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防災大国を目指して、PM になって日々の経験(全1記事)

PMに期待されるスキルと自身のギャップをどうカバーするか 自分なりの軸を持ちつつメンバーの話を聞く大切さ

さまざまなヤフーの独自技術や業界の最先端テクノロジーに触れ、関西圏のクリエイターの成長を目的にした、ヤフー大阪オフィスで開催される勉強会、「MixLeap Study #67 - 各社事例からプロダクトマネージャーのあり方を探る」。ここで「Yahoo!防災速報」の災害マップでPMを務める諸岡氏が登壇。メンバーとの関わりで意識していることを紹介します。

自己紹介と担当機能の紹介

諸岡達也氏(以下、諸岡):ヤフー株式会社の諸岡です。「防災大国を目指して、PM になって日々の経験」というテーマで発表します。実際に実行できているのかと問われると、まだまだな点は多いですが、私が日々意識していることを話したいと思います。よろしくお願います。

まず自己紹介をします。新卒でアルプス社に入社し、地図の編集制作に関わってきました。ヤフーに入社した当初は地図やカーナビを担当し、3年ほど前(登壇時2021年)に現在所属している天気・災害のサービスに移りました。そこで企画やディレクションを軸足としつつ、PMは、今担当している部門で3件目です。

続いて、ヤフーの天気・災害のサービスを簡単に説明します。(スライドを指して)左側はWebのサービスです。真ん中の天気アプリは天気予報や雨雲レーダー、さらに最近では熱中症警戒情報を、右側の「防災速報」アプリは地震や津波などの防災情報を提供しています。私がPMを担当している災害マップは、右側のアプリの機能の1つです。

(スライドを指して)災害マップです。従来の気象・防災情報は、気象庁や自治体から提供されています。主に市区町村単位で配信されるのでエリアが広く、自分にあまり影響がない情報が届くこともあります。それを解決する手法として、ユーザーが身の回りの情報を投稿することで、自分の周囲の状況を知り、自分事として避難に役立てることを目指しています。

(スライドを指して)そのプロダクトです。これを進めていく上での要素はいろいろあると思います。本日は人、いわゆるプロジェクトのメンバーとの関わりに注目して話したいと思います。

PMとして期待されている範囲と自身の傾向

(スライドを指して)今日参加しているみなさんにもいろいろな方がいると思います。単純に縦横軸で分類すると、みなさんは自分がどの辺りに重点を置くタイプだと感じますか? 例えば、PMは縦横軸の中のどのあたりにいることが期待されると思いますか?

PMは緑に塗ったあたりかなと思う方が多いと思います。実は、私はわりと左下の赤色の傾向で、ギャップがあります。それをどう対処するかについて、このあと話そうと思います。

(スライドを指して)今私がPMをやっている作業マップですが、プロジェクトを達成するためにいろいろな役割があり、複数名が集まってチームを構成しています。企画と制作デザインと、開発エンジニアが災害マップを構成しています。

先ほど紹介したように、私は企画が中心で、制作や開発の経験はほぼないため、デザインや開発の具体的な詳しい部分についてはみなさんのほうがプロフェッショナルです。実際に良いプロダクトを提供する上で大切なのは、チームのメンバーの一人ひとりが活躍する場を作り上げ、チーム力を上げることだと考えています。

チームメンバーの勤務環境

実は、ヤフーの天気・災害サービスの拠点は大阪です。9割くらいのメンバーが大阪にいて、コロナの前まではみな大阪オフィスに出社していました。大阪以外にも東京、名古屋、福岡オフィスのメンバーもいます。これらの拠点のうち、私は名古屋を拠点にしています。そのため、コロナの前から私はリモートで、サービスやプロジェクトのメンバーと関わってきました。

組織については、階層構造が多いと思っています。

災害マップのメンバーは比較的少人数なので、(スライドを指して)このように一人ひとりがつながっています。企画が2名、制作が1名、開発が4名という体制です。

みなプロフェッショナルなメンバーなので、理解や共有や開発が早く、すぐに問題を解決でき、プロダクトの品質向上につなげやすいです。リモート体制なので、日々のやり取りはSlackを中心に行い、Zoomで毎日朝会を開催しています。また、必要に応じて随時オンラインでミーティングを開き綿密に連絡を取っています。

チーム運営で日々心がけていること

(スライドを指して)最後に、私がチームを運営していく上で日々心がけていることをいくつか話したいと思います。まずは、「方向性を示して、理解・共感してもらう」ことです。プロジェクトとプロダクトには目的があるので、そのゴールに向けてみなさんが正しく進めるようにするということです。なぜやるかを理解し、みなさんが力を発揮できるようにすることが大切です。

次に「発生した課題・迷いに、判断する」です。プロフェッショナルな役割とはいえ、課題に突き当たることや迷うこともあるので、メンバーが先に進めるようにしてあげることが大切だと考えています。

先ほども話したように、私もまだ知らないことがたくさんあるので、知らないことを素直に尋ねて理解する必要があります。みなさん忙しい状況が続いていますが、基本的なことや当たり前だと思うようなことでも、できるだけ尋ねて解決できるようにしています。

また、みなさんに任せるという意味では、いろいろな判断をする立場にあるので、それぞれに問いかけて回答してもらい、私がそれをきちんと理解する。そして納得できたら、あとは信頼して任せています。さらに、「自分なりの軸を持って、ブレない」。軸があちこちに向いて違う考えを持っていると、メンバーが振り回されて戸惑ってしまうので、「私はこう考えている」「私はここに向かっている」と、常にしっかり思っておくことが大切です。

自分なりの軸を持ちつつ、みなさんの話を聞いています。みなさんは意見を言ってくれたり、新しい提案をしてくれたりするので、それを私が理解して共感するわけです。受け入れて対応することが必要だと思っています。

最後です。やはり、日々業務を通じてメンバーとフィードバックしあいながら、私も日々プロダクトマネジメントを学びながら、そのような経験を繰り返していきたいと考えています。

災害情報は、発信するだけではなく一人ひとりが行動することが大切です。プロダクトやサービスにさらに磨きをかけて、ヤフーから防災大国を実現させたいと考えています。ありがとうございました。

質疑応答

司会者:ありがとうございました。話にありましたが、実はヤフーの天気・災害サービスは大阪でほぼ開発・運用を行っています。今までMixLeapの勉強会でも何度か天気・災害サービスの人に登壇してもらいましたが大阪でやっています。諸岡さんはふだん名古屋にいるんですか?

諸岡:私は名古屋です。

司会者:コロナの前はけっこう大阪オフィスに来ていて、MixLeapに参加してもらいましたよね。よく覚えています。

諸岡:週に1、2回大阪に来ていて、みなさんと顔を突き合わせて実際に話すことがプロダクトを進めていく上で大切という考えがありました。

司会者:なるほど。では、質問・感想を見ていきます。「ヤフーの天気・災害には大変お世話になっています」(というコメントが来ています)。

これはちょうど今の“顔を突き合わせて”という発言に関係すると思いますが、「リモートワークの前後で、プロダクト開発についてコミュニケーションや意思決定などで困ることは増えましたか?」。今は実際に顔を突き合わせることはできないと思いますが、何かありましたか?

諸岡:私は先ほど話したように名古屋でリモートワークをやっていたので、みなさんとは週に1、2回顔を合わせていますが、それ以外はオンラインでやり取りしていたので、そういう面ではそれほど変わっていません。オフィスに出社した時は、顔を突き合わせて話をする機会を設けていました。新しくチームを作った時は、最初にみなさん一人ひとりと話をして、どういう人か、どういう考えを持っているかを踏まえて対応していました。

司会者:さらに「軸がブレないのは大事ですね」(というコメントが来ています)。最後の「日々心がけていること」はすべて、私も大事だなと思いました。Q&Aでも質問をもらっています。

「(青と緑のマトリクス図で)PMに期待されている部分と、現在対応している部分が違うのはなぜですか?」。さらに「理想のPM像と本来の自分にギャップがあるという話ですが、ギャップを埋めるのに一番大変だったのはどんな点ですか?」も併せてでしょうか。

諸岡:(スライドを指して)おそらく右上がPMに期待されていることだと思いますが、私は従来職人肌というか、専門職思考なので、どうしても赤色の傾向が強いんです。赤色だけだと周りが見えずプロダクトが行き詰まってしまい、みなさんが活躍できません。なるべく「本当はやりたいこと」を我慢しつつ、プロダクトあるいはもっと上のサービスなどがどこに向かうべきなのかを常に意識して、それをみなさんと一緒に決めています。

司会者:次に、「afterコロナで出張などがしやすくなった場合も、顔を突き合わせる方向になりそうですか?」。

諸岡:オンラインが基本になるでしょうが、顔を突き合わせて話をすることは大切だと思います。非常に大きな課題に当たった時や新しいアイデアを話す時は、みなさんと一緒に話したいと考えています。

司会者:質問と感想は以上です。諸岡さん、ありがとうございました。

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