2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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ーー最近では、メタバースという単語をよく聞くようになってきました。oViceはリアルとバーチャルの中間地点にあるようなイメージがありますが、これからの方向性はどのようにお考えでしょうか。
ジョン・セーヒョン氏(以下、ジョン):本来の意味合いからして、私はoViceをメタバースだと主張しています。ただ、oViceはよく言われるメタバースとは異なると思い、“ビジネスメタバース”とポジショニングしました。
今、多くの方が知っているメタバースは、どちらかというとエンターテインメントに近い話です。個人においては、没入感があり、インタラクティブでエンターテインメント性の高いものが勝ちます。でも、ビジネスの世界においてはそうはいきません。
ビジネスではどちらかというと、可用性と実用性が必要だと思っています。具体的にどういうものかと言うと、メタバースの1つとして、MetaやMicrosoftが3Dのものを出してきていますよね。そのMetaのメタバースを使うために何が必要かというと、Oculusじゃないですか。
数万人の会社がMetaを導入しようと思ったら、Oculusを買わなくてはいけません。しかも、Oculusが動くようなネット環境も用意しなくてはいけない。オフィス内であれば構築されているかもしれませんが、テレワーク前提になってくると、家にそういう環境が必ずしもあるとは限りません。
結局、エンターテインメント性の高いメタバースも、デバイスやネットワークの環境が改善されないと普及に限界がくると思っています。ただ、ビジネスはそれを待っていられないわけです。oViceを3Dでやってもよかったのですが、過去に別で3D事業をやっていたときの経験も踏まえ、汎用的じゃないということで辞めました。デバイス依存とネットワーク依存が激しすぎて、普及しにくいなと。
だから今のoViceは、あえて次元を低くして、どのデバイスやネットワークにも依存しないかたちで2Dになっています。ただ、技術は進歩していきますし、3Dが主流になることも、私たちはわかっています。ただ、今ではない。
また、我々がなぜビジネスメタバースと名乗っているかというと、エンターテインメントは世の中の動きの中でごく一部だと考えているからです。例えば、コンサートを実施するとします。ただ、それを行うためのビジネス的な会議の期間は、とても長いです。日程の調整から場所の選定、企画から中身など、それらを全部詰めるのはビジネスのシーン。そういった観点でも、ビジネスで使えるサービスの方が、お金になると考えています。
完全に長期という目線では3Dにも注力していくかたちになりますが、それは我々が変えられるところではない。時代がそうなっていけばついて行くというだけで、我々は待つだけです。
ーー時代がくるのを待つ、と。
ジョン:そうです。「技術的に進歩していればやるよ」的な話です。我々が開発的にどのようなマイルストーンを敷いているかという点では、大きく2つあります。まずはハイブリッドです。私たちは、どちらかというとVRよりはオフラインに先に行きたいと思っています。
企業にオンラインかオフラインかを強制するのはよくないと考えています。企業のタイプによって、オンラインとオフラインのいいバランスがあるはずです。そのバランスに対応できるような技術開発をしたい。RICOHさんの360度カメラとoViceを連携させてコミュニケーションができるようにすることも、このためです。
もう1点は、私たちが考えているビジネスメタバースは環境であるということです。いろいろなものがoViceを中心に広がって、oViceを中心に新しいデータが生まれていく。
これは何かというと、よく企業からのフィードバックをいただくことの1つに、「勤怠管理機能を入れてほしい」という要望があります。ただ、我々は入れません。理由としては、我々はバーチャル不動産であって、空間にフォーカスをするような会社であり、そこに入る家具や家電に手をつけるべきじゃないと考えているからです。
ではどうするかというと、そういった家具や家電の会社とつながるわけです。例えばジョブカンとか、KING OF TIMEとか、AKASHIとか。いろいろな勤怠管理サービスをoViceで連動できるようにする。そうすることによって、企業は自分が使いたいサービスをoViceと連動してパッと使える。我々はこれをエコシステムと呼んでいます。いろいろなものがシームレスにつながっていく。
Dropboxとつなぎ、資料をすぐに見られたり、ホワイトボードのようにみんなで一緒に書き込んだりするのもありです。さまざまなものをoViceに連動することで、データがoViceに集約されます。oVice上での会話もそうですし、出勤情報も集まるし、ホワイトボードを使ってデータも集まる。
この情報があると、また新しい付加価値が生まれると思います。このように、データのやり取りが増やすことで、新しい価値が作れる。それがoVice上に集約されて、企画化される。それが我々のエコシステムのマイルストーンです。
私は、プラットフォームの次にあるのがメタバースだと思っています。だからメタバースはプラットフォームであるべきで、プラットフォームに自由度を持たせたものがメタバースだと私は認識をしています。今はそこに向かっているんです。
ーーなるほど。プラットフォームに自由を持たせたものがメタバース……。
ジョン:プラットフォームはルールが決まっています。例えば、SalesforceやSlack、Appleなどです。それぞれのルールが存在していて、壊すことはできません。それを超えて新しい価値を作るというのがメタバース、プラットフォームの次の次元がメタバースだと思っています。
先ほどお話ししたように、oViceはいろいろなものがつながるわけですが、ユーザーがどのようなものをつなぐかによって、パターンが無限に出てきます。例えば先ほどお話ししたマジックショーが、よりリアルになったりすることもあるわけです。
ーーありがとうございます。より具体的に、oViceがこれから目指すところをおうかがいしてもよいですか?
ジョン:我々はバーチャル不動産を目指したいんです。不動産というのは、その人がどう使うかによって目的が変わってくるし、不動産自身も変わってきます。今の代表的なメタバースであれば遊びの話になることが多いと思いますが、私たちはビジネスに寄せたいんですよ。
oViceのバーチャル不動産を使うことによって、ビジネス的な何かができる。そういうところに持っていきたいとは考えています。かつ、我々は完全にオンラインということは考えておらず、必ずオフラインも絡めます。我々が考えるメタバースは、オフラインとも融合ができるものです。
オンラインとオフラインを分けるのではなく、必要に応じてオンライン、必要に応じてオフラインの両方に対応できるハイブリッドな環境を目指しています。
極端な話、メタバースと連動をしたような町を作ることを考えています。例えば、テレワークをしている人たちに特化した町のようなものです。家も普通の間取りであればテレワークには向いていませんが、テレワークに向いた町にしたり、oViceの世界観をハイブリッドに適用できるカフェを作ったり。我々はハイブリッドに興味があるんです。
ーーなるほど。ちなみに、oViceの社員の現状の環境としてはフルリモートか、ハイブリッドか、どちらでしょうか?
長谷川博和氏(以下、長谷川):ジョンさんの家にみんなで集まり、ハイブリッドの模擬会したりして、「今のoViceのままだったら、すごく使い勝手が悪いね」というところは把握している感じですね。
ジョン:たまに会ったりはしていますが、oViceは100パーセントリモートです。一応、模擬的なオフィスは作っています。ただ、そこは実験のために使っている程度です。我々はリモートに100パーセントフィットしているので、そこは変えるつもりはありません。ただ、この働き方をみなさんに強要するつもりもありません。だからこそ、ハイブリッドが大事だと考えています。
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