2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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牧田涼太郎氏(以下、牧田):ここからは小城さんが、実際のプロダクト開発の現場や、今のLUUPがどう課題に立ち向かっているのかについて話します。
小城久美子氏(以下、小城):ここで話者を変え、私からお話しします。Luupのミッション、「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」。そのために、私たちは3つの部分にフォーカスをしています。
まずは新たな移動を生み出す。それによって人の生活を豊かにする。そして、ポートを含めた街じゅうのいろいろなところに染み出して、いろいろなところが豊かになっていく。その結果、街が元気になって新たな移動が生まれて、より人の生活が豊かになるという、ポジティブなサイクルを生み出したいと思っています。
そのために私たちがやるのは、移動のハードルを下げることです。新たな移動を生み出すためには、いろいろなアプローチがあります。例えば、街のおいしいパン屋さんを紹介することでも新たな移動が生まれると思いますが、私たちがそれをやるとプロダクトがよくわからなくなってしまうので、1番フォーカスするものを決めることで、移動のハードルを下げます。
今の話を、今回のタイトルでもある『プロダクトマネジメントのすべて』の第1章、第2章の「仮説のミルフィーユ」に絡めてお話ししようと思います。仮説のミルフィーユを知らない方は検索してもらえたら出てくると思います。
プロダクトは、よくキックボードやアプリやWhatの階層だけで捉えられてしまいます。そうではなくて、それをなぜするのか、どんなビジョンに向かって作るのかを含めて、4つの階層で捉えましょうと話しています。
(スライドを示して)あとは“Fit”、“Refine”と呼んでいますが、各階層がきちんと整合していること。整合していないとビルドトラップになってしまいます。そして、一度決めたことをずっと持っていくのではなく、より良いものが見つかれば強い軸を持ちながらRefineしましょうと言っています。
先ほどの牧田さんの話はまさにそのとおりで、モビリティから始めて、そこからきちんとここがCoreとなるようなミッションを作り、それを元にWhy、What、Howを再度考えるという、行き来を体現しているのがLUUPなんじゃないかと思っています。
小城:(スライドを示して)そんなLUUPの仮説の4階層を図示すると、かなり簡略化していますが、このようなかたちになると思います。Coreは何度もお伝えしているように「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」ことです。それにFitするWhyとして、「どんな状態にしたいのか」は「移動のハードルを下げる」になります。
しかし、今まであまり「誰を」という話はしていません。WhatとHowにはキックボードや電動アシスト自転車が入ると思っています。私が入社してからがんばってきたことの一部が、「誰を」の解像度をもう少し上げることで、「移動のハードルを下げる」ことの解像度を上げたいと思いました。
そのためのユーザーさんのジャーニー、ユーザーさんの気持ちがどう動いていくのかを図示したのが、スライドの左の図です。まず、「LUUPの便利な初回体験を生み出す」は必要不可欠だと思います。
例えば、LUUPのルールを伝えることも、交通ルールに関して電動キックボードが公道をどう走るのかを伝えることも、他のプロダクトに比べて少し難易度が高いです。その高い難易度をクリアしながら便利で良い初回の体験を生み出すことに、1つのジャーニーとしてのポイントがあると思っています。
そして、1度良い初回体験を作ったあと、ユーザーさんに毎日通勤に使おうと思ってもらえるかというと、そこにもまだハードルがあります。まずは毎日の移動ではなく、ちょっとした移動で慣れてもらうことで、徐々に日々のルーティンである通勤や通学で使ってもらえるんじゃないか。
大きなカスタマージャーニーとして、スライドの3つがあります。最終的に日々のルーティンの移動に置き換えることができれば、LUUPが毎日使うプロダクトになるので、それに対してより生活圏以外のルーティンではない移動にもフォーカスできるんじゃないかと思っています。
小城:ターゲットユーザーも少し工夫しました。例えば20代・渋谷区在住・デザイナーのように人で区切ることも必要ですが、私たちはインフラになりたいので、どちらかというと、人より、その人が置かれたシーンやどんな移動なのかについてターゲティングを考えようと思っていました。
初めはユースケースを特定をすることも検討しました。もちろんこれも大事です。通勤で使ってほしい、ジムに行ってほしい。しかしそれだけでは、通勤のユースケースで電車を使う人もいればLUUPを使う人もいるので、すぐには解像度が上がりません。
(スライドを指して)通勤やジムといったユースケースをより分解したものが真ん中です。通勤の場合、朝に会議がなければ特定の時間の指定がなく、特定の行ったことがある場所に毎日移動をすることだと分解して、これをベースに調査をしたこともあります。
もちろん今でも数字は取り続けていますが、バス・電車・タクシーと比べてどう優位なのか、どういう価値を作っていくのかが曖昧になってしまいました。右側の「価値提案」のように、日々の移動、移動時間が比較的短くユーザーが、例えばタクシーを待つ・電車を待つといった不要な時間があるもの。まずは同じ場所に週1回行くような移動にフォーカスして、ここでLUUPの価値を上げていこうと考えています。
先ほどの図を完成させると、「日々のルーティン移動をする人」から「移動のハードルを下げる」にしっかりフォーカスしてプロダクトを作ろうと思っています。
そのために私たちがやるべきこと。(スライドを示して)先ほどの3つのジャーニーの各ポイントにおいてやらなければいけないことを洗い出して、大きく左側の6つのissueに分けて、この6つの価値をしっかり作っていくことに今はフォーカスしています。
よくCPO(Chief Product Officer)とPMはどう役割を分散しているかと聞かれますが、比較的長期な戦略やハードウェアはCPOが、私はよりユーザーに近いところを持って、お互いにグラデーションを保ちながら役割を分担するかたちで今はやっています。
プロダクトの4階層については話しきれていませんが、この6つの価値に対して、私たちはいつも2つの軸で優先度を付けています。1つは、今提供できているプロダクトを磨き込むこと、そしてもう1つは新たな価値を生み出すことです。
これを磨き込むというグロースでも、ユーザーの声を聞いてもちろん反映しているし、結果的に新たな価値を作ることも忘れないように、今あるもので満足せずにミッションから逆算してそのために何をしなければいけないのかというアイディエーションもしっかりとやって、こちらもグロースと同様に優先度を付けて日々活用しているのが現状です。
(スライドを指して)まとめると、プロダクトの4階層はこのようなかたちです。WhatとHowの区別はついていませんが、きちんとミッションにフィットした6つの施策に落とし込むことができていると思います。
では牧田さん、最後にまとめていただけますか?
牧田:CPOとプロダクトマネージャーがいろいろな階層を行き来しながら、日々ここに書いてあるようなミッションとそれが何度も達成された世界を作ろうしているというのがざっくりとしたまとめです。
小城:牧田さん、ありがとうございました。
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