2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会者:ここで1点疑問なんですけれども、特に2021年頃から急速にNFTというワードを耳にするようになった印象がありまして。
なぜこれほどNFTのトレンドの波が一気に来て、大手企業なども続々と参入しているのでしょうか? 市場で何が起こっているのか、直近の動向やその背景についてお聞きしたいと思います。
天羽健介氏(以下、天羽):ここ1年とても話題になったNFTのことを、時系列を踏まえてご説明したいと思います。実際には、去年の2月の末ぐらいから急激に伸びてきて、注目され始めました。
この(スライドの)折れ線グラフは、Googleの検索ボリュームの推移になっております。ちょうど2月の下旬ぐらいから急激に伸びているのがわかると思います。
このきっかけになったのが、「NBA Top Shot」です。これは、アメリカで売られているNBAのトレーディングカードのようなものです。そして、NFTで紐づけられたトレーディングカードが240億円分購入されたことによって、そのデジタルデータの価値が証明されたというニュースが多数出ました。ここから一気に注目されたんですね。
加えて、みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが、大手オークションハウスのクリスティーズで、デジタルアートが75億円で落札されました。これによって、さらに注目を浴びたんですね。
その後、今世界一大きいOpenSeaというアメリカのNFTの取引所が資金調達をします。そして、私が所属しているコインチェックでもNFTの取引所をはじめたりしています。3月いっぱいまでにこんな動きがありました。
4月以降、メルカリさんやLINEさん、日本でみなさんが知っているような大手企業がNFT事業に続々と参入を発表しました。これが、(NFTが盛り上がってきた)もともとのきっかけになります。
またNFTが伸びている理由として、先ほど少しお伝えしたとおり、コンテンツや権利系のビジネスと非常に相性が良いということがあります。権利やコンテンツを多く保有している企業が、このNFTという手段を活用して、ビジネスに乗り出してきているのが現状です。
天羽:大まかに言うとこんな感じですかね。増田先生、何か補足はありますでしょうか?
増田雅史氏(以下、増田):もう1つ大きなニュースになったものとしては、アート分野だと思います。ここ(折れ線グラフ)にも載っていますね。3月頃に、デジタルアートNFTが75億円で落札されるという出来事がありました。
ちょうど同じ頃に、Twitterの創業者であるジャック・ドーシーの最初のツイートが約3億円で落札されました。このあたりで急に「NFTって何だ?」と世間がザワザワし始めたと。これがまず大きなイベントだったのかなと思っています。
その後もアートに関するニュースは引きも切らずという状況で、最近に至っても、けっこういろいろな動きがあるんです。
あとは、年末にかけて(「NFT」が)流行語大賞にノミネートされたりですね。結局、1年間を通じてNFTへの注目が集まり続けました。昨年において、そんな現象があったと思っています。
天羽:そうですね、この3~4月から少し下がっていたりするんですよね。半年ちょっと前くらいですかね。その時は、一時的なバブルで、それが盛り上がって弾けたと言われたこともありました。でも、コインチェックでは、(そのバブルが弾けたと言われた時期でも)毎日そういうコンテンツ・権利を保有しているIP事業者さまとやりとりをしていまして。
いわゆる大手企業さまが、粛々とこのNFTビジネスに対して準備をしているのを肌で感じていました。そして、いろんな取り組みが対外的に発表されて盛り上がってきたのが8月ぐらいからですね。
流行語大賞にノミネートされたこともあって、2022年は本格的に利用価値があるNFTが、より一層普及してくるんじゃないかと考えています。
司会者:ありがとうございます。
天羽:次は市場規模ですね。これは少し古いデータになりますが、直近では、だいたい2兆円ぐらいの市場規模になります。去年の3月ぐらいから盛り上がってきて、2019年は300億円ぐらいと言われていたものが急拡大して、今や2兆円となっています。
次のスライドはNFTの市場ですね。どういう種類のNFTが多いのか、簡単にご説明させていただきます。
一番大きいのが「コレクティブル」というものです。これはまた後ほどご説明させていただきます。実際のNFTでいうと、「CryptoPunks(クリフトパンクス)」とか「Meebits(ミービッツ)」など、いわゆるデジタルアートのようなもので、これが76パーセントを占めています。
他にはゲーム、スポーツの会員権のようなもの、メタバース上での利用、アートなどに使われています。
最近では、このコレクティブルを持っていると特定のコミュニティにアクセスできるといった、会員権のような役割を果たしています。(昨年も)各事業者において1年間模索してきたことなんですが、今年からより一層NFTのユースケースに関して、幅広く実験が行われていくと言われています。
司会者:ありがとうございます。増田先生はいかがでしょうか?
増田:まったく同じ印象ですね。おそらく、コインチェックさんは事業者さんから「一緒にやりたい」といろいろご相談をいただいてると思います。私は私で、「これからこういうことをやろうと思うけど、法的にどうか?」「実際にやる時の利用規約はどうしましょうか?」など、まだ世の中に出ていないものに関して、いろいろご相談をいただく状況にあります。
(スライドの)右側にいろんな分野ごとにまとめたデータを表示しています。実際ご相談のある比率としては、コレクティブルばかりではなく、アート分野やゲーム関係、スポーツもどんどん増えている状況です。
そして、最近特にメタバースが増えてきています。このような傾向にありますが、依然としてコレクティブルの分野、特にトレーディングカードで何かやりたいというご相談が極めて旺盛です。引き続き、このトレンドは続いていくのかなと思っております。
司会者:ありがとうございます。市場のトレンド、急速に拡大した背景についても把握できました。コレクティブルが取引としては多くありつつも、ご相談としてはアート、メタバース、ゲームなどいろいろと増えてきているんですね。
こうしたそれぞれの分野について、よろしければ具体的な事例、ビジネスの具体例についてお話しいただけますでしょうか?
天羽:はい。では、何枚かスライドがありますので、かいつまんで簡単にご説明いたします。
天羽:こちらは先ほど折れ線グラフのところで説明した、75億円で売れたデジタルアートです。これは(アメリカ人のアーティスト)Beepleの「Everydays - The First 5000days」という作品です。デジタルアートがサザビーズやクリスティーズといった、いわゆる老舗のオークション会社から落札された初めての事例となります。
値段は落札時のレートで75億円になりました。存命のアーティストの作品として、落札額がこれまでの第3位だということです。NFTを語る上で象徴的な事例となっています。
こちらもアートの事例です。先ほどのBeepleの絵はいわゆるデジタルデータのみを販売しているかたちなんですね。極端な話、その画像データは裏側から誰でもダウンロードできる仕組みになっています。なので、その75億円でいったい何を買ったのかという議論も、裏側ではされていたりします。
それと違って、「Hashmasks」という作品は、単にデータを保有するだけのデジタルアートではないんですね。こちらには、価値がしっかりと変動していく、向上していく仕掛けが実装されたデジタルアートとなっています。
所有者は実際に、命名権などを実施することができたり、いろんな価値向上のメカニズムが裏側から実装されています。こちらはすべて一点もので、最高取引額は420イーサリアム、だいたい当時のレートで6,900万円でした。
天羽:次です。これが先ほど、一番割合として多かった、NFTを代表する商品である「CryptoPunks」です。ご覧のとおり、けっこう粗めのドットの絵が特徴的です。これが本当に、1つ5,000万円など高額で、限定1万個が発行されています。
「これ自体に5,000万円の価値があるのか?」とみなさん思われますよね。これを保有していると特定のコミュニティにアクセスできるなど、特典があるんですね。
これが、2022年のNFTの、1つのテーマになるんじゃないかと個人的に思っています。NFTを持っていると得られる権利の1つとして「コミュニティへのアクセス」が期待されています。コミュニティはいろいろあると思いますが、参加する権利とNFTを紐づける動きは、今後よく出てくると思います。
これは2017年6月に、Larva Labsというところでリリースされた、最古のNFTのプロジェクトと言われています。
次はゲームですね。(スライドにあるのは)誤解を恐れずに言うと、昔流行った「たまごっち」のようなゲームです。昨年の後半くらいから「Play-to-earn」というキーワードを耳にされた方もいらっしゃると思います。
今までのゲームは、スマホで無料するにしても、課金するにしても、ゲームの中で完結するモデルでした。この「Axie Infinity」というゲームは、プレイすることによってお金を稼ぐことができるんですね。つまり英語で言うと「Play-to-earn」なんです。
東南アジアの国々などでは、家族総出でアカウントを開くそうです。そして、ゲームをして得た収益を換金して、生活費の足しにするということです。
こうしたゲーム領域は、とてもNFTと相性が良いんです。例えば、仮にゲームがなくなったとしてもアイテムは残って、それが資産性を有する。もしくは、今後の広がりとしては、例えばAとBの違うゲームの中を同じアイテムが行き来することができる。そういう期待もされています。
天羽:増田先生、ここに補足はありますか?
増田:そうですね。Play-to-earnモデルについては、いろいろと議論があるんですね。「今後どうなっていくのか?」というご質問をいただくことが非常に多いんです。
今お話しして良いのかどうかわかりませんが……。結局、なぜプレイすると儲かるのかというと、ゲームを通じて得られるゲーム内通貨が、ビットコインなどと交換できるようになっているからなんですね。なので、ゲームをプレイするとビットコインなどが手に入って、それを換金すると普通に法定通貨になります。
なぜビットコインなどと交換できるのかというと、そのゲーム内の通貨を欲しがる人がいるからなんです。ゲーム内の通貨は、キャラクターを新しく増やしたりすることなどに使えるので、需要があります。
プレイヤーがどんどん増えているフェーズだと、それがプラスのサイクルで回っていきます。ゲーム内の通貨が価値のあるものと認識され、どんどん買われていく状況になるわけです。
でも、これには一定の限界もあるのではないかという話もあります。特に「お金が儲かること」を主な動機としてみんながプレイしている場合、もっと儲かるゲームが出てきたらそっちに行ってしまうという問題がある。
今後の展開としては、プレイをすること自体がおもしろくて、かつ稼ぐこともできるゲームにすると。つまり、ゲーム性に加えて、Play-to-earnといったところが、今後発展していくのではないかと言われています。私からは以上です。
司会者:ありがとうございます。では、次の事例にまいります。
天羽:これも先ほど折れ線グラフの時にふれましたが、「NBA Top Shot」というNBA選手のトレーディングカードについてご説明します。日本と違って、アメリカはトレーディングカードを所有するカルチャーがあって、親子何代かにわたって、受け継いだりすることもあるということです。それで(NFTとしての販売も)より受け入れられたと考えられています。
バスケットボール選手の、実際の試合の動画などをNFT化して画像にしています。こちらも価格がすごく高騰していて、年間の売上高ではおよそ760億円となります。
私見も含めてではありますが、こちらも先ほどのBeepleと同じように、「この動画やアートを保有すること自体にどこまでの価値があるのか」ということを、継続的に考えていかないといけないと思います。
例えば、NBA Top Shotも、これを皮切りに実際にNFTを使ったゲームを作ったり、NFTの用途みたいなことを考えているような気がします。以上が、代表的なNFTの事例になります。
次です。こちらも先ほどのNBAと同じスポーツの領域で、「Sorare」というものです。ファンタジースポーツという領域のサッカーゲームができるNFTのカードです。こちらは1万6,000種類ほど発行されていて、すべて一点ものになります。有名選手であるクリスティアーノ・ロナウド選手のものは3,200万円で落札されました。
このスポーツ領域には、ファンタジースポーツの「Sorare」もあれば、また違った用途である「Chiliz(チリーズ)」というサービスもグローバルに展開しています。例えば、これを持っているとVIP席に入れるなど、会員権や特権などを売りにしてビジネスを伸ばしている会社もあります。
このように、スポーツ領域は、さまざまな角度からの利用が期待されています。
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