2024.10.10
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35,000人の全社員がいきなり リモートワークしたら こうなった(全1記事)
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下出憲政氏(以下、下出):全世界のみなさま、おはようございます。こんにちは、こんばんは。本日は本セッションにお越しいただき、ありがとうございます。このセッションでは「35,000人の全社員がいきなりリモートワークしたらこうなった」と題し、VMwareのリモートワークの現状と今後の予定について話したいと考えています。
技術的な話はほとんど出てきません。どちらかというと、IT部門が何を考えて、どのようにオペレーションしているかという概念について紹介できればと思います。よろしくお願いします。(スライドを指して)こちらがこのセッションの免責事項です。
まず自己紹介をします。私はVMwareでITマネージャーとして活動している、下出憲政です。日本オフィス、オーストラリア・ニュージーランド地域などで社内ITの管理・運営などを担当し、ほかのマネージャーと共同で、アジア各国とのサポート対応も行っています。
(スライドを指して)本日は、これら3つのトピックについて話そうと考えています。
まず、VMwareでも2020年の2月頃から、緊急対応が必要な社員を除いたほぼ全社員がリモートワークになりました。たぶん、みなさまの中にも同じような状況の方がいると思います。だいたい1年半ほど経過したわけですが(登壇時2021年7月)、今IT担当者がどんなことを思っていて、日々どう運用しているかを少し話したいと思います。
こちらのスライドは、VMwareの今現在のVPNのアクティブユーザー、セッション数と言ってもいいかもしれませんが、その数字を表示しています。このようにVMwareは全世界にたくさんのオフィスを抱えています。国ごとに文化などの状況は異なっています。私は、これだけ違う環境をITとしてサポートするのはけっこう大変だと常日頃思っているわけです。
2020年の2月から全面的なリモートワークが始まりましたが、実は弊社の場合、昔から「Work at Anywhere」という概念を掲げていました。これは「どんな場所からでも、どんなデバイスを使ってでも、業務を滞りなく行えるようにする」という考え方から、そのようなことをしていた経緯があります。
しかし今となっては、ないとは言いませんが、それほど大きなインパクトはなかったのではないかと個人的には思っています。2020年の2月以前はこうなると思っていなかったので、確かに驚きました。しかし、「Work at Anywhere」概念を元にきちんとしたプランニングと製品を適材適所でうまく使うことによって、なんとか乗り切っているのではないかと思います。
こちらのスライドでは、今IT部門でサポートしているシステム状況を紹介しています。それぞれ細かい数字は割愛しますが、弊社では、IT部門もたまに必要であれば出社することはありますが、これだけの規模のシステムをリモートでサポート・運用しています。
2020年の2月、つまり1年半くらい前を振り返ると、それ以前と今の状況はちょこちょこ変わったところがあると感じています。そのエリアごとに変わったことや、こちらが意図的に変えたこともありました。いろいろな変化がありましたが、その中で1つだけ例を挙げます。
このスライドで、以前の状況、現在、将来的なプランについて比較・整理整頓をしました。例えば、前の状況では全社員の80パーセントが固定席を持っていました。私を含め、だいたいの社員が会社に行くのを当たり前のように考え、いろいろなところで働けるオプションがあったとはいえ、基本的には会社に行くべきだと考えていました。
2020年の2月からリモートワークになりましたが、今では約95~98パーセントの社員がリモートワークをしています。2020年の2月からアンケートを取っていますが、現時点で(2021年7月)70パーセント弱の社員が「出社するのに抵抗がある」と回答しています。「将来的にどうしたい?」というアンケートを取ると、52パーセントの人が、今後も引き続き今と同じように「自宅で業務」をしたい。37パーセントの人が「ハイブリッド業務」。オフィスにも行くが自宅でも作業したい、どこからでも作業したいというハイブリッド希望の方が37パーセントいました。トータルで89パーセントの方が、今までと違う環境で仕事をしたいと言っています。
ITとして、それを踏まえて何を考えなければならないのか。将来的には、仕事の内容や環境、requirementによって場所を変えて働いてもいいではないか。その環境を実現するためにITはシステムやソリューションを提供すべきだと考えています。
ではオフィスはどうなのか。どちらかというと、今まで当たり前のように行っていた状況から抜け出して、目的がある時に行く。例えば、ほかの社員と共同作業をする時に行くなど、クリエイティブな、創造的な仕事ができるような場所にしたいと考えています。
将来的な話をしましたが、弊社では“Future of Work”という表現を使って「今後ITサービスはどうあるべきか?」を考えています。Future of Workでは、ITが将来的にどのようなソリューションを提供するべきかを考える前に、弊社では4つのエリアをフォーカスポイントとして定義しています。
(スライドを指して)1つ目はPLANNING。これはITではよくやりますが、ちゃんと設計して、事前に段取りをして、きちんとPLANNINGしていくことで、ソリューションを提供すること。2つ目はWORKFORCE。これは社員自体の話です。いろいろな環境、いろいろな場所から仕事するという意味で、社員の幸福度というか満足度を提供しなければならない。そのために何ができるかということ。
3つ目はWORKPLACE。これは働く場所です。最初に言いましたが、自宅やオフィスなど、いろいろな場所で作業ができるようにすること。4つ目はWORK STYLE、働き方です。いろいろな場所でいろいろなデバイスを使うのはいいのですが、生産性が落ちればなんの意味もない。生産性をキープするためにどんなツールを提供するべきか、既存のツールをどう改善していくべきかということ。ITとしてこれら4つのポイントをフォーカスし、Future of Workとして将来像を見据えて活動していこうと思っています。
(スライドを指して)今は、人事やファシリティの部分もけっこうかみ合っているので、ITを実際にツールとして、ソリューションとして、どう適用するかをもう少しブレイクダウンしたのが、こちらのスライドです。例えば、ミーティングやプレゼンテーションの方法を少し変えてみたり、営業のツールをもっとしっかり可視化したものにする。ほかに、トレーニングの方法。さらに情報の可視化やオフィスツアーをしてみたい。ITでは、このようなことを考えています。
例を挙げると、バーチャルミーティングです。バーチャルリアリティ(VR)の技術をどうにか会議に使えないかということです。確かに、今まで電話会議やビデオ会議はありました。ありましたが、VRの技術でアバターを用いることによって、もっと距離感が体感的にわかります。会議に参加している方がもっと親近感を感じて、身近に感じて会議をすることによって、もっとスムーズな会議ができるようになるのではないかと私たちは考えています。
(スライドを指して)次はオフィスツアーです。2020年の2月から1年半経ったわけですが、実はそれ以降に入社した方の中には、まだオフィスに一度も来ていない方がけっこういます。そんな方に、オフィスは今こんな感じだということを、バーチャルリアリティや3Dの技術を使って提供しています。
ここまでは将来像の話でした。ここからは、いろいろなデバイスを使っていろいろな場所で業務ができる。ITはどう提携して管理するかという、統合エンドポイント管理の話です。最初にWork at Anywhereの話をしましたが、ここでは(VMwareが実現を提言している)Anywhere Workspaceが同義語として使えると思います。ITにもいろいろなツールやソリューションがありますが、ここではその中でもコアになる3つのものについて説明します。
1つ目が「VMware Carbon Black」という製品です。これはエンドポイント保護です。例えば、みなさんに渡しているラップトップのセキュリティを担保するためのツール、クラウドネイティブで動くツールです。2つ目が「VMware Workspace ONE」。統合エンドポイント管理と呼ばれています。要は、みなさんが使うラップトップや携帯をリモートで管理します。インターネットとつながってさえいれば管理できます。例えば、セキュリティやプロファイル、証明書やアプリケーション、設定などをこちら側からプッシュします。モニタリングしたり、リモートでITの人間がサポートしたりするようなソリューションです。
3つ目は新しいものですが、「VMware SASE」。これは、ゼロトラストセキュリティをどうやって認証するかという概念のほか、ネットワークをマージしていろいろなものをきちんと管理できる製品です。
ネットワークをモニタリングするだけではなく、例えばパフォーマンス管理をすることもできる、おもしろいソリューションです。私たちはこの3つを重ね合わせることによって、ITやネットワーク、セキュリティを網羅できる統合テクノロジーとして使っています。
(スライドを指して)VMwareでのデバイス提供状況です。いろいろなデバイスと言いましたが、どんなデバイスかというと、iOSやAndroidなどの携帯やタブレットです。ほかにmacOSやWindows 10。弊社の場合はメインがラップトップなので、これらのOSをサポートしています。もう1つ、Linuxも一部サポートしています。
(スライドを指して)VMwareでの実際のデバイス提供状況は、このようになっています。このスライドは少し古いので今はもう少し増えていますが、画面の左上から、Windows、Mac、Linux、Apple、Android。トータルで65,000台、つまり70,000台弱をWorkspace ONEで一元管理、一括で管理しています。
一括で管理するツールは今までにもいろいろあったので、ここで話す必要はないと思う方もいるかもしれません。
では、何が違うか。社員は自宅などいろいろな場所からリモートで働いているので、今までのように社内でしか管理できないとなると困ってしまいます。Workspace ONEを使うと、インターネット越しにリモート管理できるので、ものすごく便利になりました。詳細に関しては、弊社営業に問い合わせのほかホームページを見てもらえればと思いますが、1つ例を挙げます。
弊社では今、ラップトッププロビジョニングということをやっています。(スライドを指して)この画面の左上が従来の作業手順です。ラップトップをどう社員に提供し、使ってもらうかという話です。左上の「従来の作業手順」から始まりますが、昔は私もこれをやっていました。
例えば、ITが社員からパソコンが欲しいと言われたら、パソコンを業者に発注します。発注したら業者が工場でパソコンを作り、ITに送ります。送られたらITは箱を開けて、電源を入れて、イメージングをして、初期設定をして、それを梱包して社員に配送します。
これで終わりかというと、そうではありません。実際は、社員がITに連絡して「初期パスワードは何ですか?」から始まり、「どうやって設定するんですか?」と質問され、結局マンツーマンのサポート依頼が来ます。
そうなると結局、一から十まで全部説明することになります。今思い出すと、たぶん私の工数の中で1日に1時間~1時間半は、この従来のパソコンの提供方法や作業手順でやっていたと思います。1日に1時間~1時間半、もしかしたら2時間くらいやっていたかもしれません。
今のVMwareでは、ラップトッププロビジョニングという方法を使っています。工場でパソコンを準備してもらう時にWorkspace ONEと連携して、社員によって異なりますが、必要な設定やソフトウェアなどを事前にインストールしてもらいます。そして、そのパソコンを社員に直接送ってもらいます。この利点として、ITは受け取り作業やイメージング作業、設定作業、配送作業などの途中の部分ごっそりなくなるわけです。なくなった分早く届くので社員もハッピーです。
社員はパソコンを立ち上げて、電源を入れて、インターネットに接続したあとログイン認証すれば、自動的にWorkspace ONEと連携されて、必要な設定やアプリケーションも自動的に追加されます。見ていると、社員はすぐその日のうちにパソコンを使って業務を開始しています。
これによって何が変わるか。インターネット越しに設定やプッシュができるので、社員が各自宅で業務をしている環境にパソコンを送っても、きちんと初期設定ができます。今までのようにパソコンを送ったり送り返してきたりして、ITがものすごく時間をかけて設定していたことを全部すっ飛ばすので、社員もITもハッピーな環境が生まれました。
もう1つ例を紹介します。このラップトッププロビジョニングの考え方に慣れてきたところで、弊社で1つ「自動販売機」という考えを作ってみました。ジュースなどの自動販売機のパソコン版をイメージしてもらえればと思います。
ラップトップが欲しいという社員に来てもらって、自分の社員証をピッとやってもらうと、WindowsかMacかが選べます。Windowsを選ぶと、パソコンがガチャンと出てきます。ガチャンと出てきたら、社員は開けて電源を入れてインターネットにつなぐのは同じです。初期設定をするとWorkspace ONEから追加の設定などが落ちてきて、すぐに使えるようになるという便利なツールを使っています。
ここまでが今回のセッションの内容です。最後にサマリーをしたいと思います。今日は、VMwareでは2020年2月から1年半経過しても、まだほぼ全社員がリモートワークを継続している話をしました。次に、Anywhere Workspaceの重要性。どこからでも、どんなデバイス使ってもアクセスできることは、社員にとってもITにとってもものすごく重要だということ。Future of Work、今後ITは何をしていくか。今後のターゲットエリアを確定して、指定して、そこをフォーカスして活動していく。さらに、さまざまなデバイスを多様的に管理・運用できることが重要。
最後に、ラップトッププロビジョニングの話をしました。プロビジョニングによってITの工数削減ができ、社員も受け取ったパソコンが簡単に、すぐに使えることを説明しました。
本日のセッションは以上です。ご清聴ありがとうございました。
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