになるけれど、Swiftの本は大してないし「どうしよう」と思いながらいろいろ調べて。結局SwiftでiOSアプリを3ヶ月くらいで書きました。
やまげん:当時は時代でいうと何年ぐらいですか?
山下:2017年ですね。
やまげん:ああ、2017年。なるほど。BLEだとやはり堤修一さんの本を読んだ感じですか?
山下:そうですね。読んでもわからなかったので、もう1人のメカに詳しいエンジニアに聞きました。WHILLにはギークみたいな人がメチャメチャいて。変態がいっぱいいて、その子がいろいろやってくれたので助かりました。しかも、その前のプロダクトがモデルAというのですが、そのiOSアプリを作ったのがまさにその堤さんで。
やまげん:そうなんですね(笑)。
山下:そうです。堤さんのコードを見て「はーん」と思いながら、その後にAndroidアプリも作りました。Androidアプリも「どうしようかなぁ」と思いながら(調べて)、(そしたら次に)それこそKotlinが(世の中に)出てきて。(でもKotlinも出てきたばかりの言語だったので、)「いや、Kotlinの本もないしなぁ」と思って。
(その結果)Javaは書いたことがなかったんですけれど、おとなしくJavaを覚えて、Androidアプリの作り方を覚えて、その後にKotlinを覚えて。とりあえずKotlinでAndroidアプリを出しました。
やまげん:ふんふん。
山下:ずーっとドトールに引きこもっていました。
やまげん:ドトール、リアルですね(笑)。
山下:そうなんですよ(笑)。朝出社前にドトールで勉強して、出社して、仕事して、仕事が終わったらまたドトールにこもって、閉店までずーっとAndroidアプリを勉強して。「なんとかできたー?」と思いながら。
やまげん:いや、すごいですね。本当にゼロからSwiftとKotlinを学んで、アプリの作り方を学んでアウトプットを出すって、本当に相当胆力が要るというか。
山下:そうなのですよね。もうちょっと積極的な姿勢でやってもよかったんじゃないかって今は思いますけどね(笑)
やまげん:でも、ベースは消極的にやりつつ、でもドトールにはずっといた感じだったんですか?
山下:そうですね。「仕事だしなぁ」と思いながらも、結局新しいものはやったらやったで楽しいじゃないですか。
やまげん:はい。
山下:というところで、めんどくさいなと思いつつも楽しいなと、そういう感情が入り混じりながら(やっていました)。
WHILLにいる時は、だいたい新しいことばかりだったんですよね。「Salesforceを導入して入出庫のシステムを作ってくれ」とか、「問い合わせ対応もSalesforceでやってくれ」とか、「ファームウェアのバージョン管理のやつを作ってくれ」とか、基本新しいことだらけでした。新しいことばかりで、だんだんしんどくなってきた時期だったりもしました。
やまげん:なるほど。本当にいろいろやっていますね。
山下:1年半でけっこうやらせてもらった感じはしましたね。あとは変態的なことをやったりとか。ファームウェアのバージョン管理も、今思うとスプレッドシートでしていたんですよね。
やまげん:あー、はい。大変そう。
山下:データベース、MySQLとかでやればいいと思うんですけれど、管理画面を作るのがダルいしと思って、「これスプレッドシートでGASを作ってやればイケるんじゃない?」みたいなところでやったら、車椅子のファームウェアのバージョン管理が何千台分とあって、スプレッドシートでやる意味がよくわからない、トリッキーなことをやったりとかしました。
やまげん:んははは(笑)。ファームウェアのバージョン管理は大変そうですね。
山下:大変ですね。でもIoTのよさというか、通信機能があるから、バージョンアップデートをしやすいのはありますよね。そのあたりは横で見ながらずーっと感じていましたね。
やまげん:そうですよね。アップデートで「物理的なこの線をつないで」という必要がないのはだいぶ大きいですよね。
(次回に続く)
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