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入社6年で年商6億のつよつよデザイナー登場|bravesoft CDO青木意芽滋(全4記事)

ヒットプロジェクトに共通した“完成はスタート”という捉え方 プロのデザイナーに求められる「自信を持ったフィードバック」

つよつよチャンネルは、bravesoft CEO&CTOの菅澤英司氏がエンジニア的に「おもしろい話」や「ためになる話」を届けるチャンネルです。今回のゲストは、bravesoft株式会社CDOの青木氏。売れるデザインや、デザイナーのこだわりなどについて話します。前回はこちらから。

売れるアプリのデザインはどうしたら作れるか?

池澤あやか氏(以下、池澤):本日のゲストはbravesoft株式会社のチーフ・デザイン・オフィサーの青木意芽滋さんです。

青木意芽滋氏(以下、青木):よろしくお願いします。

菅澤英司氏(以下、菅澤):よろしくお願いします。

池澤:よろしくお願いします。

菅澤:どうやったら売れるアプリのデザインが作れるのかをズバリ聞きたいと思いますが、どうしたら売れますか?

青木:難しい質問ですね。

(一同笑)

でも、やっぱり使うユーザーさんの立場にどれだけ寄り添えるかは大事かなと思っています。方法論としては、もちろんテストをしたりとかいろいろとやりますが、そればかりに頼っているなら、その人が作る意味はほぼなくなっていってしまうので。

ユーザーさんのことを観察してみる力だったりとか、“売れる”に反する部分があるかもしれませんが、「自分だったら」という意図的な部分をつけていくことがやっぱりいいんじゃないかなとは思っています。でないと、自分である意味が本当になくなっちゃうので。

菅澤:つまり、我々の仕事は自社で全部考えたアプリを出す時もあるけれど、頼まれて作ってあげる時も多くて、頼まれて作る時は、お客さんのその先にまたお客さんがいる。

青木:そうですね。

池澤:それってどうやってヒアリングするんですか? まずはお客さんのことをヒアリングするんですか?

青木:お客さん自体がエンドユーザーのことを想像されていると思うので、その部分をヒアリングするというか。ただ、結局それは仮説でしかないので、実際のユーザーさんを目の前に連れてきてもらって、いろいろな話を聞くこともやるし、いなければそれに近い人間を探していろいろヒアリングすることもあるし。

とは言っても、それもすごく抽象的じゃないですか。「20代の女性です」と言われてもすごくたくさんいるので、自分なりにいろいろと観察してみる。

池澤:聞いた話をデザインに起こすのは、けっこうジャンプがあることのように思うのですが、そのジャンプはどうやって乗り越えればいいと思いますか?

青木:いくつかあるのかもしれませんが、やはり当ててみるということですよね。それに近い人たちの感触を見ながら。僕が大学受験とかで絵を描いた時には「画面とやり取りをしなさい」みたいなことをよく言われたんですが、それに近い作業かなと思って。

菅澤:画面とやり取り?

青木:絵を描いている画面です。「もっと濃く書いてくれよ!!」と言ってくるみたいな。絵から話しかけてくるみたいな。

菅澤:自分が書いたものだから、自分そのものだと思って主観的になり過ぎるのではなく、絵は絵で存在しているものだと。

青木:それでやり取りしなさいと。

菅澤:外部化して。

青木:そうですね。

菅澤:「客観的に見なさい」みたいな話ですね。

青木:それに近いですよね。先にユーザーさんがいるので、そことのやり取りを深めていく。

池澤:最初のお客さんからのヒアリングでたたき台を作って、それを実際に使ってもらうみたいな。

青木:そうです。実際に使ってもらって。

エンジニアとデザイナーの取り扱いの違い

菅澤:エンジニアもデザイナーも、正直けっこう我が強い人が多いじゃないですか。

(一同笑)

ただ、デザイナーにおいては「自分が赤だから赤なんだ」というよりは「誰が使うんだっけ?」で当ててみる。当ててみるという、けっこう地道なことをやる人が重要になってくる。

青木:本当にそうだと思います。

菅澤:逆にダメなプロジェクトとか(ありますか)。

青木:最初のほうにも言いましたが、デザインがノールックで通っちゃうみたいな。

菅澤:出したのが通っちゃった。

池澤:会話をせずに通ったみたいな。

青木:そうです(笑)。

菅澤:あとはよく相性みたいなことを言ったりしますよね。「このクライアントとこのデザイナーは絶対に合わないんだ」みたいな。

池澤:そういうのはあるんですか?

青木:デザイナーから見ると、やっぱり“自分が作っている意味”をどこかに載せたいんですよ。

池澤:シンプルなデザインに強いデザイナーの方がいたり、ガーリーなデザインが得意な方がいたり、文字情報が多いようなデザインに強い人がいたり。

青木:例えばガーリーなサイトを作ってください(と言われたとします)。「私はガーリーが得意なんです!」という方をアサインしても、お客さんが「いや、私が思っているガーリーはこうだからこうして! はい! ここは紫! ここはこうして!」と言われたら、その人のガーリーが得意ではなくなってしまうじゃないですか。そうするとデザイナーもやる気が萎えちゃって「他の人にしてくださいよ!」みたいな。

(一同笑)

菅澤:取り扱いが難しいですね。

池澤:相性が難しいですね。

菅澤:エンジニアも難しいと言いますが、手が早い・遅いがあれど、誰がやっても同じものはいつかはできるのがエンジニア。

池澤:そうですね。

青木:個性の部分の主張がデザイナーよりはないのかもしれない。

菅澤:そういう時はどうしたらいいですか?

青木:最近いろいろな現場でやっているのは、お客さんにしっかりダメ出しをするということ。(これは)強めていっています。使うのはその先のユーザーさんでしかないので、「僕らは向いていますよ」ということをちゃんと示すというか。

「Aにしろ!」と言われても「いや、Bのほうが良いと思いますよ」というのには、根拠を示さないといけないと思いますが、そういう会話を強めていく。ということを、最近の活動ではよりやっています。

bravesoftでヒットしてきたプロジェクトの共通点

菅澤:bravesoftでは、今まで作ったアプリの合計ダウンロードが1億を超えている。

池澤:すごい!

菅澤:けっこうヒットアプリも出してきていますが、ヒットしてきたプロジェクトとか、よく使われたものの傾向とか共通点みたいな(ものはありますか)。

青木:総じて、プロジェクト全体がユーザーさんのほうを向いているというのと、実際は作ったあとですよね。作ったあとに、どれくらいがむしゃらになっているプロジェクトなのか。お客さんによっては初期リリースまでのコストしか用意していなくて、運用費をぜんぜん持っていなかったということになると、ちょっと直せばよくなる部分すら直せない。

直らずに世の中に出ちゃっていっているのはあると思うので、そこは粘り強くやり取りをしていくみたいな。そういうプロジェクトはやはりよくなりやすいなと思います。

菅澤:「アプリの完成がゴールではなくスタートなんだ」という捉え方をしているかどうか。

青木:そうですね。bravesoftのメンバーはたぶんすごく真面目だから、「言われたとおりに」という気持ちもたぶんどこかであると思うんですけど、逆に言うと僕らはプロ集団なので、「このほうがいいと思いますよ」「もうちょっとユーザーの意見を聞きませんか?」と、自信を持って言っていくという。逆に言うと、それがお客さんにとっては期待されていることかなと思っているので、もっともっとやっていこうよ。

菅澤:受け身じゃダメだよと。ぶつけ合うフィードバックをもらうけど、こちらからもバンバンフィードバックを出す。

青木:そうですね。

菅澤:その関係値が作れるか。

青木:大事ですね。まずは飲みに行く。

池澤:飲みに行くのメチャクチャ好きじゃないですか(笑)。

菅澤:(青木さんは)お客さんと合宿に行っているんですよ。

池澤:そうなんですね!? お客さんと合宿に!?

青木:行っていますね。

池澤:メチャクチャ関係性を構築しているじゃないですか。

青木:お客さん側がデザインをやる場合も「ちょっとデザイン違うんじゃない?」と思ったら、「ちょっと来週会社に来てください」と言って、目の前でデザインをできる環境を用意して、みんなでバーッとレビューをしながら一緒に作るみたいにやったりとか。

アートとアプリ・Webデザインの違い

菅澤:藝大((東京藝術大学)で美術をやって、アート的なことをやってアプリ・Webデザインの世界に来たと思うんですけど、何か特徴というか。

青木:自分としてはそんなに変わっていないと思いますが、表現する媒体が変わったみたいなところ。基本的な部分はすごく違うことじゃないと思っています。ただ媒体とか手法が違うみたいな。今思うと、土地が変わったくらいの感覚というか。

菅澤:土地が変わったみたいな(笑)。

青木:国が変わったみたいな。

菅澤:それはなんか人による気がするな。

青木:自分の指向性とか何かがクリティカルに変わったかというと、それはそんなにないのかな。

菅澤:変わらないというのをもう少し詳しく言うと、どう変わらないんですか?

青木:やはりずっと一貫して言っているとおりで、エンドのユーザーのこと。アートをやっている時もそうだし、見る人のことを考えなきゃいけないし、そこに自分の個性を多少は乗っけたいということだったりはぜんぜん変わっていないと思っていて。それを絵具でやっているのか、ピクセルでやっているのかみたいな違いのところというか。

池澤:よく聞くのが、アプリとPCとスマホでは、画面の大きさが変わるじゃないですか。だから、意図したデザインをどこに設定するのかみたいなところが大変だと。

青木:それは本当にそうですね。

(一同笑)

アプリはまだスマホごとでいいですが、個人がWebはどのウィンドウサイズで見ているかわからないですからね。その難しさはあるかもしれないです。

菅澤:そういうのに対応できる人じゃないと、こういったデバイスの世界、ITの世界のデザインはけっこう難しいのかもしれない。

青木:それはたしかにそうかもしれないです。大雑把なだけだと厳しいかもしれないです。どこかに繊細さみたいな部分(がいる)。やはり1ピクセルにこだわるし、「iOSで作っちゃったけれど、これをAndroidで見た時のユーザーはどうなるのかな」という気持ちはどこかにある。

菅澤:特にアプリとかWebとか、AndroidとiPhoneの違いはいっぱいあるので、そこにちゃんと対応して全部を考えられるデザイナーが必要ということなんですね。いろいろと学びを得たということで、このあたりで終わりにしたいかなと思います。

ということで、デザイナーとエンジニアトークをしてきたんですが、どうでしたか?

池澤:ふだん一緒にデザイナーの方と仕事をすることはエンジニアもすごく多いと思うのですが、どう指示すればデザイナーの方が楽なのかとか、そういうことまで学ぶことができて、自分的にはすごく有意義でした。

菅澤:デザイナーとエンジニアは似ているようで似ていないところもあったりするというのがだいぶ整理できたのかなと思いますし、これからもそれが全部つながっていくというか。すべてはデザインであるし、エンジニアリングであるし、いいものを作るという活動に関しては、そんなに線を引くべきではないかなと。

池澤:そうですね。

菅澤:そう思ったので、もっともっと交流とか、そういった理解をお互いに深めながら切磋琢磨していけたらと思います。ということで、このあたりで終わりにしたいと思います。

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