2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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茂出木謙太郎氏(以下、茂出木):お待たせしました。「メタバースに欲しいデザイナースキルとは」ということで、本題に入ります。本題に入っていきなり結論です。とにかくVR機材を買って慣れてください。今YouTubeで見ている人たちも、「いつ買えばいいだろう」じゃないんですよ。今が買い時なんですよ。
ここにいる人たちもMeta Quest2とかで入っていると思いますが、Meta Quest2は今4万円しないんですよ。4万円しないで買えるタイミングはもしかしたら今しかないかもしれないんですよ。だから今が買い時なんです。
次が、VRを学習して理解する。さっきVRについてちょっと説明しましたが、「バーチャル・リアリティってこういうことですよね」というのが、例えば「渋谷をVR空間にしようぜ」みたいな感じで言ってしまうと、SHIBUYA109があって渋谷マルイがあって駅があって……というふうになるけれど、「渋谷というものの本質は本当にそれなのか」みたいに、何を体験してほしいのかを考えないといけないじゃないですか。
そのあたりの議論がちゃんとできた上で、「ここがSHIBUYA109だよね」みたいな話なのかはわりと重要です。「VRとは何なのか」ということにちゃんと基づいて考えましょうということです。
もう1個。これはかなり端的ですが、Unityを使えるようになりましょう。別にすごく使える必要はありません。でも、まったく使えないと、作っている人が何を言っているかやはりわからないんですよね。
ちょっと年齢が上のWebを制作している人たちだったらわかると思うんですが、僕たちがWebの制作を始めたてで「これからWebだぜ!」みたいなことを言っていた時に、「インターネットって何?」とか「インターネットを買って来てよ」とか「(ITのことを)イット」と言っているおじさんたちをバカにしていたじゃないですか。「Photoshop使えないし」みたいに言うと、「Photoshopぐらい使えてよ」みたいなのがあったじゃないですか。
そういうことと今は同じ状況になってきているんですよ。同じことを言われているだけです。それだけのこと。
今抱えている問題は何かというと、プログラミングをするエンジニアの人たちが中心となって開発をする環境や現場が多いというのと、UnityやUnreal Engineとかで世界が作られていることが多いから、そういうのを使える人が中心になってサービスの詳細設計をしちゃっているんですよね。
エンジニアのコミュニティの中で議論が進みやすくて、ユーザー像の絞り込みができないというのも問題です。つまり、「リテラシーがこれぐらいあるよね」という前提の人たちが、「こうなるとおもしろいよね」と話をして作っていることが多い。
なので、そこにプロのUXのデザイナーが入って、「まずユーザー像はこうじゃないですか」「こういうユーザー・エクスペリエンスを提供するんだから、こういうユーザー・インターフェイスが必要ですよね」というところの設計が、まだ絞り込めていない。
もう1個、メタバースの流行に乗っかってサービスを設計してしまう。これは最悪。「とりあえずホームページを作りましょう」と言っていたのと同じです。さすがに最近はないと思いますが、そこに乗っかってUnityを使える人を呼んできてちょっと作るみたいなことが、わりとありがちだった。
もう1個は、現実そのものをメタバースに突っ込んでしまう。先ほどちょっと言った話ですね。
なので今すぐ買ってと。ヨドバシカメラやビックカメラでも売っているし、いろいろなところにあるから、すぐに買いましょう。
VRは、VR技術者の知識を測る「VR技術者認定試験」というのが1年に2回あります。これは「日本バーチャルリアリティ学会」というのがあって。VRの学会は、確か日本とフランスにしかないはずなんですけど、違ったかな? だから日本はすごいんですよ。
ちょっと古いですが『バーチャルリアリティ学』という本があります。最新の情報は載っていませんが、基本的に全部ここに書いてあって、試験が始まる1ヶ月前にちゃんと補習をしてくれます。
その補講とこの本を合わせて受験をすると、「あなたはバーチャルリアリティ学のここをちゃんと履修しましたよ」という、証明書をくれます。「1年に2回ある」と言ったんですが、テクノロジー系と理論系の2つをやります。その2つの免許が揃うと「上級バーチャルリアリティ技術者と名乗っていいですよ」とVR学会がお墨付きをくれるんですよ。
今「受けたい」と(コメントで)書いている方がいましたが、オンライン試験なのになぜか募集人数がけっこう少ないんです。たぶん200人もいないんじゃないかな。だからけっこうすぐに(枠が)埋まっちゃうんですね。なので、ちゃんと見張っておいて、募集が始まったらすぐに申し込まないとという感じです。
あともう1つ、Oculus for Deveropersというところに、VRアクセシビリティ設計やユーザー・エクスペリエンス、ユーザー・インターフェイスの設計について、「こうするべき」というのがちゃんと載っています。もちろん無料で見られます。なので、「とりあえずこれを読め」という話でもあります。
次はUnity Storeです。UnityはAdobeのソフトウェアと違って無料です。(だから)「なぜダウンロードをしない?」という話なわけですよ。ちなみにチュートリアルの動画もめちゃくちゃたくさんあって、それも全部無料で見られます。日本語の動画はちょっと少ないけど、デザイナーが使えるようになるためには十分なものがあります。
デザイナーがUnityを開けて何が怖いかというと、最初から空間が提示されるんですよ。なので、最上部とか最下部など基準になる座標が明示されません。デザイナーだと「画面のトップを基準にして、ここから何ピクセル、ここから何ピクセルのここに置きたい」とかがあるじゃないですか。それがUnityには最初はありません。
何を中心にするかというと、この世界の中心が(0,0,0)で、そこから数字でいくつ動かす、と決まっているんですよ。だから地面や底辺とかがないんです。これは僕も最初のとっかかりがすごく怖かったです。壮大な白紙のような。
もう1つUnityでとっかかりにくいのは、バージョン管理がめちゃくちゃ大変というか。(スライドを示して)これは僕のデスクトップをそのままキャプチャしたんですけど、作っているソフトウェアのバージョンが決まっていたら、勝手にアップデートできないんですよ。そのバージョンで作らないといけない。
Photoshopは基本的に上位互換じゃないですか。(Unityは)そうではないので「2019年のバージョンいくつのなんとかで作りました」と言われたら、それで作らないといけません。なのでデスクトップにたくさんのバージョンが並ぶことになるんですが、それを管理できるUnity Hubというものがあって、一応管理ができるようにはなっています。
(コメントを見て)あ、そうそう。(0,0,0)からの相対座標があるということではあります。ただ、(0,0,0)と決まっているだけで、例えば家が目の前にあって、登壇ステージのの面に(家の)壁をつけたいと思うじゃないですか。(0,0,0)をどうやって決めているかというと、わりと検討で決めています。なので、ちょっと埋まっていたりするというような世界観という話です。慣れましょうということです。
「諸悪の根源」という言い方は何ですが、実は超便利なUnity Asset Storeというものがあります。ソフトウェアから直接いろいろなツールやプログラム、アイテムをダウンロードして、自分のワールドの中にどんどん取り込めるんです。例えば、3Dのインターフェイスと(検索)しただけでとインターフェイスに使えそうなボタンとか。そういうものがバンバン出てくるんです。
これは当然、初心者にはすごく便利です。とりあえずモックを作りたい時とかにはすごく便利ですが、例えばホームページ・ビルダーでホームページを作るといろいろなアイテムがあったじゃないですか。その状態と一緒なんですよね。
なので、すごく便利に使えるんだけど、これに頼りすぎるとダメだというところの境界線が、わかっている人とわかっていない人がどうしてもいる。なので、使いすぎ注意のUnity Asset Store。
メタバースには2種類あるということを前提に話しましたが、(それが)何かというと、プラットフォームサービスでBtoCのサービスをやっているところと、イベントサービスのBtoBをやっているところがあります。
今日このあと話をされる(株式会社ハシラスの)安藤(晃弘)さんが作られているものはBtoBで、clusterとかはBtoCでイベントをやる時のB向けに技術やデザインや制作を提供している。HIKKYはVRChatなどを使って、プラットフォームは別の会社のものを使ってやっています。
いろいろ言いたいことはありますが、とりあえずWorkroomsの悪口だけ言って帰ります(笑)。WorkroomsはMeta社がめちゃくちゃお金を出して作っているじゃないですか。
Workroomsの何が悪いって、とにかくインターフェイスとユーザー・エクスペリエンスの設計が本当にダメなんですよ。何がダメかというと、まずWebページからチームを作成するじゃないですか。
ユーザーを招待するんです。招待された人はメールを受け取って「招待されました」といって画面の下のところに入ると、自分が今いくつのWorkroomsに招待されているかがわかるんですよ。
ここからですよね。「VRに備えよう」といってヘッドセット、つまりMeta Questを付けなさいと言われるんです。付けるじゃないですか。それでMeta QuestとWorkroomsを立ち上げると、ソフトウェアに謎のアルファベットが出るんですよ。ヘッドセットを付けたまま、これを登録しろと。「8桁のコードを入力してください」と出るんです。
Webに戻って入力しなくちゃいけないんですよ。さっきの8桁のコードをみなさん覚えていますか? 覚えているわけがないですよね(笑)。しかも、付けていてどうやってメモをするのよと。
それでもがんばって入力するとやっと登録できる。先ほどいくつかのルームに招待されたと言ったじゃないですか。あれは招待されているグループを変える時に毎回やらないといけないんですよ。衝撃でしょ?
一応ログインできたということで入れますが、入った時は無機質な世界観で、やっとこのあとにどれかを選んで中に入ります。また違うルームに変えたいと思ったら、ログアウトしてWebサイトに行って、さっきのIDのページを開いてやり直さないといけないんですよ。
もう半年以上(この状況が)続いているんだけど、なんでこれが改善されないのかが謎でしょうがない。ユーザー・エクスペリエンスとしては本当に最悪だなと思うんですけど。
しょうがないから、僕がマニュアルを作りました(笑)。まだ途中までしか作っていませんが、もし興味がある人がいたら共有するので、ぜひ完成させましょう。
clusterの方がいらっしゃるみたいなので、「clusterのここのUXを変えようよ」というやつを話します。まず、ホームで何の情報もないままに「ホームに行く」と言われるんですよ。「ホームってなんだ」と。
普通に訳すと家ですよね。という話から始まりつつ、(画面には)「背の高さを計測します」と書いてあるんですけど、このメモリに関しての情報は右側に出るじゃないですか。
測っても普通は「入室」に気が付かないんですよね。「なんで次に進まないんだろう」と思ったら、右に「入室」と出ている状態。入室OKになったら正面に「入室OK」って出てよと思うじゃないですか、とかね。
そもそもですが、入ったあとになぜか山のキャンプ場みたいなところに行くんですよ。言いたいことはわからなくはないんですけど、キャンプ場に入って「ロビーに行く」と。さっきは「ホームに行く」となっていて次が「ロビーに行く」だから、たぶんこれがホームなんだと思うんですよね。
でもホームじゃなくて空き地ですよね。なので「ここがホームなの?」とちょっと思うんですけど、「遊びましょうということなんだろうな」と。次にロビーに行きましょうとなると、いきなりエレベーターの中なんですよね。エレベーターの中で、そして次に行くとロビーが出るんですよね。
ロビーとエレベーターはつながっている感じはあるんですけど。ユーザーに何を体験してほしいかというデザインが、入口を作る人、ロビーを作る人でちゃんと統一されていなかったんじゃないかなと僕は思いました。
そうすることで何が問題なのかというと、clusterはいったいどういう世界観を提供したいのかがあまりわからないんですよね。初心者に親切じゃないし。先ほど言った「わかっている人だけがわかる」という状況になってしまっているのが、すごく問題だなと思いました。
もちろん理由があってこうなっているんですよ。それは十分承知の上で、メタバースを提供している人たちはUXやUIについて考えていないわけじゃないんですよ。先ほどのものも、全部理由があるはずなんです。
だけど、どのように考えてどのように評価するのか、優先順位がどれぐらいかはわかっていない。なぜなら、たぶん作りあげることを最優先にしているからですよね。
プロジェクトの中にどのように組み込んでいくべきかのタイミングがわからないから、そこから話ができて、エンジニアが「でもここはこうしないとダメなんですよね」と言った時に、ある程度はわかるような能力を身に付けていることが求められていますよ、ということです。長時間ありがとうございました。以上です。
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