2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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盛川貴之氏(以下、盛川):キャリアプランニングシートについて私からも説明したいと思います。(スライドを示して)そもそもこちらのシートがどこで手に入るのかですが、ReDesignerのサービスに登録をしてもらい、登録完了後に入れるマイページからダウンロードして使ってもらえるものになっています。
「まだダウンロードしていないよ」という方がいたら、今日をきっかけにぜひダウンロードして、触って、中身を見てみてもらえたらと思います。ワークまでいくと少し時間がかかるかもしれませんが、すごくいい機会になるのではないかと思っているので、ぜひ使ってみてもらえればと思っています。
中身を少しだけかいつまんで話すと、過去・現在・未来と、具体と抽象を行き来します。最初は過去のパートで、デザイナーの経験と、自身の人生の出来事をそれぞれ振り返るワークがあります。1社目の詳細を記載してもらって、「ふんふん、どうだったかな」と振り返ってもらいます。
5歳から26歳という引き方をしていますが、人生の価値観の源泉としてのライフチャートはどうだったのか。それぞれの感情や願いを書くワークで過去を振り返ってもらいます。
(スライドを示して)次に現在から未来です。今自分がどういったスキルを持っていて、今後どうなっていきたいのかの話に関しては、象限に分けて整理してもらうものや、環境で大事にしたい要素はどんなものなのか、どこが次の自分の活躍する場所なのかも棚卸ししてもらいます。
ワークとして悩まれる方が多いのではないかなと思っているのですが、自身を深く理解していくところで、自分がどういう人間になっていきたいのか、どんな人生を送っていきたいのかを想像して具体的にしていくワークです。
自由記述のものがあるのでちょっと悩ましいかなと思いますが、後ほどトークセッションでも、どんなふうにするといいのかは聞きたいと思っています。
これらのステップを通じてどんな理想に向かっていくのか。そのために必要なビジョンはどんなものなのかを宣言してもらい、果たしてそれは自分にとってしっくりきているのかも振り返りとして点数をつけるのが、キャリアプランニングシート全体の流れです。
実際のシート自体はもう少し分量が多いのですが、ぜひ触ってもらって。「自身の考えがすごくクリアになった」という声もちらほら聞いていたりするので、活用してもらえたらなと思っています。
盛川:続いてトークセッションです。本日のイベントのテーマにも関係しますが、デザイナーのキャリアの棚卸し方法です。
こばかなさん(小林かな氏)と弊社の佐宗に話を聞きます。今回イベントの事前質問でいくつかいただいているものがあるので、そちらも投げかけながら、ぜひ話を聞ければなと思っているので、どうぞよろしくお願いします。
(スライドを示して)こんな感じで質問が来ているので、ぜひ答えてもらえればと思います。そもそも「これっていつやったらいいの?」みたいなところがあると思います。(取り組む時期としては)悩んだタイミングがいいのかとかがあると思っていて。このあたりは(何か)考えがあったりしますか? こばかなさんから聞いてもいいですか?
小林かな氏(以下、小林):ありがとうございます。自分自身のキャリアを振り返るタイミングは、次のキャリアを考え始めた時が1つの区切りになり始めているのかなというのがあります。
弊社のコーチングのスクールでは、人生は一定のフェーズの繰り返しであるという考え方をしています。有名な理論なので、聞いたことがある人もいるかもしれません。
例えば、映画はそういう構成を基にしてストーリーが作られていると言われています。最初は何か出会いみたいなのがあって、出会う中で試練に出会い、その試練を乗り越えてまた日常に帰還していくストーリーが回っていると。人生でも置き換えることができます。
自分自身が何か始めようと思った時は、出会いのフェーズですよね。出会う時に「どうしようかな」と悩むフェーズもあると言われていますが、そういうフェーズの時はこれまでのキャリアを棚卸ししたりして、自分自身が本当にやりたいことに向き合うことで、本当にいいルートに入っていけるのかなと思います。
個人的には、常日頃というよりも、何か自分にとって必要なタイミングが訪れると思うので、そういったタイミングで適切な振り返りをしていくのがおすすめかなと思ったりします。佐宗さん、いかがですか?
佐宗純氏(以下、佐宗):「キャリアを振り返る」と書くと格好よく見えますが、たぶん日々キャリアに悩んでいる人が多いと思います。
キャリアに悩むのは、キャリアを振り返るとほぼ同義だと思っています。特にReDesignerの登録者の方々と面談していく中で、ネガティブにキャリアに悩んでいてうまくブレイクスルーできないみたいな話が出るのですが、それはたぶん振り返ることができている。いいことだと思います。
なので、意外と自分が主体的になってキャリアを振り返る、主体のタイミングだけではなくて、「どうしよう」という受動的な悩み。これもキャリアを振り返るタイミングに入ると思います。そういう文脈でいうと、キャリアの棚卸しというかキャリアについて考えることは、随時やってもいいのかなと思っています。
随時自分のキャリアについてなにかしら考えていることがあれば、たぶん外の世界の情報で、なにか自分が興味があるものが深く入ってくるはずです。どういう情報が自分に入ってきやすいかを認識することがすごく大事なのかなと思っています。若干お題を変えてしまいましたが(笑)。
小林:でも、すごくわかります。タイミング自体は、振り返りたくなくても振り返っちゃうみたいなもの。日々の悩みというのはそういうことだと思うので、振り返りたい時でいいんじゃないかな。悩んでいる時というのもニアリーイコールですよね。
なので、重要なのは、この後の話にも出てくると思いますが、何を振り返るのかとか、どういうふうに考えていくのかだと思います。
盛川:なるほど。ガチガチに「いつじゃなきゃダメ」というものでもなく、日常的にけっこう身近にあるものなんだということですね。
盛川:もう1つ、これは関連した質問にもなるのかなと。次の設問も続けて用意したのですが、デザイナーがキャリアを考える時に、必ずポートフォリオが出てくると思っていて。ここの更新に関しては、何か考えはあったりしますか?
小林:これも私からいきます。もともとデザイナーをしていた経験からすると、こういう問いが出てくるくらいなので、ポートフォリオの更新は基本重たいんですよね。本当に息をするようにポートフォリオを更新するのが好きな人もいれば、「わあ、作ってないからやらなきゃ」という人もいて、たぶん後者のほうが多いのではないかなと思っています。
結局ポートフォリオが何に使われるのかというユースケースや目的から考えた時に、新しい仕事を獲得する時がメインだと思います。なので、自分が仕事をこれから募集したい時や転職したい時に最新版に切り替える頻度で、個人的には十分じゃないかなとは思います。
日頃の発信をしていく中で、発信力を高めたいとかであればそういう継続的な更新も出てくると思いますが、多くの人にとっては先ほど言ったようなタイミングになるのかなと思います。これは個人的な意見という感じなので、プロの佐宗さん目線でどのように考えていらっしゃるのか気になります。
佐宗:確かに、数でいうと1,000人ぐらい分のポートフォリオを見てきました。
小林:すごいですね(笑)。
佐宗:本当にさまざまだなと思っています。今こばかなさんが言った、「何のためのポートフォリオなのか」「ユースケースがどこなのか」ということが一番大事かなと思っています。
副業、フリーランスとして案件を獲得したいためのポートフォリオなのか、〇〇企業に行きたいというポートフォリオなのか。自分自身の棚卸しの、要は自分用のポートフォリオなのかによって、けっこう変わってくるかなと思っています。
仮に「グッドパッチに入りたいです」と言った時に、そのポートフォリオの中にデジタルプロダクト系のものや、ブランディング系のものがまったく入っていないケースは、やはり「本当にグッドパッチにアピールしたいのかな」「メッセージングを伝えたいのかな」と思ってしまうわけです。
なので、やはり見る相手が誰なのか。人事なのかデザイナーなのかによっても若干変わるかもしれませんが、そこからバックキャスティングして更新すべきなのかなと思っています。
小林:そうですよね。採用者の目線を考えるのが本当に大事だなというのが、自分が経営をして、デザイナーを採用する側に回ってみて痛感するところです。
なので、企業によってポートフォリオの順番を入れ替えようということは本当によく言われるし、どういう形式、PDFがいいのかも問いとしてよく出てくると思いますが、ここは完全に「その会社の担当者の立場で考えた時に」というUXデザインです。なので、デザイナーのみなさんならできるのではないかなと思っています。
佐宗:あと“視点”のところも少し話してみたいのですが、“デザイン”という言葉が社会に浸透していくにつれて、デザイン思考やデザインプロセスや、「ポートフォリオがこうあるべきだ」みたいなものもやはり増えてきていると思います。
プロセスに視点が行ってしまうとすぐ見抜かれます。それよりも、本質的にコンテンツで何をやってきたのか、誰とやってきたのか、その時にどういうスタンスでどういう成果を出したのかという、大事にしている価値観が伝わるポートフォリオがベストだと思っています。デザイン思考やデザインプロセスの、いわゆる発散と収束を繰り返していくフレームワークに踊らされていると、結局落ちるんですよね。
それはReDesignerをやっていても傾向としては出るかなとすごく思っています。このあたり、こばかなさんはどう思いますか?
小林:そうですね。先ほどの話の続きのようになってくるのですが、デザイナーのポートフォリオを見る中でよくあるのが、例えばUIデザインをしたという時に、そのスクリーンショットだけを貼っているような場合です。
これはどういう思考のプロセスで、何の課題意識を持って、どういう制約の中でこういう着地に至ったのかという考え方みたいなところをむしろ見ていきたいです。
スクリーンショットを貼って終わりではなく、グラフィック系のデザインも、写真を誰が撮ったのかによってかなりクオリティが左右されたりもするので、やはり「自分がいったいどこを担当したのか」がなるべくわかりやすいポートフォリオがいいのではないかなと思います。
更新する時に細分化することで、「自分はここはできるけどここはできない」みたいな強みの振り返りにも使えるのではないかなと思ったりします。できないことは、逆に「できない」とコミュニケーションできる人のほうが、信頼できると思います。
佐宗:デザイナーだけではないですが、確かにそれはありますね。
小林:そうですね。
佐宗:最近いろいろなポートフォリオを見ていく中でキャッチーだなと思うのは、こばかなさんも最近学ばれているBlenderで。3Dでポートフォリオのアイキャッチというか、ファーストビューを作る方々は、学ぶ意欲が高いのかなという印象です。アイキャッチは強いですね。
小林:完全にBlenderの時代ですね(笑)。3DCGのソフトで無料なので、みなさんもぜひ調べてみてください。
佐宗:脱線しましたが(笑)。
盛川:やはり視点というところでも、ポートフォリオ(作品)を棚卸しして、その上で自分に何ができるのか、誰に届けるかという観点は、キャリアを棚卸ししていく中でも密接に関係している。関連し過ぎていて切り分けられないところなのかなと思っています。
(次回に続く)
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