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【キッズプログラマーの5年後】16才の僕が“医療の課題をテクノロジーで解決したい”と思うまで(全1記事)

僕にとってプログラミングは「未来を創造するツール」 16歳で医療の課題に挑戦しようと思ったわけ

「BIT VALLEY 2021」は「変わる働き方とカルチャー、変えるテクノロジー」をテーマに開催されるカンファレンスです。#02 Hello,tech!『触れて、学んで、楽しむ』に登壇した大塚嶺氏は、現在高校1年生。プログラミングに興味を持ったきっかけや、今の取り組みについて発表しました。

プログラミングを知ったきっかけはカメラ

大塚嶺氏(以下、大塚):こんにちは。今回登壇します大塚嶺です。2005年に東京都で生まれ、東京都で育ちました。渋谷教育学園渋谷中学校に入学して、現在高校1年生です。

今は小学校でもプログラミング教育が始まり、国のGIGAスクール構想で、1人1台の端末が配布されたと聞いていますし、小学校低学年ですごいものを開発している子どもたちがたくさん現れていますが、僕がプログラミングに目覚めたのはずっと遅くて小学5年生の時でした。

まずはプログラミングを知ったきっかけからお話しできればと思います。プログラミングというと、ゲームから入る人が多いと思いますが、僕の場合は少し違っていて、カメラから入りました。小学1年生の時に買ってもらったコンパクトカメラで写真を撮ることがすごく好きだったのですが、子ども用だったということもあり写りも悪く、その後一眼レフを実際に買ってもらって、それから一眼レフでたくさんの写真を撮るようになりました。

これがその時に撮った写真の少しです。今は夏休みなので(※取材当時)自由研究に取り組んでいる方も多いと思うのですが、僕も買ってもらった一眼レフで小学3年生の時に写真日記という自由研究を作りました。僕の場合、被写体をそのまま写すというより、左の写真のようにカメラを実際に動かしながら光の画像の変化を見るのがすごく好きで、普通には撮らないようなおもしろい写真を撮ることにハマっていました。

一番右下の写真のように画像をどんどん拡大して粗くしていくと、線があるのにギザギザする変な見え方など、いろいろなことに興味を持ち、右上の写真では黒、白、グレーの3色の爪楊枝を刺して、アインシュタインの画像を作りました。これはすべて爪楊枝でできています。こういうことをしているうちに、どうしてもパソコンが必要になったのです。やりたいことのためにパソコン、そしてプログラミングという流れです。

例えばこれは原爆ドームの写真を拡大して、国旗の折り紙で実際に折り鶴を作って作成した自由研究の作品なのですが、この時にパソコンはすごくいろいろなことができるんだなと実感しました。これは、その原爆ドームの写真に表みたいな感じで縦と横に線を入れていき、それぞれのプロットが実際に何色でできるのかを調べた時の画像です。

Tech Kids Schoolで実感したプログラミングの楽しさ

そんな時にTech Kids Schoolを知りました。Tech Kids Schoolの体験コースに小学5年生の時に入り、その時にプログラミングを初めて知り、そこから学んでいきました。プログラムが実際に進んでいくのがすごく楽しくて、どんどん先に進んでいきたいなと考えていました。何がおもしろいって、やっぱり自分が思ったものを自分なりに作れるというのがすごく楽しかったです。僕の場合は中学受験も控えていたので、最初は月2回だったのですが、そこからどんどん回数を増やして、最終的には月8回まで通うようになりました。

そしてついには、アプリを開発できるというところまで来ました。個人的には、すごく短い期間に圧縮してたくさんのプログラミングのコースを取っていったのがいいのかなと思っています。やっぱり忘れてしまうのもあるので、忘れないうちに次をやることで、プログラミングの力をより効率的に学ぶことができたのかなと思っています。

これがその時、発表している動画です。

《動画開始》

大塚:このように40秒間に5回シュートをすると、ゲームクリアとアラートが出て終了画面になります。40秒で5回は意外と難しくて、何回かやっているうちにどこでシュートすればいいのかがわかるようになります。時間が尽きると「ゲームオーバー」が出て、終了画面になります。

《動画終了》

大塚:段階を踏んで教えてもらえるのがTech Kids Schoolの良いところで、僕の場合はどんどん自分流にアレンジしたかったのですが、詳しいメンターさんがその要望に応えてくれて、プログラミングの世界をどんどん自分の中に広げていけたのが本当にありがたかったです。

先ほどの折り鶴の原爆ドームの時も、どの国旗で何羽折るかをけっこうきちんとカウントしていかなければいけませんでした。紙でカウントしていくとけっこう大変だったので、実際にTech Kids Schoolで習ったプログラミングを利用して、カウントアップなど自分の生活内でもできるものを少しずつ作りながら自分なりに作業をアレンジしていきました。

未踏ジュニアで開発したアプリ「らくらく読み読み」

Tech Kids Schoolには本当にお世話になって、「こんなものがあるよ」と教えていただいたのが未踏ジュニアでした。未踏ジュニアに採択してもらえたことで、僕の世界はさらにどんどん広がっていきました。この時に未踏ジュニアで開発したのが、視力が低下した曾祖父のために作った「らくらく読み読み」というアプリです。

曾祖父は目が悪いのですが、年をとっているということもあり手術も難しく、眼鏡や拡大鏡などを使っても、まだ新聞の見出ししか読めないという状況でした。僕のプログラミングでそれをどうにかしてあげたいと思い、このアプリを開発することにしました。

機能は文字の拡大機能のほか、読んでいるとチカチカするという問題がユーザーから挙がったので、背景色などが変えられるスタイルの調整機能や、文字が大きいと実際にどこに書いてあるのかがわからなくなるということもあったので、それに対して読んでいるところまでマーカーが付くマーカー機能。あとは誤読をしないようにユニバーサルデザインフォントという、この下の画像にあるような少し読みやすいフォントを使用しました。

さらに脳梗塞などで細かい作業や動作ができなくなった人のため、視線追跡デバイスTobiiというものを使って、実際に目で文章を追っていくだけで、どこまで読んでいるのかを自動で機械が判断し、マーカーが自動で引かれる機能も作成しました。

Tobiiを使わなくても、読みながら画面を指でなぞっていけばマーカーを付けることができるので、プログラムを書くにあたって、この"、"や"。"を実際に改行した時に一番前に出てこないようにする処理にすごく苦労しました。未踏ジュニアのPMや仲間たちから刺激を受けたことも本当にありがたい経験でした。

海外留学で視野がどんどん広がった

未踏ジュニアのスーパークリエイターに選ばれたあとに支援していただいているのが、孫正義育英財団です。僕は2期生で、先日5期生が選ばれたのですが、日本人だけではくて国境を越えて、分野も年齢もまったく違った精鋭たちが集まっているので、さまざまな分野でのエキスパートからの刺激はとてもうれしかったです。

そしてこれはけっこう最近になるのですが、イギリス留学に行って来ました。中学1年生の夏休みにアメリカにあるスタンフォード大学のITキャンプに参加して、その翌年の中学2年生の夏にはイギリスのボーディングスクールにサマースクールとして短期留学しました。また、その後も中国の深センや武漢に行って、自分の視野がどんどん広がっていきました。

中3の夏からは、イギリスのConcord Collegeというボーディングスクールに1年間留学しました。ちなみにイギリスではこんな感じの教科を取っていました。コンピュータサイエンスの授業も取っていて、少し簡単ではあったのですが、それも楽しむことができました。

次は、今取り組んでいることを少しお話できればと思っています。僕は、医療では実現できないことをテクノロジーで解決するということをテーマとして目指しています。高齢の方であれば「高齢だから」という理由で手術が難しいということが、けっこう多いと思うのですが、僕がやりたいのはその手術をテクノロジーで代替するということです。

医療的な意味ではなく、実際に手術が難しい人に対して、例えば歩きづらい人に対してハードウェアのロボットや、機械を使って歩きやすくしてあげたり、テクノロジーを使ってハード面はもちろん、ソフト面で、今まで解決できなかったことをどんどん解決していけたらなと思います。

そのためにいくつか企業を訪ねました。Allmという会社は、東京オリンピック、パラリンピックでも公式に使われている医療アプリ「MySOS」を開発している渋谷区の会社ですが、コロナウィルスの影響もあって医療関係者の中でも、この「Join」などのアプリがたくさん使われています。

これは実際に、Allmを訪ねてお話を聞かせてもらった時の写真です。海外政府の機関とも連携する必要があり、すべてのやり取りを英語でしていました。自分の中で、英語は必要だと思っていたのですが、改めてプログラミングをやっていくうえで英語は必須なんだなと深く感じました。

また最近は、友だちとAI英会話アプリを開発しました。スマートフォンを使って、さまざまな状況下でロールプレイの会話ができるアプリを作成しました。例えば、実際に映画館に行ってチケットを買うというシナリオがあり、そのシナリオに沿って会話ができます。

また、孫正義育英財団生との共同開発で、コロナ禍で必要なものを必要なところに届けるサービス、Nolackを開発しました。

最近はだいぶ、コロナ禍でも必要なものがけっこう集まるようにはなってきたのですが、最初の頃は必要なものをどこかに寄付しようとしても、実際にどこに渡したらいいのかがわからないということがけっこうありました。そういう状況だったので、このようなサービスを作ったらいいんじゃないかと、財団生と共同開発をしました。

僕はどちらかというとフロントエンドをやっているので、iOSやWebの開発をしていて、以下のような言語をやっています。XRの分野も興味を持っていて、将来的にはやりたいと思っています。その前の勉強も兼ねて「STATION」というARアプリの開発もしています。これは渋谷QWSチャレンジというもので、渋谷にあるSHIBUYA QWSという団体に選ばれて、渋谷の街歩きを楽しくするSNSを作成しています。

最後に、自分が作りたいものをかたちにするのは重要ですが、今の社会、これからの世界では求められていることを実現することが大切だと改めて痛感しています。プログラミングは実際に何かを創造するツールで、未来のためのツールだと思っているので、もっともっと極めていきたいと思っています。ありがとうございました。

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