2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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梅林良太氏(以下、梅林):では始めます。よろしくお願いします。
司会者:お願いします。
梅林:はい。あらためまして、私は二次元コンテンツ事業部という部署でエンジニアリングマネージャーをしている、梅林良太と申します。よろしくお願いします。本日は「通信不確実性への向き合い方とヒント」というテーマで発表します。
(スライドを示して)今日の流れはこのように考えていて、少し抽象的な内容が多いかもしれませんが、特に事例の部分は、時間の関係上、3点ほどしか触れていません。「こういった事例だとどう考えますか」というようなことを、ぜひみなさんに質問などしてもらえるとありがたいです。
では、さっそく自己紹介です。私はDMMが3社目で、以前は携帯電話の開発を9年、ゲーム開発運用のプロジェクトマネジメント、組織マネジメントを7年ほど経験した後に、3年前(2019年)の8月にDMMに入社してから、一貫してエンジニアリングマネジメントを担当しています。
業務以外の活動ではいくつか発信などもしています。ゴールデンウィーク近くは、英語から日本語版へのカンバンガイドの翻訳レビューなどに参加していたりします。
(スライドを示して)今所属している事業が運営しているサービスですが、(事業の数が)50(というの)はちょっと古い資料です。今では58の事業の中の1つで、同人のサービスです。右上の赤枠で囲っているDMMブックスというアプリでも、購入したデジタルコンテンツが見られるようになっています。
(スライドを示して)管轄している組織(同人サービス)が大きく2つのチームに分かれていて、サービスを伸ばすこと、システムを安定稼働させることが、それぞれのミッションになっています。
横断的な問合せ対応や、調査、不具合・障害対応は、常に横断的にコミュニケーションをする必要があります。そういった約20名ほどの組織になっています。
ではさっそく本題で、「通信不確実性とは何か」というところからです。(スライドを示して)こちらは定義として『エンジニアリング組織論への招待』という書籍から引用しています。
少し読み上げになりますが、不確実性は「わからないこと」から生まれると。こちらは目的や方法の不確実性にも関わってくるものかなと思います。この通信不確実性とは、人間にとって本質的にわからないものの1つ、「他人」を原因として発生する不確実性のことだと定義されています。
私たちは別の自意識を持ち、すべての情報を一致させることは不可能です。『攻殻機動隊』のタチコマのように、知識の並列化をできると僕らもできるかもしれないですが、現時点でそういったことはできないので、現状は不可能でしょうということです。
そういったことから、会話したり書き残したものもすべて正しく伝わるとは限らず、正しく伝わったからといって、他人が思ったように行動するとも限らない。このような不確実性を通信不確実性(コミュニケーション不確実性)と定義しています。
(スライドを示して)じゃあこれがあると何が困るのかと。対処の必要性については、先ほど読み上げた3点を整理すると、主に、他者理解、伝達、成果の3点が不確実なものとなります。それらを放置していると何が生まれてしまうかというと、この書籍の中では大きく2つが定義されています。
1つが情報の非対称性です。知っている人/知らない人に分かれてしまって、その間に分断が起きてしまい、対処しないと人間関係がどうしても悪くなってしまいますよね。
もう1つが限定合理性です。自分にとっての正解が全体にとっての正解にならない。この「自分にとって」は個人であったり、自分の所属しているチームや組織と言えるかもしれません。
それにとっての正解が全体、会社全体やDMMでいうとグループ全体の正解にならないと、組織全体として成長が阻害されてしまうところが困る点になります。
(スライドを示して)もう1つの観点として、ハーズバーグの二要因理論が存在します。こちらはけっこう昔に提唱されたものではありますが、フレックスタイム制の誕生にも貢献している偉大な理論だそうです。
この2つの要因は大きく「衛生要因」と「動機づけ要因」に分類されていて、コミュニケーションは衛生要因に当たります。
衛生要因が満たされないとどうなってしまうかというと、職務の不満足を引き起こしてしまいます。(スライドを示して)4つのテックバリューの中のモチベーションに当たる部分がこの全体ですが、その1つを担っているということですね。
ただ、満たされたとしてもやる気、モチベーティブな状態が高まるわけではありません。不満足を予防するだけなので両方必要ですが、こちらをおろそかにできないということです。おろそかにするとモチベーションが下がってしまうので、対処の必要があります。
ではここからは、具体的にどんなことが経験則としてうまくいかなかったものがあるか、それがなぜ起こったと考えているかを話します。
(スライドを示して)1つ目がノーリアクションです。これは、メッセージに反応が返ってこないという単純なものです。どうでしょう、みなさん。弊社はふだんslackを使っているのですが、そういったチャットツールにおいてのテキストコミュニケーションで、こういったことは日常的に起こっているのではないでしょうか。
それらが起こっていることは仕方ありませんが、誰しもが減らしていきたいと考えます。では、なぜそれが起こるのかを、経験則からいくつか分類してみました。
1つは、何を言いたいのかわからない時に、なかなか返しづらいということです。読んだけれども、「これってこういうことなのかな?」と考えているうちに時間が過ぎてしまって、その間に何かのミーティングや、別のやらなければいけないことがあるので意識が途切れてしまう。メッセージを返し忘れることがあるのではないかなと思います。
2個目が、言いたいことはわかるが回答に困る。これも「何が言いたいのかわからない」というのと似ていますが、すごく短いメッセージでも重い内容の時に、「これ、どうやって返そうかな」という内容だと、回答もなかなか遅くなってしまうかなと思います。
3つ目が、大勢を対象にしていて、自分宛だと思わなかったこともあるのかなと思います。slackでいうと、@hereや@channel、独自のユーザーグループを作っていて、その中に含まれている人たちがすごく多いので、自分宛だと思わなかった時もあるかなと思います。
その他の、一度見てから失念してしまったということはすごく単純ですが、見る必要のあるメッセージが多すぎる時にも、こういうことはけっこう起こりやすいのではないかなと思うので、埋もれてしまうのも理由としてはすごくわかります。
最後に、ミュートしていた。これは通知のミュートです。私も今は発表中なのでslackの通知はミュートにしていますが、そのミュートしている最中に(メッセージが)来ていると、そもそも来ているメッセージに気づかないとか。
はたまたZoomで会議をしている際に「誰々さんどうですか?」と話しかけてもメッセージが返ってこなくて、どうしたのかなと思うと、マイクミュートのまましゃべっていたという時も往々にしてあるんじゃないかなと。こういう原因はいろいろ考えられますね。というのが、事例とその分析でした。
(スライドを示して)2点目は、これはちょっと単純な例ですが、深夜だったり早朝だったりと、時間帯を考慮しないメンションです。勤務時間外に通知が来ることです。その時に当然働いているから通知が来るんでしょう。
休みであることを知らない時が、そこそこあるかもしれません。突発的な体調不良とかで休みの時はわからなくて当然ですが、すでに予定している休みは、Googleカレンダーやチャットの自身のプロフィールのステータスなどで示しておくと、こういうことが起こりづらいかなとは思います。
(スライドを示して)最後は「そんなこと一言も言っていない」ということで、期待内容と違ったり、想定外の返答が返ってくることもあったりします。なぜこれが起こるのかも考えてみます。
1つ目が、深読みしてしまう。「何か責められているのかなぁ」とか、「これって質問形式で来ているけれど、そもそも何か不満を言われているのではないか」と深読みしてしまうことです。「え?それって不満に思ってるんですか?」と聞かずに、「不満に思っているんだったらこういうことのはずだ」と、その「こういうことのはずだ」の返答だけが返ってきてしまって、「あれ? なんでそうなったんだろう」となりがちです。
2点目が、確認する手間を省いてしまい誤解することです。「こういうことですか?」と聞ければいいものの、従来の関係性にもよると思うのですが、それが手間とかで省いてしまう。それを省いてしまうと当然インプットが間違っているので、アウトプットも間違えますよねという話です。
3点目が、感情が先走ってしまうことです。何かメッセージや質問や依頼が来た時に、快くできる時とそうじゃない時があるのではないかということです。特に怒りの感情だとカッとなってしまって、きちんと内容を読めない時が往々にして発生してしまうのではないかと思います。
4点目、責められていると思い込んだり、軽んじられていると感じることです。こちらは、さっぱりした回答や依頼、ある種ちょっとぶっきらぼうな感じだと、自分は尊重されていない気がするところから、怒りが湧いてきたりしてしまうこともあるかなと思います。
いったんそういうモードに入ってしまうと、テキストコミュニケーションの場合は何度も繰り返し文章を見てしまうので、それを見ることで感情がさらに増幅してしまうことがあるかと思います。
(スライドを示して)これらは大前提として、知識・認識は常に知識並列化できず、それぞれ違います。知識が違ったり、ある人は忙しいと思うけれども、ある人はそんなに大したことないというように、状況の認識に差が生まれたりすると、お互いになかなか配慮ができないこともあるかなと思います。
(次回に続く)
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