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価値のあるエンジニアに成長する方法とは?|bravesoft CTO 池田純康(全1記事)

大切なのは「クソアプリ」と言われても挫けないこと 競争が激しいエンジニアの世界で価値となる心構え

つよつよチャンネルは、bravesoft CEO&CTOの菅澤英司氏がエンジニア的に「おもしろい話」や「ためになる話」を届けるチャンネルです。今回のゲストは、bravesoft株式会社CTOの池田純康氏。優秀なエンジニアになるための方法や心構えについて話しました。

興味を持って、やってみることが大事

菅澤英司氏(以下、菅澤):つよつよエンジニア社長の菅澤です。引き続き、今日はbravesoft CTOの池田純康さんに出演いただいています。よろしくお願いします。

池田純康氏(以下、池田):よろしくお願いします。

菅澤:前回は大手とベンチャーの違いを語りました。大学2年からアルバイトを一緒にやって、アプリを作ったりしていたじゃないですか。作ったアプリがいきなり月1,000万売り上げるサービスになったりしましたね。そのあとに、アメリカへ留学して技術を学んで、マイクロソフトに入って10年経って、うちに入って5年ぐらい経って2021年からCTOになったということで、今年エンジニアになった人にどうやったら優秀なエンジニアになれるのかを具体的に教えてください。

池田:まずベースとしては、技術が好きだったり、興味を持ったりすることがやはり必要かなと思っていて、興味があったり好きだからこそ自分から学んでいく。教えられるものでもなくて、まず自ら学んでいく。いろいろな技術ができているので、待っていたら追いつけないとなってくると、興味を持って調べたり、やっていくというところが絶対的に必要になるかなと思っています。

菅澤:自分がエンジニアになったばかりのことを思い出しても、最初からはなかなか好きになれなかったんじゃないかな、わからないことだらけだったと思うのですが、それはどうしたらいいですか?

池田:大切なのは、まずやってみることだと思うんですよね。実際にやったら、もちろん大変だと思うんですよ。そこから学んでいくし、形ができていくものだと思うので、そこが1つ大きかったと思うんですよ。

菅澤:学んで学んでというところも、くじけない根性みたいなものがどうしても最初は必要になるんですかね。

池田:やはり、そこは大切だと思いますよ。ちょこっとやって、止めてしまうと見えないと思っていて、私たちも最初はすごく失敗しまくっていたと思うんですよ。でも、失敗する中でなんとか作って世の中に出していった時の、あの感動は忘れられないし、喜びだと思うんですよね。それをある程度続けたからこそ得られたものだと思うので、やりきるというのは1つ必要だと思いますよ。

菅澤:世の中に出した時にフィードバックも来ないと、これは結局誰が使うんだろうなとか、なかなか楽しみを見出しにくいというのはあるかもしれないですね。

池田:そこは見えづらいですよね。

菅澤:スマートフォンアプリを作っていて、いいアプリだと「神アプリ」とか、「これですごく助かったよ」というコメントがレビュー欄に書かれるし、逆もあるんですけどね。有料のアプリだと「お金を返せ」と書かれるし、無料のやつだと「時間を返せ」と書かれたり、フィードバックが得やすいものづくりの会社に入ると、いいというのはあるかもしれないですね。

池田:大切なのはそこから学ぶことだと思うんですよね。「クソアプリ」と言われて、止めてしまったらやっぱりダメで、それをしっかりと直していって、次に良くしていくというのをずっと繰り返してきている。どの製品もそうだと思うんですよね。ダメだから終わりではなくて、そこからだんだん良くしていって、より多くの人にまた使ってもらえれば、それはそれで成功だと思います。

独学でもまずは何かを作ってみる

菅澤:広く言えばそうかもしれませんが、入社したばかりのエンジニアであまり技術的なことができないと、なかなかプログラムができるようにならないなとなる人もけっこういると思うんですよ。そういう人はどうしたらいいですか?

池田:がんばりたいと言うのは簡単ではあると思うんですよ。それをどう見せるかというのが大切かなと思っています。アルバイトで入って、なかなかプログラミングさせてもらえないのであれば、待ってて「ダメだ」となっちゃうと終わりで、じゃあ自分でこんなものを作ってみたんですと出してあげると、この人はこういうのできるんだ、これだったらいけるかもと形として見やすいから、自分である程度作って見せて、私はこういうのができるからやらせてくださいとやると早いと思います。

菅澤:独学でも自分で学んで何かを作ってみる。学校の勉強と誤解されて、知識を得ればいいんじゃないか、教科書を読めばいいんじゃないかと思われがちですが、まずは作るということですね。

池田:そうですね。今の時代で考えると競争がすごく激しいと思うんですよね。採用する側から見ていても、すごく大変だろうなという時代になってきている。そういう中で、どういうふうに勝っていったらいいんだろうとか、自分の特徴をどう出していったらいいんだろうとか、今から考えていかないとチャンスを逃してしまう。そのためにはアウトプットして、やっていくということが必要な方法ですね。

菅澤:学生のバイトをする時に、「ゲームアプリを作ってくれ」と言われたのも、確か俺が1週間ぐらい徹夜して、とりあえず野球ゲームっぽいのを作って見せたら、こいつできるんじゃないかみたいな感じで仕事をもらえて、そのあと作ったアプリがいきなり1,000万ぐらいの売上になったので、実力次第でぜんぜんいけるという。

私たちが学び始めた20年前と今の学生の人たちの環境は違うと思うんですよね。今、学生だったらどうします?

エンジニアとしての価値を高めるために必要なこと

池田:情報がかなりありふれちゃっていると思うんですよね。選択肢もすごく多い状況だと思うんですよ。広くやる人もいるだろうし、深くやる人もると思うのですが、みんなが知っているものだけを知っているって、下手するとGoogleに聞けばわかるかもしれない世界になってきていると思うんですよ。そうなった時に、そういうものでないものを持ってることこそが価値になってくると思うんですよ。

例えば何か問題が起きた時に、そもそもの根本はこういうふうに動いているから、こういう問題の可能性があるんじゃないかという幅が広がっていくと思うんですよ。そこはおそらくGoogleで調べてもなかなか出てこない。そうなってくると、そういうところに価値が出てくるとは思うので、やるとすればそういうところまで深掘りをきちんとして、調べていったり、身につけていったりするだろうなと思いますね。

菅澤:逆に、気象庁のAPIにアクセスしているので、「天気のことは一番詳しいです」みたいな、そういうことをやってみるのもいいんじゃないかということですよね。

池田:そうですよね。人としての差別化も必要な世界になってきているので、そういう強みをどう持つか。

菅澤:みんなが知らないことを知っていたほうが価値が高いので、学校と一緒な感じでみんなと同じことをやるのではなくて、「これを知っているのは珍しいぞ」ということを求めたほうがいいと思います。なので、逆にこの場で「これをやったほうがいいよ」とはあまり言えないという。

自分が興味を持ったことは、何でもいいのかもしれない。美容室に興味があったら、「美容室と技術」みたいなことをやってみたり、釣りが好きだったら、釣りと技術でなにかできないかとやってみたらいいかもしれないですね。

池田:うちは「eventos(イベントス)」というイベント向けのやつをやっていますが、そもそもイベントが好きな人もけっこう入ってきているじゃないですか。ああいう人たちの情熱はすごいなと思っていて(笑)。

菅澤:おー(笑)。

池田:すごく知ろうとするじゃないですか。それってもともとイベントが好きだからこそ出てくる話だと思うので。

菅澤:イベントと技術に興味があったら、うちに来たらいい。

池田:ぜひ来たほうがいいでしょうね(笑)。

菅澤:7年前なんて「イベントはアナログだよ」「イベントに技術は要らないよ」「ITは要らないよ」と言われていた。ところが1年前ぐらいから「いやいや、やりましょうよ」とオンラインでイベントやりたいという流れになってきていて、今すごく問い合わせが増えています。イベントがいいんじゃないかなと思って、誰もやってないところからやっているというのは、けっこう価値があるのかもしれないですね。

変化が激しい時代において重要な考え方

菅澤:優秀なエンジニアと、そうではないエンジニアのどこら辺が違うというのは、1つは好きかどうかという話がありましたが、ほかにどのあたりが重要になってきますか?

池田:変化が激しい世界がまだまだ続くと思うので、そういう変化に対応できるかどうかが非常に大きなポイントになるかなと思ってはいます。今までは、開発も要件定義して、それを全部作ればいいんだという世界であったけれども、実際ビジネスがどんどん変化していく中で、それが正解かというと、ちょっと違う世界になってきていると思うんですよね。短期的にも長期的にも、ベストに答えを出して、「どうこいつをやれるか」と変化に合わせられるというのは1つの大きな努力だと思います。

菅澤:どうしたら変化に合わせられるでしょうか。

池田:「変化が起きるものだ」とまず意識しておくことが必要かなと思っています。「変化を起こさないものだ」と思ってしまうと、まず思考が停止してしまうので、変化が起きた時にどう戻らないようにするとか、どういうふうに設計して作っておくのがいいのかとか……ちょっと具体的にはまだないんですけど(笑)。

菅澤:とにかく変化することが当たり前だと。逆説的になるけれども、変化するために決めておくこともあっていいかなと思っています。

僕は年に1回どこか遠くに行って新しい技術で何かを作っています。それで、2021年はSwiftUIで何かやったりとか、新しい技術をとにかく年に1個は学び続けると決めているので、「今年は何をやろうか」となる。あるいはこのサイトは見ておくとか、自分なりの変化し続けるためのメソッドを若いうちから身につけておいて、いいものを作っていけるというのはいいかもしれないですね。

池田:変化が起きるものに対して、あえて自分から変化に合わせていく。確かにそうやっていくとやりやすいかもしれないですね。

学生のうちにアウトプットを出す重要性

菅澤:早いうちからエンジニアになるのがけっこう重要ですかね。私たちみたいにアルバイトでアプリを作り始めたというのと、大学で4年間勉強ばかりしていたのではぜんぜん違いますよね。

池田:ぜんぜん違いますね。アルバイトでもなんでもいいんですが、お金はもらうからもちろん対価を出さなくてはいけない。自分の知識の幅もかなり広がっていくし、しっかりとアウトプットを出すというところになっていくと思うので、そこの経験は学校ではなかなか難しい。

菅澤:bravesoftに学生はアルバイトで入ることができるんですか?

池田:できます!

菅澤:どうやって入れるんですか?

池田:私たちもそういうことを経験していて、それで成長しているというのもあるので、みなさんにもそうなってほしいと思っています。会社としての受け入れは1つあるとは思っています。

菅澤:1つの恩返しみたいな、アルバイトからでもどんどん育てていきたいというのはありますよね。

池田:競争が激しい世界になってきているので、誰でもオッケーかというと、残念ながらそんなに甘くはない。そうなった時に情熱や興味はベースとして必要ですが、言っているだけは誰でもできるので、自分の中で今やれるアウトプットをしっかりと出していって、「自分はこういうのを作ったんです」「こういうことをやってきたんです」というものを形にして来てもらえると、興味を持って、実際に形にまでしたんだという見え方になってくるので、ぜひそこまでやってほしいなと思います。

菅澤:「入ったら勉強するんです」ではなくて、好きになりたいし、好きになってきているから作っちゃったというのを聞きたいということですね。

池田:やはりそこは大切ですね。

菅澤:その作ったものが「Hello Worldなんです」だったら、ちょっと難しいですか?

池田:それだと難しいかもしれないですね(笑)。

菅澤:どれぐらいできていたらいいですか?

池田:何か意図を持って作ってほしいなとも思うんですよね。「掲示板」を作るのもいいんですが、世の中に似たようなものはあるかもしれないけれど、「自分はこういうことが今課題だと思っているんです。それをちょっとでも解決するために、こういうものを作ってみました」というのがあると、よりいいかなと思います。

根本にある、自ら課題と見つけて、解決のために作るということ

菅澤:「これを作ったらいい」という発想がまずダメなんだと。自分しか作っていないものを作ってくれと。

池田:そうですね。似たようなものは世の中にいっぱいあるんですが、大切なのは、課題をきちんと自分で見つけて、それに対して作る。私たちの目的は、ものを作ることではなくて、お客さんのビジネスだったり、課題だったりを解決するために作っているので、この根本を忘れてほしくないとは思っています。ぜひ今からそういう感じで作ってもらえるといいなという期待も込めて。

菅澤:期待も込めてですね(笑)。1年前ぐらいに、僕は毎日のコロナの感染者が気になったので、FIREBASEで動くNode.jsのプログラミングで、最新の情報をスクレイピングでデータをネットから持ってきて、自分にLINEを送るというものを作ったんですが、こういうのだったらいいですか?

池田:いいと思います(笑)。

菅澤:これと同じのを作ってもダメということですね(笑)。

池田:課題が小さい、大きいは別にどうでもいいと思っているので、ちっちゃなことでもいいと思いますよ。

菅澤:うちにいるエンジニアの川さんは、家賃が安くていい物件はすぐに埋まってしまうので、ネットから一番安い情報を持ってきて、いち早く自分にプッシュするというアプリを作って、実際それで物件を見つけて引っ越ししたらしいです。

できるようになってくると自分の人生も良くなるし、仕事に活きるし、楽しくなるので、最初の1年ぐらいはわからないですよ、プログラミングって。わからないけど、なんとか作りたいものを作ってみる。作って良かった、誰かが使ってくれた、見てくれた、いいねと言ってくれたという、その第一歩を踏み出してほしいなと思います。何か作ってくれればアルバイトできるらしいので、みなさんもぜひがんばって挑戦してみてほしいなと思います。

池田:ぜひお待ちしています。

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