2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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やまげん氏(以下、やまげん):今は技術顧問としての活動が主になっている中で、起業の準備みたいなこともお話されていたと思うのですが、今後挑戦していきたいことを、もちろん話せる範囲で教えてもらえるとすごくうれしいです。
山崎大輔氏(以下、山崎):じゃあちょっと簡単に。先ほど話をしたとおり、僕は(以前)会社を立ち上げてビジネスを作って、それをKDDIというすごく大きな会社が買収しました。
それが2013年なので、8年前に買収されて、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)という、買収された後に、買収した会社とうまくやることをずっとやってきました。大企業で、会社が買収されてどうするのかということは、ずっとやってきたんですね。
話の流れが3分か5分ぐらいずれるんですけど、大丈夫ですか?
やまげん:ぜんぜん大丈夫ですよ。
山崎:7年ぐらいPMIをやって、売上も上がって、メンバーも辞めずにずっとやって、事業も残って。区切りもついたので、いろいろあって辞めさせてもらいました。
辞めた時に、FacebookやTwitterで「辞めました。ちょっとしばらくゆっくりしようと思います」という話を軽くパッと書いたら、これはちょっとうれしい誤算だったのですが、いろいろな会社から「ちょっと話をさせてくれないか」とけっこういっぱい話が来たんですよ。「ああ、そうですか」「じゃあ一つひとつお話しさせてください」という感じで、いろいろな話を聞きに行きました。
今、エンジニアマネージャー、エンジニアで具体的なコードを書くような人はもちろん足りていないのですが、やはりエンジニアマネージャーも足りていなくて。CTOがやはり足りなくて。
先ほど言った、エンジニアと経営層のコミュニケーションギャップとか、組織がうまく経営できていないとか、何ならビジネスがうまくいっていないような問題がある会社が、けっこう多かったんです。
それこそメチャクチャ大きい何万人も抱えている大企業もあれば、スタートアップみたいなところから、オファーというか、話を聞いてくれという話がいっぱいあって。一つひとつ話を聞いていました。
その中で「じゃあ物を作ってください」みたいな話をされた時に、どこも話がけっこうヘビーだった。端的に言うと「CTOになってください」という話がやはり多かったんです。技術顧問とかそういうのを抜きにして、もう端的に「金を出すからCTOになってください」みたいな話がけっこう多かったんです。
「CTOですか?」という話になって話を聞いてみたら、「組織がけっこう大変で、いろいろ大変だから、なんとかそれを立て直してほしい」みたいなのがすごく多かったです。
僕はそれまで13年間ずっと仕事をしてきて、PMIも全部終わった後ですごくヘトヘトだったので、すごく失礼ですが、どれもすごくしんどいなと思いました。前職がけっこう大変だったので、「ちょっとできない」という話をしました。しかし、みなさんすごく困っているのがわかったので、それは助けたいとすごく思ったんですよ。
やまげん:なるほど。
山崎:今回の技術顧問もそうで、やまげんさんはまだそういうのを感覚としてわからないかもしれないですが、僕はもう20年ぐらいこの業界をずっとやっているので、例えばアーキテクチャの話では、アーキテクチャのどこが詰まるかとか、どうすればシュッと行くかみたいな話は、パッと答えられるんですよ。前もちょっと話したじゃないですか。
やまげん:はい、そうですね。
山崎:前に話した時も、話を聞いて、「このあたりがたぶんネックだから、こうしたらたぶん直るよ」みたいな話をしたら、だいたいそれで合っていて、だいたい終わりだったじゃないですか。
やまげん:はい。
山崎:実は経営サイドや組織面に関してもだいたい話は同じで、「このあたりがネックになっているから、このあたりは直せばいいんだよ」という話は、みなさんわかっていてやるんです。いきなり各論になっちゃうのですが、実際に「じゃあわかりました」という話になった時に……。まだ20分しか経っていませんが、いきなり各論に入って大丈夫ですかね?
やまげん:ぜんぜん大丈夫です。
山崎:いいですかね。1時間ぐらい伸ばさないといけないですかね(笑)。
やまげん:僕が質問したいこともたくさんあるので。
山崎:そうですよね。そうなった時に、例えばアーキテクチャだと、直接会って、ホワイトボードをもとに2時間ぐらい話したら、「だいたいこんな感じで、このあたりを直せば大丈夫だよ」という話になって、だいたい終わるんですよ。
あとは「このあたりを直せばOKだからやってください」という話で、「これでたぶんAWSの費用は3割ぐらい減るから、それでうまくいったら、その3割減らしたお金を原資にして組織を立て直しましょう」みたいなことが、けっこうよくあるパターンで。どれもそういうのが多かったんです。
(サービスの規模が)小さいところだったらそれでOKですが、大きい会社はそういうわけにはいかなくて。例えば、Voicyさんは音声でかつ同時接続の話があるからちょっと話は別ですが、わりと小さな会社で、スタートアップでがんばっていて組織がうまくいっていない会社は、だいたい2時間ぐらい話をしたら全部終わりだったんですよ。
だけど、彼らがそれをちゃんとやり切って、それに伴走して組織も大きくしてあげてみたいなことを一つひとつやっていこうと思うと、1社を救うのに4、5年かかるなと思いました。それを例えば10社やろうと思うと、50年かかるじゃないですか。それはどうなのかなと思ったんですよ。やってもいいですが、(あちこちの会社の話を聞く感じだと)あまりにも話が同じ過ぎて、「いっぺんに救えないかな」と思ったんですよね。
話がまあまあ同じなのに1社にコミットをし続けて、かつアドバイスの時間は2時間なのに、直るのに3ヶ月とか半年とかかかるわけですよ。そのギャップに耐えられなくて。
だから、「御社を助けること自体はすごくやりたくて、アドバイスとかもメチャクチャやりたいのですが、実際やるとなるとメチャクチャ時間がかかるし、しかも僕は今PMIが終わってヘトヘトだから今できないんです」という話をみなさんにけっこうしました。ここまでで小さな話は終わりです。
山崎:もう1つあったのが、僕は前の会社を作って買収されてPMIをやるまで、だいたい13年ぐらいやったのですが、会社を13年やると、その会社に最適化されるんです。
やまげん:ああ、なるほど。
山崎:Supership(Supership株式会社)でうまくCTOをやるために最適化されるわけです。その時にもう1回、VoicyさんのCTOをやろうと思ったら、例えばやまげんさんがやられているみたいに、コードにも向き合わないといけないし、組織も見なきゃいけないという話になります。
僕は13年間やってきて、コードを書いたのは最初の6年ぐらいなのかな。あとの7年間はプログラムとはあまり向き合っていない状態で、しかもその間にプログラミングがすごく進化しているわけです。
RailsだったのがもうReactとかいろいろあって進化しているのに、そもそも僕がコードを書けるかという話になると、けっこう怪しいなと思いました。もちろん書けるけれど、今のやまげんさんみたいに現役でコードを書ける人に対して、アドバンテージを持ってコードを書けるかといったら、けっこう別だなと思いました。
それはそれで「いやいや、CTOはそんなコードを書かなくても、もうちょっと上位レイヤーでうまいことやればいいんだよ」みたいな意見はあるとは思います。でも、やまげんさんに自分を顧みてほしいのですが、偉そうなことを言って、手は動かせない人を尊敬できるかというと、けっこう厳しくないですか?
やまげん:そうですね。やはりエンジニアは、書いてこそみたいなところがありますね。
山崎:そういうところがあるじゃないですか。だから、いきなり、4、5年かかるものを一つひとつやるのにも、そもそも僕は実力不足だなと思いました。
ちょっと言っていいのかわからないですが、僕は緒方さん(株式会社Voicy代表取締役・緒方 憲太郎氏)からCTOになってくれと言われたんですけれど。2年前(のこと)だったのですが、(自分自身が)Supershipに最適化されているので、当時のVoicyみたいな、スモールサイズの会社に対してのCTOは、正直たぶんできないという話をしました。(この話と)同じ話をして断った感じです。
山崎:何の話をしていたんでしたっけ? それで、何をしようとしているかという話ですよね。
やまげん:そうです、はい。
山崎:それで今はちゃんとプログラムを書き直して、ネジの巻き直しをして、そこそこコードは書けるようになって、じゃあこれからがんばろうという話です。
(そうしていたら、)みなさんが作っているシステムが、けっこう似たり寄ったりだということに気づきました。例えばVoicyさんだと、Voicyのアプリを立ち上げた時に、Voicyさんのコンテンツがあるじゃないですか。(Voicyさんが)配信したコンテンツを上手に並べてあげたり、ほかの会社さんといろいろな話になった時に、「データベースに格納されたデータをうまいこと並べて見せてあげることをただ行っているだけだ」という観点に立つと、どのtoCのサービスもほぼ同じだと思いました。
今作ろうとしているのは、そういうことを上手にやるための、現状のカテゴリーでいうCMSに近いシステムを作っています。そういうものがないとやっていけないなという話で、今がんばっているという感じです。
やまげん:なるほど。メチャクチャおもしろいですね。組織や人の仕組み、今までのアーキテクチャのボトルネックをアナロジーで解決することにチャレンジしようとしているイメージですよね。
山崎:そうです。
やまげん:僕も、エンジニアリングマネージャーになったのが半年前なのですが、人の仕組みを直す、実行するというか、やはり時間がかかることだなというのはすごく実感があります。
山崎:そうなんですよ。すごく時間がかかるんですよね。
やまげん:そういうシステムができているとなると、僕はまだどんなかたちのシステムが出てくるかはわからないのと、楽しみという感情があるのですが、課題の見つけ方もすごく素敵だなと思いました。
山崎:ありがとうございます。
(次回に続く)
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