2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
1人目PMの仕事によくある誤解とキャリアアップの道筋(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
Shin Sasaki氏(以下、Sasaki):始めていきたいと思います。よろしくお願いします。僕はいろいろなところでけっこう登壇しているんですが、今日は1人目PM(プロダクトマネージャー)ということで、仕事のよくある誤解と、キャリアアップの道筋。PM Clubでも悩んでいる方がけっこう多いので、かなりニーズがあるんじゃないかなと思ってお話しします。
あらためて、Sasaki Shinと申します。連続起業家です。僕は起業家というちょっと変わった属性になっているんですが、PM Clubというプロダクトマネジメントのコミュニティを主催しております。
あと、シンガポール法人でWeb3のNFTなどをやっている事業のCPO、共同創業者で、今はTシャツのようなNFTを作って売っていたりします。過去にスタディサプリの事業開発と全国展開をやったり、自分で会社をやってメディアを売却したりしていました。
(スライドを示して)このアイコンで見ていただいている方もいるんじゃないかなと思っていますので、質問などあればぜひぜひお寄せいただければと思いまーす。
じゃあちょっと時間もないので話していきたいと思いますが、宣伝で、経済メディア「PIVOT」で連載&動画のコンテンツをやっているので、よかったら見てください。
ここからが本題です。僕は登壇をする時に必ず認識をそろえているんですが、人によってPMの仕事の内容の認識がけっこう違うので、まずここを話していけたらなと思っています。
まずみなさん、ちょっと考えてほしいんですが、1人目のPMのお仕事って何だと思いますか? 自分なりにイメージしてみてください。
各人いろいろと思うことがあると思うんですが、「一般的にPMってこんなことを求められる」みたいなことを言うと、UX、テクノロジー、ビジネスみたいなところの交差点をやるのがPMであるようなことをけっこう言われたりはします。
(スライドを示して)が、実際はこんな感じです。思い当たる方もいると思いますが、けっこう広いです。本当はUXだけじゃなくて、プロジェクトマネジメントであったり、ビジネス、マーケティング、Business Development、事業開発であったり、法律、データアナリティクス、分析。こういったことをやることも多いんですが、会社によってけっこう違うし、認識も個人によって違ったりもします。
この現象って、実は日本だけなんですよね。アメリカや欧米とかだとプロダクトマネジメントという学問で体系立てたりしているんですが、日本だとけっこうバラバラだったりするので、まずはここの認識をそろえていきます。
(スライドを示して)その上で、こんなこともあります。これ以外のこともかなりあると思うので、「もっとあるよ」という方もいると思うんですが、あくまで一例です。
ビジネスの設計からマーケティングまで、上流から下流みたいな現場で言うと、こんなところがあるかなと思っていて。まぁかなり多いです。
「OMG(オーマイゴッド)」みたいな。(スライドを示して)これは僕が猫が好きということもあっていつも使っているんですけれど。
その中でPMというのは、UX・テクノロジーのところを担う人なんですよね。いろいろあります。ビジネスを担うこともマーケティングを担うこともありますが、基本的にプロダクトマネージャーと名の付く人の担うところは、UXとテクノロジーの2つの部分です。
UXは顧客課題を特定すること、そして、テクノロジーがプロダクトを作ることです。いわゆるプロダクトの方向性を決めると言ったりもしますが、そういったことをやるのが主な仕事です。これが一般的な話です。
この中で大事なのが、PMはなんでもできるスーパーマンである必要はありません。特に1人目のPMというところで、業務の幅がかなり広いということは、僕も起業したことがあるのでよくわかるんですが、なんでもできるスーパーマンである必要はありません。
そういったところも、今日は話していければと思っています。
ここから本題に近づいていきます。(スライドを示して)「1人目PMの仕事とは?」とありますが、みなさん、1人目PMと他のPMの違いって何だと思いますか? ちょっと考えてみてほしいです。“1人目PMの仕事”です。
なぜ1人目なのか。ここはけっこう大事なんですよ。かなり違います。1人目なのかそれこそ2、3人目なのかでけっこう違います。なのでちょっと考えてみてほしいです。
どういうことかというと、だいたいカオスです。1人目でスタートアップに入るというのは、だいたい組織の規模でいうと10人とか50人ぐらいとか。(その中で)エンジニア(は)5名〜20名、30名ぐらいの組織で1人目になるということが多いかなと思っています。
まぁ、もれなくカオスです。プロダクト作りの初期なんてものは人も足りないし、エンジニアも足りない。やりたいことのわりには、やはり圧倒的に人手が足りない。まぁカオスです。その中で1人目PMという存在でやっていかなければいけません。
ただ、これは断言できますが、最もおもしろいのも絶対に1人目だと僕は思っています。
これはなんでかという話です。大企業のPMになったほうがいい方もいるんですよ。ただ、そういう方はジュニアのPMの方であったり、もしくはジョブチェンジをしたいような方で大企業を目指すという方もいるんですけれど、大企業のPMは何人もいるので、それはもう平和なんですよ。
例えば、僕がけっこう話をするLINEさんとかだと、LINEの中にいっぱいプロダクトがぶら下がっていて、それぞれのPMがいたりします。そのPMは、LINEという事業の中では自分のプロダクトにしか意思決定ができなかったり、他に影響範囲が大きいところに関しては、意思決定ができなかったりします。
そういった意味で、スタートアップや1人目PMは、意思決定の質と量がぜんぜん違うんですよね。なので大きい会社は平和です。幸せに仕事ができます。一方で、意思決定の数だけでいうと、圧倒的に少ないのが残念ながら現実なので、こういったところが(1人目PMの)やはりおもしろいところにもなるかなと思っています。
1人目PMのよくある誤解みたいなところを今日は話していければなと思っています。(スライドを示して)こちらはPIVOTの動画でも話したんですが、「プロダクトマネージャー5つの誤解」みたいなところですね。
プロダクトマネージャーって誤解されていることが100個ぐらいあるんですけれど、今日は5つに絞って話してました。
よくある5つ。1人目PMのよくある誤解なので、ここはPIVOTの内容と違うところもありますが、そういった観点でやっていければと思っています。
時間もないので最初に結論です。まず1つ目、PMは「マネージャー」ではない。PMは「ミニCEO」ではない。そして、PMは「エンジニアの管理者」ではない。そして4つ目、PMは「エンジニア出身」しかなれない(わけではない)。そして5つ目は、どんなPMも「正解」は知らない、というところです。
これだけで本当に30分話せるんですが、どういうことかというと、超かいつまんでいくと、まず1つ目、マネージャーではありません。なので、部下をマネジメントしたり、そういったタスクの管理ばっかりやらせると、もれなく辞めちゃいます。
マネージャーではありません。プロダクトのマネージャーでプロダクトの方向性を決める人ではありますが、あくまで役職的なマネージャーとは異なる存在だと思ってもらったほうがよくて。
そこで「PMだからタスク管理とか評価をやって」と言うと、けっこうな確率で辞めちゃったり、本来の業務をやれなかったりするので、あまりおすすめしません。「マネージャーとは違うんだよ」ということがまず1つ。
特に小さい組織だと、マネジメントをするミドルマネージャーがいないことがよくあります。そこでPMがやるって、お鉢が回ってくるというのはありますが、これはけっこう危険なので覚えておいてください。
そして2つ目。PMは「ミニCEO」ではない。これはPIVOTの動画でも話しましたが、プロダクトの方向性を決める存在ではあります。ただミニCEOのようになんでもかんでもやるのは、ちょっと発想として違います。
先ほど言ったように、PMはスーパーマンである必要はありません。プロダクトの方向性とプロダクトの質に責任を持つ存在なのに、それ以外の雑務を全部任せるということがけっこう恐ろしい現場ではあるんですよ。
本当にこれは僕に転職相談とか、もしくは採用の相談に来る会社さんでもけっこう誤解しているようです。なんでも振ればいいという存在ではないので。ミニCEOというのは便利な免罪符になることが多いですが、そういうことはやめましょうというのが2つ目。
3つ目が、エンジニアの管理者ではない。これもかなり多いんです。「エンジニアをマネジメントしてよ」と(上司は)言うんですけれど、「違うわ」と。それはテックリードとかCTOとかの仕事なんですよね。エンジニアの厳密な管理というのは、プロダクトマネージャーの仕事ではないというところです。
例えば、エンジニアの得意な工数管理やコード管理を、エンジニア出身じゃない人がやったりすることも多いんですよね。僕なんかはエンジニア歴は1年しかないので、そういうことは苦手なんです。
なので、そういうことをテックリードの人とかと話しながらやります。エンジニア出身じゃなければPMになれないと思っている人がけっこういますが、逆です。PMはエンジニア経験必須ではありませんし、僕も軽く1年しかやったことがないのでぜんぜん該当しないんですが、まぁ楽しく仕事はしています。
エンジニア以外でもPMにはなれますし、むしろ強みが違います。ここはけっこう誤解している方も多いかなと思っています。
4つ目が、エンジニア出身しかなれないという話でした。PMはエンジニアの管理者ではないというところと混ざって話しちゃいましたけれど、エンジニアを管理する人ではないし、(必ずしも)エンジニアの出身ではないというところで。ここはちょっと一気に話しちゃいました、ごめんなさい。
5つ目が、どんなPMも正解は知らない。仮説だけで見切り発車をするのもよくない一方で、これはつらいところなんですが、どこまでいっても仮説は仮説なんですよね。
実証するまで仮説は真実にならないのがサイエンスの世界の鉄則なので、必ず仮説のままどこかで見切り発車をしなければいけないタイミングがきます。ただ、その精度を上げることはできます。
ただ、PMは百発百中の弾を撃てる人ではありません。なので、そこは素早くPDCAを回すために、クイックに検証するであったり、みんなでお客さんの声を聞くであったりが必要になります。
例えばですが、僕もやることですが、LPで事前に告知しちゃって受注できるようにするとか、営業資料だけで受注できたら本物だとか。あとはFigmaでモックを作っちゃって、それでお客さんに触ってもらうようなこともよくやります。
PMは正解を知っている存在ではありません。正解はプロダクト組織全体で追っていくものなので、ここはPM1人に押し付けるのはやめましょうというところで、主に5つの誤解でした。
時間もないのであっという間にいきます。今までけっこうネガティブな話をしたので、1人目PMだけが味わえる醍醐味をお話ししていければと思います。
僕も1人目PMを何回もしています。起業すると僕自身がPMになるので何回もやっていますが、絶対におもしろい。これは断言します。大きい会社さんでゆっくりしっかり地に足をつけて学ぶのもいいと思います。ただ僕は、1人目のPMの環境に飛び込むのがけっこうおすすめです。
何がおすすめなのかと言うと、大きく5つ(あって)こちらも書いてみました。
1つ目、プロダクトの大きな方向性の意思決定に関わることはできる。これが一番大きいです。やはりこのレベルで方向性に関われるのは初期だけです。
2つ目。ユーザーの一次情報をたくさん得られる。やはりユーザーに会いやすいですし、ユーザーも協力してくれます。こういった時にユーザーの一次情報を集めやすいので、けっこう楽しいです。
3つ目、業界の理解が深くなる。特にこれはSaaSとかの世界でけっこう多いんですが、業界ドメイン知識がかなり大事になってきたりもするので、こういった時に一次情報に触れることで業界の知識が得られやすいというところもあります。
4つ目、どんなプロダクト開発組織にするかを決められる。これもけっこうおもしろくて、プロダクト開発組織の正解は1つではないし、それこそプロダクトによって最適なプロダクト開発組織は違います。
なので、ここを決められるのはかなり大きなフェーズになるし、それこそ組織作りとか採用にも関われたりもすると思います。そうなると、かなりマネジメントレイヤーの道は開けるかなと思いますよね。
5つ目が、PMとして圧倒的に成長をしやすいというところです。これが一番大きいかもしれないなと思います。成長する量はかなり違います。
どういうことかというと、キャリアパスというところもありますが、ここで最後に質問です。PMが成長するために絶対に必要なものは何だと思いますか? ちょっと考えてみてほしいです。
いろいろあります。いろいろあるし、いろいろ考え方もあると思いますが、僕が「絶対にこれは欠かせないな」と思っているものがあります。それが「意思決定の量と質」です。
プロダクトに関する意思決定の量と質。この2つが、そのプロダクトマネージャーの成長を大きく左右します。逆に言うと、これがなければ成長しないと言ってもいい。これは仕事全般に当てはまりますが、プロダクトマネージャーは特にそう。プロダクトの意思決定の量と質によって成長が左右されます。
プロダクトが成長すると、意思決定の質も成長します。これは絶対です。「成長したから意思決定の質が上がったな」ということはすごくあるし、逆にいうと、鳴かず飛ばずのサービスをずっとやっていてもあんまり意味がないんですよ。実はそれは成長はしていなくて。
なので、自分が成長するためには、プロダクトを成長させなければいけない。これは絶対イコールなんですよ。プロダクトが成長しないのに自分が成長することは、プロダクトマネージャーに関して言うとあまりなくて。なのでここは、しっかりプロダクトを成長させることとイコールだと思ってもらったほうがいいかなと思います。
(スライドを示して)「じゃあその先に何があるの?」という話になると、プロダクトマネージャーのレベルアップでいうと、だいたいこんなパスがあったりします。これもあくまで参考なのですが、ジュニア、ミドル、シニア、マスターみたいな感じ。例えばこんな感じでパスが開けたりとか。
あとは最初に言ったように、なんでも屋ではない。ただ、自分の強み・専門性によってプロダクトマネージャーも多少タイプ分けできるとなった時に、こんな分け方ができるというところで。
ビジネスPMとか、あとテクニカル・プロダクトマネージャー、グロース・プロダクトマネージャー、あとUXプロダクトマネージャー。こういうのはアメリカとかではけっこう一般的に言われていたりもするんです。日本ではあまり馴染みがないと思うんですが、プロダクトマネージャーも専門性によってけっこう強みが違います。
例えば僕の話で言うと、ビジネスPMなんですよね。事業開発とビジネスPMをずっとやってきたので、そういうところで僕は強みがあるかなと思っています。
僕の場合で言うと、COOとかCEOとかCPOみたいなキャリアがあるし、エンジニアの方はCTOだったり、マーケティングで言うとCMOになるかもしれない。そういったキャリアパスもあります。
最後に宣伝です。僕は今、PM Clubというコミュニティをやっていますが、この秋にプロダクト開発を学べるスクールを準備中です。
あとは最後。僕がやっているPM Clubは、日本のプロダクト作り人材を増やしたいなという思いで、「プロダクト作りをぶち上げる」というミッションでやっています。
知見の交流だったりイベントだったりとか、みんなでもっとプロダクト作りを楽しめたらいいなと思ってやっているので、ぜひ参加も検討してもらえるとうれしいなと思っています。
本当に早足で申し訳ないんですが、話すと止まらないので、残りはリプライかPM Clubでお願いします。以上でーす。
2024.12.20
日本の約10倍がん患者が殺到し、病院はキャパオーバー ジャパンハートが描く医療の未来と、カンボジアに新病院を作る理由
2024.12.19
12万通りの「資格の組み合わせ」の中で厳選された60の項目 532の資格を持つ林雄次氏の新刊『資格のかけ算』の見所
2024.12.16
32歳で成績最下位から1年でトップ営業になれた理由 売るテクニックよりも大事な「あり方」
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
PR | 2024.12.20
モンスター化したExcelが、ある日突然崩壊 昭和のガス工事会社を生まれ変わらせた、起死回生のノーコード活用術
2024.12.12
会議で発言しやすくなる「心理的安全性」を高めるには ファシリテーションがうまい人の3つの条件
2024.12.18
「社長以外みんな儲かる給与設計」にした理由 経営者たちが語る、優秀な人材集め・会社を発展させるためのヒント
2024.12.17
面接で「後輩を指導できなさそう」と思われる人の伝え方 歳を重ねるほど重視される経験の「ノウハウ化」
2024.12.13
ファシリテーターは「しゃべらないほうがいい」理由 入山章栄氏が語る、心理的安全性の高い場を作るポイント
2024.12.10
メールのラリー回数でわかる「評価されない人」の特徴 職場での評価を下げる行動5選
Climbers Startup JAPAN EXPO 2024 - 秋 -
2024.11.20 - 2024.11.21
『主体的なキャリア形成』を考える~資格のかけ算について〜
2024.12.07 - 2024.12.07
Startup CTO of the year 2024
2024.11.19 - 2024.11.19
社員の力を引き出す経営戦略〜ひとり一人が自ら成長する組織づくり〜
2024.11.20 - 2024.11.20
「確率思考」で未来を見通す 事業を成功に導く意思決定 ~エビデンス・ベースド・マーケティング思考の調査分析で事業に有効な予測手法とは~
2024.11.05 - 2024.11.05