2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
【デジタル庁CTOに聴く】どうすればCTOクラスまで成長できますか?|グリーCTO 藤本真樹(全1記事)
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池澤あやか 氏(以下、池澤):本日のゲストはグリー株式会社CTOの藤本真樹さんです。
菅澤英司 氏(以下、菅澤):よろしくお願いします。
藤本真樹 氏(藤本):よろしくお願いいたします。
菅澤:前回のお話で、「日本のCTOたちで、テックカルチャーをレベルアップしていきたい」というお話があったのですが、シリコンバレーから見ると、(日本は)だいぶ後れをとっている感じがしますよね。
藤本:ミクロの話をすると、いろいろな議論があるし、もちろん優秀な人はいっぱいいて、向こうに行って起業して成功している人もいますが、国全体をマクロに見れば、後塵を拝しているのは間違いないと思います。
菅澤:どのあたりに要因があるんですか?
藤本:シリコンバレー、ベイエリアには多くの人が集まってきて、多くのお金や、多くの情報が集まって、より多くのチャレンジが行われるから、成功確率は上がりますよね。単純に「人」「お金」「情報」「チャレンジ」の掛け算の数の違い。逆に言うと、それに尽きるのではと思っています。
池澤:個人的には、エンジニアリング職とCTOには壁があると思っていて、多くのエンジニアから尊敬されて、いきなりCTOになった人が、CTOとしても輝くために必要なことはあるんですか?
藤本:スタートアップとかの場合は特に、CTOとしてというよりも、経営者だったり、マネージャーとして責任が増えることによって、自分のパフォーマンスを出していればよかったところから、自分以外の人がパフォーマンスを出すということに頭を切り替えなければいけないので、そこの違いをきちんとトランジションできるはけっこう大事かなと思います。そういう意識をして勉強をすれば、できるんじゃないかなとは思います。
何が必要かと言われたら、自分がバリューを出すということから、会社全体、あるいはエンジニアリングのチームがどうやったらパフォーマンスを出せるかどうか。ゴールは同じかもしれませんが、やり方がぜんぜん違うので、そこのシフトができるかどうか、切り替えるのがすごく大事かなと思います。
菅澤:言い換えると、エンジニアは作るのが好きで、得意だと思っている。一方で、ビジネスやマネジメントやチーフが苦手だと思っている人がすごく多くて、やったらできるかもしれないのに、挑戦しないということがけっこうあります。
そこが大きな違いなんじゃないかという気はする。エンジニアをやっていたけど、マネジメントに行く人が少ないから、日本はちょっと弱いんじゃないかと感じたりする。エンジニアからビジネスに行って成功する人は、グリーの中でも多いですか?
藤本:業界全体の成熟度にもよると思いますが、エンジニアから責任者になる人はけっこう多かったです。マネージャーをやりたくないとか、少ない云々というのは結果としてはあるかもしれませんが、チームマネジメントは技能だし専門職なので、コミュニケーション能力がないとできないというものでもないし。
エンジニアとまったく一緒で、勉強もしていないのにできるわけないじゃんという話ですよね。専門職として、仕事として、マネジメント、あるいは経営というものが捉えられたほうがいいなと思ってはいます。
菅澤:うちの会社では、歴代マネジメントに行く人と行かない人で分かれるんですね。行く人と行かない人で何が違うんだろうと、僕なりに分析してみたんですよ。僕なりの結論は、小中高でスポーツをやっていたかどうか(笑)。
スポーツをやっていた人が、マネジメントに行きがちというのは、勝ち負けをやっているじゃないですか。勝つためにどうすればいいかを考えるのは、ビジネスも似ているので、それとつながっているのかなと思っています。
ということは、日本の未来はスポーツ教育にかかってくる(笑)。ゲーム業界もそうだったんじゃないですか?
藤本:1つの要因として、それはあるかもしれないという気持ちがありつつ、そうなってること自体が、まだ僕らも成熟度が足りていないというか。
チームマネジメントは仕事の1つなので、バックグラウンド関係なく、もっと体系化されて、こうやったらできるようになるよというのができれば、より幅広いマネージャーのプールはできていくわけだし、場合によってはビジネスもできるかもしれないし、雑な言い方をすれば、「コミュ力が高い人がやればいいんでしょ?」みたいな、そういうこと自体があまり健全ではないなと僕は思っています。
菅澤:マネジメントをやらなきゃいけないからやるというよりは、勝つために、成功するためにやっていたら、それがマネジメントだった、みたいなところがあって、日本が後れをとっていて、経済的にもどんどん落ち込んでいるのはテックの影響が相当あると思うんですよ。
藤本:そもそも人口が減っている時点で国としては厳しいので、逆にそれを補うぐらい日本もやらなきゃいけないというのは間違いなくあると思います。
菅澤:人口が半分なったとしても生産性は何十倍にもなっているはずなのに、そこの流れが作れてないから、みんなアメリカのアプリを使うみたいなこともあると思っていて、日本の未来の鍵は、CTO協会にあるんじゃないかと(笑)。CTOがもっと増えれば、日本の未来、テクノロジーがもっと活性化していく感じがします。
藤本:ソフトウェアど真ん中ではない会社でCTOをやる方がもっと増えれば、生産性が上がっていくと思うし、ちょっとずつ競争力もついていくと思うし、幸せな老後が送れる可能性もちょっとは上がるんじゃないかなということで、「自分たちも老後のためにがんばろう!」みたいな。
菅澤:すごく美しい終わり方になろうとしていたところに(笑)。老後が(笑)。
藤本:美しいかどうかはよくわからないですけどね(笑)。人口が減る以上、生産性をそれ以上の速度で上げるしか基本的にはないわけなので、真剣に捉えてやるべきだし、もうラストミニッツじゃないかと思いますね。
菅澤:後はないよと。
藤本:基本的に後になればなるほど、覆すのが大変じゃないですか。なので、早ければ早いほうがいいとは思います。
菅澤:ということで、みなさんぜひCTOを目指して……目指しちゃいけないのか(笑)。
藤本:まあがんばろう。
菅澤:ということで、このあたりで終わりたいと思います。ありがとうございました。
藤本:ありがとうございました。
池澤:ありがとうございました。本日のゲストはグリー株式会社CTO藤本真樹さんでした。
菅澤:どうでしたか?
池澤:思った以上にマネジメントは、エンジニアリングと同じようにスキルがいるということは、エンジニアばっかりやっていたので気付かなかったです。
菅澤:みんな最初はできないからね。僕も最初はぜんぜんマネジメントができなかったので、ちょっとずつ成長してくるものなんでしょうね。「GAFAM」って知っていますか? 「Google」「Apple」「Amazon」とか。「GAFAM」という5社が日本の全上場企業よりも価値が大きいんですよ。ほかにも、Twitter、Tesla、Netflixが最近おもしろいじゃないですか。
この8社、共通点は全部ソフトウェアエンジニアが創業しているというところで、やはりソフトウェアエンジニアがビジネスにどんどん行くぞとなった時に、大きな成功があるということで、CTO協会。CTOがCEOを助けながらエンジニアがどんどん経営に挑戦していくと、大きないいものが作れるんじゃないかなとあらためて感じました。
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