CLOSE

JOMYAKU CTO 野澤一貴さん公開インタビュー(全4記事)

「CTOになりたいなら、できないながらもやればいい」 “推論だけでは動かない”から必要なコミュニケーションの意識

第一線で活躍するCTOに日々の業務や未来をインタビューする「Voicy公式 厳選!CTO百景」チャンネル。ここでJOMYAKU CTOの野澤氏が登壇。ここからは、CTOになるための取り組みについて話します。前回はこちらから。

JOMYAKUのこれからの挑戦

やまげん氏(以下、やまげん):どんどん拾っていきます。前回(CTO百景で)お話されたPR TIMESの金子さんは、PR TIMES内のシステムは本当にレガシーだったので、リプレイスするプロジェクトをうまく説得をしてやりつつ、機能開発もしっかりやっていることを「バランスを取りながらリプレイスをしている」とお話されていましたね。

野澤一貴氏(以下、野澤):「リファクタリングもしながら機能開発をやる」というバランスは、すごくふんばりながらじゃないとできないところですよね。

やまげん:そうですね。やはり「20パーセントルール」とか、そういったものはけっこうバカにできない部分はあるかなと思っていて。SREとかのエラーバジェットの考え方はそこに近いのかなと思っていて、借金が溜まったら、それを返済する時間を無理矢理取らないといけないという、開発のプラクティスみたいなかたちの考え方だったりしています。技術的負債とか、しっかりマネジメントしていくところは重要なんだろうなと最近日々感じているところはあります。

野澤:なるほど。ありがとうございます。

(一同笑)

野澤:僕が質問してしまってすみませんでした(笑)。

やまげん:いえいえ(笑)。これから挑戦されたいところでいうと、「リプレイスのところをしっかりやりきる」になるんですかね。

野澤:そうですね。「リプレイスをやりきる」というところはチャレンジするところではありますが、まだレガシーな業務プロセスはたくさんあるので、そこを効率化できる仕組みを作るチャレンジをしていく。

たぶん直近4年ぐらいはそれをしていくことになるんだろうなと。やはり今までテクノロジーが入っていなかった業界で、エンジニアは知的好奇心が旺盛な方が多いじゃないですか。なので、相性はけっこういいと思うんですよね。

トラックの積載量を計測する仕組みとかがあるんですが、「トラックごと体重計に乗る」みたいなやつがあるんですよ。

やまげん:はい(笑)。

野澤:それをアナログに計算をしてレシートが出てくるみたいな。ただ、それはシステムと連携されていないから、Excelに入れたりするようなプロセスもあったりするので、そのあたりはクラウド化できたらもっと楽になるんじゃないとか。

やまげん:確かに。

野澤:そういうところのワクワク感はまだいっぱいありますね。

やまげん:システム化ができるところがいっぱいあるとワクワクしますよね。

野澤:そうですね。

やまげん:「そんなところは自動化したらいいじゃん!」みたいな。「絶対に自動化できる」みたいな感じですよね。

これからCTOになりたい人はどういう目線を持てばいいのか

やまげん:このインタビューはCTOに興味がある方も聞いてくれていると思いますが、これからCTOになりたい人はどんなことを学んでいく、どんな気持ち、どんなスタンスで業務をやっていくのがいいと思いますか?

野澤:そうですね。やはり経営のことも考えなければいけないし、開発のことも考えなければいけないというところがあると思います。僕自身、今まで技術のことしかやっていなくて、経営に寄り添った経験というのがなかったという意味でいうと、そこがまず大変でしたね。

なので、事業計画の数字を見て、今までの開発がどういう影響を及ぼしたのかを考えてみるとか、そういうところにチャレンジしてもいいのかなと思います。

やまげん:なるほど。経営目線をということですね。そうですよね。エンジニアをやっているとなかなかそういった経験は積みづらいところはありますよね。

野澤:そうですね。

CTOになるために意識したこと・取り組んだこと

やまげん:そういった時に何か意識されていたこととか、情報収集の方法とか、そういったことはあったりしますか?

野澤:そうですね。ひたすら事業計画書を見まくっていました。

(一同笑)

野澤:経営のナレッジがそもそも足りないなと思ったので、そのあたりの本を読み漁ったりして、「こういうB/Sはこう書くよね」とか。「じゃあここのコストは会計上や経営上はこういう見方をするよね」とか、「僕らの開発で上がってくるお金的な部分は、経営者はこういう見方をされているのか」とか。

そういうことを一つひとつ紐解くことによって、CEOとCTOが肩を組んで事業に邁進していけるというところを感じました。

やまげん:でも、エンジニアの投資対効果はけっこう難しいですよね。

野澤:表現できないところがいっぱいあると思うので、それを一生懸命説得するというコミュニケーションも必要だと思います。

やまげん:なるほど。

野澤:でも「立場が人を作る」ではありませんが、いざやりますというシチュエーションになったら、みなさんたぶん模索されると思うので、自ずとできるのではないかという甘い考えではあります。

やまげん:もしCTOになりたいんだったらなれと(笑)。

野澤:そうですね。できないながらも「やってみます」と手を挙げて、そこで実際に自分が足りていないところを埋めていくというやり方でもいいんじゃないかなとは思います。

やまげん:なるほど。すごく学びになりますね。僕も最近そういう系の本を難しいなと思いながら読んで(笑)。僕は物理学科出身なので、「原理で説明できないと気持ち悪い」というタイプだったりしたので。意思決定とかでも感覚というか、そういったところもあって、説得力が大事みたいなところはありますね。

野澤:今までのエンジニアのコミュニケーションは、すべて推論でコミュニケーションが完結するじゃないですか。(でも、)ビジネスサイドを巻き込むと推論だけじゃ動かないことがけっこうあると思うので。そのあたりのコミュニケーションをピボットしないといけないなというところはけっこう意識しています。

やまげん:なるほど。(エンジニアは)論理的なだけでやっているというところですね。

野澤:そうですね。

やまげん:合理性だけではは動かないところはたくさんありますね。では、そういったコミュニケーションスキルみたいなところも、もしかしたら必要なのかもしれないですね。

野澤:そうですね。

やる・やらないを決める時の取り組み

やまげん:ありがとうございます。そういうことろで実はお便りもいただいていて。(質問に)お答えもしつつ、今のリスナーさんもお便りや質問ももらう時間にしたいなと思うので、お便りをいただけるとうれしいです。(コメントを見て)やらないことを決める時の優先度決めのところですよね。

いろいろな会社さんの要望などをもらいながら開発をしていく時に、「やらないことを決める時に、どれくらいの時間や資料を作るのかいつも迷うことが多いのですが、マイルールとかはありますか?」という質問をもらいました。

野澤:なるほど。そこは代表のCEOと一緒に決めることがすごく多くて、やはり「あれもやりたい、これもやりたい」と広がっていく中で、自分たちが提供する機能・価値。「ブラさないものは何ですか」というところを決めるようにしています。

例えば、配車を効率化させるという意味でいうと、いわゆるAIを使ってルートを最適化したりとかのアプローチもあると思います。結局、そういう一足飛びの機能を提供するのではなくて、実際にお客さんたちが現実的に触れる、その中で助かる機能は何だろうというところを常に握り合うというか。

大きな実装や資料にはしていませんが、箇条書きベースで(まとめて)やっていたり。時折その資料を見に行って、ブレていないかという振り返りをしつつやっています。

資料は作りませんが、本当にやらないことを決めるということは、今のプロダクトを作る上で時間を割いている部分にはなります。

やまげん:そこも8時間のミーティングとか、かなり(時間を取って)しているというところですかね。

野澤:そうですね。あとはお客さんとかから言われたことを正だと思ってしまうケースがあると思いますが、実際のユーザーが不満に感じているところから潜在的なペインを見つけられるように話すところは、たぶん心がけているところです。

やまげん:それはもう実際のユーザーさんに対してということですかね。

野澤:そうですね。彼らが不満に思っていることが本質的な解決手段ではないケースはあると思うんですよ。今はうまく言語化できませんが、「こういうかたちで機能を提供してあげれば、その不満はなくなるよね」ということの深掘りを一生懸命するところはやっています。

やまげん:なるほど。メチャクチャ大事ですよね。ユーザーさんは要望をたくさんもらえるので、すごいうれしいことだと思いますが、もちろん全部叶えることはできないし。フィードバックという受け止め方をしたいですよね。

野澤:そうですね。

やまげん:意思決定ができなくなるというのは感じます。

野澤:すみません、これで答えになっているでしょうか。

やまげん:ありがとうございます。サービスのビジョンの軸をブラさないというところと、あとはもうひたすら深掘りして聞くというか、表面的なところではなくて、深層的なニーズを常に意識している。

野澤:そうですよね。プロダクトのユーザーとの対話を常にし続けるというのは、マイルールとして持ち続けているという感じです。

やまげん:ありがとうございます。“マイルール”って素敵な言葉ですね。

(一同笑)

野澤:ありがとうございます。

やまげん:私も勉強になりました。すごく楽しかったんですけれど、締めになると思うので、何か最後に伝えたいことはあったりしますか?

野澤:ちょっと嫌らしい話になってしまいますが、私たちも絶賛エンジニアを募集中なので、ぜひYOUTRUST経由とかでコンタクトをいただけるとうれしいなと思っています。

やまげん:YOUTRUSTは野澤さんの名前で検索したら(出てきますか)。

野澤:出てくると思います。

やまげん:静脈産業のDXは課題がたくさんあるところだと思うし、今すぐシステムで解決できるところもたくさんあると思うので、今日の話を聞いて興味がある方はぜひお話を聞いてみてください。

それではあらためて本日のCTO百景はこれで終わりにしたいと思います。あらためて野澤さん、本日はありがとうございました。

野澤:こちらこそありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 大変な現場作業も「動画を撮るだけ」で一瞬で完了 労働者不足のインフラ管理を変える、急成長スタートアップの挑戦 

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!