2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
【働き方×デザイン】 社会の非効率を解決するデザインとは_アトラエ(全1記事)
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竹田哲也氏:「働き方×デザイン」というテーマで、アトラエの竹田からお話しします。”働き方”の話をするなら”働きがい”の話もしたいので、そのように進めていきたいと思います。
まず私の自己紹介から。竹田哲也といいます。ふだんは社内でもTwitterなどソーシャル上でも「たけてつ」と名乗っています。よければTwitterをフォローしてください。
最近のキャリアとしては、グッドパッチにいたことがあります。その時は、プログラムを作って企業さん向けのクライアントワークやプロトタイピングのワークショップをやっていました。そのような縁もあって、今もなおUIに関わっています。
その後、広告代理店のオプトに行きました。そこではUIをやりながら、ほとんどは会社のビジョンを変えたり行動指針を変えたりするような、組織開発や組織デザインと言われる領域をやっていました。最終的には、外部の方の力も借りながらデザイン組織を立ち上げました。それが高じた縁で、今のアトラエにいます。いわゆるHR Tech企業に属しています。
いくつかサービスがある中で、私自身はエンゲージメントサーベイの「Wevox」というサービスのプロダクトデザインに関わっています。
コロナ前の話ですが、プロダクトデザインに関わりながら大きなカンファレンスをやったり、グッズを作ったり、カードゲームやボードゲームを作ったり、いろいろなコミュニケーションをデザインするほか、物や場のデザインを行っていました。
自己紹介はこれくらいにして本題に入ります。”働きがい”の話をしますが、決して”働き方”を軽視しているわけではないのでご了承ください。
「なぜ、”働き方”が大切なんでしょうか?」と、今一度みなさんに問いかけたい。こういう問いを投げかけられたら、みなさんはなんと答えますか? ちょっと考えてもらいたいです。さらに、自分だけではなく一緒に働いている仲間、もしくはその会社に所属している経営者は「なぜ”働き方”が大事なんだろう」「なぜ”働き方”を変えていく必要があるんだろう」という問いについて、どのように考えているのか。これを頭の片隅に置きながら話を進めていきます。
やや話は飛びますが、歴史を振り返ります。産業革命以降、爆発的に人が増え、お金を稼ぐことも含めて経済が広がっていく中で、経営の近代化は実はちょうど100年前くらい前から始まっていて、その最初が「科学的管理法」だと言われています。
これは、「人間は損得勘定で動く生き物だ」という思想のことです。「人間はすごく合理的で論理的だ」という前提のもと考えられた、いわゆるマネジメント手法です。
これをアメリカの車メーカーのフォードが工場で導入したところ、売上は右肩上がりになり、工場で働く人の給料が増えるというプラスな面がある一方で、機械のように扱われて疲弊し辞めていく人がいたそうです。
科学的管理法のアンチテーゼとして生まれたのが「人間関係論」です。これは逆に、人は感情的で、論理的ではなく社会的で感情を持っている生き物であることを前提に考えられています。これに関する有名な実験がありますが、論証や実証に欠けているという批判を受けていて、完全に確立できたかというと実はそうではありません。
ある種、二面性があるジンテーゼだということです。どちらか一方だけではなく、両方を考えなければいけない。すごく横着ですが、働き方と働きがいのどちらも大事にしなければいけないと思っています。
正直、たくさんの働き方が実践されていて、アトラエより精神的な取り組みをしている方もいらっしゃると思います。僕たちはどちらかというと”働きがい”を追求しているので、その話をする意味で、こういうテーマにさせてもらいました。
「じゃあ、アトラエってどんなこだわりでやってんの?」という話。「信じる価値への挑戦を、本気の仲間と共に」。「やりたい」という理想がアトラエの根底にあります。イメージがわくかわかりませんが、部活のようなライバル兼仲間の中で、あることに対して情熱があったり夢中になったりすることを社会人になってもやっていきたいという想いが、根底にあります。
僕たちはHR TechではなくPeople Techと呼んでいますが、「人々の可能性を拡げる」People Tech事業をミッションとして掲げています。”働きがい”をすごく大事にしていて、おかげさまで「Great Place to Work」のランキングで国内1位、アジア5位を獲った会社になりました。
僕たちは会社という枠組みを、”関わるすべての人々を幸せにするサイクル”だと定義しています。今、知識産業が僕たちのメインになっているので、まずはその最大の競争力である人」、僕たち社員を幸せの出発点として考えています。その上で、サービスを通して価値を提供することでユーザーにも幸せになってもらい、それにより売上や収益が上がることで、株主にも価値を還元・貢献できる。
その収益をさらなる事業投資やスポーツや技術にパトロネージュすることで、社会に貢献できると考えています。これを会社でグルグル回すのが僕たちの考え方です。社内では「四方(よんぽう)良し」と言います。
”働きがい”をすごく大事にしているということを言語化すると、「意欲あるメンバーが無駄なストレスなく活き活きと働けるという組織であり続ける」ことが根底にあります。そのため、僕たちは出世や肩書きをなくして、ヒエラルキー組織ではなく、自律分散型の組織として会社を運営していこうと判断・ジャッジをしています。
自律分散型は要するに上司がいないので、上司から評価をしてもらうという枠組みがない。360度で評価をし合う仕組みです。自律分散で動かなければいけない。物事を判断する上では情報の透明性が非常に大切なので、情報共有を徹底しています。自律で動くので、働く時間や場所は自分で判断する。自分とチームのパフォーマンスを最大化する働き方を自分自身で選ぶルールで僕たちはやっています。
そんな僕たちが、「社会課題ってなんだろう」と考えました。あるアメリカの会社が、仕事の熱意度を調べたグローバルな調査があります。(スライドを指して)日本はこのとおり139位中132位という非常に低い位置にいることと、生産性は先進国の中で最下位であることがわかっています。
それはなぜか。1995年、バブル以降GDPが横ばいになっていることから、失われた20年や30年と言われるような時代だからかもしれません。
これを僕たちは社会課題の一種として捉えています。自分たちは活き活きと働く組織を作っているつもりでいますが、人数には限りがあるので、サービスを通して活き活きと働く人とチームを増やしていきたいと思って生まれたのがWevoxです。
おかげさまで、今は2200社以上に使ってもらえるサービスになりました。まだまだですが、どんどん進化させていきたいと考えています。
(スライドを指して)遊びというか、相互理解ということで、こういうカードゲーム(Wevox バリューズカード)を作ったりもしています。
”働きがい”にフォーカスしたいと思います。僕たちはそれをエンゲージメントというもので定義できると思っていて、エンゲージメントのサービスを作っています。少しアカデミックな話になりますが、アカデミックの世界には、「ワーク・エンゲイジメント」と「従業員エンゲージメント」の2種類があります。
ワーク・エンゲイジメントは、どちらかというとヨーロッパ発で、日本語の活力や熱意・没頭で定義されたものです。一方、従業員エンゲージメントという言葉はアメリカで生まれ、「愛着」と言われることが多いです。これらはどちらも定量化できるというか、可視化できることが1つのポイントだと思っています。
(スライドを指して)ワーク・エンゲイジメントはモデル化されています。どこがポイントかというと、仕事の資源と個人の資源が相互に行き来している。プラスの循環が生まれるとエンゲージメントが上がり、ストレスが下がり、結果的にパフォーマンスが上がったり、創造性が発揮できたりすると言われています。
つまり、仕事の資源は周囲のサポートや働いている会社の環境という部分であり、個人の資源は自分の自己効力感やレジリエンスです。この2つが影響し合っているというか、重なっていることがすごく大事だと思っています。僕たちが4、5年サービスをやってきて、ほかにもわかってきたことがあります。
エンゲージメントを定量的に測った時に、スコアが低いと離職率がどうしても上がってしまう相関関係や、売上や受注率と相関していること。
ほかに、もしかするとみなさんも実感しているかもしれませんが、新卒の社員が入社した後に、エンゲージメントが下がり続ける。これを公にしていいのかという調査というか情報もあります。これを食い止めるというか、下がらないようにするデータも出ているので、それはPRの記事を見てもらいたいと思いますが、そんなこともわかってきました。
そのようにやってきた中で、自分たちも関わっている組織の人たちもパフォーマンスもエンゲージメントも高められる組織に変革していくには、組織とチームと個人。要するに経営や現場の人たちだけでなく、一緒に働く半径5メートルの人たちという、3つのレイヤーが大事だと思っています。
この3つに意識や行動を変えていかなければいけない中で、難しくもやりがいをすごく感じている理由は、銀の弾丸はないとわかっているからです。「あの会社は、こういうやり方でよくなった」という方法を自社でやっても絶対にうまくいかないとわかっています。
それはなぜか。ハイフェッツという方が「技術的問題と適応課題」と言っています。やり方を知ってそのとおりやれば問題が解けることを技術的問題と言いますが、組織の課題は往々にして適応課題なんです。適応課題は、認識や関係性の固定化によって問題が生じているので、前提をお互いに知る、自分の前提と相手の前提が違うことを認識する。そういうことを解きほぐしていくことで、課題を発見することが大事だと言われています。
理解し合うことや解きほぐしていくことに大事なのは会話です。(スライドを指して)コロナ前の写真も入っていますが、僕たちアトラエは顔を突き合わせて対話をする時間が非常に多い会社です。現在のコロナ禍では、Zoomを使って定期的にみんなでの話し合いを企画するなど、非常に対話の多い会社だと思っています。これに関して僕は、デザイナーが関われる余地がすごくあると思っています。
デザイナーには武器があると思っているので、デザインの役割として、媒介になったりワークショップのようにプロセスを設計したり、可視化する、見える化することはすごく強力です。
僕がグッドパッチで学んだこと、プロトタイピングがまさにここに当てはまると思います。人と人の真ん中に見えるもの、空中戦でやり取りしているようなものを可視化することによって話がスムーズになるなど、わかり合える状況は非常にプロトタイピングに近い。デザイナーのみなさんが自分の職場でこれをやれば、組織やチームが変わる余地があるのではないかと思っています。
あらためて、みなさんが”働きがい”を感じる瞬間はどんな時ですか? 夢中になったり没頭したりしたことは小さい時も含めてあると思いますが、それをメタ的に、抽象的に捉えた時に何か共通することがあるのではないかと思います。それが自分の”働きがい”のヒントなのではないか。
逆に、”働きがい”を感じない時はどんな時かとイメージすると、思い出すのは辛いと思いますが、感じるポイントはみんな共通しているわけではなくて、やはり人それぞれだと思います。その”働きがい”や辛さを感じるポイントを、一緒に働いている仲間と共有したり対話したりして、理解し合ったことがありますか? と、みなさんに問いたい。
チームは生き物だと言われています。チームの中にいるのは人間なので、いい時と悪い時というバイオリズムはどうしてもあると思っています。それを、今どの状態だろうと認知し合うことでアクションを取ったり、認識を合わせることでチームの中で”働きがい”を作っていったりすれば、うまく苦難な状況を乗り越えていくことができるのではないか。
Doing(やり方)は非常に大事ですが、Being(あり方)も同じように大事なのではないかと思います。そのあり方を支えるために必要な”働き方”は、もちろんある。そういうことができるように、職場を変えたり提案したりできるといい。
アトラエは「最高の仲間」と「世の中に価値ある何か」に挑戦し続けたいという思いで立ち上がっています。
「大切な人に誇れる会社であり続ける」というBeingを理念に置いている会社です。
繰り返しになりますが、僕たちはPeople Techをやっていきたい。サービスとして、プロダクトとしてやって、人々の可能性を広げていきたい。僕たちは今やっているサービスはもちろん、People Techのど真ん中のプロダクトはまだまだ作れていない、やれていない。そのど真ん中を作っていきたくて日々議論しています。
今日この機会をいただいて、いろいろ整理する中で、あり方を育むプロダクトが僕たちの考えるPeople Techなのかもしれないと気づいたのは、非常によかったと思っています。
僕自身は、デザインで楽しんでもらってファンを作っていくことにやりがいを感じるというか、やりたい。デザインには価値があると思っています。一方で、偉大なプロダクトやサービスは偉大なチームからしか生まれない。今、アトラエではこの2つが重なっていて、アトラエで”働きがい”を感じています。
みなさんは「”働きがい”はなんですか?」と聞かれたらどう答えますか? 最後にこれを問いかけて終わりにします。ありがとうございました。
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