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ぶっつけパネルディスカッション(全2記事)

鉄板ネタを仕込む・ファーストペンギンになる・エモさを意識… 心理的安全性を高めるファシリテーターの工夫

「開発PM勉強会」では、今後のキャリアを考えるプロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、エンジニアと共に、プロダクト開発事例の共有やシステム開発上流工程の相互学習の場を提供しています。第13回目は、プロダクト開発、プロジェクト管理とは切り離せないスクラムイベントや会議の進行「ファシリテーション」技術について話しました。パネルディスカッションでは、視聴者からの質問に答えました。全2回。前半は、ファシリテーションスキルを身につけるために意識していることについて。

イベントを開催を実践してフィードバックをもらう

浪川舞氏(以下、浪川):それではさっそくですが、似たような質問が2個来ていたので、このあたりを聞いてみようかなと思っています。(スライドを示して)ファシリテーションの練習方法はありますか? というのと、ファシリテーションスキルを身につけるために意識していることはなにかありますか? ということです。

杉原さんはどうでしょう。ファシリテーションの練習ってなにかあるんですか。

杉原達也氏(以下、杉原):プレゼンはメチャクチャ練習したことあるんですけど、ファシリテーションはないですね。逆にアジェンダは作ったあとに「これはあったほうがいいな」というのがあったので、ブラッシュアップしたりします。あとは人がやっているのを見て「パクろう」と思って持って帰るのはあるかもしれないです。

浪川:確かに今日もいろいろ学びが多そうでしたもんね。井上さんはいかがですか。場数なのですかね。

井上慎也氏(以下、井上):そうですね。今日のまいどるさん(浪川舞氏)みたいにイベントを開くことじゃないですかね(笑)。

浪川:ふふふふふふ(笑)。イベントを開いてみることなんですね。

井上:そうですね。あとはやっぱり、こういうものは本を見て学べるわけでもないというか。型は学べると思いますが、その場にいる人とか、先ほどもリリーさん(岡本リリー氏)の紹介にもありましたが、どういうイベントにするかとか、誰が参加するかによって、やり方も変わってくると思うので、いろいろやりながら、きちんとフィードバックをもらうってことなんじゃないかなと思います。

浪川:確かに。実践して振り返ってっていう。

井上:いろいろ試行錯誤して試して。

浪川:そうですよね。他の仕事と同じですよね。

自分のファシリテーションを客観的に見る

浪川:最初の質問なので、せっかくだから全員に聞いちゃおうかなと思うのですが、久津さんはいかがでしょう。なにかこんなことをやったみたいなのはありますか。

久津佑介氏(以下、久津):先ほど井上さんがおっしゃったとおり質問設計はもちろん何冊か読んで、型はインストールしつつも、それがそのまま使えることはほとんどないので、例えばなにか型をやってみて上手くいかなかったら、やはり現況を振り返るしかないとは思います。たぶん録画して自分で見るのが一番いいんだろうなとは思うんですが、それってけっこう心折れるというか。

浪川:確かに(笑)。それはありますね。うん。

久津:なので登壇の中でも言ったとおり、チームの振り返りの中で「今日のミーティングどうだった?」とか他のメンバーに聞いてみるみたいなやつもいいのかなと思います。

その結果、私が登壇中に出してあるやつは実際そんな感じで「今日お通夜だったね」とか、「なにが問題だったんだろうね」とフィードバックをもらいます。あの時は私はファシリテーターではありませんでしたが、そんな感じで意見をもらう機会を増やすのはいいなと思いました。

浪川:確かに。何事も客観視は必要ですよね。ちょっと録音してみるとかも、もしそういう現場があれば、質問者さんもやってみてください(笑)。

小さな規模から始めて自分の自信につなげる

浪川:リリーさんはいかがですか。いきなりファシリテーションすることになって、したという感じなのか、なにか練習や講座があったりしたのか。

岡本リリー氏(以下、岡本):もう場数と、やはり会社の中でも外でも自分でそういう機会を作っていくのが大事なのかなとは思っています。

すごく小さい規模から始めてみることが、自分の自信につながっていくので、安心できる、批判してこない仲間とやってみることです。

リストの中にワークショップと書いたのですが、毎月10人ぐらいの女性で集まってワークショップをやっています。

FacebookのCOOだったシェリルさん(シェリル・サンドバーグ氏)が作った、ワークショップのテンプレートが用意されているleanin.orgがあります。「ファシリテーションをこうやってやってください」「こうやってサークルを始めてください」というものです。それを使って、ファシリテーションの練習をする場を作っています。それが下手でも上手くてもサポートするという前提条件をみんなで持って練習する場を作っています。誰でも作れるので、そういうものを使ってみるのもいいかもしれません。

浪川:なるほど。確かにいいですね。井上さんもボードゲームをお手本にするとお話ししていましたが、そういうある種の軸があると練習しやすいし、心理的安全も上がりますよね。

井上:その人のキャラクターによってもけっこうこのへんは変わってくるかなと思っています。こういう意見が欲しいなという時に、質問の仕方や、鉄板ネタを何回かやりながら磨いていくことで、たぶん品質が上がっていくんじゃないかなぁという気がしますね。

これを言ったら、メチャクチャウケて、バンバン意見が出るわぁみたいな鉄板ネタを、芸能人じゃないけど、集めておくみたいなのは、けっこう良いかもしれない。

浪川:確かに。そういうのっていくつか出てきますもんね。うんうん。確かにそこはちょっとやりながら「これよかったな」と思ったのを次回も使ってみるのは大事かもしれないです。

小ネタを仕込む、雑談コーナーを用意する

浪川:ほかにもいろいろ聞きたいことがあります。このへんもみなさん悩んでいるんじゃないでしょうか。場が沈黙してしまった時の工夫などはありますか?

先ほどわざと凍らせるという話もありましたね。場が沈黙してしまった時は、リリーさんだったらどうしますか。

岡本:すごく苦手なのですが、大きな声でふざけたこととかを言います。

浪川:あはははは(笑)、そんなに体を張っているんですか。

岡本:恥ずかしいです。恥ずかしいです。恥ずかしいです。「Why, joke everyone!」などと言って叫んだりしています(笑)。

浪川:そういう時英語はいいですね、なんか。うふふふ(笑)。

岡本:そうですね(笑)。

浪川:じゃあ、ちょっと勇気のある方はやってみていただいて(笑)。

岡本:「私だけに話させないでよ」みたいな感じで、被害者ぶります(笑)。

浪川:確かに、けっこうそれで助けてくれる人が出てきそうですよね。

岡本:そうですね。意外にエンジニアさんでそういう人はいます。

浪川:私もそれ使おうかな(笑)。次に困ったらちょっとやってみます。とにかく明るいファシリテーションをお持ちの久津さんはいかがですか。

久津:ふふふん。本当に岡本さんと一緒で、カラ元気じゃないですけど無理にでもテンション上げるのと、あとは小ネタをいっぱい用意しています。例えばこういうバーチャル背景や、こういうのとか、こういうのとか(笑)。

浪川:なるほど、ネタを仕込んで。ツッコミ待ちですか(笑)?

久津:そうです。なんか盛り上がってないなーってなったら、こっそりこれに変えて、なんかやってるやんみたいな、そういう地道な努力もしたりします。

あとは、例えば1回30分の定例ミーティングでぜんぜん出なかった時は、次回までの間に、なかなか盛り上がらないメンバーと話してみます。オフィシャルの場だったらやはり言いにくいことがあると思うので。

最近だとちょっとオフィスではできませんが、昔だったらオフィスで「あれ、なんかしゃべりにくい?」みたいな感じで聞いて、原因を追求するのも、昔はよくやっていました。今でも1on1でたまに聞いています。

浪川:ああ、確かに。それも大事ですよね。リモートだと、なかなかそこが解決しにいけなかったりはするかもしれないですね。

みなさんぜんぜん違う視点があるので、全員に聞きたくなっちゃうんですが、井上さんはいかがですか。

井上:これがどういう系統のミーティングというか、場なのかにもよるかなとは思います。ただ僕はエンジニアなので、そもそもあまり話さなくてもいいミーティングのほうが多いかなと思っています。

今みたいにZoomでチャットしてくださいと言ったり、パーキングロットというニューラルでよく質問コーナーを作っておいたり、雑談コーナーを作って、みんなにどんどん付箋を貼っていってもらうなど、非同期にどんどん意見を出せる場を作っておくと、こっちが拾っていくだけでも見た目としては盛り上がるし、どんどん意見を出してくれるようになったりするかなと思います。

会話してほしいのであれば、ファーストペンギンじゃないですけど、まず自分がなにかバカな(笑)意見を言ってハードルを下げるとか、サクラを仕込んでおくとか(笑)。

浪川:ファシリテーターって大変なのですね(笑)。

井上:そうですね。あとはあのスライドが好きです。どこの大学の教授が出したのかわからないんですけど、「1番目に質問する人はこういう理由で偉い」みたいなことが書いてあったやつ……なんだったっけな。

浪川:見たことがある気がします。

井上:1番目に質問する人はみんなの意見を活発化させるから偉いし、バカな質問する人は質問のハードルを下げるから偉いみたいな。

なにを言っても褒められるみたいな感覚があったり、なにをしても貢献できるんだって思えたら、しゃべりやすいのかなという気がします。

浪川:確かに。うんうん。やはり心理的安全性のハードルが、すごく肝になりそうですね。

井上:そうですね。心理的安全性もしゃべりやすいというだけではなくて、こういう目的を達成するためにみんなやろうぜみたいな、そういう一体感みたいなエモい話が初めにできるといいですよね。

浪川:うんうん、確かに大事ですね。

参加者の表情を見て、場の空気を軽くする発言をしている

浪川:見るたびに久津さんのバックが変わっていて驚くんですけど(笑)、杉原さんはいかがですか。

杉原:これは1個鉄板があって。営業の人がやっていたんですが、特にオンラインで沈黙しちゃった時に、「すみません、なんかZoomの調子が悪いみたいで、え? これ固まってます?」みたいな。あえて接続が悪いふりをするというのをやっていて、「もらおう」と思いました。

浪川:あははは(笑)、なるほど。それはいいですね。

杉原:はい。ぜひみなさん持って帰って、各現場で使ってください。

浪川:すぐに使えそう。

杉原:はい。うちのチームは画面オンでやっているので、信頼関係がけっこうある前提ですが、僕は人の表情を見て「この人は大丈夫だな」と思ったら、「○○さん今ちょっと怒っていますね」「すごく難しそうな顔をしていたんですが、なにか聞き取りにくかったですかね?」とか言います。「え、違う。考えているの」みたいに言われて「あ、そうだったんですね。すみません」みたいなやりとりをします。

「ちなみにどう思いました?」とか「なにを考えていますか?」という話をすると、そこから広がったりしますね。

浪川:あえて1回場の空気をフワッとさせるような。

杉原:そうですね。

浪川:うん、確かにそこは共通的ですね。なるほど。

杉原:はい。そんなことろですね。

(次回へつづく)

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