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フリーランスの仙人|小笠原治(全4記事)

今後はインターネットで起きたことが実空間でも起こり得る 起業家・小笠原氏が考える、不動産業を軸に見た日本の未来

つよつよチャンネルは、bravesoft CEO&CTOの菅澤英司氏がエンジニア的に「おもしろい話」や「ためになる話」を届けるチャンネルです。ここでゲストで登場したのは、awabarオーナーであり、株式会社tsumugの取締役でもある小笠原氏。小笠原氏から見たこれからの日本と、スタートアップについて話します。前回はこちらから。

インターネット空間で起きたことが実空間でより起きるようになる

池澤あやか氏(以下、池澤):本日のゲストは起業家が集まるバー、awabarオーナーの小笠原治さんです、よろしくお願いします。

菅澤英司氏(以下、菅澤):よろしくお願いします。

小笠原治氏(以下、小笠原):よろしくお願いします。

菅澤:さっそくですが、いろいろな起業家も知り合いで、awabarで情報交換されているでしょうし、実際、最先端のことやられていると思うんですけど。世の中こうなるとか、技術はこうなるみたいなものはありますか。

小笠原:インターネット空間で起きたことが、この実空間でもっと起きるようになると思っています。インターネット空間って、今まではディスプレイの向こう側の話がほとんどだったと思うんですけど。

IoTもその1つですが、実際にはIoTって技術軸ではなく業界軸で起きると思っていて。特に不動産に関しては、インターネットに限りませんが、サーバーはもともとオンプレで、自前で用意してましたよねと。

これは、不動産でいうと一軒家とか、持ち家とか店舗。ネットワークが広がることで、データセンター、集約地ができました。工業地帯とか商業地区とか、そういう感じ。データセンターに集っているラックは、ビルだと思ってください。

菅澤:確かにビルっぽいですね(笑)。

小笠原:そこに、サーバーがダーって入っていて、これを1台1台借りるのが、大きなビルの中にテナントとして借りてるような状態。テナント借りまでは難しいから、1台のサーバーを分割して、レンタルサーバーとしている。雑居ビルみたいなものが、どんどんできている。シェアオフィスみたいなものかもしれないです。

エンジニアが使えるだけではないことをどんどん望まれるので、ブログサービスが出てきたり、CMSが生まれたりというかたちで、シェアオフィスとか、コワーキングというような状態が出てきて、不動産の実態にインターネット空間が追いついたんです。

インターネット空間のほうは、クラウド化に進みました。これは仮想化なので、物理の1台のサーバーを分割して貸すとかではなく、大きなコンピューターリソースをまずは増加して、自由に貸せるようになる。

それこそ、サーバーレスと言うくらいに、ファンクションベースでみんなが使って、サーバーを借りるっていう意識、認識もかなり薄くなって。この部分が不動産でも起きると思っています。例えば、2020年に、トータルで日本人は何人減ったと思います?

菅澤:数万人ですかね?

池澤:百万人単位じゃないですか?

小笠原:50万人。

菅澤:50万人⁉︎

池澤:50万人⁉︎ そんないかなかった(笑)。

菅澤:けっこういってますね。

小笠原:50万人。ただ、今から15年で1,650万人減ります。

菅澤:かなりですね。

小笠原:かなり減りますよね。1,650万人って、四国と九州足したぐらいです。

菅澤:そんなにですか?(笑)。

小笠原:不動産って、投資は流動化しているんです。REIT(Real Estate Investment Trust)とか。所有までいかなくても、不動産に投資はできる。利用と提供は、この数十年ほとんど変わっていません。シェアオフィスと言われるぐらいまで。シェアハウスみたいなものも、昔にあったものがちょっと戻ってるだけで、自由には提供できない。

菅澤:サーバーとか、クラウドのほうが進んじゃった感じなんですね。

小笠原:実空間でも起きると思っていて。これから日本人は減るので、空室は絶対増えるんです。賃貸住宅だけでも、あと10年すると空室率で30パーセントを超えると言われています。30パーセントを超えるって、たぶん都心部は10パーセント、地方で50パーセントとか、恐ろしい世界になるはずなんです。

菅澤:空き家ばっかりみたいな。

小笠原:空き家ばっかり。そういう場所を、もっと使えるようにしていく。でも、1箇所1箇所変えていくのは大変だから、それを仮想化するサービスが必要なはずなんです。

菅澤:なるほど。

小笠原:不動産の提供と利用を流動化させる。ここで、たくさんスタートアップが出てくると思っていて。これまで不動産テックと言っていたところ。テックと言うよりは「不動産サービス」でしたが、そこに本当にテック領域の人たちがしっかり入ることで、不動産の仮想化、流動化に関しては、わりと1つの大きなテーマになるぐらい、みんなやるんじゃないかなとは思っています。

池澤:不動産って、あまりITが進んでないような印象がありますよね。そこにもDX化の波がやってくるんですか。

菅澤:敷金礼金がいらなくなる世界がようやく来るかもしれないですね(笑)。

小笠原:それをなくすために、何をどうすればいいのか。業界の慣習変えるのは難しいから、新しいサービスで変えていくしかないと思います。そこは、これからすごくやりがいがあるところかなとは思っています。

菅澤:いつぐらいからそう思いだしたんですか?

小笠原:2ヶ月ぐらい前。

菅澤:めっちゃ最近じゃないですか(笑)。

小笠原:頭の中でまとまったのがそれぐらい(笑)。

菅澤:僕は、旅しながら生きているようなところがあるんですが、「自宅を持つ必要ってどれぐらいあるんだろうな」とけっこう思っていて。本とかもネット上に保存できるようになって、もう家にいらなくなって。食事も外食でいいとかってなってくると、あと服ぐらいとか。

小笠原:そうですね。

菅澤:本当、そういう時代が来るなあとは思っていて。そちらの方向に、どんどん投資もしていく感じですか?

小笠原:そうですね。やはり、そちら方向は投資進めたいです。不動産投資が流動化していて、土地の値段がある程度維持されているか、上がってるか。利用と提供はそんなに流動化できてなくて、人間の数が減っていく。ということは、勝手にバブル状態になっちゃうんです。実態が小さくなるから、実質バブルです。

池澤:そのうち崩壊も来ますね。

小笠原:そうそう。なので、そうならないようにしたいな。日本の課題と世界の課題は基本的にまったく逆なので。今、SDGsとか言っていますが、あれはもともと人が増える前提で、なんとか持続性持たせよう、ですが、日本の場合は、減るけど持続性持たせようなので。

グローバルで活躍するかどうかは、結果的に使えるかどうかでいいと思っていて、今はまず日本の課題を解決して、それが共通項があれば世界に出ればいいぐらいに僕は思ってます。

虫食い状態の部屋に価値をインストールする

菅澤:今は例えばワーキングスペースとかを中心にシェアするようにしてると思いますが、その先、住宅とかいろいろやっていくんですか? 不動産周りは?

小笠原:これからは、いろいろなマンションが虫食い状態で空いていきます。その虫食い状態の各部屋にいろいろな機能を持たせて、それによって、その場所に住みたいと思ってもらうのがいいなと思っているんです。

キッズスペースみたいなのを作って、「子どもの遊び部屋があるマンションだから、そこに住もうかな」とか。「ピアノ部屋があるから、住もうかな」とか。そこの不動産の価値を上げていく機能を、自由にインストールできるようになっていけばいいなと思っています。

菅澤:なるほど。どうですか、若手世代として、そういう未来は?

池澤:最近の若者って、面倒臭いことがどんどん減ってきていると思うんです。働くのも、働く場所も時間も、けっこう自由になってきているじゃないですか。それに合わせて、住む場所も気軽に変えられるような世の中になっていってほしいなとは思います。

菅澤:面倒臭いと思うところがまさに変えるべきで。引っ越しのためのいろいろな手続きとか。

池澤:そうですね。

スタートアップをやるなら今のうちがおすすめ

菅澤:最後ですが、起業家やエンジニア、もの作りの未来イメージというか。ずっと見てこられたと思うんですが、これからどうなっていくかは、どう思いますか?

小笠原:スタートアップという軸でいうと、僕の大学の学生とか見ていても、就職自体が選択肢の大部分ではなく、数パーセントですが、いわゆる起業することが選択肢に入ってきている子も増えてきてる実感があるので。この数パーセントは、10年後の十数パーセントぐらいには効いてきそうだなと。

スタートアップって、やはりちょっと“変わった”というイメージが、みなさんあると思うし、それは本当にそういう部分もありますが、ある程度の人がスタートアップに流れ込んでくると、今までスタートアップってちゃんとやればある程度イケていたのが、ちゃんとやる人が増えて、けっこう厳しくなるので。

菅澤:リアルな(笑)。

小笠原:やるなら、今のうちにやっておきなよっていう感じで思ってます(笑)。今なら、まだちゃんとやれる人は勝負できます。

池澤:なるほど(笑)。

小笠原:でも、10年後はちゃんとやる人が増えているはずなので、けっこう厳しい業界になるだろうなと。

菅澤:リアルな話ですね。

池澤:リアルですね。

菅澤:日本って、本当にスタートアップやる人が少ない。本当に変な奴しかスタートアップやらないので。変な奴は、優れた奴もいれば、ただただ変な奴もけっこういるので(笑)。

世界に比べて優秀な人が起業してる率が低いので、実は、けっこうチャンスなんじゃないかという説があるんですよね(笑)。

小笠原:チャンスだと思いますよ。どこにいてもハードウェアはあって、自分と自分の仲間のためにというのがわかりやすいかたちとしてスタートアップはいいと思っているし、そこにできる限り資金供給していきたいと思うし。本当にチャンスなんだと思います。ただ、きっとここから険しいですよっていう(笑)。

菅澤:増えちゃいますよっていう。早めにしたほうがいいですよ、っていうことですよね。夢の持てる話を聞けて、前向きな気持ちになってきました。みなさんもぜひ、「今のうちですよ」ということを伝えておきたいなと思います。

小笠原:ありがとうございました。

生き方自体がスタートアップ

池澤:ありがとうございました。本日のゲストは、起業家が集まるバー、awabarオーナーの小笠原治さんでした。

菅澤:どうもありがとうございました。思った以上に、ぶっとんだ経歴の上司でしたけども。

池澤:いまだに把握しきれないです。

菅澤:そうですね(笑)。

池澤:肩書きも把握しきれないし、ステータスも把握しきれないし。

菅澤:確かに。全部聞けた感じはしないですね。

池澤:関わっている組織も、ぜんぜん把握できないですね(笑)。

菅澤:でもちょっと感じたのは、やはり生き方自体がスタートアップということで。高校時代からスタートアップやっていたのと、今でもやり続けているということ。やはりスタートアップっていろんなハードシングスもありますが、悪い人はあんまりいないのかなと思うんですよね。

池澤:そうなんですか?

菅澤:がんばってるというか。変な人はいっぱいいるんですけど(笑)。小笠原さんみたいな人がどんどん情報発信をしていくことで、スタートアップもどんどん増えていくと、よりよい社会になるんじゃないかなと思いました。ということで、このあたりで終わりにしたいと思います。

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