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強いプロダクト組織の作り方 ~プロダクト組織作りの要諦となる採用と育成~(全7記事)

エンジニアよりも難しいプロダクトマネージャーの採用 GoogleとSalesforceが人材獲得のために工夫していること

プロダクトマネジメント組織の強化が多くの企業で重要な経営イシューとなっている昨今。そんな「強いプロダクト組織の作り方」について考察するイベントが「強いプロダクト組織の作り方~プロダクト組織作りの要諦となる採用と育成~」です。ここでクライス&カンパニー顧問の及川氏、Google LLCの徳生氏、日本CPO協会・代表理事のWakamatsu氏が登壇。ここからは、プロダクトマネージャーの採用について対談します。前回はこちらから。

Salesforceのプロダクトマネージャーの採用

及川卓也氏(以下、及川):2個目のテーマで、プロダクトマネージャーという職種をもうちょっと深掘りしていくかたちで、プロダクトマネージャーの採用と育成と評価(の話題)に移ります。

採用については取り上げますが、時間の関係で育成と評価の両方は難しいかもしれないです。なので、参加されている方に、育成と評価のどちらを聞きたいかを、チャットで選んでもらえるようにお願いします。

司会者:育成のほうにだいぶ差がついてきているかもしれないですね。育成でお願いします。

及川:了解です。では、まずはプロダクトマネージャーの採用というところで。まずプロダクトマネージャーの採用手法って、エンジニアとかと比べると難しい部分があると思うんですね。

ソフトエンジニアの場合、コーディングクイズみたいなかたちで、基本的なコンピューターサイエンスの問題を出し、ホワイトボードなどに答えを書いてもらい、そこでそもそもの知識やスキルがあるか、およびどのようにしてその正解にたどり着くかという思考過程を見るというのは、特にシリコンバレーでは一般的になりつつあって。

いわゆる明確なスキル面のチェックがいくつかできると思いますが、プロダクトマネージャーにそもそも何のスキルが必要かも各社によって違ったり、そのスキルの確認方法も難しかったりすると思います。

細かいところはちょっと後でお聞きしますが、プロダクトマネージャーの採用で、どんなやり方をしているかという大きな流れだとか、気を付けている点、工夫している点みたいなところがあったら教えていただければと思います。ではWakamatsuさんからお願いしていいでしょうか?

Ken Wakamatsu氏(以下、Wakamatsu):及川さんがおっしゃったように、それはやはり非常に難しいと思っていて。一番多いのが紹介というか、人の伝手。やはりシリコンバレーは人が会社を動くので、そのタイミングを見つける。特に外部の場合だと、ドメインエキスパート。競合で同じようなことをやっている人たちで、その人たちもだいたい企業内のBtoBのなかを回っているので、そういった方たちが多いです。

SalesforceではSE、プリセールスのエンジニアの人たちがPMに変わることが多いので、内部の育成を行っています。

最後に、Googleもそうだと思うんですけど、Salesforceは夏休みの間に長期的なインターンを多くの大学とか大学院から受け入れていて。みっちり3ヶ月、下手したら1年とか2年ぐらい毎年来てくれる方たちもいて、その人たちとはリレーションシップを作ることができるので、そういった場合の採用に非常に力を入れています。

及川:わかりました。1つだけ追加で質問ですが、Kenさん自身、転職されているじゃないですか。例えばSalesforceに転職する時は、やはりリファラルのようなかたちだったんですか?

Wakamatsu:Salesforceの時はリファラルではありませんでした。何をやったかというと、LinkedInを調べて、そこの会社に誰がいて、勤続年数を見たりとか。あとは、過去にどこにいたかを見ることで、その会社がいい会社なのかどうかを判断することが多いです。

Salesforce以外の会社は、ほとんどリファラルです。Salesforceは僕にとって初のBtoBだったので、そういった意味だともう完全に「新しいチャレンジをしてみよう」と思って入りました。

及川:なるほど。今のお話から、企業側のプロダクトマネージャーの組織責任者なり人事の人が参考にするとしたら、LinkedInなりなんなりでしっかりとしたCV、レジュメみたいなものを公開している社員が多ければ多いほど、その人を見て判断できるということになりますかね。

Wakamatsu:そうですね。まさにおっしゃるとおりですね。

及川:わかりました。

Googleのプロダクトマネージャーの採用

及川:では徳生さん。Googleではどんなかたちで採用の大きな流れを作っているか、どんな工夫をしているかを教えてもらっていいですか?

徳生裕人氏(以下、徳生):そうですね。いくつかあると思うんですけど、採る時にはもちろん、プロダクトインサイトとかアナリティカルとかいろいろなところを見ます。社内では勝手に「Googliness」と呼んでいますが、本当にユーザーにとって正しいことをできるか、協調的にできるかはものすごく見ているところだと思います。やはりいろいろなチームが協調して大きなプロダクトを作っているところなので、そこをよく見ています。

入るパスは3つぐらいあります。1つ目は1番一般的なPM経験者の中途採用です。インタビューについては当たり前ですが、PMを投入してインタビューします。アメリカにいると週1でインタビューをするのが当たり前みたいになりますが、それはPMにとって一番大事な仕事の1つです。

なぜならPMの素養を判断できるのはPMだけだからです。あとは、逆にインタビューをしに来てくれる人にエキサイトしてもらい、Google を売り込む役割もあるので、そういう意味では譲れない大きな仕事だと思っています。

PM経験者の中途採用が1番一般的な普通のパスですが、残り2つのパスのうち1つはWakamatsuさんもおっしゃった社内の他の職種からのコンバージョンです。Googleの外で働いていた時は、強いPMを採用するにはこれが1番現実的なパスだなと思っていました。

社内の人であればプロダクトのビジョンもわかって、強いところと弱いところもわかっていて、かつ地頭がいい人という。それを採用しない手はないなということで。私自身もGoogleの中で他の職種からコンバートしたPMを3人ぐらいチームに持っていましたが、みんなすばらしいPMになっています。

最後の1つ。これはもし時間があればより詳しく説明しますが、Googleでは「APM(Associate Product Manager)プログラム」というものをやっています。これは年間40人限定ですが、コンピューターサイエンスを勉強したピカピカの新卒をとりあえず採って、その人をいきなりプロダクトマネージャーとして現場に投入して、2年経ったらプロダクトマネージャーに育っているというものです。

40人しか採れないのは、そのぐらいしかOJTの場を用意できないからです。一方経験者ばかり採っているとプロダクトマネージャーの男女比や年齢層のバランスが偏ることがありますが、新卒採用に注力することで、アメリカのコンピューターサイエンスは既に男女比が半々ぐらいになっているので、男女比や年齢層のバランスが取れてくる部分もあります。

今入ってくるAssociate Product Managerは、いきなり現場に投入されてものすごい勢いで伸びるので、過去20年に採用したAPMの何人かは既にVP(vice president)になっている。そういう意味では、Googleでは非常に成功しているプログラムですし、他の会社でも新卒のピカピカの人をPMとして採るのも1つの方法だと考えています。

及川:Kenさんどうぞ。

Wakamatsu:本当にすばらしいプログラムです。Salesforceもブレット・テイラー(現在はCo-CEO)がGoogleからSalesforceに来て、まったく同じプログラムを今は行っていて、非常に優秀な方たちがそこからPMとして活躍されています。

及川:そうですね。

(次回に続く)

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