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【SmartHR×ソウゾウ】成長&自立を後押しするカルチャーのつくり方(全6記事)

事業の多角化や育成可能なエンジニア組織を実現するために ソウゾウとSmartHRが抱える課題と、解決のための取り組み

エンジニアtypeとメルカリが共同開催したテックカンファレンス『Tech Update 2022』で実施された、今注目のスタートアップ2社の事例から紐解く「成長&自立を後押しするカルチャーのつくり方」のセッション。ここで株式会社ソウゾウの名村氏、株式会社SmartHRの芹澤氏が登壇。続いて、2社のこれからの取り組みについて話します。前回はこちらから。

SmartHRは採用と定期的なアーキテクチャの改善、技術的負債の返済に取り組む

広木大地氏(以下、広木):ありがとうございます。けっこう想像ができました。最後のトークテーマですが、この先、さらに未来において会社がグロースしていく中で、現状のエンジニア組織の課題、そしてそれを解決するためにこれから取り組もうとしていることはなんですか。芹澤さん、これはどういうところにありますか。

芹澤雅人氏(以下、芹澤):たくさんありますね。先ほども言ったとおり、もっと人数を。今後新卒の方を採用したり育成もやっていかないとというのがあります。そもそもなぜそんなに人が欲しいのかというと、おかげさまでSmartHRはこのようなイベントに参加しているような方であれば名前ぐらいは聞いたことがあって、そこそこ大きくなっているスタートアップという印象を持たれている方も多いのかなと思います。

でも、私たちの事業計画的にはまだまだ成長の初期段階というか、もっといっぱいやりたいことがあります。そのために、もっとプロダクトの数や事業の多角化をしていかないといけませんが、そのためのエンジニアがぜんぜん足りていません。

なのでもっと人が欲しい。かつ、SmartHRの本体のコアな部分は、長年秘伝のタレのごとくずっとアップデートが繰り返されてきていて、きれいに作ることを心がけてきてはいますが、やはり6年、7年たち始めているので、少しずつ負債によるスケールの限界も感じ始めていたりします。

そのように組織が肥大化したり、プロダクトが肥大化する中でも、スタートアップらしくスピード感をもっていかにして作っていくかは課題かなと思っています。

先ほど紹介したようなシステムの構成が最適解とは限らないので、場面場面に応じて常に最適解を模索し続けてアップデートし続けていくことは、引き続き取り組んでいかないととは思っています。

広木:まず採用と定期的なアーキテクチャの改善、技術的負債の返済は進めていくということですね。

芹澤:そうですね。ちょっと補足させてもらうと、SmartHRではBtoB SaaSを作っているのですが、特徴としてメチャクチャ寿命が長いんです。1回作ったものが5年とかではなく、下手したら10年、20年と使われるようなものを作っているので、やはり初期の設計がすごく重要です。

それだけ長くやっているとユースケースもコロコロ変わって。柔軟にその変化に耐えられるような設計はすごく醍醐味でもあり、難しい点でもあるし、いまだにそういったところは日々格闘している感じです。

法律に近い領域でも、すべてが法改正に追随するものではない

広木:問題領域としてけっこう法律にも近いところにいらっしゃるじゃないですか。そうすると立法がどう変わっていくかとか、現行法の立法意図はどうなのかみたいなことにも精通したうえで、その上にアーキテクチャを作る人みたいな。両方わかる人がいないと大変そうなのかなと思いました。

芹澤:そうですね。採用にご応募いただく方もそのあたりを心配してよく質問されるのですが、2つ回答があります。

1つが、私たちはけっこうキッパリ分けています。作っているエンジニアももちろんある程度の知識は持つのですが、本当の専門家はドメインエキスパートということでポジションを分けています。

日々の法改正みたいなのはその方が追って、それを必要に応じてプロダクトに落とし込みます。その方もスクラムのチームに入っていて、コミュニケーションを取りながら知識を共有していくスタイルを取っているので、全員が全員積極的に法改正を追ったり詳しかったりするわけではないというのが1個です。

もう1個が、私たちは労務をやっていますが、その法改正を本当に意識するような機能は実は一部分かなと思っています。全部が全部法と密接に関わっているわけではないんです。

みなさんは恐らく年末調整を11月、12月にやるかなと思いますが、実は毎年紙がアップデートされていたりします。比べても「え? どこが変わったんだろう」ぐらいのマイナーチェンジが毎年あるのですが、やはりそういうのに追随するようなことはしないといけません。

私たちはそれ以外の、例えば評価機能や従業員サーベイ機能も作っていますが、そちらはそういう法改正をあまり意識する必要はなかったりします。そこまで法に対して敏感な開発を全方位でやっているわけではないです。

ソウゾウは育成可能な組織を目指す

広木:なるほど、ありがとうございます。名村さんはいかがですか。この先のグロースに備えて、エンジニア組織の課題やこれから取り組もうとしてることは何かありますか。

名村卓氏(以下、名村):そうですね。メルカリを含めると組織全体、エンジニア組織のグローバル化もあります。やはり1つは、最初にあったとおり、育成可能な組織に変化していく必要があると思っています。

なので、単純に入ってきた人が育成されるだけではなく、エンジニアのポテンシャルのある人がエンジニアになってシニアエンジニアになっていくぐらいまでカバーできるような育成能力が会社の中にあると、エンジニア組織としてのカバレッジがかなり広がると思っています。

そのため、そのビジネスナレッジをもっと持っている人や、エンジニア以外の知識を持っている人がどんどんエンジニアにオンボードして、もっと多様な価値観をエンジニア組織に届けるようなイメージです。

今までソフトウェアソフトウェアエンジニアというと、画一的な、30代、40代の男性みたいなイメージである程度偏っていたのですが、ここにもっと多様性が広がってくると、組織として解決できる問題も増えてくるのではないかというのは1つあります。

エンジニアという存在がもっと一般化してくるのと、技術的には抽象化がどんどん進んでいるので、あまり小難しいことを考えなくてもロジカルな発想だけでものが作れるような世界がけっこう進んでいっていると思います。よりエンジニアの幅が広がるというか、エンジニアリングをする人の特性が、昔よりもより幅広い層を受け入れられる土壌がだんだんでき始めているのを感じています。

広木:シチズンプログラマーみたいなかたちでもいいから、エンジニアリングに関わる人が増えていくと、もうちょっといろいろな問題解決ができる組織になりそうだなっていう感じですかね。

名村:そうですね。なので、このあたりの多様性をエンジニア組織にどう導いていくかみたいな。採用をやっているとわかるのですが、今市場にいるエンジニアは「だいたいこういうカテゴリーですよね」みたいな感じで偏ってきます。

そこを広げていくことを、会社というか業界全体かもしれないですが、取り組んでいくべきかなとすごく感じています。

広木:そうですね。それはCTO協会でもがんばりましょう。

名村:そうですね。やっていきたいですね。

(次回につづく)

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